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第6章 ケンジの新しい生産力!

26話 新たな仲間⑤

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 ケンジ達は3週間超級ダンジョンにぎりぎりまで篭り十分に採掘をして地上に向かっていたのだった。ここでもツバキとハヤテが大活躍をしてケンジ達は何もすることが無かったのであった。






 一方地上では王国の兵士たちが慌ただしい雰囲気で出入口は賑わっていたのであった。

「隊長!どうしたらよろしいのですか?」

「そんなこと言われてもこんなことは今まで・・・」

「噂によるとSランク以上の魔物らしいですよ。」

「そんなのが本当に地上に出てしまったら・・・団長はどうした?」

「団長はいまこのダンジョンに向かって急いで帰ってきているそうです!」

「むむむむ・・・・いったいどうしたら・・・」

 そうなのである、ここ超級ダンジョンを守る兵士たちはパニックを起こしていたのである。王国から魔道具を設置し地上に近くの階層に魔物ランクが高い魔物が出現した場合地上に報せがくるようにしていたのである。
 その結果、事前にあふれ出す魔物がわかる様にしてあってその知らせがわかった瞬間!守衛の兵士たちは簡易村を離れていた団長にダンジョンからいまだかつてない魔物が地上に向かってきていると連絡を入れたのだった。

「まさか、団長が簡易村を離れているときに・・・」

「隊長!ダンジョンに潜っているケンジ殿は出てきてくれないのですか?」

「そんなのわかるわけないだろ!我々で何とかするしか・・・」

「だけど、警報からするとSランクの魔物なんじゃ・・・スワンプドラゴンとは別物なんですよね・・・」

「だが、逃げるわけにはいかん!ここを突破されたらテンペの町は壊滅してしまうんだぞ!」

「わかってます・・・・」

 その時、簡易村に団長率いる2部隊が戻ってきたのである。

「隊長!どうなっているんだ?まだ魔物は出てきていないのか?」

 隊長は現状報告を団長に報告し、簡易村に残っていた兵士たちは団長が帰ってきてくれたことに歓声をあげたのだった。

「団長ぉ~~~~!本当に良かった・・・」

「そんな事はどうでもいい!どうなんだ?」

「す・・・しません!たぶん今は3階層ぐらいに留まっているかと・・・偵察隊を送り込みますか?」

「いや・・・それは死人を増やすだけになるからやめておこう・・・地上で待ち伏せる事にして今ある全兵力をぶつける事にしよう!」

 それを聞いた偵察部隊の面々はホッと安堵するのだった。偵察は送ったもののSランクの魔物では生きて帰れない事になれば情報は得ることができないので無駄な犠牲を増やさないようにするのは当然の判断であった。

「でも、団長が間に合ってくれて士気が上がって良かったと思いますよ。」

「だが・・・Sランク以上の魔物にどれだけ我々で抵抗できるのか・・・そういえばケンジ殿はダンジョンに潜っていたのだったよな?」

「そのはずですが・・・ケンジ殿が潜っているのにもかかわらずSランクの魔物が地上に向かっていると言う事はひょっとして・・・」

「ケンジ殿がやられているかもと申すのか?」

「その可能性があってもおかしくないかと・・・・」

 団長はケンジがやられてしまう様な魔物に我々が勝てるわけがないと思うが口には出せなかった。







 一方そんな事になっているとは思いもしないケンジ達でもうすぐ地上にでられると嬉しい気持ちでいっぱいであった。そうなのである地上の兵士達が騒いでいるSランクの魔物とはツバキとハヤテなのである。
 当然だがテイマーとは戦闘として役に立たないと思われている職業の一つであり、魔物をテイムできるのはゴブリン位で普段は野生の馬などをテイムして兵馬を揃えるぐらいの者と認識されていたのだった。
 なので、兵士たちはまさかケンジがSランクの魔物をテイムしたとは思いもしなかったのである。それゆえのこの厳重な戦闘態勢だったのである。

 兵士もスタンビートは経験はあるが町を襲う様なスタンピードは弱い魔物がつまり、ゴブリンやオーク強くてもオーガの大量発生でのスタンビートなのである。そして、もう一つを意味するスタンビートとは今回のようなことであり、Sランク以上の魔物単体での魔物がダンジョンから出てくる事で災害級と言われるものである。

 Sランク単体でも国を挙げて討伐しても討伐できるかわからない位どうしようもない事なのだが今回はSランクの魔物が2体同時にダンジョンを出ようとしているらしいのである。

 ケンジがダンジョンから出ようとしているとダンジョンの入り口付近が何やら騒がしいのである。

「ギル?ダンジョンの外が何やら不穏な雰囲気なんだが・・・」

「たしかに・・・なにかあったのでしょうか?」

「悪いがちょっと様子を見てきてくれないか?」

 ケンジは世界地図でダンジョンの外をサーチするとダンジョンの出口付近に人が溢れかえっているのである。ケンジのサーチではレーダーのように印がついているだけで監視カメラのように映像で見れるわけではないのでギルに外の様子を見てもらう事にしたのだった。

 ギルは姿を消しダンジョンの外に出て様子を伺うと兵士たちが入り口に向かって戦闘態勢を取っているのを見てびっくりするのだった。それを見たギルはびっくりしてケンジにその事を伝えるのだった。

「主、大変です!守衛の兵士たちがダンジョンに向かって戦闘態勢を!」

「えええ?!いったいどういう事?」

 マイたちがギルの報告に驚き大きな声を出した。その報告を聞きケンジは全てを悟り頭を抱えるのだった。

「あっちゃああ~~~!なるほど・・・そういうことか・・・」

「主、何かわかったのですか?」

「ああ・・・原因はツバキとハヤテだよ・・・」

「どうして?」「ひひ~~~~ん!」

 ツバキとハヤテは困惑して声を上げるのだった。

「わるいなあ・・・お前達の存在は地上の人間にとって脅威の存在なんだよ。」

「ってことは・・・ここでお別れなのですか・・・」

「ひひ~~~ん!ぶるるる・・・・」

 ツバキとハヤテはケンジと別れるのを拒否するのだった。

「ご主人様と別れるぐらいなら出口で待ち構えている奴らを!」
「ぶるるるる!」

「まてまてまて!お前等はすぐに暴力で解決する考え方はやめろ!それに俺はお前達と別れるつもりはないから安心しろ!」

「主!じゃあどうすんだよ?向こうはツバキ達を迎え撃ちする気満々だぞ!」

「だから説明するんだよ!マイ、俺と一緒に来てくれ!ギル達はツバキとハヤテとここで待機だ。いいな!」

「「「「「そんな・・・」」」」」

「いいから・・・ここは主である俺に任せるんだ!」

 ケンジとマイはギル達を残しダンジョンの外へと出ていくのだった。




「団長!ついに出て来そうです。」

 ダンジョンの外に設置してある魔道具が警報を鳴らしていたのだった。

「者ども!気を抜くんじゃないぞ!」

「「「「「おおおお~~~~~~!」」」」」

 兵士たちは団長の掛け声に士気をあげ大声を上げるのだった。するとダンジョンから二つの人影が出てきた。兵士たちはSランクの魔物と聞いていたのにまるで小さな人影で子供のような姿に拍子抜けをしたようすだった。

「「ちょっと待ってください!」」

「ん?あれはケンジ殿とマイマール殿じゃないか?」
「ええ、そうです・・・」

 団長は大きな声で叫ぶのだった。

「ケンジ殿ぉ~~~~!そこは危ない!早く離れるのだ!」

「いえ!大丈夫です!警戒を解いて下さい。今説明をしますから!」

 兵士たちはケンジが何を言っているのか解らなかったのだ。これからSランクの魔物がダンジョンから出てくるのに大丈夫というのである。
 団長はケンジを信頼しているため自らケンジの側に近づきいったいどういうことなのか報告を受けるのだった。






「はぁ~~~?ケンジ殿どういう事だ?」

「まずは皆さんの戦闘態勢を解いていただけますか?」

「本当に大丈夫なのか?」

「ええ。大丈夫です。その辺は安心してください。」

 団長はみんなに号令をかけ戦闘態勢を解く様に指示を出したのだった。それを見てマイは安心をしここに残り、ケンジはダンジョンの中に戻っていくのだった。

「お・・・おい・・・ケンジ殿が又ダンジョンに戻ったぞ・・・」
「Sランクが出てくるんだよな?」
「危険じゃないのか?」

 兵士たちは遠巻きにザワザワし始めるのだった。マイはその場で団長と話しているみたいだし団長の顔をみると緊張が解けているみたいだしなにがなにやらわからない兵士でいっぱいであった。






 するとそこにダンジョンから漆黒の牙の生えた馬と人間の上半身を持った蜘蛛の魔物が出てきたのだった。

「うわあああああ~~~!」
「あれはバトルウォーじゃないのか?!」
「あっちの魔物はアラクネだあああ~~~!」
「もう終わりだああ!」

 兵士たちはパニックをおこし気絶する者もいたほどである。団長も大丈夫と聞いていたが眼前にその魔物たちが現れた思考がショートしたようだった。ケンジはパニックを起こした兵士たちを見てやっぱそうなるよねと呟き範囲魔法の【リフレッシュ】を唱えて気分をリセットさせるのだった。

「団長!戻ってきてください!」

「はっ・・・俺はいったい・・・」

「良かった気づかれましたか?」

 今度はリフレッシュが効いていたのでツバキをハヤテを見てもなんとか団長は耐えることが出来て話をすることが出来るのだった。

「本当に大丈夫なのか?」

「ええ。大丈夫ですよ。なあツバキ?」

「わたしはご主人様の役に立つので迷惑かけないです。ハヤテもそういってますよ。」

「ぶるるるる!」ハヤテは首を激しく上下に振るのだった。

「なあ!ケンジ殿このハヤテという馬・・・儂が撫でてても大丈夫だろうか?」

「ハヤテ。団長さんがお前を撫でたいと言っているが大丈夫か?」

「ぶるるる」と一鳴きして首を縦に振ったのだった。それを見たケンジは団長にどうぞとあいずを送るのだった。

 団長は恐る恐るハヤテの首筋に手を置き優しく兵馬のように撫でるのだった。ハヤテの表情を見た団長は笑顔になり危険はないと安心しハヤテに撫でさせてくれてありがとうと言ったのだった。

「おい・・・団長バトルウォーを撫でたぞ・・・」
「危険はないのか?」
「でも、団長の表情はやわらかいぞ・・・」

 すると団長は危険はないとばかりに部下たちに報告し緊張を解く様によ指示を出し兵士たちはみんな笑顔となったのだった。
 ケンジは団長にテイマーのスキルも上げてテイムした事を詳しく説明し今回迷惑を掛けた事を謝罪し、又団長は王国にこの事を一刻も早く報告しなければいけないみたいで早馬を王国に飛ばしたのだった。

 これは団長が簡易村に戻る前に部下数名を王国に連絡した事により王国は兵士団をこちらに送る手はずになっていたからである。だが、ケンジのテイムモンスターだと誤解があったとして訂正報告が必要であったからである。

「ケンジ殿お主は本当に我々の予想もしない事をやってくれる・・・」

「本当にすいません・・・・・ですがツバキ達が仲間になってくれたおかげで団長さんも恩恵が受けれると思いますよ。」

「ん?どういう事だ?」

「わからないですか?これから俺達は超級ダンジョン攻略ができるってことですよ。」

「なっ!」

 団長はケンジの言葉に言葉を失ってしまうのだった。

「まあ、すぐには無理ですがこっちも色々準備がありますからね。だけどSランクの魔物が仲間になってくれたんです。これほど頼りになる戦力はいませんよ。」

 ケンジは団長の顔を見て笑顔で言い切ったのだった。確かに団長はケンジの言う事はもっともだと思うのだった。もしケンジ殿が超級ダンジョンを攻略してくれれば世界で起こっている魔物が強くなっている現象が少しは収まるかもしれないと思うのだった。

 団長はケンジに超級ダンジョンが少しでも早く攻略できるなら、それに期待を込めてケンジにお願いをするのだった。




 そしてケンジ達は団長にすぐには無理だと言いいつかは攻略することを約束して町に帰っていくのだった。



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