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第2章 新たな国へ!

5話 テンプレ

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 マイマールにそのように言われた、ケンジはなんか腑に落ちない感じであった。ケンジの常識は、まだ地球でのものであって、こういった事はなんか違和感しかなかったのだった。
 しかし、マイマールには2週間ぶりに会ったとはいえ、この世界に生まれ転生した事により、この世界の常識が、普通で当たり前な事であったので、全然気にしてない様子である。

「ご主人様?どうかしたのですか?」

「ん……なんでもないよ……」

「ご主人様……マイマールさんの言動が、気になっているんですよね?」

「あぁ……なんか、俺の知っていたマイと違ってて、俺がおかしいのかと思ってしまってな……」

「この世界の常識は、ご主人様にはまだ受け入れられないですか?あたしはまだ2週間ぐらいですが、今までご主人様の行動に違和感がありましたが、ご主人様に買ってもらって良かったと思いますし、一生ついて行きたいと思いましたよ」

「システィナ……」

「だから、ご主人様もいきなり受け入れずに、徐々に慣れていけばいいと思いますよ」

「ありがとな……」

 ケンジは、システィナの頭を優しく撫でるのだった。

 マイマールは、受付嬢と話していて依頼の清算をすませて、嬉しそうにケンジのもとに戻ってきたのだった。

「ケンちゃんありがとね。癒し草の採取で、こんなに稼げたのは初めてだよ」

 マイマールは、嬉しそうにケンジの手を握ってきたのだった。マイマールの話によると、いつもは1日がかりで癒し草10本、2セットを見つけるのが精一杯だったらしいのだ。今回、ケンジに手伝ってもらった為、50本も見つける事が出来たのだった。

「いや……あれぐらいなら余裕だろ?」

「いやいやいや……さっきも言った通り、癒し草の見つけ方は木の根元を、いちいち確認しないといけないんだよ。ケンちゃんの探し方が異常なんだよ……だから、ホントに助かったんだからありがと」

「そっか!喜んでくれるなら良かったよ」




 ケンジとマイマールは、ギルドで楽しく話していた時、突然ケンジの後方から怒鳴り声が聞こえてきたのだった。

「おい!お前……マイちゃんと何!楽しく話してるんだ!」

 ケンジは、またかよとうんざりするのだった。ケンジは、相手するのも面倒くさいと思い、聞こえないふりをするのだった。
 マイマールは、ケンジの後ろを気にしてハラハラしていたが、ケンジは何もなかったように、マイマールと話し始めるのだった。

「マイ、今日の宿屋はどんなところなんだ?」

「おい!お前!なに、無視をきめこんでんだ!」

 ケンジは、うるさいなぁと思い無視を決め込んでいたのだが、周りの冒険者達やマイマールは顔を青くしていたのだった。
 それもそのはずで、この後ろで騒いでいる冒険者は、ランクこそCランクだが、実力はAランクともいわれているのだ。なぜ、ランクが上がらないかというのは、素行が悪く裏の世界でも顔をきかせ、犯罪に手を染めていると噂があるくらいなのだが、確証がつかめないので、冒険者をやっている厄介な冒険者なのだ。
 マイマールも、普段から付き纏われて困っていたのだが、どうしようもなくいつもやんわりと断って、逃げ回っていたのだった。

「マイ!ここはうるさいから、早く宿屋に案内してくれ!」

 ケンジは席を立った瞬間、後ろの冒険者から肩をつかまれるのだった。

「おい、貴様ぁ!いつもで、この俺を無視してるつもりだぁ!それに、俺のマイちゃんを、呼び捨てにしやがって何様のつもりだ!」

「だれが、お前のマイちゃんだ!おっさんが気持ち悪い事言うな!ストーカーかよ、お前は!」

 ケンジは、おもわず言い返してしまったのだった。それを聞いた、周りの冒険者達は厄介事が自分に降りかからないように、下を向きこそこそとしていた。

「あいつ、死んだな・・・」
「ああ、ガズンに怒鳴り返すなんてな・・・」
「あいつ、生産職だろ?いい気になりすぎだろ?」

 冒険者達は、ケンジの怖いもの知らずに呆れ果て、口々にケンジを馬鹿あつかいするのだった。



「貴様ぁ!良い度胸じゃねぇか!覚悟は、できているんだろうな!」

「何が覚悟だ!お前が、言いがかりをつけてきたんだろうが!」

 それを聞き、マイマールは顔を青くし、ケンジに耳打ちをしてきたのだった。

「ケンちゃんやばいよ……あの人はCランク冒険者だけど、実力はAだと言われているくらい強いんだよ……」

 ケンジは、それを聞きどれくらい強いのか、この冒険者を鑑定したのである。



名前   ガズン   
種族   ヒューマン            62レベル
職業   GM(グランドマスター)剣闘士   62レベル

ステータス
HP   1200
MP   850
STR  300
VIT  293
INT  250
MID  200
DEX  294
AGI  253
LUK   71

パッシブスキル
剣術   100.00
戦術   100.00
耐性   45.00 
治療   85.24
集中   90.75
解体   45.67
キャンプ 65.76
魔法   30.57

アクティブスキル
スラッシュ     剣気を前方に飛ばし、ダメージ1.5倍
2段突き      一瞬にして2撃与える。
パワーアタック   剣気を貯めダメージを3倍与える。
バトルチャンジー  HPが3割まで減った時一時的にステータスを全て
          3倍まで引き上げる。



 ケンジは、今まで見てきた冒険者よりも、剣術と戦術がGM(グランドマスター)で確かに強いと思ったが、自分に比べたら全然たいした事が分かるのである。

「おい!てめぇ……この俺様に、そんな口の利き方してタダで済むと思ってんのか!」

「その俺様の、お前の事なんて俺は知りたくもないし、関わってほしくないんだがな!」

「てめぇ!俺が大人しくしてたら、いい気になりやがって!」

 ケンジは、いつコイツが大人しくしてたのか疑問に思って、話が通じない本当に関わってはいけない人間だと認識し、席を離れようとするのだった。

「てめぇ!どこにいくつもりだ!逃げんじゃねえよ!」

 ガズンは、ケンジの肩を挑発する様に強く握るのだった。

「ふぅ、やれやれ……お前の為にも、何もしないで置こうとしてたんだがな……で、どうするつもりなんだ?」

「てめえ!いい度胸してじゃねえか!後で後悔してもしらねぇぞ!」

「壊れたスピーカーじゃあるまいし、怒鳴れば誰でも大人しくなると思ったら大間違いだ!」

「てめぇに決闘を申し込む!地下の決闘場にこい!ギタギタにしてやるぜ!」



 冒険者ギルドでいざこざがあった場合、決闘をし判決をきめるルールがあり、冒険者通しその場でルールを決めて決着をつけるのである。
 審判には、ギルドが関わり判定には従わなければいかないのである。例えば、相手の気絶・決闘のステージから落ちたら負けとか、厳しいものでは生死問わず、戦えなくなったら負けというのもある。
 そして、勝負には自分の大事なものを賭けなくてはいけなくて、勝負に勝った者はその賭けた対象物を貰えるのである。また、この勝負で相手を殺してしまっても、不運な事故と処理され、殺人者にはならず、犯罪者とはならないのだ。

 2人は決闘場におりて、ギルド職員に審判をお願いし、決闘場にあがるのだった。周りの冒険者は、ギルド開催のギャンブルを開き、冒険者達の殆どは、ガズンに賭けて盛り上がるのだった。

「ガズン様Cランク冒険者、ケンジ様Fランク生産者……えっ?生産職……ケンジ様、本当によろしいのですか?今なら、まだおやめする事も……」

 審判である受付嬢が、ケンジに忠告を与えるとガズンがニヤリと笑い、そうはさせないとばかりに大きな声で、受付嬢の言葉を遮るのだった。

 その時、周りの冒険者達は、ケンジが生産者と知り、ケンジに賭けてしまった事を後悔したのである。

「なんだよ……あんなに威勢がいいから強いと思っただろ!」
「金返せ!」
「あいつ生産者だったのかよ……」

 ケンジが生産者と知ると、客席から野次が物凄い勢いで出たのである。

 余談ではあるが、ギルスレイン達はちゃっかりケンジから貰ったお小遣いを、全額ケンジに賭けていたのだった。
後で、ケンジがその事を知った時、自分達がどうこうなるという時に、賭け事をするなんて不謹慎と怒られる事となるのを、ギルスレイン達はまだ知らない。

「おい!余計な事言ってんじゃねぇよ!こいつには、冒険者の礼儀を教えてやらなくちゃいけねえんだよ!なあ、クソガキ!今更、逃げれると思うなよ!」

「あぁ!お前も後で泣いても、逃げれると思うなよ!」

 受付嬢は、2人の気迫に飲まれて何も言えず、ルールの確認をするのだった。

「じゃあ、ガズン様は賭けの商品は、何を提出しますか?」

「ああ、どうせ俺の勝ちだし、全財産を賭けてやるよ」

「では、確認いたします。ガズンさんは、手持ちの財産100万ドゴンギルドで預かっている財産300万ドゴン、計400万ドゴンでよろしいですか?」

「ああ、だいじょうぶだ!」

「では、ケンジ様は何を賭けますか?」

「じゃあ、俺も……」

 ケンジは、400万ドゴンと言おうとしたら、ガズンがケンジの言葉を遮り無茶苦茶な事を言ってくるのだった。

「お前が負けた場合、その奴隷どもを賭けろ!どうせ、負けたら死ぬんだ!俺が女奴隷を可愛がってやるよ!男は売っぱらっちまってもいいしな!」

「ギル達を賭けろって?そんな事はしない!もし賭けたとしても、お前は400万ドゴンしか賭けないんじゃ、不平等だ!」

「確かに、ケンジ様の奴隷は綺麗ですし、400万ドゴンじゃ買う事も出来ないのでそれは却下です!ガズン様が負けた場合、借金奴隷に堕ちてその分のお金を補填するなら、ギルドとして認めます」

「ああ、それで大丈夫だ!どうせ俺が勝つだけだし、生産職が出しゃばるんじゃなかったな!あははははは!」

 ガズンは、ケンジが生産職だと思い、完全になめきっていたのだった。

「それじゃ、ケンジ様の奴隷の査定をはじめます。」

「ちょっと待った!俺は、まだ応じると言ってないじゃないか!」

「てめえ!逃げんじゃねえよ。それで決まりだ!」

「主!我々は主を信じます!気にしないでやってしまってください!」

 ギルスレイン達、皆にそう言われケンジは黙るしかなく、ギルドはギルスレイン達の査定をすませ、ガズンにこう告げるのだった。

「ケンジ様の、奴隷は健康状態も良く戦闘奴隷としてもレベルが高く、一人2000万ドゴンの査定で、6人全員で1億2千万ドゴンです。ガズン様には、足りない分の補填として、負けた場合1億1千600万ドゴンの、借金奴隷になってもらいます。双方文句ないですか?」

 それを聞きガズンは、あまりの高値に顔を青くしたが、自分から言いだした手前、強がるしかなかったのだった。

「なんで、てめえがそんな高級な奴隷を所持してんだ!どこかから盗んできたんじゃねえのか?」

「主は、そんな事はしない!我々廃棄奴隷になっていたところを、主に救われたんだ!いい加減な事を言うな!」
「「そうよ!」」
「いい加減な事言わないで!」
「お前なんか主に負けて奴隷になりやがれ!」

「黙れ!奴隷共!そんな事言って、お前達が俺の奴隷になった時分かっているだろうな!ギタギタにしてやるから覚悟して待っていやがれ!」

「「「「「「……」」」」」」」

 ギルスレイン達は悔しいが、ガズンの気迫に飲まれてしまい、黙ってしまうしかなかった。

「みんな!安心して良いよ。万が一にもコイツが俺に勝てる訳ないから!」

 ケンジの言葉を聞き、ガズンはより一層ストレスが貯まり、イライラしたのだった。



 そして、ギルスレイン達はケンジの笑顔を見て、今までの事を思い出しケンジの戦闘能力が、ガズンに越えれるわけないと確信したのである。
 



 ギルスレイン達が、なぜこんな高値がついたのかというのは訳があり、ケンジと共に戦闘職を上げていた為、レベルが急激に上がって、戦闘奴隷として使えるようになっていたのからだった。
 そして、ケンジがご飯も1日3食、それも奴隷食ではなく平民と同じ食事を与えていた為、体力もついていて何といっても女性陣は毎日※①【クリーン】の魔法を唱えてもらっており、スタイルは肉付きもよくなり、女性として見栄えが、知り合った時とは段違いに良くなっていた。
 その為、ギルドの査定した値段は最低値で、オークションにかけたら、2000万スタートでありどこまで値を上げるかわからないほどなのである。

「そして、勝負の決定方法は、相手のどちらかが生死をとわず気絶したら、負けでよろしいですか?ケンジ様は、特にガズン様を殺してしまえば、奴隷に堕とす事はできなくなりますがよろしいですか?」

「あぁ……それでかまわない!」

 ケンジは、こんな不利なルールをおしつけた、ガズンに腹を立てていた。

 一方、ガズンは自分を殺せば奴隷にさせる事はできないが、自分はケンジを殺してしまえば、マイマールと気安くしゃべっていた鬱憤をはらせるし、勝つ事であの美しい奴隷達を、好き勝手に扱えると妄想しているのだった。



 この勝負、普通ならケンジは相手を生かしつつ、勝負に勝利しなくてはいけなくて、分が悪いのだが全然気にならないのであった。ケンジは、魔法を使わなくとも、ステータスの差だけで勝ててしまうのである。

 その為、反対にケンジはガズンを殺さないように、どうやって手を抜こうかと考えていたのである。

*-----*-----*-----*-----*-----*

 この話に出てきた魔法

※①【クリーン】
光属性魔法   1階位
消費MP    5
詠唱速度    1秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間    一瞬
効果対象    1つの対象
効果範囲    10cm四方×レベルの範囲(任意に調整可能)
必要秘薬    なし
備考欄
 この魔法は生活魔法と言われる魔法で誰でも使うことが出来て
スペルブック、秘薬が無くとも術者に光属性の適性があればいいのである。
つまり、MP消費のみで使う事が出来る便利な魔法である。
 職業レベルなし魔法スキル5.00で失敗なしで使う事が可能。


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