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第5章 遂に始動!
31話 肥料①
しおりを挟む食器を作り始めて数か月が経ち、男奴隷2名は倉庫暮らしを続けていた。夕方にミナレスやミイナが奴隷食を運びただ生きているだけの生活をしていたのだった。
「貴方達いつまでそうしているつもりですか?」
「「・・・・」」
男たちはケンジに見限られやる気も何もなくなりただ人生に絶望していたのだった。
「まあ、いいわ!いつまでもそうしていなさい!ただ、何もしなければ貴方達は死ぬまでこの生活が続くのよ。それでもいいの?」
「それでもいいのって・・・工房にも入れないし何をしたら主様に許しを得られるんだよ!」
「そうだ!俺達はこのまま死んでいくしかないんだよ・・・」
「ふん!男のくせにだらしないのね!そう思っているならそのままずっと変わらないけど勝手にしなさい!」
ミナレスは男たちの不甲斐なさに腹が立ち小屋から出て行ってしまったのだった。
「ユエティーやウランもこんなことあったけど、自分達でご主人様の信頼を取り戻したと言うのに・・・」
ミナレスはボソッとつぶやき小屋から離れていくのだった。
ケンジはあれから肥料の開発を進めていたのだった。混ぜる神鋼魔石の量が多かったのかと思い、次は少なくしてみたが効果は同じである。収穫した後は土がやせ細ってしまい元に戻すには倍とはいかないが肥料を使わないと元に戻らなかったのである。
「くそ・・・また失敗か・・・」
「ご主人様・・・大丈夫ですか?」
「そんな根を詰めないで・・・」
「ああ、ありがとなティアナ、フィアナ。」
「うーん・・・何がいけないんだろうな・・・神鋼魔石には養分がいっぱいあるから土はやせ細ることは無いと思うんだけどな・・・」
「わたし達には全く・・・わからない・・・」
「あたしも・・・でも野菜たちは土の養分いっぱいに吸って成長が早いのはすごいですよね。」
「そうなんだよなあ・・・」
「ご主人様!この魔石に混ぜる土を砂にしてみたらどうでしょうか?」
「お!なるほどなあ!そうゆうのもありかもしれないな。」
ティアナの言う通り砂を取ってきて神鋼魔石を加工したものを混ぜてみると普通の肥料が出来るのだった。
「おお!なんか普通に売っている肥料にみえるな。」
「ご主人様凄いです。」
「いやいや、ティアナのおかげで出来上がったんだぞ。ティアナが凄いんだ!ありがとな。」
ケンジはティアナの頭を撫でるのだった。ティアナはとっても嬉しそうに、にぱっとゆう擬音が出てるかのような笑顔を見せるのだった。
「ティアナだけズルい・・・」
「フィアナもありがとな。」
ケンジはすかさずフィアナの頭を撫でるのだった。
「じゃあこれを使って野菜を育てて見てくれ。」
「「はい!」」
ケンジは工房に戻り自分の作業をするのである。するとシェムが声をかけてくるのだった。
「主殿・・・いまちょっといいかの?」
「いいぞ、なにかあったか?」
「あの二人なんだが、いつまであの状態で放って置くのじゃ?」
「うん?なんか不都合でもあるのか?」
「いやワシらの班なんじゃが3人でまわしておってのう・・・ダンギの班に生産量に差がついていて・・・できたらあの者たちも工房に復帰させてもらえるとありがたいんじゃ。」
「生産量は気にしなくてもいいぞ。5人と3人じゃ差がついて当たり前だしそんな事で俺はお前たちを責める事しないから安心しろ。」
「主殿ありがとのう。だが、あの者達が不憫でしょうがないんじゃよ。」
「シェムはホント優しいな。だがそれは無理な話だ。」
「主殿!」
「まあ、お前の気持ちもわからんでもないよ。だがあいつらは今不幸のどん底にいて自分から動かないから無理なんだよ。」
「助けを出すのは簡単。だがあいつらは自分の家族を売ろうとしたんだ。その為の罰は必要だと思うんだよ。」
「だがのう・・・あのままじゃ死ぬまであのままなんじゃないかと・・・」
「それはしょうがないよ。自分で悪かったと反省し動き始めるまで俺はなにもするつもりはないよ。あいつらが何もせず奴隷食だけでもういいと思っているならあのままだ。」
「だけど、このままじゃいけないと思い自分から工房に来てシェムに謝罪し働かせてくれと言ってくるならシェムの思ったようにしてくれたらいいよ。」
「主殿・・・」
「俺は仕事の事はシェムに一任し部下の事を任せたんだから文句はないよ。ただ、奴隷食だけでどれだけあいつらが頑張れるのかを俺は見るだけだ。」
「それを見てアイツらが本当に反省しみんなの役に立とうとするのか、そしてリンダ達に面と向かって謝罪できるのかを見て判断したいと思っている。」
「それじゃあ、主殿はあいつらを見限ったわけじゃ・・・」
「いや家族を売ろうとした事、俺との約束を蔑ろにした事、そして今はあいつ等の態度からして見限っているよ。あのままなら俺は絶対許さないし、死んでしまってもなんともおもわないよ。」
「だからな、シェム。あいつら次第なんだよ。」
「主・・・」
「まあ、心配するな!俺の読みじゃあいつらは大丈夫だよ。シャムもあいつらを信じ気長に待ってやってくれ。」
「わ、わかりました・・・」
シェムは、ケンジの言う事に従い仕事に戻るのだった。ケンジも工房で自分の事を少しづつ仕上げていくのである。
「ご主人様!畑の人参が芽をだしましたよ。」
「前の肥料より3日遅いが順調に芽がでたな。」
「はい・・・この調子なら10日で収穫できるかと思う・・・」
「そっか・・・それは楽しみだな!」
だが、10日後人参を収穫した後の土の状態は前の肥料と同じように土がやせ細っていて、失敗に終わるのだった。
「くっそ~~~!まただめか・・・」
「「ご主人様・・・」」
「ごめんなさい・・・あたしがあんな提案をしたばかりに・・・」
「いや、ティアナのせいじゃないよ。気にすることじゃない。」
「で、でも!」
「ティアナいいか!新商品の開発にはみんなこうやって何回も失敗を重ねてやるもんなんだよ。」
「・・・」
「だから気にすることじゃないんだ。それより失敗を恐れて何もできなくなることの方が悪い事なんだぞ。」
「「はい・・・」」
ケンジはティアナとフィアナの頭を撫ぜながらもう一回説明するのだった。
「いいか!ティアナ、フィアナ人間だれでも失敗する事がある。だけどそれで終わりじゃないんだぞ。まだその先もあるんだ。その失敗を反省しまた歩き出せば誰かが見てくれていて認めてもらえればいいことなんだ。わかったか?」
「「はい!わたし達ご主人様の為にもがんばります!」」
「ああ、それでいい!」
「にしても、どうしたものかな・・・これ以上どうしたらいいのか・・・少し考えてくるから後はティアナフィアナは畑の事は任せるな。」
「「ご主人様は?」」
「俺は神鋼魔石の事をもうちょっと調べてみるよ。」
それからケンジは部屋に籠り色んな配分の肥料を作るのだったが全部失敗に終わるのだった。
そして1か月が過ぎた・・・
ケンジはまず、初心に戻り神鋼魔石がどうゆう物かを考えるのだった。神鋼魔石とはどんなものでも吸収し魔石の中に蓄えれる物である。
そしてこの魔石は便を吸収し蓄えた物である。ケンジはそのことを踏まえ神鋼魔石を鑑定するのだった。
【神鋼魔石】
神鋼魔石を加工し便を吸収し養分を蓄えた
魔石。
吸収値980/総吸収値1000
「む?こ、これは?」
ケンジは鑑定結果を見て違う魔石を鑑定してみるのだった。
【神鋼魔石】
神鋼魔石を加工し便を吸収し養分を蓄えた
魔石。
吸収値990/総吸収値1000
【神鋼魔石】
神鋼魔石を加工し便を吸収し養分を蓄えた
魔石。
吸収値975/総吸収値1000
【神鋼魔石】
神鋼魔石を加工し便を吸収し養分を蓄えた
魔石。
吸収値1000/総吸収値1000
手元にある全部の魔石の鑑定結果で魔石の吸収値が満タンまで吸収されていないのがわかるのだった。ケンジはこの事が土をやせ細らせている原因ではないのかと予想し、ケンジは鑑定結果で吸収値が満タンの分だけを選りすぐり魔力を加え加工し肥料を作ったのだった。
ケンジは普通の土の分と砂で作った分の2種類つくり、ティアナとフィアナに新しく作った肥料を渡すのであった。
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