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第5章 遂に始動!
10話 リューガ男爵①
しおりを挟むリューガ男爵の屋敷に衛兵たちが乗り込み窃盗の罪で捕らえられるのである。
「な、なんだ貴様たちは!」
「リューガ男爵!あなたにケンジ殿の奴隷を窃盗した罪状の為逮捕状がでました!大人しくしていただきたい!」
衛兵の団長はリューガ男爵を後ろ手で縛り上げるのだった。
「儂を誰だと思っているのだ!この縄を直ぐに解くのだ!」
「こちらには証拠がそろいあなたが雇った男5人が口を割った!大人しくついてきていただきたい!」
「儂にこんなことをしてただですむとおもうなよ!わかっているのか!」
「何もわかっていないのは貴方のようですね。」
「それと、貴方が攫った奴隷の主人、ケンジ殿の伝言だ!よく聞く様に!この先あなたは俺や、俺の家族にちょっかい出したら地獄に叩き落とす!だそうだ。」
「むぐぐぐ・・・平民のくせに儂に命令するつもりか!」
「わたしからも忠告しておく!もうケンジ殿には関わらないほうが良い。これは私の勘だが関わると貴方は破滅するかと思うぞ。」
「え~~~~い!うるさいわ!何で儂が平民ごときに馬鹿にされねばならんのだ!」
リューガ男爵はわめき散らしたのだが他人の奴隷をさらった事は充分犯罪で貴族でも罪は償わなければいけないのだ。ものすごい抵抗をしていたようだが衛兵10人に取り押さえられ抵抗むなしく牢屋に入れられるのである。
こうしてケンジ達の平穏な日常が少しの間続くのだった。
そして、ケンジはこのまま終わるとは思っておらず大広間でケンジが言った計画を進めるのであった。ケンジ、ダンギ、シェムは工房で作業をし商品の製作を急ピッチで仕上げていくのだった。
「なあ、主殿!聞きたいんだがいいか?」
「ん?なにをだ?」
「主殿はリューガの野郎が又ちょっかい出してくると思うのか?今度逮捕されたらいくら貴族でも没落すると思わないか?」
「多分普通ならそうだろうけど俺はそう思ってないよ。」
「主殿はどう思っているんだ?」
「衛兵の団長が言ってたんだ。重くて1年ほどで牢屋から出て罪を償いと。」
「まあ、窃盗扱いになるから重くてそのくらいだろうなあ。」
「たぶんだが俺の予想では2週間だな!」
「「なっ!」」「そんな事がありえるのか?」
「多分だがリューガ男爵は賄賂を贈り罪を軽くしてもらうだろう。下の衛兵は正義感高い者が多いかもしれないが上になると欲望が出てくる人間が多いからな。」
「それまでに俺の計画を完成させないと安心できない・・・」
「主殿の計画ってなんなのだ?」
「シェム・・・それは秘密だと言ったと思うけどな。」
ケンジはニヤリと笑うだけであった。
「主殿外れてたらそれはいいんだが多分ワシには予想がついているんだが言ってもいいか?」
「お?ダンギにはわかるのか?」
「多分だが主殿はゴーレムを作ろうとしているんじゃないか?主の鍛冶のスキル、それに魔法これが合わさることでゴーレムが作れるようになるはずだ。」
「さすがダンギだ!鍛冶スキルがあるだけあるな。だけど半分だけ正解だ!」
「何っ?半分だけだと?!」
「主殿は何を作るつもりなのだ?」
「ただのゴーレムだと護衛には使えないだろ?まあ、後は内緒だ。くくくくっ!」
「「主殿はホントぶれないのう・・・」」
そして、ケンジはマイとギル、プリム、システィナにスライムの素材であるスライムゼリーを頼むのである。
「マイ、申し訳ないがギル達を連れてスライム討伐に行きスライムゼリーを大量に取ってきてくれないか?」
「ケンちゃんスライムゼリーなんか今いらないでしょ?何に使うの?」
「前に言ってた護衛で使うんだよ。」
「「「スライムゼリーを護衛に?」」」「主は何を考えているのですか?」
「まあ、出来たらのお楽しみだ。」
スライムは沼地や湿地帯に多くいて初心者冒険者でも楽に討伐できる魔物でギル達が奴隷で無かったらマイに頼む必要はないが奴隷は町の出入りを主人なしではできないので知り合いであるマイに頼むしかないのである。
そしてムーア達が攫われた日から2週間が経ったある日、リューガ男爵が釈放されるのである。そこにはムッシュと呼ばれていた執事が馬車で迎えにきてリューガ男爵はムッシュにいつまで待たせるんだ!と怒鳴りながら
馬車に乗り込む姿があった。
「ったくあのケンジとやらあいつのせいで釈放に莫大な金がいったわい!」
ケンジの予想通りリューガ男爵は賄賂を使い刑期の期間を大幅に短縮させて釈放させたのであった。
「ムッシュ!手筈は整っているか?」
「は、はい!闇ギルドに依頼を出したのですが、あの店には独自の結界魔法が使われているらしく手出しができない模様。ケンジやあの獣人を暗殺するには時間がかかるようです。」
「なんだそれは!独自の結界?闇ギルドが難色を見せるほどとなれば王城クラスじゃないか?」
「闇ギルドの報告からは王城の方が簡単らしいです・・・」
「たかが平民の店や家がか?いったいどうなっておるのだ?」
「それで闇ギルドからの請求なのですが・・・」
「何が言いたい?」
「あいつらに手出しするのはやめたほうが良いとの忠告です。もし、依頼を出すと言うなら最初に提示した金額の10倍出して貰わないと割が合わないということです・・・」
「じゅ・・・じゅ!十倍だと!!」
「本来なら十倍払ってもらっても闇ギルドは関わりたくないそうでリューガ男爵には日頃の付き合いがあるから受けるそうで別の方なら断っているとのことです。」
リューガ男爵はその言葉が信じられなかったのである。金さえ払えばどんな犯罪行為も恐れないと言われた闇ギルドが忠告を入れてきたのである。
それもそのはずでリューガ男爵はたかが平民が人気商品を開発しそれを売っているだけだと思っているが闇ギルドでは要注意人物としてケンジをマークしていたからである。
ケンジはこの2年Fランク依頼を数多くこなしていたが、初の上級ダンジョン攻略者としてでも有名であり、今は滅多な事では冒険者達は潜らない超級ダンジョンを起点に活動しているのである。
そんな人間に闇ギルドは喧嘩を吹っ掛けようというのである。いくら金を貰おうと尻込みをしてしまうのは無理もなかったのである。
出来る事ならドラゴンの逆鱗には触れたくないのであえてリューガ男爵が払えるか払えないかギリギリの値段を提示したのである。
これによりケンジ達は闇ギルドからの脅威はなくなったのである。そう闇ギルドの情報は間違っておらずその金を払うとリューガ男爵は何もできなくなってしまうからである。
「ムッシュ!私的兵団を!」
「御屋形様!それはおやめください。あの集団を動かす事は御屋形様だという事がばれてしまいます。」
「えぇ~い!うるさい!お前は儂の言う事を聞いておればいいのだ!」
「あんな平民の為に何で儂が遠慮しなければならんのだ!平民は儂ら貴族の奴隷で儂ら貴族は選ばれた民なのだ!」
このことがリューガ男爵をさらにイラつかせて没落の階段を下りていくことになるのであった。
一方ケンジ達の家ではケンジの作っていたものが完成したのだった。
「みんな集まってくれ新しい家族を紹介したい!」
みんなはケンジが紹介した人間を見て唖然となるのだった。ケンジの紹介したのは18歳くらいの女性でこんなに美しい女性は見たことがないのであった。
見た目は18歳くらいで金髪でスタイルも出るとこは出て引き締まる所は理想的な筋肉で引き締まっているのである。
「ケンちゃん・・・この女性は誰なの?工房で作っていたのってこの人が使う武器?」
「いや違うよ。俺が作っていたのはこの女性だよ。」
「「「「「はっ?・・・・」」」」」
大広間にいたマイたち全員が目が点になり思考回路が止まってしまうのだった。
「主殿!これがゴーレムなのか?」
「「「「えええええ~~~~~~!」」」」
「ああ、そうだ!苦労したぞ。」
「じゃあケンちゃんはこのゴーレムを作るのに2週間かけたの?」
「ああ、そうだ!」
「ご主人様・・・悪いですがこれは失敗だと思います・・・ゴーレムとは簡単な事しか
命令できないかと・・・例えば店の前だけ見張りをせよとか町なら門番のかわりとか・・・」
「そうだよ・・・ケンちゃん・・・ミナレスやティアナとかの護衛でついていき護衛させるのは無理なんだよ。」
「あのなあ・・・セバス、マイ、俺がそんなことわかっているに決まっているだろ。この一華がただのゴーレムなわけないじゃないか。」
「ホント失礼しちゃうわ。」
「ゴーレムが喋った?」
「わたしの名前は一華です。どうぞよろしくお願いします。」
マイたちは何が起こっているのか全然わからないでいたのだった。
「主!こいつはホントゴーレムなのか?」
「マードック!ゴーレムじゃなくて一華と呼んでやってくれ。」
「ああ・・・そうか・・・イチカさんよろしくお願いします。」
一華はまるで人間のように微笑みゴーレムとは思えなかったのである。
「一華は機械だがそれを超越した存在といってもいい。それを可能にしたのがこの内蔵されている神鋼魔石を使っているところなんだよ。」
「神鋼魔石を使ったのですか?」
「ああ、エネルギー源は従来通りSランクの魔石を使っているのだが神鋼魔石は別の用途で使っているんだよ。」
「いったい何に使っているの?」
「神鋼魔石は何でも吸収していくだろ?だから知識と経験の2つを吸収していくんだよ。」
「え?それってもしかして・・・」
「マイならわかるだろ。前の世界で言うなら人工知能を搭載したアンドロイドだよ。」
「ケンちゃん!それ凄いよ!凄い発明だよ!」
マイは興奮していたが他の者は何が凄いのか解らないでいたのである。
「主殿聞いていいか?何がどのようにすごいのだ?」
「つまりだなゴーレムが生まれたらそれで終わりだが一華の場合は人間の赤ちゃんと同じように成長し色んなものを経験し知識を得て自分で活動できるんだよ。当然剣術を覚えたいと思ったら剣術を覚え格闘を覚えたければ経験として吸収していくんだよ。」
「「「「・・・・」」」」
「まあ、ゴーレムなので魔法は使えないんだけどな・・・」
「だけど、骨格など拳にはヒイロカネ、アダマンタイト、オリハルコンを使っているから相当丈夫で皮膚にはスライムゼリーを加工し様々な抵抗を付与しているからここにいる人間でもトップクラスに強いと思うぞ。」
こうして一華とゆうゴーレムが家の管理をしている奴隷の護衛役ができたのである。これにより戦闘能力のない者が買い出しに行くときにはいつでも護衛役としてついていくので安心になるのだった。
余談ではあるが一華という名前は一番目に作ったゴーレムということでこの後、2号機3号機が作られていくのは当然の話である。
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