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第6章 ケンジの新しい生産力!

34話 束の間の平穏③

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 セバスが客室のドアをノックしユリアをつれてきた。ユリアはゴードンの顔を見た時その目が怪しく光った様に感じて寒気がする目つきであった。

「ユリア!お前を手に入れる為本当に探したんだぞ。」

「そ、そんな事を言われても困ります!」

「儂の物となれ!儂と一緒に来れば贅沢な暮らしを保証しよう。」

「わたしはご主人様・・・ケンジ様から離れたくはありません!」

「なっ!なぜだ!儂は男爵を継ぐ長男だ!いずれおやじの跡を継ぎ男爵になる男だぞ!言っちゃ悪いがここで暮らすより贅沢な暮らしが保証されていると言っても過言ではない。」

「わたしはそんな生活に興味ありません!」

「いいか!ユリアよく考えるんだ。もうここで強制にお店で働くこともしなくてもいいんだぞ。」

「ゴードン様。勘違いなさらないでください。わたしは強制でなく自らケンジ様の為役に立ちたいのでございます。それにわたしはここでの暮らしを気に入っています。幸せなのでございます。だからわたしのことはもうあきらめてください!」

「ゴードン様ユリアはここでの暮らしは幸せだと自分から言った。俺もユリアは譲れないと申し上げました。なのでこのままお帰りになって・・・」

「み・・・」
「認めん・・・・」

「え?なんですか?」

 ゴードンは下を向いたまま小さな声を震わせながらつぶやく様に言うのだった。そして!

「そんな事絶対認め~~~ん!お前は儂の物だ!いいか絶対にお前を手にいれてやる!」

「ゴードン様落ち着いていただけませんか?ユリアは奴隷です。こうゆういい方は俺はしたくないのですがユリアは俺の財産です!これは誰にも曲げれない事実なのですよ。」

「わかっておるわ~~~~!」

「これはゴードン様でもどうしようもない事実で諦めるしかないんですよ。」 

「いいや違うな!お前が儂の言う事を聞けばいいだけの話なんだ!儂は貴族でお前は平民だ!言う事を聞くのが当たり前なのだ。」

 ゴードンは何を思ったかまたユリアの手を引っ張ろうとしたのだった。そしてユリアに危害を加えようとした時バシュっという音が響くとゴードンの姿が消えてしまうのだった。

「あ~あ・・・俺の家族に危害を出そうとするからだ・・・あんたたちはどうする?このまま帰ってくれると助かるんだが。」

「我が主が申し訳ない・・・失礼します!ですがこのままではすみませぬぞ。」

「ああ!この状況で俺に脅しをかけてくるあんたの頭の中を見てみたいよ。」

「その余裕がいつまで続くことになるか楽しみにしていますぞ。」

 そういってゴードンの御付きの人間はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべ席を立ちケンジの屋敷から出ていくのだった。そしてケンジの家の敷地の外ではまたゴードンが叫び続けていたのだった。

「ご主人様・・・どういたすのですか?」

「なんだよセバス。そんな不安にならなくても大丈夫だよ。ほら。ミナレスもユリアもそんな暗い顔しなくても大丈夫だよ。」

「ですが、あの様子じゃ・・・」

「いいか!こっちから絶対に何もするんじゃないぞ。多分2.3日中になにかあいつ等から何かしらのアクションをしてくるはずだ。そうしたらそれをネタに追い詰めたら何も問題は無いことなんだからな。」

「そんなうまくいくのですか?」

「うまく行くも行かないも気にすることは無いよ。今まで通り生活をしてたらいいんだよ。あんな奴相手にするだけ損だぞ。」


 セバスたちの心配も他所にケンジは呑気に笑っていたのだった。そしてそれから三日後ケンジの家に異変が起こるのだった。

「むぐぐぐ!なんだこの結界は!忌々しい!」

「主様!大丈夫でしたか?」

「お主たち・・・大丈夫だったのか?」

「はい・・・わたし達より主様は大丈夫でしたか?」

 周りを見てみるとケンジの店のお客さんが困惑した顔や笑っている顔が見えたのだった。

「ねえ・・・・あの人昨日の・・・」
「また、何かしたのかしら?」
「昨日ここの奴隷に乱暴したらしいぞ。」
「じゃあ今日も?」
「だれか衛兵に連絡をしたほうが良いんじゃないのか?」

 その声を聞きゴードンはそそくさとその場からいなくなってしまったのだった。そしてその日の夜は高級宿に泊まり次の日の朝早く自分の町に帰っていくのだった。
 ゴードン達はケンジの屋敷の見取り図を作成し町の闇ギルドにそれを持ち込み依頼を出すのだった。ケンジは闇に葬りそしてハイエルフのユリアという人物をゴードンの屋敷に連れてくるようにと。

 ゴードンはケンジがどのような人物か知らなかったのである。テンペの町の闇ギルドはケンジと言う人物には手を出してはいけないと思っている程要注意人物なのだが、ケンジは他の町に商品を売ることはしていないしインゴットも納品していない為情報が他の町にまで出回っていないのである。他の町で知られているのはブリュンガスの町の生産ギルドぐらいなのだ。

 ゴードンはケンジをただの生意気な平民と侮りケンジを暗殺し、ユリアの隷属を外し自分の物にしようとしていたのだった。

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