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第2章 新たな国へ!
3話 マイ
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ケンジは、ギルスレイン達に奴隷の立場を気にさせず、席に座らせるのだった。
「ケンちゃん、奴隷に対しても一緒に扱うなんて、相変わらず優しいね」
マイは、ニコニコして笑顔で、ケンジを見つめていたのだった。
「まず、なんでマイがこの世界にいるんだ?まさか……自殺したんじゃないだろうな?」
「主……まさか!主と、同じ世界の人ですか?」
「ああ、そうだよ。俺の幼馴染のマイだ。」
それを聞き、ギルスレイン達は主と同じような人間が、もう一人現れた事に驚いたのだった。
「マイ、みんなを紹介するよ」
「ええ、そうね!それがいいと思うわ。これから、あたしも一緒について行く事になるからね」
ケンジは、その言葉に驚いたが当たり前の事だと思い、ギルスレインから順に紹介し始めるのだった。
「それで、マイどうしてこの世界にいるんだ?お前、俺を追ったんじゃないだろうな……」
「ケンちゃん……そんな、ポンポン言わなくても順に説明するから、頭ごなしに怒らないでよ!それとあたしの名前はマイマールと言うのよ!」
マイマールは、ほっぺを膨らませた。ケンジは、そのしぐさを見て幼馴染のマイマールだと確信するのだった。ただ、愛称はマイだというので、どっちでもいいと思うのだが何か拘りがあるらしい。
「まず第一に、確かにあたしはケンちゃんを追って、この世界に来たけど自殺したわけではないわ」
ケンジは、自殺はしてないと聞きとりあえずホッとするのだが、なんか幼馴染のマイマールとは思えない、違和感を感じるのだった。
「なんか……マイだと分かるんだけど、俺の知っているマイと少し違う感じがするんだが、本当にマイなのか?」
ケンジは、少しだけコミニュケーションを取った事により、昔から知っているいつも自分の後をついてきていた、マイマールと少し違うと思うのだった。
「たぶん、ケンちゃんが感じている違和感は、あたしが人生経験を積んだからだと思うわ」
「どういう事だ?」
マイマールが言うには、自分はケンジに会いたいが為、クローティアにお願いし、自分の人生をかけて善の業(カルマ)をあり得ないぐらい貯めたというのだ。
そして、前世で95年もの人生経験をしたものであり、そしてマイマールは転生させてもらい、このガイアースでの常識である人生経験が15年間という時間があると言うのである。つまり、前世から110年間という長い経験がマイマールにはあるのだ。
「あたしは、ケンちゃんに会いたいが為、前世では警視庁に務め悪を正しまた、立花極心流の正統後継者になり、裏の世界からも影響を与えて、善のカルマを貯めてこの世界に来たのよ。だから、この110年はあたしにとってホント永かったわ……」
「そっか……そんな苦労をして俺を、このガイアースまで追ってきたのか……マイ、ホント悪かったな」
「ホント、ケンちゃんは向こう見ずで理不尽な事が許せず、突っ走るから死んじゃうんだよ。又、あたしを置いて死んじゃったら、次は絶対許さないんだからね!」
「ホント、ごめん……」
「今は、会えた事で嬉しいから許してあげる!」
マイマールはニッコリ微笑み、ケンジの腕に手をまわし寄り掛かるのだった。
「それでマイ……お前は前の人生は幸せだったのか?」
「うん。ケンちゃんがいなくなった事以外は、胸を張って自慢できるくらい幸せだったよ。今度のこの人生は、ケンちゃんと一緒に幸せになるつもりだよ」
「そっか。幸せだったなら良かったよ」
ケンジは、マイマールが前世で幸せに人生を終えた事を知り、ホッとため息をつき笑顔になるのだった。その話をギルスレイン達も聞いていて、段々冷や汗をかいて来ていたのだった。そして、話を聞き終わった後、ギルスレイン達が席を立ちその場でケンジに土下座したのだった。
「「主!」」
「「「「ご主人様!」」」」
「「「「「「申し訳ありませんでした‼」」」」」」
ギルスレイン達は、顔を真っ青にして、自分達は何て愚かな事をしたのかと後悔していたのだった。
「ギル……いったいどうした?それにみんなまで?」
「主……先ほどは私達は主が優しいのをいい事に、責任を取れとか‼無責任だとか出過ぎた事を、言ってしまってすいませんでした‼」
「「「「「本当に申し訳ありませんでした!」」」」」
「あぁ……その事か。ちょっとムカついたが、状況的に俺がマイを捨てたと思われてもしょうがないから、もう気にしてないからいいよ」
「いえ……それでは私達の気が済みません……何か私達に罰を与えて下さい!」
「罰って何だよ……誰でも人間は間違いとか勘違いするもんだ。それにギル達は謝罪もしただろ?それで十分だよ!でも、これからは気をつけてくれ!」
ケンジは、ギルスレイン達に笑いながら注意するのだった。
「それで、ケンちゃんこれからどうするの?」
「これからもなにも、俺達はさっきこの町に着いたばかりで、宿屋を探そうと思って、ギルドに宿屋の場所を聞こうとしていたんだよ」
「マイは、どこかいい宿屋をしらないか?」
「それなら、私が泊まっている宿屋に来る?ご飯は美味しいし、ゆっくりできる宿屋だよ。」
「そっか、それは助かるよ!案内してくれ」
「もう、宿屋に篭るつもりなの?そんなの後にして、どこか行かない?」
「えっ?俺は、今着いたばかりなんだぞ……」
「せっかく……ケンちゃんに会えたのに、何もしないつもりなの?ホント、ケンちゃんは昔から勝手気ままなんだから……こんな時ぐらい付き合ってくれてもいいじゃない!」
「悪かったよ……そんなプリプリ怒る事ないだろ!」
「怒るわよ!ケンちゃんにとって、死に別れたのは2週間程度かもしれないけど、私にとっては110年よ!110年‼」
ケンジは、マイマールに言われて、たしかにその通りだと思い直し、マイマールに謝罪し頭を下げたのだった。
「あ、そうか!そうだったな……マイ、ごめんな……俺が悪かったよ。それじゃ、どこに行く?どこでも案内してくれ」
「だから、ケンちゃんって好き!えーっとね、これから癒し草の採取の依頼をする所だったんだ。その依頼を手伝ってよ」
「え?ギルドの依頼を一緒にするのか?いつもは、お前一人でやっているのか?」
「うん、そうだよ!あたしもまだ15歳になったばかりでランク低いし、ケンちゃん以外とパーティー組むつもりもなかったからね!だけど、勧誘はいっぱいあったんだけどね」
マイマールの見た目は、前世の時も可愛い方で、クラスでも男子から人気が高かったのだ。他校ではファンクラブあったというくらい、嘘みたいでホントの話を聞いたほどであった。
そして、このガイアースでのマイマールの顔は面影があるものの、日本人じゃない顔だちをして、15歳にしてはスタイル抜群で、出る所は出てウェストは括れていて、戦闘で程よい筋肉がつき、すれ違った男性は必ずと言っていいほど、振り返るほどの美人になっていたのだった。
「マイは、冒険者ギルドなのか?」
「ケンちゃんは違うの?」
「俺は生産ギルドだ。生産職を極めようと思ってな」
「なんか意外だね……女神クローティア様に、生産系のスキルを貰ったの?」
「いや、強力なスキルはあるが、主力となるのは魔法だよ」
「じゃあ、冒険者か魔道ギルドに入ったら良かったじゃない?」
「う~ん……どっちも、しょうに合わないというかなんというか……なんか、そのギルドではやりたくないと思ったんだよ」
「ふ~ん。まあ……いいわ。何となくわかるし」
マイマールは、なんとなく察してニッコリ笑いウィンクをしたのである。ケンジとマイマールは、ギルドカードを使い、パーティを組むのだった。城門に行き、衛兵に挨拶をして外に出る時、衛兵の一人に挨拶をされ、ここの生活に慣れているようだった。
「おっ!マイちゃん遂にパーティーを組むようになったのか?」
「ええ!これからは、この人と一緒に行動するの」
兵士は、マイマールがパーティを組む事になり、安心しているようだった。
「マイは、ここの町の生活は長いのか?」
「そうね、もう3年になるわね。12歳で育った村を出て、この町に来たから最初は苦労したわよ」
「そんな幼い頃から、一人暮らししたのか?」
「まあ、ケンちゃんはそう思うかもしれないけど、この世界では10歳からギルド登録できるから、珍しくないと思うわよ」
「ギル、そうなのか?」
「ええ、そうですね。10歳からギルド登録できるので、その年齢でも出来る仕事があるという事ですからね」
「この世界は、ホントきつい世界なんだなあ……で、マイどこまで行くんだ?」
「この先の森は、薬草の宝庫なのよ。ちょっと魔物は強いけど、あたしみたいにランクの低い者でも、稼げるところなのよ。魔物も浅い所はゴブリンくらいだしね、あたし一人でも対処できるのよ」
「へぇ!この町も稼ぎやすい所がいっぱいあるんだな。」
「そうじゃないと、私みたいに12歳から、村を出るなんてできないよ」
マイマールは森に足を踏み入れ、木の根元とか湿気っているような所をみて、癒し草を探し出すのだった。
「マイ?なにをしてるんだ?」
「何をって、癒し草を探してるんだけど……」
「この辺りには全然ないぞ。ちょっと待ってろ。俺が探してやるよ」
そう言って、ケンジはマップを開き、サーチするのだった。
「ここから、東に200mぐらい先に、癒し草の群生地があるみたいだぞ」
「え……なんで分かるのよ?」
「えっ?スキル使って調べたからに決まっているだろ!だから大丈夫だぞ……」
「ご主人様、ちょっといいですか?」
「システィナなんだよ?」
「ご主人様が異常なんですよ。普通は、木の根元をああして探すものなんですよ。確かにサーチという魔法はありますが、能力のある魔法使いでも精々50mが精一杯で、ご主人様の様に探せるのは考えられない事なのです」
マイマールは、ケンジの異常なチートに驚き呆けるのだった。ケンジの言う通り、その場所に行くと癒し草がいっぱい生えていて、今日の依頼数が呆気なくそろってしまって、今日の依頼は完了してしまうのだった。
「こんな簡単に癒し草が探せるなんて、あたしのこの3年の苦労って……」
マイマールは、ケンジの異常さを目の当たりにして、ガクッと項垂れるのだった。
「ご主人様は、異常なんで普通に行動しただけでも、これだけ違ってくるので自重を覚えた方がいいかもですね」
プリムに言われ、みんなに笑われるケンジだった。
その時、ケンジは目線を後ろに向け、皆を黙らせるのだった。
「みんな静かに!後ろから魔物が数体近づいてきてる!」
それを聞いて、ギルスレイン達は武器を抜いて後方を警戒するのだったが、ケンジはみんなに注意したのだった。
ギルスレイン達は、いつものようにケンジのまわりをガードし、ケンジはマイマールに指示を出すのだった。
「マイこっちに来るんだ!離れるんじゃないぞ!」
「うん……」
すると、木々の裏から、みすぼらしい恰好で凶悪な顔をした3mぐらいの巨人が現れたのだ。よく見るとその頭には巨大な角が生えていて、強靭な筋肉を持つオーガだと分かるのだった。
「ケンちゃん……あれはオーガだよ!それも10匹も、この森であんな数のオーガが出るなんて……」
「主!これはもう駄目かもしれません……私達が突破口を開くのでマイさんを!」
「大丈夫だ!これくらい、俺にはなんでもないから安心しろ!」
ケンジはそう言って、無詠唱でオーガに対し魔法を唱え、※①【チェーンライトニング】と叫ぶのだった。
その時、ケンジの手の平から数十本という稲妻の光が、オーガに向かって伸び、ドカーンと地響きと共に轟音が辺りに鳴り響き、景色が一瞬にして真っ白になるのだった。
その真っ白の世界で、オーガの声だけが響き、ギルスレイン達は何が起こっているのが理解できず、ただ自分の目を細めるしかできずにいたのだった。
そして、辺りの景色が見え始めると、ケンジ達の周りを囲んでいたオーガは、見る影もなく黒墨になり炭化していたのだった。ギルスレインは、周りの状況を見て、ケンジに大きな声を出し詰め寄ったのだった。
ギルスレイン以外は何が起こったのか理解できず、その場に座り込む者や口を開けたまま呆けていたり、パニックを起こしていたのだった。
「主!いったい何ですか!あの魔法は⁉」
「今のはチェーンライトニングだよ!オーガが10体いただろ?普通のライトニングだと一体しか攻撃できないからな。範囲魔法で殲滅しないと危なかっただろ?」
「そんな魔法が存在するのですか……」
ケンジは、仲間に犠牲が出さない為、オーガ10匹を瞬殺してしまったのだ。この魔法が凶悪なのは、術者を中心に半径50m以内にいる、敵全てに魔法を撃ちこめるのだ。
一人目に稲妻一本につき、レベル×(5~10)のダメージを与え、次の敵に1本減った稲妻が飛来し、光の速さで全ての敵を殲滅するのである。
理解しづらいと思うがケンジの場合、レベルが500なので稲妻のその数50本、一体目のオーガに50本の稲妻が落ち、2体目のオーガに49本の稲妻が飛来し、その繰り返しで全てのオーガが死に絶えるまで、稲妻が光の速さで飛びまわる事になったのである。その結果、オーガは何もできずに炭化して跡形もなくこの世から姿を消したのである。
「みんな大丈夫か?でも素材が全部吹き飛んじゃったよ……」
「ケンちゃん!大丈夫じゃないよ!何あの魔法!目や耳がすっごい痛いじゃない!」
「「ご主人様!!」」
「もっと自重してくださいっていいましたよね!助けてくれたのは感謝しますが、もっとやり方があると思いますけど!」
女性陣は、ケンジを責め立てるのだが、ギルスレインとマードックは自分達に飛来しないように、影を消すのだった。
*-------*-------*------*
初めてレベルの高い魔法での、戦闘シーンは自分の中では一瞬で決まり
イメージは派手なものだと思うのですが、文章だけでその表現を
表すのはホント大変なんだなぁって思いました。
これも経験で頑張るしかないなと思いますが、やっぱり何かを表現するのって
楽しいですね。
それと徐々にお気に入りが増えるのは、ホントありがたく思います。
書き続ける元気をもらえますね。本当にありがとうです(^^♪
この話で出てきた魔法
※①【チェーンライトニング】
風属性魔法 7レベル
消費MP 56
詠唱速度 5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間 一瞬
効果対象 レベル10ごとに1本の稲妻の本数
効果範囲 術者の半径50m
必要秘薬 紫水晶・虹パール各3個
備考
術者の手の平から複数の稲妻で敵を倒す魔法。術者の半径50m以内の
敵に撃ち込む魔法。
ダメージは、一人目に稲妻一本につきレベル×(5~10)のダメージで、
その稲妻は次の2人目に飛来し、2人目にも稲妻一本につき
レベル×(5~10)を与え、術者を中心に半径50m以内の敵に
雷が落ちる。その稲妻はレベル10ごとに1本増え、敵一体に命中するたび、
本数を一本減らし、敵がいなくなるまで飛来し続ける。
「ケンちゃん、奴隷に対しても一緒に扱うなんて、相変わらず優しいね」
マイは、ニコニコして笑顔で、ケンジを見つめていたのだった。
「まず、なんでマイがこの世界にいるんだ?まさか……自殺したんじゃないだろうな?」
「主……まさか!主と、同じ世界の人ですか?」
「ああ、そうだよ。俺の幼馴染のマイだ。」
それを聞き、ギルスレイン達は主と同じような人間が、もう一人現れた事に驚いたのだった。
「マイ、みんなを紹介するよ」
「ええ、そうね!それがいいと思うわ。これから、あたしも一緒について行く事になるからね」
ケンジは、その言葉に驚いたが当たり前の事だと思い、ギルスレインから順に紹介し始めるのだった。
「それで、マイどうしてこの世界にいるんだ?お前、俺を追ったんじゃないだろうな……」
「ケンちゃん……そんな、ポンポン言わなくても順に説明するから、頭ごなしに怒らないでよ!それとあたしの名前はマイマールと言うのよ!」
マイマールは、ほっぺを膨らませた。ケンジは、そのしぐさを見て幼馴染のマイマールだと確信するのだった。ただ、愛称はマイだというので、どっちでもいいと思うのだが何か拘りがあるらしい。
「まず第一に、確かにあたしはケンちゃんを追って、この世界に来たけど自殺したわけではないわ」
ケンジは、自殺はしてないと聞きとりあえずホッとするのだが、なんか幼馴染のマイマールとは思えない、違和感を感じるのだった。
「なんか……マイだと分かるんだけど、俺の知っているマイと少し違う感じがするんだが、本当にマイなのか?」
ケンジは、少しだけコミニュケーションを取った事により、昔から知っているいつも自分の後をついてきていた、マイマールと少し違うと思うのだった。
「たぶん、ケンちゃんが感じている違和感は、あたしが人生経験を積んだからだと思うわ」
「どういう事だ?」
マイマールが言うには、自分はケンジに会いたいが為、クローティアにお願いし、自分の人生をかけて善の業(カルマ)をあり得ないぐらい貯めたというのだ。
そして、前世で95年もの人生経験をしたものであり、そしてマイマールは転生させてもらい、このガイアースでの常識である人生経験が15年間という時間があると言うのである。つまり、前世から110年間という長い経験がマイマールにはあるのだ。
「あたしは、ケンちゃんに会いたいが為、前世では警視庁に務め悪を正しまた、立花極心流の正統後継者になり、裏の世界からも影響を与えて、善のカルマを貯めてこの世界に来たのよ。だから、この110年はあたしにとってホント永かったわ……」
「そっか……そんな苦労をして俺を、このガイアースまで追ってきたのか……マイ、ホント悪かったな」
「ホント、ケンちゃんは向こう見ずで理不尽な事が許せず、突っ走るから死んじゃうんだよ。又、あたしを置いて死んじゃったら、次は絶対許さないんだからね!」
「ホント、ごめん……」
「今は、会えた事で嬉しいから許してあげる!」
マイマールはニッコリ微笑み、ケンジの腕に手をまわし寄り掛かるのだった。
「それでマイ……お前は前の人生は幸せだったのか?」
「うん。ケンちゃんがいなくなった事以外は、胸を張って自慢できるくらい幸せだったよ。今度のこの人生は、ケンちゃんと一緒に幸せになるつもりだよ」
「そっか。幸せだったなら良かったよ」
ケンジは、マイマールが前世で幸せに人生を終えた事を知り、ホッとため息をつき笑顔になるのだった。その話をギルスレイン達も聞いていて、段々冷や汗をかいて来ていたのだった。そして、話を聞き終わった後、ギルスレイン達が席を立ちその場でケンジに土下座したのだった。
「「主!」」
「「「「ご主人様!」」」」
「「「「「「申し訳ありませんでした‼」」」」」」
ギルスレイン達は、顔を真っ青にして、自分達は何て愚かな事をしたのかと後悔していたのだった。
「ギル……いったいどうした?それにみんなまで?」
「主……先ほどは私達は主が優しいのをいい事に、責任を取れとか‼無責任だとか出過ぎた事を、言ってしまってすいませんでした‼」
「「「「「本当に申し訳ありませんでした!」」」」」
「あぁ……その事か。ちょっとムカついたが、状況的に俺がマイを捨てたと思われてもしょうがないから、もう気にしてないからいいよ」
「いえ……それでは私達の気が済みません……何か私達に罰を与えて下さい!」
「罰って何だよ……誰でも人間は間違いとか勘違いするもんだ。それにギル達は謝罪もしただろ?それで十分だよ!でも、これからは気をつけてくれ!」
ケンジは、ギルスレイン達に笑いながら注意するのだった。
「それで、ケンちゃんこれからどうするの?」
「これからもなにも、俺達はさっきこの町に着いたばかりで、宿屋を探そうと思って、ギルドに宿屋の場所を聞こうとしていたんだよ」
「マイは、どこかいい宿屋をしらないか?」
「それなら、私が泊まっている宿屋に来る?ご飯は美味しいし、ゆっくりできる宿屋だよ。」
「そっか、それは助かるよ!案内してくれ」
「もう、宿屋に篭るつもりなの?そんなの後にして、どこか行かない?」
「えっ?俺は、今着いたばかりなんだぞ……」
「せっかく……ケンちゃんに会えたのに、何もしないつもりなの?ホント、ケンちゃんは昔から勝手気ままなんだから……こんな時ぐらい付き合ってくれてもいいじゃない!」
「悪かったよ……そんなプリプリ怒る事ないだろ!」
「怒るわよ!ケンちゃんにとって、死に別れたのは2週間程度かもしれないけど、私にとっては110年よ!110年‼」
ケンジは、マイマールに言われて、たしかにその通りだと思い直し、マイマールに謝罪し頭を下げたのだった。
「あ、そうか!そうだったな……マイ、ごめんな……俺が悪かったよ。それじゃ、どこに行く?どこでも案内してくれ」
「だから、ケンちゃんって好き!えーっとね、これから癒し草の採取の依頼をする所だったんだ。その依頼を手伝ってよ」
「え?ギルドの依頼を一緒にするのか?いつもは、お前一人でやっているのか?」
「うん、そうだよ!あたしもまだ15歳になったばかりでランク低いし、ケンちゃん以外とパーティー組むつもりもなかったからね!だけど、勧誘はいっぱいあったんだけどね」
マイマールの見た目は、前世の時も可愛い方で、クラスでも男子から人気が高かったのだ。他校ではファンクラブあったというくらい、嘘みたいでホントの話を聞いたほどであった。
そして、このガイアースでのマイマールの顔は面影があるものの、日本人じゃない顔だちをして、15歳にしてはスタイル抜群で、出る所は出てウェストは括れていて、戦闘で程よい筋肉がつき、すれ違った男性は必ずと言っていいほど、振り返るほどの美人になっていたのだった。
「マイは、冒険者ギルドなのか?」
「ケンちゃんは違うの?」
「俺は生産ギルドだ。生産職を極めようと思ってな」
「なんか意外だね……女神クローティア様に、生産系のスキルを貰ったの?」
「いや、強力なスキルはあるが、主力となるのは魔法だよ」
「じゃあ、冒険者か魔道ギルドに入ったら良かったじゃない?」
「う~ん……どっちも、しょうに合わないというかなんというか……なんか、そのギルドではやりたくないと思ったんだよ」
「ふ~ん。まあ……いいわ。何となくわかるし」
マイマールは、なんとなく察してニッコリ笑いウィンクをしたのである。ケンジとマイマールは、ギルドカードを使い、パーティを組むのだった。城門に行き、衛兵に挨拶をして外に出る時、衛兵の一人に挨拶をされ、ここの生活に慣れているようだった。
「おっ!マイちゃん遂にパーティーを組むようになったのか?」
「ええ!これからは、この人と一緒に行動するの」
兵士は、マイマールがパーティを組む事になり、安心しているようだった。
「マイは、ここの町の生活は長いのか?」
「そうね、もう3年になるわね。12歳で育った村を出て、この町に来たから最初は苦労したわよ」
「そんな幼い頃から、一人暮らししたのか?」
「まあ、ケンちゃんはそう思うかもしれないけど、この世界では10歳からギルド登録できるから、珍しくないと思うわよ」
「ギル、そうなのか?」
「ええ、そうですね。10歳からギルド登録できるので、その年齢でも出来る仕事があるという事ですからね」
「この世界は、ホントきつい世界なんだなあ……で、マイどこまで行くんだ?」
「この先の森は、薬草の宝庫なのよ。ちょっと魔物は強いけど、あたしみたいにランクの低い者でも、稼げるところなのよ。魔物も浅い所はゴブリンくらいだしね、あたし一人でも対処できるのよ」
「へぇ!この町も稼ぎやすい所がいっぱいあるんだな。」
「そうじゃないと、私みたいに12歳から、村を出るなんてできないよ」
マイマールは森に足を踏み入れ、木の根元とか湿気っているような所をみて、癒し草を探し出すのだった。
「マイ?なにをしてるんだ?」
「何をって、癒し草を探してるんだけど……」
「この辺りには全然ないぞ。ちょっと待ってろ。俺が探してやるよ」
そう言って、ケンジはマップを開き、サーチするのだった。
「ここから、東に200mぐらい先に、癒し草の群生地があるみたいだぞ」
「え……なんで分かるのよ?」
「えっ?スキル使って調べたからに決まっているだろ!だから大丈夫だぞ……」
「ご主人様、ちょっといいですか?」
「システィナなんだよ?」
「ご主人様が異常なんですよ。普通は、木の根元をああして探すものなんですよ。確かにサーチという魔法はありますが、能力のある魔法使いでも精々50mが精一杯で、ご主人様の様に探せるのは考えられない事なのです」
マイマールは、ケンジの異常なチートに驚き呆けるのだった。ケンジの言う通り、その場所に行くと癒し草がいっぱい生えていて、今日の依頼数が呆気なくそろってしまって、今日の依頼は完了してしまうのだった。
「こんな簡単に癒し草が探せるなんて、あたしのこの3年の苦労って……」
マイマールは、ケンジの異常さを目の当たりにして、ガクッと項垂れるのだった。
「ご主人様は、異常なんで普通に行動しただけでも、これだけ違ってくるので自重を覚えた方がいいかもですね」
プリムに言われ、みんなに笑われるケンジだった。
その時、ケンジは目線を後ろに向け、皆を黙らせるのだった。
「みんな静かに!後ろから魔物が数体近づいてきてる!」
それを聞いて、ギルスレイン達は武器を抜いて後方を警戒するのだったが、ケンジはみんなに注意したのだった。
ギルスレイン達は、いつものようにケンジのまわりをガードし、ケンジはマイマールに指示を出すのだった。
「マイこっちに来るんだ!離れるんじゃないぞ!」
「うん……」
すると、木々の裏から、みすぼらしい恰好で凶悪な顔をした3mぐらいの巨人が現れたのだ。よく見るとその頭には巨大な角が生えていて、強靭な筋肉を持つオーガだと分かるのだった。
「ケンちゃん……あれはオーガだよ!それも10匹も、この森であんな数のオーガが出るなんて……」
「主!これはもう駄目かもしれません……私達が突破口を開くのでマイさんを!」
「大丈夫だ!これくらい、俺にはなんでもないから安心しろ!」
ケンジはそう言って、無詠唱でオーガに対し魔法を唱え、※①【チェーンライトニング】と叫ぶのだった。
その時、ケンジの手の平から数十本という稲妻の光が、オーガに向かって伸び、ドカーンと地響きと共に轟音が辺りに鳴り響き、景色が一瞬にして真っ白になるのだった。
その真っ白の世界で、オーガの声だけが響き、ギルスレイン達は何が起こっているのが理解できず、ただ自分の目を細めるしかできずにいたのだった。
そして、辺りの景色が見え始めると、ケンジ達の周りを囲んでいたオーガは、見る影もなく黒墨になり炭化していたのだった。ギルスレインは、周りの状況を見て、ケンジに大きな声を出し詰め寄ったのだった。
ギルスレイン以外は何が起こったのか理解できず、その場に座り込む者や口を開けたまま呆けていたり、パニックを起こしていたのだった。
「主!いったい何ですか!あの魔法は⁉」
「今のはチェーンライトニングだよ!オーガが10体いただろ?普通のライトニングだと一体しか攻撃できないからな。範囲魔法で殲滅しないと危なかっただろ?」
「そんな魔法が存在するのですか……」
ケンジは、仲間に犠牲が出さない為、オーガ10匹を瞬殺してしまったのだ。この魔法が凶悪なのは、術者を中心に半径50m以内にいる、敵全てに魔法を撃ちこめるのだ。
一人目に稲妻一本につき、レベル×(5~10)のダメージを与え、次の敵に1本減った稲妻が飛来し、光の速さで全ての敵を殲滅するのである。
理解しづらいと思うがケンジの場合、レベルが500なので稲妻のその数50本、一体目のオーガに50本の稲妻が落ち、2体目のオーガに49本の稲妻が飛来し、その繰り返しで全てのオーガが死に絶えるまで、稲妻が光の速さで飛びまわる事になったのである。その結果、オーガは何もできずに炭化して跡形もなくこの世から姿を消したのである。
「みんな大丈夫か?でも素材が全部吹き飛んじゃったよ……」
「ケンちゃん!大丈夫じゃないよ!何あの魔法!目や耳がすっごい痛いじゃない!」
「「ご主人様!!」」
「もっと自重してくださいっていいましたよね!助けてくれたのは感謝しますが、もっとやり方があると思いますけど!」
女性陣は、ケンジを責め立てるのだが、ギルスレインとマードックは自分達に飛来しないように、影を消すのだった。
*-------*-------*------*
初めてレベルの高い魔法での、戦闘シーンは自分の中では一瞬で決まり
イメージは派手なものだと思うのですが、文章だけでその表現を
表すのはホント大変なんだなぁって思いました。
これも経験で頑張るしかないなと思いますが、やっぱり何かを表現するのって
楽しいですね。
それと徐々にお気に入りが増えるのは、ホントありがたく思います。
書き続ける元気をもらえますね。本当にありがとうです(^^♪
この話で出てきた魔法
※①【チェーンライトニング】
風属性魔法 7レベル
消費MP 56
詠唱速度 5秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間 一瞬
効果対象 レベル10ごとに1本の稲妻の本数
効果範囲 術者の半径50m
必要秘薬 紫水晶・虹パール各3個
備考
術者の手の平から複数の稲妻で敵を倒す魔法。術者の半径50m以内の
敵に撃ち込む魔法。
ダメージは、一人目に稲妻一本につきレベル×(5~10)のダメージで、
その稲妻は次の2人目に飛来し、2人目にも稲妻一本につき
レベル×(5~10)を与え、術者を中心に半径50m以内の敵に
雷が落ちる。その稲妻はレベル10ごとに1本増え、敵一体に命中するたび、
本数を一本減らし、敵がいなくなるまで飛来し続ける。
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