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第3章 ダンジョンへ!

1話 新たな力の一歩!①

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 セバス達が、仲間になってから早、半年の月日が経ったある日のこと、ケンジが晩飯を食べながらみんなに話しかけるのだった。

「みんな、そのまま食べながらでいいから俺の話を聞いてくれないか?」

 その言葉に食事している手を止めて、ギルスレイン達はケンジの話を黙って聴くのであった。

「このテンペの町に来て半年たったんだけど、遂に採掘が今日グランドマスターになったんだ」

「主、おめでとうございます」

「それでだな、採掘の場所を明日からダンジョンに変えたいと思う」

「「おおお!遂にダンジョンに向かうのですか?」」

 ギルスレインとマードックが嬉しそうに、ケンジの言葉に反応するのであった。

「ああ、この半年頑張って、ランクもDランクになってるしな。初級ダンジョンも、無理なく潜る事が出来るようになってるし問題はないと思う」

「ケンちゃん、あたしもついて行ってもいい?」

「ああ、そのつもりで冒険者ギルドの、依頼を受けてくれたらいいよ」

「主、何階層までいくつもりですか?」

「ああ、初級ダンジョンは30階層だったからな。とりあえずは、10階層の中ボスモンスターまでいくつもりだ」

「え?中ボスを倒すのですか?」

「とりあえずだけどな……多分、みんなでかかれば30階層のボスモンスターも行けるんじゃないかと思っていて、10階層で様子見ていけそうなら、初級ダンジョンを攻略してもいいんじゃないかな?」

「でも、ご主人様は採掘を目標にしているんですよね?」

「その通りだけど、まず10階層で採掘をできるだけするつもりで、みんなにはその間、周りの注意や護衛をしてもらいたんだ」

「なるほど!わかりました」

「そこで、ミスリル鉱石を十分に手に入れる事と、その際に魔物も襲ってくるだろうから、魔物の素材を手に入れる事が目的だ」

「そうなると、ご主人様。何日ぐらい潜られるのですか?」

「セバス!良い所に気がついたな。3週間を目途に潜るつもりだよ。それで、セバス達には家で留守番をしてもらうのだが、その間の金と食材を預けるから留守を頼むよ」

「はい!おおせのままに」
「「「「気をつけて行ってらっしゃいませ」」」」

「ああ、だいじょうぶだよ。行くのは初級ダンジョンだしね」

「ご主人様。そんな長い間ダンジョンに潜るとなると、明日は準備でいいのですか?」

「プリム、その辺ももうやってあるから、明日から出発だよ」

「はい。わかりました」

「だから、みんな明日に備えてちゃんと眠らないと駄目だからな」

 
 ケンジはそう言って、みんなに促したのだった。この半年で、スキルが成長したのは、ケンジだけではなかったのだ。
 ギルスレインをはじめ、みんな主要なスキルを、もうすぐ100.00にする事ができるまで頑張っていたのだった。
 ケンジは、この3週間で全員グランドマスターになれるはずと予想し、ケンジが思うにギルスレインをはじめ、みんな上級職になれると思っていたのだ。

 みんなが、上級職になる事が出来れば、次からは中級ダンジョンにもいけるだろうと思い、ケンジはワクワクするのだった。ワクワクしながらケンジは、晩御飯を食べたら部屋に戻り、すぐさまベットに潜り込むのだった。




 次の日の朝、ケンジ達は意気揚々とした気持ちで、ギルドに向かうのだった。その際、セバス達にくれぐれも無理はなさらぬようにと注意されるのだった。

「セバス、そんなに心配しなくてもいいよ。今回は初級ダンジョンだし、余裕で帰ってこれると思うから」

「ご主人様!その油断が命取りになるのです。私も昔、若い頃はいい気になり、油断をしてしまった経験があるのです。まさか、自分がと思ってももう遅い時もあるから、本当に油断だけはされないようにお願いいたします」

「う、うん。セバスわかったよ。ちゃんと気に留めて行動する事を誓うよ」

 その言葉を聞き、セバス達は安心するのだった。



 そして、ケンジ達は朝食をすませ、ギルドに向かうのだった。マイマールは冒険者ブースに、ケンジ達は生産ブースに分かれて、掲示板で依頼を選び受付を済ませるのだった。

「ケンジ様、おはようございます。今日は、どのような依頼をなさるのですか?」

「ああ、今日からダンジョンに場所を移そうと思って、この3つの依頼をお願いします」

Cランク依頼  
内容   ミスリルインゴット 5個納品
報酬   ミスリルインゴット1個  100万ドゴン
納期期限 なし

Dランク依頼
内容   シャドーウルフの毛皮 10匹分
報酬   シャドーウルフの毛皮一頭分 1万ドゴン
納期期限 1か月

Cランク依頼
内容   月光草 10本1セット 100本まで!
報酬   月光草 1セット 10万ドゴン
納期期限 1か月

「ケンジ様も、とうとうダンジョンにいかれるのですか?ってことは、採掘がグランドマスターに?」

「ああ、やっと昨日なる事ができたよ」

「やっとって……普通は、そんなに早くなれるとは思いませんが……」

「だが、ちゃんとなれたからミスリルを持って帰ってくるよ」

「ですが、ダンジョンは危険ですから、ホント気をつけてくださいね。ケンジ様の護衛は奴隷達が?」

「ああ、6人全員と、冒険者のマイが同行する事になってるよ」

「ああ、マイ様ですか。それなら安心ですね!」

 ケンジは、ギルスレイン達が軽視されている事に少し不満に思ったのだが、しかたないと諦めるのだった。
 マイマールも、この半年頑張ってランクをCまで上げていたのだった。Cランク冒険者と言えば、もう一人前で下の者からも尊敬され、色々とアドバイスをする事ができる存在なのだ。

 しかも、マイマールは冒険者同士でパーティーは組まず、ソロでCランクまで上げた実力の持ち主と、世間では思われていたのだった。しかも、ケンジ達と行動はしていた為、護衛を一人で受けていると思われていたので、さらに冒険者達から尊敬されていたのである。

「それと、ケンジ様は今回初めて納期期限のある依頼を受ける為、本当に注意してくださいね。」

「ああ、わかってるって!」

「一日でも納期が過ぎてしまったら、違約金として報酬の5割を収めなければならないのですよからね」

「うん。それは怖いけど大丈夫だと思うぞ」

「ケンジ様は、DランクですからCランクの依頼まで受けれますが、Cランクの依頼から報酬値段が一気に上がりますから、払えなければ奴隷落ちも考えられますからね!今回の納期期限があるのは、月光草とシャドーウルフなのでまだ安心ですけど注意してください」

「うん、わかったよ。余裕をもって行動する事にするから」

「はい。ではギルドカードをお返ししますね。気をつけていってらっしゃい!」

 ケンジは、受付嬢の丁寧で親切な説明を受けて送り出されたのだった。ギルド前で、自分の馬車でマイマールを待っていたら、ギルスレインが話しかけてきたのだった。

「主、今回の依頼が成功したら、生産ギルドのヒーローになれますよ」

「ん?どういう事だ?」

「主が受けた依頼のミスリルは、そう簡単に持ち帰れるものではないという事ですよ。それに月光草なのですが、この薬草もまた10本見つかったら良い方ですしね」

「だから、あんなに高額報酬だったのか!」

「でも、そんなに持ち帰られないものなのか?せっかく採掘したのに、持ち帰られないって勿体ないよな……」

「ええ、ダンジョンには馬車では入れないですしね。それにマジックバックの容量が、大きいものでも2tぐらいまでですしね」

「たしかに、鉱石で2tなんて、すぐに容量オーバーになりそうだもんな……」

「でも、主はスキルで掘った分は持ち帰り放題です。ミスリルの含有量が、鉱石の中に少なくても関係ありませんからね」

「って事は、そんなに大量に持ち込んだら、価格破壊起こすかもしれないんじゃ……」

「たしかに、主が自重しなければそうなるでしょうね……」

 ケンジは、ギルスレインに言われたのでミスリルも納品分だけにして、後の分は自分達の武器や防具に使おうと思うのだった。

「ケンちゃんおまたせ!依頼をうけてきたよ」

「それじゃ出発しようか!ギル、プリム馭者をたのむよ」

 この半年の間で、馬車は改良されて、この世界の馬車ではあり得ないくらい、乗り心地の良いものになっていたのだった。
 ケンジは、鍛冶のスキルも上げていたので、馬車の台座の部分にスプリングをいれ衝撃吸収を大幅にあげて、車輪にも青鋼鉄を使い強度を増し、車輪にはベアリングとスライムの素材でタイヤを作り馬車の速度があがり、快適な旅ができるようになっていたのだった。

「ケンちゃんの馬車って、ホントスピードがあっても、全然揺れないからいいよね」

「っていうか、この世界の馬車が揺れすぎなんだよ……土台部分も全部木造だし、あれじゃスピードも出せないよ」

「それに、馬車に設置されている、このソファーもいい具合だしね」

「この旅でミスリルが手に入るしな、ミスリルは加工しやすくて軽く丈夫な金属だからな。さらに馬車も乗り心地が良くなると思うぞ」

「ええ!ご主人様、ミスリルを馬車にお使いになるつもりですか?」

「あぁ!オリヴィアそのつもりだよ。先にみんなの、武器や防具に使うつもりだが、それでもミスリルが余ると思うからな。いろんなものに使って快適になるように生活品に使おうと思っているよ」

「ケンちゃん、ミスリルって普通余らない物よ……」

「いや……だって、世間にミスリルを大量に放出させるわけにはいかないだろ。その結果、余らすのは勿体ないからな……自分達の生活水準を上げるしかないじゃないか」

 それを聞きながら、馭者をしていたギルスレインとプリムはケンジの異常さを苦笑いをしたのだった。そして、目的地の初級ダンジョンに向けて馬車を走らせるのだった。
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