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第6章 ケンジの新しい生産力!

35話 束の間の平穏④

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 ゴードンがこの町を去り4日ほど経ったある日の夜・・・ケンジの思った通り天井裏と中庭で賊が罠にハマるのだった。

「ご主人様・・・夜分遅く申し訳ありません・・・」

「あう・・・・もうだめぇぇ~~~!ご主人様ぁ~~~!」

 ツバキが部屋の中に入った時、システィナが逝き果てるところだった。

「うわぁ~~~!ツバキいきなり部屋に入ってくるなよ。」

 ツバキは顔を真っ赤にして謝罪するのだった。そこにはユリアとプリムも真っ裸でツバキの侵入によりシーツを素早く体に巻いたのだった。

「で、こんな夜中に一体なんだ?」

「天井裏のわたしの張った罠に賊が引っかかりました。今はマヒさせて粘着糸で捕らえていますが殺してしまってもよろしいですか?」

「まてまてまて!殺すのは無しだ。」

「それとハヤテが中庭の茂みにも賊がいたようでスリープブレスで眠らせたようです。こちらもハヤテが賊の足を粉砕したようで逃げることはできない模様です。」

 ケンジはツバキとハヤテに夜間の護衛を無理をしない程度に頼んでいて二人はその役に立てて満足げだった。

「それじゃすまないがセバスにこの事を伝えて一緒に衛兵の宿舎に連絡してくれ。」

 ケンジが準備を整え大広間に賊を引っ張って鉄格子にいれるのだった。人数は5人でそれぞれ鑑定するとガーライの町闇ギルド所属とある。

「マイ。ガーライの町ってどんなとこかわかるか?」

「あたしもここに移る前はその街でお世話になったわよ。ダンジョンが初級と中級しか近くになく冒険初心者には打ってつけなのよね。でも、なんでそんなこと聞くの?」

「ああ・・・こいつ等ガーライの町の闇ギルドなんだよ。」

「えええ!」

「何で闇ギルドが?」

「そりゃ、決まってるじゃないか。あのゴードンが俺を暗殺する為に雇ったんだよ。」

 それを聞いたユリア、システィナ達が憤慨しだすのだった。特にユリアは落ち込みがひどく自分のせいでケンジが暗殺されそうになったのである。

「ご、ご主人様ごめんなさい!わたしのせいで・・・」

「おいおい!誰もユリアのせいなんて思っていないから頭を上げな。」

 ケンジはユリアの肩に手を置き優しくフォローするのだった。システィナ達もそれに賛同しユリアを慰めていたのだった。すると騒ぎを聞きギル達みんなが大部屋から屋敷の方に入ってくるのだった。

「主!だいじょうぶですか?」

「ああ!俺達は大丈夫だよハヤテとツバキのおかげで無傷でアサシンを捕らえることが出来たよ。」

「アサシンですって?」

 アサシンとは暗殺者の事で闇ギルドの中でも上位にあたる役員である。人を殺す事に特化しており暗器や毒の扱いのエキスパートで並みの者が狙われるとまず100%命が無いと思っていい。
 そしてこのアサシンがやられることはまずないがやられた時には闇ギルドの威信をかけ次々と刺客が送られてくるのである。そのことがわかるであろうがこの刺客から逃れるためには依頼主をどうにかするか闇ギルドをつぶすかどちらかしかないのである。

「アサシンって主・・・どうすんだよ!」

「マードック落ち着けって!アサシンと言っても60レベル前後だお前達に勝てんよ。」

 そんな話をしていたらセバスとツバキが衛兵を連れて帰って来たのだった。

「ケンジ殿大丈夫か?セバスからアサシンと聞いたんだが!」

「ええ。ガーライの町の闇ギルドみたいです。たぶんゴードンの差し金でしょう。」

「アサシンが口を割ったのか?」

 団長が驚くのは無理もなかったのだ。闇ギルドの人間は依頼主の事を絶対に口を割らないのである。それにもかかわらずケンジは情報を言ったので団長は驚くしかなかったのである。

「いえ、自分には鑑定能力があるんですよ。こいつらのステータスにそう書いてあったので。」

「ケンジ殿の鑑定能力はステータスが見えるのか?そんな鑑定聞いたことないぞ!」

 鑑定とは普通そんなに詳しくでないのである。名前・年齢・職業ぐらいで特にアサシンのようなレベルの高い人間を鑑定してもわからないのである。

 ケンジはいつもの調子で思わすしゃべってしまってしまったという顔をしたがもう遅かったのである。

「まあ、特別だと思っていてください・・・」

「しかし!そんな能力・・・」

「まあまあ・・・そんなことよりこいつらを頼みます!」

「あ、ああ・・・わかった!」

 団長はケンジに押し切られ部下数名に賊を運び出すのを支持をしたのだった。

「しかし・・・ケンジ殿これから厄介だぞ。こいつらが闇ギルドのアサシンなら闇ギルドは威信にかけてお主を始末しにくるぞ。どうするつもりだ?」

「ええ・・・どうするか。目に物見せてやりますよ!俺と俺の家族を狙ったことを地獄で後悔してもしきれないほどにね・・・」

 ケンジの顔は笑っていたが側にいた者はケンジの雰囲気が変わり、言葉を発せなくなってしまったのだった。それを見た団長も男爵の息子も眠った竜を起こしたと思い気の毒にと思うのだった。

「お前達こいつらを拷問部屋に閉じ込めろ!そしてなんとしてでも依頼主を吐かせるのだ。」

「「「「はい!」」」」





 そして町の衛兵は賊を縛り連行していくのだった。そして、その様子を他の家の屋根から見ていた数名の影があった。

「なんだあの家は・・・なんでアラクネが天井裏にいるんだ?それにあの馬はバトルウォーホースじゃないのか?いったいどうゆうことだ?」

 アサシンのリーダーは部下に任せておいたらいいだろうと思いアサシンの練習としてまだ経験の浅い(とはいっても60レベルを超える)部下に任せたのだった。それを見たリーダーは一度ガーライの町に撤退することにした。
 この判断は間違っておらず上層部にまず報告をしなければとおもったのだった。この報告をもとにこの件から手を引くかそれとも闇ギルド威信をかけ始末するのか検討しないといけないと思ったのであった。

「お前達いったんガーライの町へ撤退だ。」

「「「はっ!」」」

 ケンジはこいつらの存在に気づいていたのだった。すぐにサーチでこの存在にマークするのだった。

 ケンジはその屋根の方を見てニヤリと笑うのだった。

「主!どうかしたのか?」

「いやちょっとな・・・虫が飛んでただけだよ。」

 そういってケンジは部屋に戻っていくのだった。そのケンジを見てギルとセバスは顔を見合わせ頷くのだった。

「なあ、ギル今のは・・・」

「ああ・・・主はあの賊の仲間に気づいてたな・・・俺は今まで気づかなかったが一人あの家の屋根に気配が。」

 ギルが感じた気配はその中で一番レベルの低いアサシンが去るときに気配が乱れた事によってギルが唯一感じ取れた気配だった。セバスも同様でその気配だけを感じることが出来たのだった。この事からこのアサシン集団はレベルが高いことがわかるのである。




 そして太陽が昇り、夜中の事もありみんな寝不足であった。朝食時ケンジはガーライの町に向かう事をみんなに提案したのだった。

「ご主人様おやめください!」

「いや駄目だ!このままにしてたらユリアだけじゃなくセバスたちも危険にさらされるんだぞ。」

「今回はマイは留守番よろしく!」

「な、何でよ!あたしも絶対行くからね!」

「相手はアサシンなんだぞ!危険になるかもしれないんだ!」

「何言ってんのよ!危険だから一緒に行くんでしょ。」

 こうなったら絶対ひかないマイをわかっているケンジは渋々承諾するのであった。じゃあいつものマイ、護衛メンバーとツバキとハヤテでいく事にする。

 そして家の方はセバスとイチカ、フタバ、ミキ(三樹)よろしく頼むぞ。ケンジはゴーレム(アンドロイド)をもう一体完成させていたのだった。名前は数字と植物で統一されていて一華、二葉、三樹と名づけたのだった。これにより家の防御は更に強化されたのだった。

「いいか!俺の留守の間絶対に一人で外に出たらダメだ!敷地内なら結界が守ってくれるが買い出し等は絶対イチカ達と行動してくれ!」

「はい!わかりました。」

「あの・・・旦那様たちは今回どのくらい留守にするのですか?」

「それはわからないがそんな時間はかからないと思うよ。」

「何でそんなことがわかるのですか?」

「ああ!今回はガーライ町の闇ギルドの壊滅だ。それに伴いゴードンと闇ギルドの殺人契約の証拠集めだ!」

「そんな大変な事がすぐにすむわけ・・・」

「大丈夫だよ!あいつ等はもう俺にマークされているから闇ギルドの場所も時期に解る。後は突入するだけだよ!」

 それを聞いた、ギル達みんな信じられないと思い絶句していたのだった。闇ギルドは町のどこにあるのか闇に堕ちた人間しか把握できていないのが実状で国の兵士たちもまた把握しておらず難儀しているのだった。それをケンジはあっけなくそれも他の町の闇ギルドを簡単に見つけてしまえるのだった。

「だから普通はガーライまで3日以上かかるけどハヤテの足なら1日かからないだろうし、向こうに着いたら速攻で片づける事になるだろうし安心してくれ!」




 ケンジはそう言ってニッコリ笑うのだがセバスたちは恐怖を感じ、自分達の主を絶対に怒らせてはいけないと改めて思うのだった。


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