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第6章 ケンジの新しい生産力!

8話 新たな交渉相手②

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 ケンジ達が帰った後その部屋の中では、ギルド職員は落ち込んでいた。アンナもまたケンジがこんな便利で清潔な便器を開発するとは思ってもいなかったので過去のギルドの行動を後悔したのだった。

「アンナ・・・過去ブリュンガスの町でギルドはケンジ殿に何をやったのだ?」

 ブリュンガスのギルドマスターはアンナに事情を聴くのだった。アンナはその時のことをギルドマスタに事細かく説明をした。
 この事にはテンペの町のギルド職員もびっくりしていたのだった。いくらFランクの仕事がいっぱいになり誰もやらなくて収拾がつかなかったとはいえ、当時のギルドマスターはケンジだけにそれを押し付けようとし、もしそれを受け入れなければ他の依頼も受けさせないとケンジに命令したことによりケンジはブリュンガスの町を去ったと説明したのだった。

 もしそのことが本当ならあってはならない事で、本来ギルドの依頼は誰でもランク内で好きなものが選べるもので強制してはいけないのである。ギルドが口を出すときはランクが低いのに報酬が高いランクの良い依頼を受けようとした時依頼達成が難しいときに限りアドバイスをする程度なのである。
 それでも受けるかどうかは本人の自由で失敗した時は違約金を払う事になるだけなのである。

「ケンジ殿はだからあんなにギルドの事を信用しないのか・・・」

「そのようですね・・・・」

 それを聞いたブリュンガスのギルドマスターは頭を横に振るしかなかった。うちのギルドが過去にそんなことをしたのなら当然ケンジ殿はブリュンガスの町には恨みに思っているし動くことは無いと思っていたのだった。

 ギルド職員は自分ではまだ気づいていなかった。自分達が絶対に悪いとは思わない為また勘違いをして「だからギルドを信用しない」とか「ブリュンガスの町を恨んでいる。」とかおもっているのであった。
 ケンジはギルドを信用していないんじゃなくギルドの上の権力者を信用していないだけで、ギルドは町には必要なものと思っている。
 そしてブリュンガスの町を恨んでいることは全くなく、当時のギルドの権力者に対して不信感を持っているだけである。それに他の町には便器生産量が足りない為売れないと言っているだけなのである。

 この自分に都合のいい考え方が更にギルドの方針を見直されない原因のひとつであった。






 ケンジ達はギルドを出て家に帰る途中ギルが話しかけてくるのだった。

「主?何でギルドはあんなにしつこいのですか?」

「そりゃ便器にしても食器類にしても今までない物でお金のなる木だからだよ。」

「いえ・・・そうじゃないんです・・・便器は神鋼魔石の事もあるし販売は無理だと思いますが食器類はあいつ等でもなんとかできるとおもうんですがなんでなんですかね?」

「そりゃ、食器類も作れないからさ。あの綺麗な円形が作れなかったりそこの深い入れ物にもかかわらず綺麗な造形がつくれないんだよ。」

「なんでですか?」

「そっか。ギル達は工房でどうやって作られているか見た事なかったんだな。あれ等の食器類はろくろという道具を使って作っているんだよ。」

 この世界に今まで食器類は木製で木を輪切りにしてそこから木工職人が形を成形し樹脂を塗り食器として販売してきたのである。
 だから同じ要領で粘土を輪切りにしてそこからヘラや指で形を整えるのだが、ケンジのようなろくろを使って形を整えたわけではないので形が歪になったり薄くなったところが窯に入れた時にひび割れ破損して商品にならないのである。
 あとは銀製の食器類になり型に流し込み形を成形するので作り方が全く違うのである。

「へえええ・・・・」

「俺の作った食器は薄いだろ?形が歪だと全部割れてしまうんだよ。」

「なるほどお・・・それであいつ等は食器も主に頼らないと製作できないのですね。」

「まあ、そういうことだな。だがまた厄介事が増えそうだよな・・・」

「そうですね・・・」

「まあ、俺としてはギルドの方針を変えて本当に協力し合える事になれば食器だけは売ってもいいとは思っているんだが無理だもんな・・・」

「「「え?」」」

「なんでですか?」

「まあ・・・言ってみたら食器類は神鋼魔石を一切使わないから別に俺には弊害が全くないからばれてもそんなに支障はないんだよ。」

「でも、もったいないですよ。」

「言ってみたら食器類は俺の強みにはならないんだよ。今は作り方がわからないから俺のとこだけだがいずれ食器類は他の誰かが作れるようになるからな。」

「そんなものですか?」

「ああ、これからみてたらわかるよ。半年いや・・・早くて10か月後ぐらいには他のとこから売り出されるはずだから。」

「10か月後ぐらいに?」

 その話をしていた時はギル達も驚いていたがケンジの言う通り1年後には他の店でも売り出されることになったのである。
 
 ケンジはそうなったところで神鋼魔石がある限り全く痛くないので次の商品を考えるだけなのである。食器類が他の所で販売されたおかげでギルドの態度は直らずギルドはその他の所から販売された店から製作方法を教えてもらうというかほとんど誓約書を盾に取り無理やり開示を求めたのだった。

 その店は最初ギルドからの要請を断ったのだが加盟店だったこともあり断ることが出来なかったのである。これにより食器類はギルドでも作れる様になり他の町でも売られるようになるのだった。

 他の町でも貴族たちに陶器の食器は大人気となり、銀製品が支流だったのが、真っ白な食器の気品が大人気になりテスパの町のギルドは食器類の売り上げで潤いさらに調子に乗ることになったのだ。

 だが、ケンジは新たな商品を開発しようとしていたのだった。




 ケンジはあれからずっと裁縫のスキルを上げ続けGM(100.00)となっていたのだった。

「ご主人様!さいほうがもうGM(グランドマスター)になったのですか?」

「ああ、苦労したけどな・・・やっとGMになれたよ。」

 プリムやミイナはケンジより先に裁縫をやっていたのにすぐに追い抜かされてしまい呆気に取られていたのだった。

「嘘でしょ・・・・苦労してたように思えないんだけど・・・」

「今度は裁縫のパワースクロールを取りに行くのですか?」

「いいや・・・取りに行かないよ。」

 プリムはケンジの言葉に驚くのだった。せっかく裁縫のスキルを上げていたのにこれ以上上げないのかとガックリしたのだった。

 するとケンジはインベントリからパワースクロールを取り出しプリムにみせるのだった。

「プリムこれを見て見ろ!裁縫パワースクロール120.00だ。」

「えええ!なんで?いつの間に手に入れたのですか?」

「ずっと、ゴッドオーダーをやりながらスキルを上げていたからな。この間出すことが出来たんだよ。」

「じゃあ、当分超級ダンジョンに行くことは無いのですか?」

「ああ、そうだな。次行くときは多分蜘蛛系の魔物をテイムしに行くときだとおもうぞ。」

「そうですか・・・・」

「どうしたんだ?」

「いえ・・・・わたし達ってご主人様の護衛だから最近ダンジョンに潜っていないから存在意義があるのかなあって・・・・」

「ああ、なるほどな。でもそんなこと気にすることないよ。お前達護衛メンバーは家族なんだし存在意義は俺の家族と思っていたらいいんだよ。」

「ですがやっぱりご主人様のお役に立ちたいです。」

「いいか・・・プリム。何かをやってないと役に立っていないってのは間違いだぞ。こうして何もやっていない時一緒に過ごせている事が幸せなんだよ。」
「俺は何もやっていない時プリムやギルやシスティナそして家にいる連中と楽しくすごせることができたらいいんだよ。」

「ご主人様・・・」

「でもいずれまたダンジョンにはいく事になるからそれまでちゃんと体を休めておいたらいいよ。」

「いずれっていつですか?」

「そりゃわかるだろ。もうすぐギルドからオリハルコンとか鉱石を納品してくれ言ってくるからな。」

「「「あ・・・・」」」

「たぶん今回はいつもの倍とはいかないが大量に発注があると思うぞ。」

「え?なんでですか?」

「そりゃ当り前だ!食器類が他の所で製作可能になり今はギルドも潤っているから、資産があるから発注しやすいんだよ。だれでも資金があるうちに必要な分は確保して安心したいからな。」

「なるほど!」

「まあでも、そんなギルドの思い通りにはならないんだけどな。」

「え?どうゆう事ですか?」

「そんなギルドの思い通り俺が大量の鉱石を納品する必要性が無いって事だよ。つまりだな納品数は最低の5個でそれ以上ならいくつでも納品可能って依頼は出ているだろ?」

「はい。」

「だから最低数しか納品しないってことだよ。」

「えええ!なんでですか?いくらでもって事は20個納品した方が儲かるじゃないですか?」

「それはちがうんだよ。大量に納品した場合そのあとは商品が余り需要と供給のバランスが崩れて余っている品物は安くなりかえって損をすることになるんだ。」

「どうゆうことですか?」

「今、食器も他の所で販売されるようになって陶器の食器が溢れかえっているだろ?それによってうちの店では何が起きている?食器を安くしてもそんなに売れなくなってきているだろ?」

「た、たしかに・・・」

「それと一緒でオリハルコンとかアダマンタイトは自分用に採掘はするが納品数は最低の5個しかしない。そして需要を常にある状態にしておくんだよ。今は満足に採掘できない状態だからギルドは俺頼るしかないんだよ。」

「さすがはご主人様ですね。」

「でも、食器に変わる何かを考えないといけないからテイマースキルも早く上げて裁縫関係で新しい商品開発しないといけないんだけどな。」


 ケンジはそう言ってニヤリと微笑むのであった。

 
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