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第6章 ケンジの新しい生産力!

32話 束の間の平穏①

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 ギルドマスターの件があった日から数日が過ぎ、ケンジ達は平穏な日が続いていた。そんなある日お店で厄介な客が現れるのだった。

「ユリア!やっと見つけた!こんなところにいたのか!」

 それは貴族らしい風貌で脂ぎった顔をして、贅沢をしまくっているのがわかる貴族のご子息のようだった。

「あ、あなたは・・・」

「お前が前の主人といなくなりずっと探していたんだ!お前の主人になってやるから一緒に来い!」

「いやあああ!やめてください!」

 その瞬間その貴族はバシッと音を立てて店の外にはじき出されてしまうのだった。ドシャっと音を立てて倒れ込む貴族は一緒にいた部下らしき人間に起こされ介抱されていたのだった。
 
「な!なんだあ!この無礼者が!」

 そこにはイチカとフタバが立ってユリアを守っていたのだった。だが貴族を吹き飛ばしたのはイチカとフタバではなく、ケンジが独自にかけた奴隷たちの部屋にある防犯システムが働き、ケンジの家族に何かあった時ケンジの土地からはじき出されるようになっているのである。
 
 また、お店の防犯システムは万引きや転売、お店で暴れる人のみで店員に何かあった時には働かないのでケンジが万が一の為にかけたのもだったのである。

「あなたこそなんなんですか?いきなりユリアを連れて行こうとして!」

「うるさい!ユリアを最初に見つけたのは俺だ!だから俺がユリアの主人になる権利があるのだ!」

 その貴族は怒鳴りながら店の中に入ろうとしたのだった。ケンジの店に入ろうとした瞬間何か見えない壁にぶち当たり入ることが出来なかったのである。






 その間にユエティーはケンジを呼びに屋敷の方へ急いだのだった。





「ご主人様!大変です!ユリアが・・・」

「ユリアがどうしたんだ?」

「いきなりお店に来た貴族に連れ去られかけました。」

「なっ!」
 ケンジはそれを聞いて急いで店舗の方に向かうのだった。すると店舗では物凄い罵倒が聞こえてきたのだった。

「なんだ!この見えない壁は!店の中に入れないではないか!」

「あんたがよからぬことを考えているから入れないんだよ。」

「「「ご主人様!」」」
 ユリア達がケンジが来てくれたことで安心して声を上げるのだった。

「貴様がここの主か!早くこの結界を解くのだ!」

「で、お前はいきなりユリアに何の用で連れて行こうとする?」

「ユリアは俺が先に目をつけていたんだ!お前がユリアの新しい主か?」

「ああ、そうだ!先に目を付けていたとはどうゆう事だ?」

 その貴族の説明によるとユリアの前の主人Aランク冒険者のミドンから高額でユリアを買うつもりだったらしい。だが、その前にケンジに絡んで冒険者を廃業行方不明になってユリアをずっと探していたのだった。
 
 ユリアはエルフ族でも希少なハイエルフであり貴族が側に置くことで箔をつける為ステータスなんだそうだ。特に奴隷でも敗戦国の貴族が没落し貴族を奴隷に持つことは箔が出て自慢になるそうだ。そしてそれよりハイエルフやエルダードワーフ等希少種を側に置く事が自慢になるようだった。

 それに加えユリアはエルフの中でも美貌に関しては10人が10人すれちがうと2度見するほど美しいのである。そしてケンジに拾われてからは衣食住がしっかり与えられ毎日のようにお風呂にも入ることでさらに美貌に磨きがかかり信じれない位に美しくなっていたのだった。

「お前、平民だな。俺の父はガーライの町で男爵をしているんだ。ユリアを貰ってやるから譲れ!」

「いきなり何を言うかと思ったら寝言は寝ているときに言うもんだぞ。俺はユリアを誰にも譲る気はない!帰っていただこうか!」

「き、貴様!この俺様、このゴードンが下手に出てお願いしているんだぞ!」

「どこが下手なんだよ!頭大丈夫か?」

「おい!そんなこと言って後悔するなよ!平民無勢が貴族に逆らってどうなるかわかっているのか!」

「そんなの知る訳ないだろうが!言っておくが俺の家族に手を出してみろ!俺は貴族だろうが権力者だろうが関係なく俺はお前をつぶすからな!」

「ご主人様。」

「ユリア、大丈夫安心しろ!こんなやつのところには絶対行かせないから!とゆうかお前はどこにも譲る気はないから安心しろ!」

 ユリアはケンジの言葉に安心し顔を赤らめるのだった。

 ケンジの言葉にゴードンは顔を真っ赤にして店には入ることが出来ずに店先でドタバタ暴れるしかなかったのである。そうしているうちに誰か町の人が衛兵に通報したのか衛兵がケンジの店にきてケンジに事情を聞いて、ゴードンをひっ捕らえて連行していくのだった。

「貴様!何をする!手を離せ!俺がだれか知らないのか!」

「お前など知らん!迷惑を掛けるな!」

 ゴードンは衛兵の手を振りほどき抵抗しながら部下の者たちと一緒に連行されていったのであった。




 そしてあたりはようやく静かになるのだった。


「ご、ご主人様・・・迷惑を掛けて申し訳ありません・・・」

「何でユリアが謝るんだよ。どう考えてもあの貴族が悪いよ。気にするな。」

 すると店内にいたお客から心配の声が沢山あがるのだった。

「ケンジさん大丈夫かい?」
「あいつなんかしつこそうだが・・・」
「これから大変な事になるんじゃ・・・」

 ケンジは常連のお客さんから色んな声を掛けられ心配してもらうのだった。

「ありがとうございます。あんなどこの貴族とも知れない奴なんか俺には何もできませんよ。」

「でも、あいつ男爵の息子だとか・・・」

「前も男爵に絡まれたことがあったけど今度は同じ位の貴族の息子だし大丈夫ですよ。」

 そういってケンジはユリア達に気にしなくていいから持ち場に戻ってくれと指示を出し、お客様に心配かけた事を謝罪しケンジは奥に戻っていくのだった。

 そして裁縫工房に戻ったケンジはツバキに指示を出すのだった。

「ツバキ、申し訳ないが多分数日のうちに不審者が屋敷のどこかから侵入してくるかもしれないから注意しておいてくれ。」

「どうゆう事ですか?」

 ケンジは先ほどお店であったことをツバキに説明した。その説明を聞きツバキは賊が侵入してくるであろう場所に見えないくらい細い粘着糸を張ったのだった。この糸は目を凝らしたらかろうじて見えるもので、暗い屋根裏とか茂みではまず見えないだろうと思うほどトラップには最適であった。

 その日の夜、ケンジはみんなに店であったことを説明し、用心の為ユリアは本宅である屋敷の方に寝泊まりさせることを提案したのだった。

「えーっと・・・ユリアどうした?」

「あのご主人様・・・毎日わたしが夜の奉仕をするのですか?ちょっと体力的自信がありません・・・」

「ば、馬鹿!何を言っているんだ。説明聞いていたか?昼間来た貴族があれで諦めるとは思わないから用心のためだと言っただろ!」

「それはわかっていますが本宅で寝泊まりするとなったら・・・当然夜の方も奉仕しなくてはいけないのですから、わたし一人でご主人様の相手は死んでしまいます。」

 するとマードックがいらぬ事を言って女性たちから集中砲火をうけるのだった。

「ユリア!お前はハイエルフだろ!死ぬって何だよw」

「マードック!あんたはまたすぐに人を茶化して!」
 姉のオリヴィアから後頭部を叩かれるのだった。そして、システィナ、プリムの順で次々に怒鳴られていったのだった。

「みんな、そんな怒るなよ!ちょっとした冗談だろ・・・」

「あんたはいつも調子乗り過ぎなのよ!」

 男性たちもマードックを庇う事をしなかったのだった。

「ギル・・・助けてくれ・・・ギルならわかってくれるだろ。」

「ああ・・・・お前の空気の読めなさは充分理解したから俺に振るな!」

「見なさい!あんたは少し反省しないといけないのよ!」
 オリヴィアを筆頭に女性たちに言い負かされて憔悴しきるマードックだった。

(マードック・・・許せ・・・これは俺も助けることが出来ないよ・・・)

 ケンジもまたマードックを見守る事しか出来なかったのだった。




 ケンジはマードックを放って置いてユリアに話をしたのだった。

「あのな・・・ユリア。屋敷の方に寝泊まりする理由はお前を守る為なんだ。だから夜の奉仕を絶対するとか考えなくていいからお前はこっちで気にせず寝たらいいよ。」

「そんな!守ってくれるのは理解していますがご主人様と同じ屋根の下にいるのに夜の奉仕をしないなんてあり得ないですよ!」

「い、いや・・・だから今回はしなくていいと言っているだろ。何でそこだけ頑ななんだよ・・・」

 すると、女性たちの中でケンジの相手をした者たちがユリアと同じ部屋で寝泊まりをして交代でケンジの夜の奉仕をすると言い出すのだった。

「いやいやいや・・・なんでそうなるんだよ!俺は気にしなくていいと言ったんだよ。だったら気が向いた時だけ寝室に来たらいいじゃん・・・そんな毎日こなくても。」

「いえ、ここはユリアに私達が協力し旦那様の相手を3人で交代すれば大丈夫です!」

 リンダがそう言って総勢9人が立ち上がるのだった。






「ケンちゃん・・・もう諦めたほうが良いよ。女奴隷は夜の奉仕に命を懸けているみたいだしね。」

 マイはそう言ってケンジの背中をポンポンとたたくのだった。



*-----*-----*-----*-----*

 ケンジ達はまた厄介な貴族に絡まれる話がスタートです。
今回は他の町で父親が男爵に就いている息子ですがこの我儘に育った
息子がどのような手段に出るか楽しみでもあります。

 そしてギルドの方もまた最悪のシナリオになるのか?それとも・・・




 いつも小説を読んでいただきありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします<m(__)m>
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