異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
208 / 621
第6章 ケンジの新しい生産力!

31話 慰謝料③

しおりを挟む


 ギルドマスターは1人足取り重くケンジの家の前にやってきたのだった。

「誰かおらぬか?生産ギルドのギルドマスターが来たとケンジ殿に伝えてもらいたい。」

 お店に出ていたユエティーが対応に出てウランがケンジを呼びにいくのだった。ユエティーはリンダ達にお店を任せギルマスを屋敷の方に案内するのだった。

「あの・・・ギルドマスターお一人だけですか?」

「一人だったら何が悪いんだ?」

 ギルマスは痛いところを突かれてこめかみがピクピク動いたのだった。

「いえ・・・悪いとかじゃなくギルドのトップが一人で来るなんて珍しいと思いまして他意はございません・・・」

 ギルマスは何も答えずにブスッとしてユエティーの後をついていくのだった。

「どうぞこちらの部屋でお待ちください。それでは失礼いたします。」

 ユエティーは丁寧にお辞儀をして部屋を出ていくのだった。そしてしばらくしてその部屋にケンジとマイそしてセバスがお茶を持って入ってきた。

「おまたせしましてすいません。それにしても早かったですね。」

 ギルマスはケンジの態度が白々しく思えて胸の内は腸が煮えくりかえるおもいであったが、この状況をとりあえず治めなくてはならないと思いグッと飲み込みケンジに頭を下げたのである。

「このたびはわたしがいらぬこと言った・・・反省してます。どうか町を去らないでほしい。頼みます!」

「ギルドマスター顔を上げてください!」

 ケンジの言葉にギルマスは許してくれると思い引きつった笑顔で顔をあげるのだった。

「許すか許さないかはギルドマスターがどれだけの慰謝料を提示するかによって決まります。で、どのような提示をしてくれるのですか?」

 ギルマスはマジックバックの中から5000万ドゴンを出した。この金額はギルドから出る慰謝料としては破格の値段だった。規約には100万ドゴンとあるのに5000万で50倍の値段だった。

「ここに5000万ある。これが俺には精一杯なのだ・・・今回の事はこれで許してほしい・・・頼む・・・」

「ギルドマスター俺は先ほど来た部下達に慰謝料として向こう5年間俺が受けるすべての依頼を50%増しと提示したんですよ。オリハルコンインゴット3個分にも足りないお金で俺が本当に納得すると思っているのですか?」

「頼む!これが精一杯なのだ!」
 ギルマスは頭を下げっぱなしでこっちをみようともしない。

「俺はこんな提示されるなら絶対許さないしこれからあんた達テンペの町のギルドと今まで通りの付き合いはしないよ。」

「そんなこと言われても・・・ギルドの売り上げも出していかないといけないんだ・・・そんな50%増しだとギルドの取り分が・・・」

「今まで、ギルドのやり方がどんぶり勘定だっただけだろ!生産者や冒険者が依頼失敗したら容赦なく取り立ててたんだろ?自分達だけいつも安全にしてただけじゃねぇか。」

「それはギルドの決まり事で・・・」

「それにあんたは今謝罪に来ているんだよな?なんで言い訳ばかりしてんだよ。俺はさっき言った通りの提示した以上じゃないと町を去ると言ったんだぞ。ホントにいいのか?」

「そ、それは待ってくれ!」

「待ってくれ?アンタはさっきからホント自分の立場をわかっていないみたいだな!」

「い、いえ・・・待ってください・・・お願いします・・・本当にこれ以上は出せないのです・・・」

「なんでだよ!良いかよく考えろよ。俺は全ての依頼の50%増しだと言ったんだぞ。依頼をこなしたうえでの報酬だ。インゴット1個100万で納品したらあんた達はその倍の値段で他に転売するんだろ?」

「そ・・・・それは・・・・」

「だったら今までは100万の利益が出てたものが50万に減るだけだろ?」

「それはそうだが!ギルドは色んな出費があるからその利益で運用しているんだ。それでもギリギリなんだ!」

「だったらあんたたちの給料を経費削減とか色々工夫しろよ!」

「そんな事したら退職する職員も出てきて・・・」

「そんなのは俺に関係ないよ。それが無理ならなんか他の所で頑張れば良いだけだろ!とにかく俺はアンタの事情はしらん!謝罪するならちゃんとあんたたちが苦労してやったらいいだけだ。」

「それは本当に無理だ・・・許してくれ・・・頼む!」

「あんた本当にいつも上から言ってくるが本当に謝罪する気があるのか?」

 ギルマスは自分の子供より若い見た目の人間に言われ歯を食いしばるのだった。

「ケ・・・・ケンジ様この通りで・・・す・・・ゆるしてください・・・」

 ギルマスはソファーから立ち上がりその場で土下座するのであった。

「あのな。そんな形だけの謝罪はもういいよ。土下座してももう無理なところに来ているのがわからないか?慰謝料としての形を提示してくれ!俺は絶対折れるつもりはないからな!」

「き、貴様ぁ~~~!調子にのりおってからに!ワシが土下座までしているんだぞ!」

「だから何?アンタの土下座なんて何の価値もないよ。それともなにか?あんたが土下座したら金でも降ってくると言うのか?」

「むぐぐぐ!このワシが頭を下げているんだ!充分価値があるに決まっているだろうが!」

「何言ってやがる!じゃあなぜ今日はお前一人でここに来たんだ?」

「そ、それは・・・」

「当ててやろうか!お前は職員に見放されたんだろ。誰もついてきてくれなくて仕方なくここに一人で来たんだ!」

「ぐっ・・・」

「そんな張りぼてのギルドのトップの土下座なんて価値がある訳ねぇだろうが!何が充分価値があるだ。馬鹿も休み休み言え!」

「なぜ・・・それを・・・」

「そんなもんちょっと考えたらわかるんだよ。いいか?そんな土下座しても無理なもんは無理なんだ。あんたの部下たちはアンタを見限ったんだ!違うか?」




「!」


 ギルマスは何かひらめき確かにと頷くのだった。

「じゃあ・・・・・わかった!慰謝料としてケンジ殿に向こう5年間ケンジ殿が受けた依頼のすべてを60%増しで支払う事を慰謝料として払おう!」
「それで、ケンジ殿は今まで通りギルドと付き合い町から去らずにしてくれるか?」

「ああ!それでなら俺も納得しよう!」

 ギルマスとケンジは契約書を結びギルマスはやっと肩の荷が下りたようでホッとした表情になったのだった。そしてギルマスは何とかなったと思いギルドに帰っていったのだった。





 ギルマスが帰って行ったあとセバスとマイはケンジに何故ギルマスはあんなに渋っていたのにいきなり60%増しにしたのか聞いてくるのだった。

「あのご主人様・・・あれってどういうことなのですか?」

「慰謝料がすんなり決まった事か?」

「うんうん・・・なんであんなに渋っていたのに・・・」

「これからギルド職員は大変だと思うぞ。」

「「え?まさか・・・」」

「ああ。そのまさかだよ。これからギルドはブラック企業そのものになるって事だ。」

「でも、なんで?」

「ギルマスはギルドのトップだよな。それなのに労働組合のない世界で職員はギルマスを敵に回したのは無謀としか言いようがないよ。たぶん、離職者続出することになりあのギルマスも終わりだろうな。」

「何故ギルマスが終わりなのです?職員ではないのですか?」

「最初はそうだろうけど人材が無くなるんだぞ。それでどうやって経営ができるんだよ。その結果責任を取らされるのはギルマス本人だよ。」

「な、なるほど・・・」

 ギルドの悪い所というか権力者の悪い所が出てしまったのだとケンジは二人に説明したのだった。

「そんな事がまかり通る訳ないのに自分だけ助かろうと走るからだよな・・・」

「どうゆうこと?」

「あのギルマスの事だ!職員は自分を裏切ったからこんな目に合うのは当たり前だと言って職員の給料をギリギリまで減給するはずだよ。」

「でも、そんなことしたら・・・」

「ああ、みんなで抗議するだろうけどギルマスを裏切ったのは職員が先だろ?ギルマスは俺を裏切ったからそんな目に合うんだと言うだろうね。」

「「あっ・・・」」

「それでも文句言うやつのはお決まりのセリフだ。嫌ならやめろお前の代わりなんていくらでも募集すればいるんだってね。」

「「最悪ですね・・・」」

「まあ、俺の知った事ではないけどね。もしギルドが無くなったらお店で儲ければいいだけだしな。」

「でもギルドがつぶれたら町の結界は誰が・・・」

「そんなのはそうなった時に考えるよ。俺が考える事じゃないしな。そうなる前にギルドの中央本部のお偉いさんが考えるだろ?」

「まあ、確かにあたし達が考える事じゃないか・・・」

 マイとセバスは乾いた笑いをするのだった。






 そして言うまでもなくギルマスはギルドに笑いながら帰り部屋の中に入っていくのだった。そのギルマスの表情を見た職員達はケンジとの交渉がうまくいったと思い、これから自分達はどうなるのか不安に思うのだった。
 ギルマスはギルドからケンジの家に行くときお前達は全員クビだ!と叫んで出て行ったのを思い出していたのだった。




 そしてギルマスは職員達の辞令をだす掲示板にこれからの方針と給料を大幅カットすると貼り出したのだった。





 そして、ケンジの言った通りの事が現実に起こり始めギルドがドンドン最悪のシナリオに向けて歯車が回り始めるのだった。


しおりを挟む
感想 223

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

僕の★★★★★★六つ星スキルは伝説級? 外れスキルだと追放されたので、もふもふ白虎と辺境スローライフ目指します

いぬがみとうま🐾書籍発売中
ファンタジー
■あらすじ 主人公ライカは、この国始まって以来、史上初の六つ星ユニークスキル『ダウジング』を授かる。しかし、使い方がわからずに、西の地を治める大貴族のホワイトス公爵家を追放されてしまう。 森で魔獣に襲われている猫を助けた主人公。実は、この猫はこの地を守護する伝説の四聖獣『白虎』であった。 この白虎にダウジングの使い方を教わり、自由気ままなスローライフを求めてる。しかし、待ち構えていたのは、度重なり降りかかる災難。それは、ライカがダウジングで無双していく日々の始まりであった。

処理中です...