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第5章 遂に始動!
7話 貴族③
しおりを挟む一方、暗い部屋のような所にムーアとムースは閉じ込められていたのである。ムーアとムースは二人抱き合い寒さから身を守り、地下牢のような所の隅で固まっていたのだった。
カツン・・・カツン・・・と足音のような音が辺りに響くのである。
「ひさしぶりだな!お前達には昔、楽しい食事時を台無しにされて、腕と尻尾を切ったはずなのにどうやって治したんだ?」
地下牢の暗がりの中、ランプの明かりにいやらしく笑ったリューガ男爵の顔が照らし出されるのであった。
「こ、こんなことをしてタダですむと思っているのですか!」
「ああ、わしは貴族だから奴隷をどう扱おうが許されるんだよ!」
これは間違いである。奴隷は契約した主の物であり資産なのである。たとえ貴族でも他人の物を攫えばそれは窃盗であり犯罪なのである。
ただ一部の貴族は自分の犯罪を隠す為金を払い逃れる人間もいるのである。
「そんな事より質問に答えろ!どうやって治したのだ?」
「「・・・・」」
ムーアとムースはケンジとの約束でしゃべることはしなかったのである。この行動がリューガ男爵の癇に障るのである。
「貴様等!しゃべらんか!しゃべらんとどうなかわからんのかぁ~~~~!」
リューガ男爵は二人の態度に腹が立ち牢屋を杖でガンガンと叩き散らすのであった。
「「・・・」」
「そうか!お前等主からその辺りの事を言うなと命じられているんだな。」
ぐはははははは!とリューガ男爵は大笑いしたと思ったらムースだけ手を引っ張り牢屋から出そうとしムーアはそれを阻止しよとムースの腕を引っ張り抵抗したのだが、男爵のまわりには屈強な男たち5人もいてムーアは牢の中に蹴られ一人取り残されるのだった。
「さてお前!名は何と申す。」
「ムース・・・」
「そうか!ムースと申すか。」男爵は男たちに命令をしてムースを壁向きにムースを鉄の手錠で手足を固定させるのだった。
ムースはいわれようのない恐怖に手足をジタバタさせて抜け出そうと試みるが当然のごとく抜けだす事はできない。それを見てムーアはやめて!と大声を出す事しかできないでいるのだった。
「何をするつもりですか!」
「お前らが悪いんだ!ワシの質問に答えないからな!だから罰をあたえてやろうとおもってな。男爵は持っていた杖を柄の部分を握りスライドさせると刀身が現れるのだった。この杖は仕込み杖で刀身がランプの光で反射し怪しく光るである。
「やめてぇ~~~~!殺さないで!」
ムースは恐怖のあまり大声をあげガクガクと体が震え手足をジタバタさせ抵抗するが手錠で固定されていてどうあがいても抜け出すことが出来ずどうしようもなかったのである。
「やめて~~~!妹を殺さないで!」
ムーアはその後景を見て叫ぶことしかできないのである。
「安心しろ!奴隷でも殺してしまったらわしは殺人罪になってしまうからな殺しはしない!」
そういいながら男爵はムースの尻尾を握るのである。
「ま、まさか!やめてください!尻尾をまた!」
「やめてぇ~~~~!お姉ちゃん!助けて!たすけてえ~~~!
ムースは手足をジタバタさせ抵抗し、ムーアは鉄格子を握り前後に揺さぶり二人で大声を出すが男爵はその二人の姿を見てニヤニヤ笑いながら仕込み杖を振り下ろすのだった。
ズパッ!
「きゃああああ!」
「ムースぅ~~~~~~~!」
ムーアは涙を流しムースの名前を呼ぶが手が届かない!ムースの短くなった尻尾からはおびただしい血が流れているのである。
「このままでは出血多量で死んでしまうかもしれないなあ・・・」
「ムースぅ~~~~!ムース~~~!」
「お姉ちゃん・・・いたいよおお!痛い!」といいながら気を失いガクッと手錠にぶら下がる感じで気を失うのだった。
男爵は下級ポーションをムースの尻尾に振りかけると尻尾の傷口はふさがり出血が止まるのだった。
「危ない!危ない!奴隷は死んでもいいが殺人罪になるのは勘弁だからな。」
「男爵!なんでそんな酷い事を!」
ムーアは男爵を睨みつけ涙を流しながら鉄格子をにぎりしめるのである。
「ひどい事?お前らが喋れないのがいけないんだ!その罰をあたえただけちゃんとしゃべれば妹もこんな目には合わずにすんだのだ。」
「まあ、お前らはこのままここにいて、せいぜいわしの役に立ってもらう事にするよ。」
男爵はムースの手錠を外し牢屋の中に放り入れるのだった。ムーアはムースを抱きかかえ気絶し動かないムースに何回も謝るのだった。
リューガ男爵はその二人をみて笑いながら部屋に戻ろうとしたがムースの尻尾を握っていたことに気づき足を止めた。
「オッと忘れものだ。」
「それとお前たちはここに残りこいつらをちゃんと見張っているんだ。」
「なあ、親方様!こいつらを弄んでもいいか?」
「お前ら・・・こいつら獣人だがそれでも犯るつもりなのか?」
「ああ!俺ら何でもいいから犯りてえ!」
「まあ、別に構わんが、もう少し待ってろ!あいつ等から商品を手に入れるまで手出しをするな!」
「じゃ、商品を手に入れたらいいのか?」
「ああ、その時は好きにしてもかまわないぞ。」
男たちはその言葉を聞きヒャホウ!やグヘへへとムーア達をヤラシイ目で撫でまわすように見つめるのだった。
リューガ男爵はムースの尻尾を二人の閉じ込められている牢屋に尻尾を投げ入れ、ムーアはすぐにその尻尾を拾い上げ立ち去るリューガ男爵を睨みつけるしかできなかったのだった。
一方こちらはケンジ宅、重苦しい雰囲気が家中に漂っているのだった。すると、セイラの持っていた女神像が輝き始めたのである。
「きゃ!なな、なに?!」
すると女神像が女神像サイズの小さなクローティアになるのだった。
「ティア!」
この一年ケンジはクローティアとコミニュケーションを取り続けケンジは二人で交信しているときはティアと呼び捨てできるまでの間柄になっていたのである。
この女神像は一方通行のようなもので映像が流れているようでクローティアは途切れ途切れ雑音交じりで話していたのだった。基本クローティアは自分から世界の事に口出す事は出来ないので神力を使ってもこれ位しかできなかったのである。これはケンジとの日頃のコミニュケーションの賜物でありケンジがいたから出来る事であった。
「ケン・・・ジ・・・君・・・世界 地・・・図 ムー・・ア をサー・・・・」
といったところでクローティアは伝言だけ伝えることが出来、女神像の光は途絶え普通の女神像に戻るのである。
「ご主人様!いまのはいったい・・・」
「ケンちゃん!クローティア様からの伝言じゃない?なんて言ったかわかった?」
「聞き取りづらかったけど何とか分かったよ。焦りすぎててスキルの事を忘れてた・・・」
ケンジはレアスキルの世界地図を展開しムーア、ムースの位置をサーチするのだった。するとムーア達の反応が町の寂れた所にある場所に反応があるのだった。そしてケンジはクローティアに感謝するのだった。
「わかった!ムーアとムースは町のはずれの廃墟にいるぞ!」
ケンジはギル達護衛メンバーをギル、システィナ、マードック、セイラ引き連れ、マイとプリム、オリヴィアは屋敷の守護を頼む。セバスには衛兵に通報する様に指示を出すのであった。
「ケンちゃん!あたしも行きたい!」
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「え?あたしもムーア達が心配・・・」
「それはわかるが俺達が居なくなったら戦闘できるものが居なくなるしプリムとオリヴィアと一緒にここを守ってくれ!結界はあるが何が起こるかわからないから頼むよ。」
「マイにしか頼めない事だからたのむ!」
ケンジはマイの瞳を見つめて真剣にたのむのだった。
「うん・・・わかったわよ・・・ただし全員無事に帰ってきてよね。」
ケンジは安心したように頷きギル達と一緒にムーア達が囚われている廃墟に向かうのだった。
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