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第5章 遂に始動!
39話 Aランクパーティー④
しおりを挟む流星の前衛3人はなます切りにされ地面に叩きつけられ、3人とも傷だらけで気絶していたのであった。それを見たプリムは妖艶な笑みを浮かべ勝負はついたとみてケンジの方を向き歩き出したのだった。
それを見た流星の魔法使いは隙ありとみて自分が使える最大出力魔法である【ファイヤーボール】を躊躇なくプリムに向かって放ったのだ。それを見てもうひとりも普段は回復役に努めているが聖属性魔法の【シャイニングアロー】をぶち込むのだった。この者も聖属性の適正がある魔法使いなのである。
それを見たマイはプリムが油断したと思い焦るのだった。
「あ、危ない!」
プリムは油断したと見せかけていただけであった。仮に油断したとしてもレベルが違い過ぎこの者たちがプリムにダメージを与えることは絶対に無理なのである。
プリムは冷静に後ろを向いたまま両の翼を広げ一言。
「ウィングガード」
二人が放った魔法がプリムに当たる瞬間、プリムの羽が高速で羽ばたき風の壁を作り出すのだった。その風の壁に二人の放った魔法が当たりガードしてしまうのだった。
【ウィングガード】
バルキリーのアクティブスキル。レベル65習得し
後方からの攻撃をガードする。
このスキルはとても強力で物理・魔法攻撃を完全に
回避しダメージを全く受けない位強力なスキルだが
一回使うと48時間使えなくなる。
当然だがプリムには一切のダメージがなかったのである。
「ば・・・ばかな・・・」
「そんな事ありえない!」
「あたしのファイヤーボールを無傷で・・・」
二人は恐怖におののき詠唱時間の少ない魔法を連発しなんとか一矢報いるつもりで魔法を打ち続けた。
プリムは二人の魔法を遠距離から全部槍で受け切っていたのだった。
「ねえ!あなた達私にばかり気をとられていて大丈夫なの?」
「「何言ってのよ!」」
「今は貴方と勝負しているじゃない!」
そういいながら二人は魔法を打ち続けるのだった。すると二人の後ろに人影がすうーーーっと現れるのだった。それを見ていたポーション使いのメンバーが「後ろ~~~~!」と叫ぶがもう遅かったのだった。
「クリティカルブロウ!」
ギルが後方から姿を現しファイヤーボールを放った女にクリティカルブロウを叩き込んだのだった。ギルが全力で叩き込んだら女は死んでしまうので急所をはずし、女の方に叩き込んだのだった。
「ぎゃああああああ!」
女は余りの激痛に絶叫し前方に倒れ込むのだった。倒れ込んだ後、数秒したあと女の腕が千切れて地面に落ちたのだった。女を見るとダメージが大きすぎて地面にたたき伏せられなにかビクンビクンと波打っているのだった。
それを見た回復薬の女は恐ろしくなり、女を回復するのも忘れ全力で後ろを向いて逃げ出そうとしたのだった。
もうすぐ決闘場から逃げれると思った瞬間、出口付近にはギルの姿が浮かび上がるのだった。
「どこに行くつもりだ?まだ終わってないぞ。」
女は恐怖で固まってしまうのだった。なぜ出口にあの男が待っているのか全然わからなかったのである。いくら何でも早すぎるのである。
「い・・・いや・・・近寄らないで・・・」
女は恐怖でジリジリ後づ去りし前にいるギルにしか目が入らなかったのだ。
「お願いもう私達の負けでいいからゆるして・・・」
「何を言っているお前はまだ戦えるじゃないか。かかって来いよ。勝負がつかないだろ!」
この決闘はどちらかのパーティー全員が気絶するか死亡するまで続くのである。これは流星が決めたルールでありギルはそのルールに従っているだけなのである。
ギルは一歩一歩ヒーラである女に近づくが女は恐怖で顔がゆがみ涙と鼻水をたらし「許して・・・」としか言わなくなった。
涙でべたべたになりながら恐怖に耐えていたがギルの威圧に耐えられなくなり立ったまま気を失ってしまったのだった。
人間はどうしようもない恐怖に出会ってしまったとき人は全員同じ事になるであろう。例えば、大雨が続き土石流が眼前に迫った時なんとか生きようとして体が反応し動ける人間は殆どいない。体が固まり絶望し悲鳴を上げるのが精一杯であろう。
そういったどうしようもない状況がこの女にとっては今なのである。ギルを奴隷だと侮り余裕に勝てると思っていたのに眼前にいるギルからはSSランクのドラゴンのような威圧を放ち一歩一歩自分に近づいてくるのである。
ヒーラーの女はどうしようもないこの状況になすすべもなく精神が崩壊し回路が切れた様に気絶してしまったのである。
そして残ったのはポーション使いの女一人だけになった。ギルは威圧を放ちその女の方を見るのである。その女は手足をがくがく震えながらポーチに手を入れ身構えていたのだった。
「く、来るなら来なさい!目に物見せてあげるわ!」
ギルが一歩踏み出したその時、女はポーチからポーションを取り出し、ギルに向かってポーションを放り投げるのだった。
そのポーションは女の腕力でも遠投できるような形に入った容器で底には重りが仕込んであるのだった。分かりやすく言えばフィギュアスケートで演技が終わった後花がリングに投げ込まれると思うがその花が遠くに飛ぶようになっているのと同じ理屈である。ギルまで結構な距離があったにもかかわらず、ギルにポーションが当たったのだった。
そしてギルに当たった瞬間大きな音が決闘場に鳴り響くのだった。
ドゴ~~~~~ン!
ギルに着弾した場所を中心に爆発を起こしたのである。これは錬金術師が唯一作れるポーションでの攻撃で【エクスプロージョン】というポーションである。
ポーションとは普通対象を回復や毒や麻痺などの回復がメインになるが錬金術のスキルを95.00まで成長させることで液体爆弾を作ることができるようになるのだ。
種類は低品質・ノーマル・高品質・最高品質で威力が変わってくるのだが先ほどの爆発を見る限り最高品質の物であることがわかる。
爆発の煙が収まるとそこには何もなく近くにはヒーラーの女が吹き飛ばされていただけであった。
「残念だったな。」
ギルが突然ポーション使いの女の後ろに現れるのだった。ギルはケンジの言われたように手加減をし女の首に手刀を打ち落とし、首トンし女を気絶させたのだった。
その瞬間【Freedom】の勝利が決まったのだが観客や審判は呆然とし固まったままだったのである。しょうがないのでケンジが大きな声を出し審判に声をかけたのだった。
「お~い!審判さん勝負はついたと思うんだが!」
その声に審判はハッとし高々に手を上げFreedomの勝利を宣言したのだった。
「この勝負Freedomの勝ち!救護班すぐに流星の回復を!」
その声にギルド職員は正気に戻り担架を出し救護室に流星のメンバーを運ぶのと同時に観客から歓声が上がったのだった!
「すっげ~~~!奴隷だけで勝っちまったよ!」
「なんだよあの奴隷たちは!」
「奴隷がAランク6人に勝っちまったよ・・・」
「くっそ~~~!あんな強いの知っていれば流星になんか賭けなかったのに・・・大損だ!くっそたれめ!」
「俺も有り金全部賭けちまったぜ・・・」
その反対にこの町で古参の冒険者やギルド職員は大喜びであった。
「やったぜ!Freedom様様だあ!」
「よくやったぜ!あんな奴らぶっ飛ばしてくれてスカッとしたぜ!」
「やった!当分の間遊んで暮らせるぜ!」
等、色んな声が聞こえてきたのだった。
この後流星のメンバーは治療という形で入院し生き残ることが出来ればケンジの奴隷となる手続きになるらしいとギルド職員から説明を受けるのだった。
「でも、あいつ等いらないんだけどな・・・」
「なら、奴隷契約した後奴隷商人に売ったらいいかと思いますよ。あの人たち流星のメンバーはAランク冒険者なので高く売れるかと思います。」
「なるほどな。」
「だけど・・・貴方の奴隷達がちょっとやり過ぎてしまったようで前衛の3人はもう使い物にならないから二束三文にしかならないかもしれませんね・・・」
「えええ~~~!そうなん?」
「ええ、先ほど少し見たのですが腕や足がかろうじて繋がっていた感じだったので切断してヒールしないと治療できないと思いますよ。」
それを聞いたプリムはすぐさまケンジに頭を下げ謝罪したのだった。
「ご主人様すいません!やりすぎてしまったようです・・・」
「ああ・・・謝らなくていいよ。俺も錬金術師以外は再起不能にしてもいいと指示出したからな。それに、今更高く売れても安く売れてもどっちでもいいしな。」
「主・・・でも、なんであの錬金術師だけ手加減してやってくれと?」
「ああ、あの女性だけは俺達に対して交戦的じゃなかったじゃないか。」
「ケンジ様はどうしてそのことがわかったのですか?」
受付嬢がそのように聞いてくるのだった。
「なんとなくあの女性だけあのパーティーに馴染んでないように思えただけなんだがやっぱなんか事情があったのか?」
受付嬢はケンジにあの錬金術師の状況を事細かく説明してくれたのだった。説明によるとあの6人は同じ田舎から出てきたのだがだんだん考え方が違ってきていて錬金術師の彼女だけ戦闘職じゃないことでパーティー内で不遇の扱いを受けていたのだった。
ポーションでの回復は重要なのだがヒーラーがいた為、MPが少なくなってきた時だけしか活躍できなくてポーションの回復量も少なかったため、パーティーから無能扱いされていたらしいのだ。
だが彼女は腐らずパーティーの役に立とうと雑用は進んでやり、料理や買い出し、装備の修理なんかも手続きしたり頑張っていたのだった。
しかし流星のリーダーは依頼の報酬も本来なら6頭分なのに戦闘で役に立たないという理由で報酬の5%だけ渡たし残りのの金額を5人で山分けしていたらしいのだ。それを聞いたケンジは怒り心頭で頭に血が上っていたようだった。
あのギルに最後の攻撃をしたエクスプロージョンのポーションもあの女性がなけなしの金で買った最後の手段と取って置いたものと容易に想像できるのだった。
「まあ、あの女性は気の毒ですがこれも勝負・・・しょうがないですよ・・・」
「なあ!何であの女性はそんな思いしながらパーティーを抜けなかったんだ?」
「え?ケンちゃん知らないの?」
「なにをだ?」
マイの説明はこうであったのだ。パーティーは一度組むと余程の事がないと脱退はできなくて、パーティーリーダーの指示により決定されるのである。つまり、個人的に役に立たないとリーダーが判断した場合に追放されるのだが勝手に抜けることはできないのである。
その説明でわかったことはあの錬金術師の女性はパーティー内で飼い殺しになっていて、流星のリーダーは無能といいその反面自分の都合よく錬金術師の女性を利用していたのだった。言ってみれば女性をマインドコントロールしていたのだった。
「あの・・・その錬金術師の女性だけ俺の奴隷になるのを外してもらうのは可能ですか?」
「ケンちゃん?」「主!」「ご主人様?」
「う~ん・・・ケンジ様の気持ちはよくわかるのですがそれはできませんよ。」
受付嬢はすまなそうに頭を下げるのだった。
「なんで?」
「これは冒険者ギルドの決めた正式な決闘であって、例外をきめたら示しがつかないし他の者が見たらギルドは賄賂を受け取って許された者がいると誤解されかねませんからね・・・賭けの対象は絶対なのですよ。」
「なるほどな・・・」
「もし嫌なら最初から決闘をしなければいいだけの話なんです。」
ケンジはなんかやるせない気持ちになるがそのルールで命を懸け決闘したのだからしょうがないと割り切ろうとしたのだった。
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