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第5章 遂に始動!
23話 アプリコット④
しおりを挟む10分ほど二人は見つめ合いながらアプリコットは心の中で独り言をつぶやいていたのだった。
「わかったわ・・・わたしは二日後借金奴隷になる・・・これ以上耐えがたい事はないと思うわ!だからケンジ様話を聞かせてください。」
ケンジはアプリコットが話を聞かず帰る選択をしなかったことに少しホッとするのだった。
「そうですか。よく勇気を振り絞りました。俺も少し安心しましたよ。」
「それで話とは?」
「アプリコットさん唐突ですが俺の奴隷になりませんか?」
「はあぁ~~~?」
アプリコットはケンジの言葉に変な声がもれるのだった。
「何であんたの奴隷になんか!」
アプリコットは怒りで変になりそうだった。ケンジに係わらなければ自分はギルドでエリート人生を全うしていたはずなのに、二日後にはケンジのせいで奴隷になるのにその原因の人間の奴隷になれというのだ。
「そんな話ならわたしは帰らさせていただきます!」
アプリコットは席を立とうとした時、ユエティーとウランが話しかけてくるのだった。
「「アプリコット様!ご主人の話を最後まで聞いて下さい!」」
「このまま帰ったら必ず後悔します。」
「そうです!あたし達も最初はそう思いましたが、今はギルドにいた時より幸せです。」
「何言ってんのよ!何でギルドにいた時より奴隷の方が幸せなのよ!そんなの信じられるわけないでしょ!」
「だけどこのまま帰っても奴隷になってしまうんじゃないのですか?なにか回避する方法があるのですか?」
そう言われてアプリコットは回避する方法が思いつかず瞳から涙が滝のように溢れてくるのだった。
アプリコットは二人の言う様に奴隷に落とされる回避方法がまったくなかったのである。どう考えてもあと二日で5千万ドゴンを用立てる事は不可能だった。
「そうよ・・・あなた達の言う通りあと5千万・・・どうあがいても耳を揃えて支払える事なんて不可能だわ!」
アプリコットは号泣しながらケンジに訴えるのだった!
「アプリコットさんどうせ奴隷に堕ちるのならユエティーとも顔見知りがいた方が安心できるんじゃないのか?もしこのまま何もせず奴隷商人に売られたらどんな主人に買われることになるかそれさえもわからないだろ?」
「そ、それは・・・」
「だからその5千万ドゴンは俺が出してやるよ。俺の奴隷になってくれるならアプリコットさんの衣食住を保証してやるよ。そのかわり俺はアンタの能力!ギルドで培った経験がほしい。その経験を活かして俺の店で仕事してほしいんだ。」
「・・・・」
「アプリコット様。わたしユエティーとウランはギルドからしっぽ切りにあい奴隷に堕ちました。最初は納得いかなかったし不幸だと思いましたがご主人様に拾ってもらって今は本当に幸せです。」
「そんな事・・・」
「ギルドより幸せといったのはギルドの上司たちは自分の身が危ないと思ったら部下を簡単に見捨てますが、ケンジ様は絶対そんなことしないと信じれるからです。それは奴隷のわたし達にも幸せになってもかなわないと言ってくれるんですよ。」
「ですが、今までと同じようにとはいかないでしょう。」
「それは当たり前です!あたしたちは奴隷なのですからご主人様を第一に考えどのようにしたら役に立てれるのか考えて行動しなければならないので当たり前です。」
「・・・・」
「アプリコットさんどうかな?選択肢としてはどちらにしても奴隷になることは避けることはできないが、俺はアンタが俺の奴隷になった場合ギルドのようなしっぽ切りみたいなことは絶対しないと約束するよ。」
「そんなこと・・・」
「アプリコットさんがギルドでやってきたように俺に対して真面目に役に立ってくれたら今までより良い暮らしが出来るように俺も努力するからどうかな?」
アプリコットはケンジからの提案に黙ってしまうのだった。アプリコットはなぜ今更わたしにこんなことを言ってくるのかわからなかった。
「なぜ・・・今更わたしにこんなことを言ってくるのですか?」
「俺のことが信じられないか?」
「当たり前です!手を差し伸べるならこんな状況に陥る前にしてくれても!」
「それは無理に決まっているだろ。あんたはギルドの人間なんだ。俺はギルドを組織を信じていないからな。だけど組織から見捨てられたあんたなら信じる事は出来るからな。」
「わたし個人なら信じられるというのですか?」
「ああ、そうだ!だが、アンタが俺を信じられないと言うならあんたが奴隷になっても良い関係が構築できることなんて無理だからこの話は断ってくれても構わないよ。」
「・・・・」
「アプリコットさんが選択してくれて構わない。」
「時間を・・・半日・・・ください・・・」
「ああ、じっくり考えたらいいよ。どちらを選択しても俺は何も言わないしアプリコットさんが納得できるようにしたらいいよ。」
「それではわたしはこれで失礼します。」
そういってアプリコットは席を立とうとした。
「え?今から帰るつもりなのか?遅いし女の一人歩きは危ないし泊まっていけば?うちには部屋がいっぱい余ってるから泊まればいいよ。」
「いえ・・・」
アプリコットは断ろうと思ったがユエティー達の暮らしを見させてもらえる良い機会じゃないかとおもうのだった。このまま帰っても選択できそうにない感じがするのでアプリコットはケンジの言う事を受けるのだった。
「じゃあ、お願いできますか?」
「まあ、ゆっくりユエティー達を見ていったらいいさ。」
ケンジのその言葉にドキッとしてケンジを見るとニヤリと笑うのだった。
「ええ、そのつもりです!あと半日しかないけどゆっくりみさせてきめさせてもらいます。」
するとそこにマイが部屋に髪を拭きながら部屋に入ってくるのだった。
「ケンちゃん。お風呂あがったからアプリコットさん泊まっていくんでしょ?お風呂先に入ってもらったら?」
「お風呂があるのですか?」
「後がつかえてるから入るなら入っちゃってよ。」
「じゃあ、ありがたくいただくわ・・・」
(奴隷に堕ちる前に初めてのお風呂か・・・たっぷり堪能しなくちゃ・・・・)
アプリコットは脱衣所で服を脱ぎ、タオルで撒いて浴室に入るとびっくりするのだった。とても大きなお風呂でいっぺんに20人ぐらいがゆっくり浸かれるお風呂だったのだ。
ゆっくりお湯につかり堪能し昼間泣きつかれていたのが嘘のようにリフレッシュされたのだった。
お風呂から上がったアプリコットは大広間の食堂に案内されるのであった。
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