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第3章 ダンジョンへ!

25話 哀れな奴ら!

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 テントの中でくつろいでいた時、ケンジの世界地図に赤い点灯が複数出たのだった。見張りをしているギル達にそのことを知らせるケンジだった。

「ギル、気をつけて!」

「主、私もわかってます。」ギルもレベルが上がり索敵能力が格段とあがり戦闘準備に入っていた。

「マードック、システィナ注意しろよ俺が合図を送ったらソングとダンススキル頼む。」

「ああ、ギルわかってるよ!」

「プリム一旦会話を試みるが話が通じず相手が15mに近づいたらあれを頼む!」

「ええ!わかったわ!」

 このダンジョンでプリムは更に成長し凶悪なスキルが派生したのだった。この奇襲でそれを試そうとしていたのだった。そしてギルが15mと言ったのはケンジの【サンクチュアリ】魔法の効果範囲が10mの為余裕を持って
15mと言ったのだった。

 

 一方奇襲を仕掛けようとしている人物は8人。ケンジ達がダンジョンを後にしたと情報を得ることに成功し8人の都合よく夕方にもかかわらず簡易村で泊まらず町に帰ると聞き喜ぶのだった。
 その8人とは【ウィンドーウルフ】の現パーティー6人と元パーティーメンバーのストームとムーアだったのだ。新しく入隊した2人は関係ないのだがこの二人は前からケンジの奴隷が欲しかったのである。奴隷なのに健康的で艶やかな感じでいつも目で後を追っていた位気になってしょうがなかったのだった。

「なあ、ホントに協力をしたらあのエルフがもらえるのか?」
「俺はあのダークエルフを!」

「ああ、そんな奴隷ならいくらでもくれてやるわ。」

「おいおい!ムーア。あの奴隷一人でも売ったら凄い金が手に入るんだぞ。」

「いいじゃない!2人ぐらいあげても、まだ4人いるでしょ。それを奴隷商に売ったらいいじゃない!」

「でも、気を引き締めていけよ。あいつらは初級ダンジョンも攻略した様なやつらだからな!」

「ああ、リーダーわかってるよ。俺とムーアはケンジとかゆうやつを殺せれば満足だからな。」

「俺もあいつらは許せねぇ!せっかく俺らはAランクの依頼もこなせる様になってたのにあいつ等のせいでストームとムーアを追放しなくちゃいけなくなって大迷惑をかけられたんだからな!」

「リーダー!だからこそケンジとゆうやつを殺し損害賠償のかわりに奴隷を手に入れてそれを売れば後の人生遊んで暮らせるんだろ。」

「ああ!そうだ。みんな気を引き締めろよ!」

 そんな理由でケンジ達は襲われることになっていたのだった。はたから聞くとどんだけ理不尽な事を言っているのかウィンドーウルフのメンバーは自分の欲望に忠実で盲目になっていたのだった。


 そしてケンジ達を襲ったことを後悔するのも時間の問題となる。



「いいか!みんな足音をなるだけ立てずに移動し奇襲するぞ。」

 ウィンドーウルフのメンバーはケンジ達をなめていたのだった。これは無理もないかもしれないが、マイマールしか戦闘で役に立たないと思っていて、ケンジは単なる生産者、後は普段身の回りの世話をし何かあった時の囮用の奴隷と勝手にそのように思っていたのだった

「ちょっとまちなさいよ。何で貴方たちはそんなに脳筋なのよ。突っ込むだけじゃやられるわよ。」

「じゃどうすんだよ。」

「何のためのパーティーよ。まずは貴方、防御魔法をみんなにかけて。」

「あんな奴らに防御魔法なんかいるのか?攻撃魔法で充分だろ?」

「いいから言う通りにしなさい。そしてアーチャーの貴方と魔法使いの貴方は反対方向から、あたし達が攻撃に移ったら攻撃をしなさい。」

「ああ、わかったよ。ムーアの言う通りで今まで俺達は生き残ってきたんだから指示に従うよ。」ウィンドーウルフのリーダーは何か嫌な予感がしたのかムーアの指示に従う。


 ムーアの指示はこうだった、先ずリーダー(騎士)と戦士、魔法使い、ローグ、ストームのパーティーで連携を取り奇襲し、隙を見て私達第2パーティーが奇襲する。

「いいわね!絶対に一人走りしたらいけないわよ。10分後に作戦開始!リーダーよろしくね。」
 そう言いながら、ムーアはウィンドーウルフに新しく入った2人を連れて暗闇に消えていくのだった。



 「そろそろか・・・みんな気を引き締めろよ!」
 リーダーは10分経ったのを見て行動を開始した。リーダーのパーティーはのんびりしているように見えるケンジ達のテントに忍び足で近づき突入を図ろうとした。

 



 一方ケンジはサーチした時、ギル達だけで充分だと判断しテントに入り休んでいた。ケンジがテントに入る際油断だけはホントにするなと釘を刺しテントに入るのだった。

「おい!そこに隠れている奴出て来い!」
 ギルが手はず通り声をかける。リーダーはまさか奴隷が自分たちに気づいているとは思っておらずギョッとするのだった。

「おい・・・リーダー気づかれてる・・・どうするんだ・・・」
 ストームも驚いてリーダーの指示を待つのだった。

「計画通り奇襲するぞ!」
 リーダーが率いる第一パーティーはギルに気づかれて焦ったのか、何も考えずソードを抜き、ギル達に斬りかかるのだった!

「プリム!盗賊だ。」

 プリムは奇襲されたのを見てバルキリーになった最初のアクティブスキルを5人に向けて放つのだった。



 プリムは頭上でハルバードをバトントワリングのように回転させ「フワァールウィンド!」と叫ぶ!

 【フワァールウィンド】
 バルキリー(槍戦士の上位職)で最初に覚えたアクティブスキル。
このスキルはバルキリーになれただけでは派生しなくてバルキリーに
なれた者に風魔法属性がないと派生しない強力な攻撃スキルなのである。
 槍を回転させ風の魔力を乗せることで旋風陣を相手にぶつける範囲攻撃
なのである。その範囲に入った攻撃対象はウィンドカッターでダメージは
小さいながら無数に浴びせられ上空へ舞い上がらされる。
 そして、恐ろしいのが巻き込まれた者に浮遊魔法が無い場合、
上空数十メートルからの落下である。
 この世界ではHPで耐えることは可能かもしれないが大抵は死亡
もしくはHP一桁になるのだ。




 リーダー率いる5人は旋風に巻き込まれ、何もできずに上空へと舞い上がり次々に地上へと叩きつけられてしまったのだ。
 こっちにも魔法使いがいて自由落下を弱めるレビテートがあったのだが旋風陣の中で巻き起こるウィンドカッターでなます切りにされ早々に絶命するのであった。上空から落ちて助かったのはリーダーとストームだけであった。防御魔法のおかげでHPが残ったのだった。

 それを見たムーアがプリムに【パラライズ】をかけ奇襲するがケンジのサンクチュアリの効果で魔法の効果を弾くのだった。それを見た仲間は弓矢を放つのだがレベルが足りないのか見えない壁に突き刺さり貫通しないのである。そして魔法使いは【ファイヤーボール】を放つのだがこれも見えない壁に邪魔をされるのだった。

「くっそ~!なんだあの技は!」
 リーダーとストームは足を引きずりながらその場から逃げ出そうとしていた。

 ムーア率いる第2パーティーはストームたちがどうなったのか解らず攻撃の手を緩めず奇襲をしたのだが一切通じず逃げ出そうとしたが、時すでに遅し、システィナのバードスキル【沈静化】で動きを封じ込められ範囲版のパラライズで麻痺してしまいその場で縛り上げられるのだった。

 リーダーとストームも生き残ってはいるが手足は折れ無残な姿で縛りあげられるのだった。そしてギル達によってケンジの前に突き出されてしまうのだった。

「まさか、ホントに襲ってくるとは思わなかったよ・・・」

 生き残った5人は縛り上げられ猿轡をされ喋ることも許されない状態で
運ばれることになるのだ。

「あの時のことは忘れて一からやってればこんなことにならなかったのに犯罪奴隷に落とされるのはどんな気分だ?」

「「「「「うう~!ぐうう!ゆぐううううう!(俺達が悪かった・・・許してくれ・・・」」」」」

「何言ってるかわからないが諦めな!」
「ギル、こいつらのギルドカードを!」

「うぐううう!わぐ・・・」5人は必死に抵抗するがギルドカードはケンジの元に渡されてしまったのだった。裏面を見ると強盗と記載されているのがわかる。死んでしまった3人は強盗に失敗死亡と出ていたのだった。

「それにしても、ご主人様のサンクチュアリってすごいですね。」

「まあ、あいつらが弱すぎなんだよ。」

「いやいや、ケンちゃんが異常なんだよ。」

「そうですよ!普通5階位魔法なんて唱えることが出来る人なんて宮廷魔道師ぐらいしかいないんですよ。」

「それもケンちゃんのレベルが壮絶すぎてケンちゃんの半分のレベルまで全ての攻撃を封じるって人間は誰も攻撃方法がないじゃない・・・」

「そうですよ。時々私達の護衛って必要?って思う事がいっぱいありますもんね・・・」

「まあ、オリヴィアそういうなって。護衛はその時だけじゃないだろ。俺は採掘の時だってみんなの護衛をありがたいと思ってるよ。」

「みんなはまだ護衛って立場で真っ先に動いてるけどあたしなんて完璧に居候みたいなものよ。まあ、安全に依頼をこなせてありがたいんだけどね。」

「でも、プリムも新しいスキルを覚えて頼もしいよな。みんなもこれからドンドンレベルが上がって新しい強力なスキルを覚えるとおもうぞ。」

「でも、どんなスキルを覚えれるのか不安ですよ。」

「俺は取り敢えずセイラが早く魔法使いの魔法のヘイストの効果と一緒の神聖魔法を覚えてほしいかな?」

 このケンジが言った【ヘイスト】とはかけた対象のDEXを引き上げ攻撃回数を10分間4倍にするとゆう魔法なのだがこの魔法は強力過ぎる為デメリットがあるのだ。この魔法をかけられた対象は効果時間が過ぎた後24時間全身筋肉痛になりまともに動けなくなるのだ。
 ヘイストは無理やり潜在能力を引き出し体を動かすものであり体に相当負担をかけるので最後の賭けに出るときにしか使えないのである。

 一方ケンジが言ったセイラが覚えるヘイストの効果を持った神聖魔法は20分間攻撃回数を2倍すると言うものであり、ヘイストは4倍でこちらは2倍だが倍の時間動けるとゆうものである。そしてなんといってもデメリットが存在しないのである。

「そんな魔法が存在するのですか?」セイラは驚き目を丸くするのだった。

「まあ、まだまだ先だけどな。レベルにして56レベルにならないと派生しないけどな。」

「56レベル・・・」
 セイラはやっとのこと上級職になったばかりでレベルはまだ41だったので、相当頑張らないといけなかったのだ。

「そんなに気を落とすことないよ。これから中級ダンジョンに潜るんだから魔物も強くて経験値も大量に入るしな。」

「みんなも気を落とさず頑張ればプリムのような強力なスキルが派生するからがんばれ!」

 ケンジの言葉にギル達は頑張ろうと心に誓うのだった。次の日、陽が上り朝目を覚ますとギル達はせわしなく朝食の準備をしていたのだった。
 リアカーにはウィンドーウルフのメンバーが乗せられており何とか逃げ出そうとしていたのだがきつく縛られていたおかげで逃げられず体力が尽きて泥のように眠っていたのだった。

「それじゃご飯を頂こうか。」
 周辺には美味しそうな匂いが漂い、その匂いにウィンドーウルフのメンバーが次々に目を覚ますのだった。

「「「うううう!づうぅううでえ・・・」」」

「何言ってるかわからねえよ。」とマードックは肉串を持ちながら側によるのだった。
「まあ、大方腹が減ってるんだろうけどお前達の分はねぇよ。」

 そういいながら朝食を平らげるのだった。ケンジは周辺の片づけをし、サンクチュアリを解除し町に向けて出発したのだった。

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