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第6章 ケンジの新しい生産力!
4話 ケンジのやさしさ
しおりを挟むリンダとマーサはあれから2・3日考え二人で答えを出した。そして3日目の夜にケンジの部屋を訪れケンジ報告したのだった。
「旦那様・・・今よろしいですか?」
「ああ、いいぞ。で、答えが出たようだな。それでどうするんだ?」
リンダとマーサは意を決したようにケンジの問いに答えるのだった。
「「はい。許してあげようとおもいます。」」
だが、ケンジはニッコリ笑いあっさりその答えに答えた。
「そっか。わかった。」
「「え?」」「それだけですか?」
「ん?お前達はあいつ等を許すと答えを出したんだろ?それに対して何か俺が言うことは無いよ。」
「もっとなにかいわれるのかと・・・・」
「まあ、あいつ等をどうするのか?そして何かを言うならあいつ等に対してだな。」
「旦那様はわたし達の意見ばかり取り入れてますが旦那様はよろしいのですか?」
「ん?なにを言っているんだ?」
「旦那様はあの人たちをわたし達の意見だけで許すのですか?」
「ああ・・・なるほどな。俺の意見が聞きたいという訳か。」
「「はい・・・」」
「俺はあいつ等をとっくに許しているよ。だけど、あいつらが何が悪いのか何に対して本当に勇気出さないといけないのか気づかなければ意味がないだろ?」
「「旦那様はあの人たちにそれをおしえるために?」」
「これは主人が奴隷にしないといけない本当の教育だと思うぞ。ただ気に入らないから自分の思い通り行動しないからといって理不尽な権力を使うのは無能のやることだ。」
「あいつ等は最初俺に謝罪し、その次にシェムと工房の仲間たちに謝罪し苦しい中働き今では前のように仲間たちと働いている。今回やっと勇気を出しお前達に面と向かって目を見て謝罪しそんなあいつ等を見てお前達は3日も悩んで謝罪を受け入れたんだ。もう、何も障害はないだろ?」
「「旦那様・・・」」
「だけど、明日食事前にみんなの前で改めて謝罪させるけどな。それが終わってみんなが納得いったらあいつ等は許され、お前達と同じ暮らしになるというわけだ。」
「何で旦那様はここまでやられるのですか?」
「なんでって・・・俺は家族になった者は見捨てることはしないよ。だが、人間誰しも間違える事はあると思うんだよ。ひょっとしたらリンダやマーサがあいつ等みたいに間違いを犯す可能性はあるだろ?」
「「そ・・・それは・・・」」
「まあ、責めてる訳じゃないからそんな顔をするな。だけどその一回の失敗で全て許されない人生ってそんなバカな事があってはならないんだよ。大事なのはその間違いに気づき自分が悪かったって思える気持ちが大事だとおもわないか?」
「その気持ちは見ていたらわかるもんだよ。自分を保身した謝罪なのか本当に悪かったという気持ちなのか。本当の謝罪をしたなら俺は許してやってもいいとおもうんだよ。」
ケンジは少し下を向いて考え込みまたしゃべりだした。
「だけどな・・・本当に大変なのは謝罪をしたその日からなんだぞ。」
「「え?どうゆうことなんですか?」」
「わからないか?」
「「ええ・・・」」
「リンダとマーサはあいつ等を許すと言ったが前のように本当に心の底から信頼してつきあえるのか?まだ少し不信感は残ってないのか?」
「「それは・・・全然ないとは言い切れないです・・・」」
「うん。それが普通の感情だと思うよ。一回裏切られたと思われたら信頼を取り戻そうとしたら3倍の労力と時間が必要とされるんだよ。」
「「え?」」
「という事はだな、あいつ等は本当に努力しないといけないのはこれからなんだよ。リンダと夫婦生活を過ごした時間が3年だとしたら、あいつはリンダから信頼を取り戻すには約9年の時間と労力が必要って事になる。それだけ努力したら前の関係でわだかまりが無くなるというわけだ。」
「まあ、一般的に言われていることでこの論理は個人差があるけどな。だから本当の試練はこれからであいつ等は今までスタート時点にも立っていなかったという訳だ。」
「ってことは・・・」
「ああ、あいつ等は謝罪したと思いまた調子に乗ったら今度は本当に終わりになるということだよ。俺は本気で謝罪されたら何回も許すつもりではあるが信頼という面ではもう2度と戻らないと思ったほうがいいよ。」
「「・・・・」」
「お前達は俺が怖いとおもうか?」
「こういってなんですが・・・」
「だがな、人間はここまでしないとわからないものなんだよ。自分勝手に解釈し自分の今までの経験上で物事を図り他人の事なんて思いもしないものなんだ。まあ、これも俺の経験上の考えなんだけどな。」
「それは違うと言う意見もあるかもしれないがそれは俺にとっては他人事で自分達でやっていてくれたらいいことなんだよ。」
「俺は俺の家族を守る為非情になるときは非情になり切るだけだからな。」
「でも、なんか私達の知っている旦那様とちがいすぎますよ・・・」
「う~ん・・・・そうかな?俺も普通の人間だぞ?今は言葉で説明したからなんか俺という人間が冷たく感じてしまっただけだとおもうんだが。つまりだな、人間関係というのはどうにでもなるといいたいんだよ。」
「えーっと・・・・」
「例えばだな、俺がリンダとマーサにある用事を頼むとするだろ?そうしたらお前達は嫌だから断るというか?」
「「そんな事絶対しません!」」
「それはなんでだ?」
「なんでって・・・それは旦那様には感謝しているからで少しでも旦那様の役に立ちたいからです。」
「その気持ちはどこから出てきているんだ?」
「それは当然私達は奴隷なのに貴族以上の暮らしをさせてくれるし少しでもその恩を返したいし、わたし達の事をいつも考えてくれるからです。」
「それって日頃俺が君達とコミニュケーションを取ってきて信頼を得られた結果だよな?」
「「はい!」」
「じゃあ反対にこの世界の奴隷の主人のように俺がふるまっていたらリンダ達は今言ったその気持ちは出るか?」
「「・・・・」」
「うん。その答えは一目瞭然だ。奴隷だから命令されただけの事を嫌々することだろう。つまり人間関係はこっちの出方次第でどうにでもなるんだよ。鏡と一緒だな。」
「この人間から好かれたい信頼関係を得たいと思えばその人に対して優しく接すると信頼関係が生まれいい関係が築けるんだよ。」
「話は戻るがその関係に甘えあの人ならこれくらい自分の言う事を聞いてくれると図に乗ってしまったのが君達の元旦那なわけだ。俺はみんなが大事な訳であいつ等だけが大事なわけじゃないんだよ。」
「そしてあいつ等はみんなに本気の謝罪しこれからが本当のスタート地点に立ち家族みんなとの信頼関係を構築していくんだ。これはあいつらが率先して動かないと失った信頼が元には戻らないんだよ。」
「「なるほどお・・・」」
「さっきおれは裏切った信頼を取り戻せるのは今までかかった構築した時間の3倍かかり9年の時間と労力が必要と言ったが、あいつ等の頑張り次第でそれが5年に短縮できるかもしれない!だがあいつ等がまた調子に乗りその頑張りをしなかった場合12年15年・・・それか一生信頼されないまま死んでいくことになるかもしれない。」
「「やっぱそういう説明をされると怖いですね・・・」」
「まあ、どうゆう選択をするかはあいつら次第って事だよ。そんな深く考える事ないよ。君達が平民だったころそんな深く考えて全員と付き合ってたわけじゃないはずだ。」
「「たしかに・・・」」
ケンジはもう話す説明はないと思いリンダとマーサを部屋から出そうとした。
「さあ、今日はもう遅くなったから二人はみんなのとこに帰りなさい。俺ももう寝るからさ。」
「「ご主人様!」」
「何言ってんですか。」
「え?なにって・・・もう用事は無いだろ?」
「女奴隷がこんな夜更けに帰れるわけないじゃないですか?」
「そうですよ!そんなことしたらわたし達が主に相手をしてもらえなかったおもわれちゃいますよ!」
「はあぁ・・・そんなこと誰も思わないだろ?」
「いいえ、今晩はわたし達がこのまま旦那様に夜の奉仕をさせていただきます。」
「ええええ~~~!」
そうリンダとマーサにケンジは言い寄られ二人に夜の奉仕を朝方まで相手をするのだった。
次の日の朝、当然のことだがリンダとマーサは足腰が立たず失神したままであった。ケンジの夜の暴走は相変わらずでリンダとマーサは朝まで一睡もできず逝かされつづけて結果気絶したまま朝を迎えたのだった。
「ご主人様朝でございます!」
セバスがケンジの部屋に起こしに来てくれるのだった。
「あ、セバスおはよう!今日の朝食時に倉庫にいる二人を食堂に呼んでもらえるか?」
「は、はい・・・承知しました。あの二人をお許しになるのですか?」
「ああ!やっとあの二人はこの二人に謝罪し、リンダとマーサはあの二人を許してもいいと言ったからな。あの二人を元の生活に戻そうと思う。」
「ですがあの二人はご主人様を蔑ろにしたのでございますよ。」
「まあそう言うな!人間失敗はいくらでもあるし反省したみたいだからチャンスを与えてもいいだろ?」
セバスは納得いっていなかったみたいだがケンジがニッコリ笑いセバスの肩をポンポンと叩いたので頷くしかなかったのである。
「ご主人様がそういうのであれば私はそれに従うだけです・・・」
「機嫌直せって!また今度みんなと酒飲ませてやるから!」
「私はそんな事でごまかされませんよ・・・」
「まあまあ・・・」
そういってケンジはセバスの背中を押して部屋から出ていくのだった。
そして朝食時みんなが食堂でそろって席に着いたところでケンジはリンダの元亭主トニーとマーサの元亭主ジーロを隣に立たせていた。
「みんな聞いてくれ!二人は俺に謝罪し本当に反省したと判断した。だから元の生活に戻そうと思う。」
それを聞いたみんなはザワザワして口々に自分の意見を言うのだった。
「ご主人様本当に許すのですか?」
「そんなの甘い!」
「だが、あんな暮らしをずっとして今まではちゃんと仕事をしているんじゃ。」
「ちゃんと反省していると思うぞ。」
等、賛否両論だったが結局ケンジが決めた事ならというでみんな納得したようだった。
「ほら、お前たち何を突っ立っているんだ。これからがお前たちにとってみんなの信頼を取り戻せるかどうかなんだぞ。何か言ったらどうなんだ。」
そういわれてトニーとジーロは慌ててみんなに土下座したのだった。
「俺達はいい気になって主様やみんなの信頼を失ってしまった。本当に申し訳ありません!」
「この日よりまた主様とみんなの信頼を取り戻せるよう努力するから許してください!」
二人はみんなに頭を下げるのだった。
「二人とも頭を上げろ。その言葉をしっかり胸にしまい頑張るんだぞ。次みんなの信頼を失いようなことをしたら今度こそお前達は本当に終わりだと心して行動するんだぞ。」
「「ハイ!本当にすいませんでした。」」
「じゃあ、もういいから前と同じ席にすわれ!」
そういって、二人は席に着き久しぶりに朝から食事をとり涙が出るほどケンジに感謝をしたのだった。それを見て納得がいかない者も戻れて良かったなあと思う者それぞれいたが、ケンジは久しぶりに全員が食卓にそろったことが嬉しかったのだった。
そのケンジの横顔を見たマイはやっぱりケンちゃんは優しいなあと思い、口角を少し上げケンジを笑顔で見つめていたのだった。
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