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第2章 新たな国へ!
2話 感動の再会!
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こうして、新たな仲間が出来て、ケンジ達は地球でいう琵琶湖に向かうのだった。
今は、魔法使いのケンジを筆頭に、斥候役のギルスレイン、アタッカーにプリム、サポート役にシスティナ、マードック、セイラ、回復役にオリヴィアで固めており、ケンジが戦わなくても、Cランクの魔物ぐらいなら、充分に戦う事が出来るようになっていたのだった。
数日は何事もなく、平和な旅が続いていたのだが、4日目の夜野営をしてた時、オークが5匹ぐらい出てきたのだが、プリムが予想以上に槍の使い手として育っていたので、苦も無く全滅させてしまったのだった。
朝起きると、ギルスレインがオークを解体をして、素材である魔石と肉を渡してくるのだった。オークの肉は、庶民の食材として人気ある肉でそこそこ高く買い取ってくれるのだ。
馬車の屋根の部分は破けたままだったが、5日目にフォレストディアをうまい具合狩る事が出来たので、ギルスレインに皮を剥いでもらい町に着いたら、プリムに鞣してもらおうと思うケンジであった。
そして2週間後、ようやく琵琶湖と思われる湖が、見えてきたのだった。ケンジは、地球なら道路も舗装され、神戸から滋賀県まで数時間で行き来できる距離なのに、1週間で到着できると思っていたが、魔物がいる世界で馬車だと、こんなに旅が大変なんだと改めて思うのだった。
「主、むちゃくちゃでかい湖がみえます。あれがそうですか?」
「ああ!やっと着いたな」
「ご主人様。あれって海にみえますね。あんなでかい池があるんですか?」
「そうだな。海なら塩水だが、あれは真水だからな。世の中にはまだまだ面白い所はいっぱいあるぞ」
「セイラ、あの湖沿いに道があるだろ?あれを北に向かってくれ。マップで見たら、その先にでかい町があるみたいだ」
「はい!主様は、そんな詳しくこの辺りがわかるのですか?」
「そうだな!レアスキル様々だ。ティアさんに感謝しなきゃな」
ケンジ達は、北に馬車を走らせる事約1時間、その先の高台に大きくそびえる城壁が見えてきたのだった。
「主様!町が見えてきましたよ」
「やっと着いたな!早く宿屋でゆっくりしたいよ。まあ、その前にマードックとオリヴィアの、本契約しないといけないけどな」
「「はい!」」
二人は嬉しそうに笑うのだった。
「ギル、ここもダンジョンとかあるのかな?」
「あるかどうかはわかりませんが、こんだけ大きく発展した街ならあると思いますよ」
「そっか。それならよかった」
「大きい町は、必ずダンジョンの恩恵があって、ダンジョンの近くに町を作るものですからね!ただ……スタンピードっていうデメリットもありますが、それは衛兵や冒険者達が定期的に間引く事で回避できますから、それほど心配はないと思いますよ」
「今度は……俺も自重して、水面下で行動しなくちゃな……」
ケンジ達はそんな事を話ながら、セイラには城門に近づく前に馬車を停めさせ、ここからは歩いて行こうというのだった。
「こんな魔法生物に、馬車を引かせているのを見られたら、また騒ぎになるから、ここからは歩いて行こう!」
「はい」
ケンジは、魔法を解除し魔法生物を消して、馬車をインベントリに収納するのだった。まだ城門も先なのもあり、人もいなくてケンジは安心するのだった。
ケンジ達は、城門に近づきここも大きい町だなと感動し、城門までの列に並ぶのだった。
「主、並ぶのはこっちの列ですよ。主はギルドカードありますから!」
「そっかそっか!まちがえた……」
それを見た、周りの人達は、にこやかに笑うのだった。ケンジは、ギルドカードを見せると、城門の兵はすぐに中に入れてくれるのだった。
「やっぱ、カードは便利だよなあ」
「そうですね。そんなに待たず町に入れましたね」
「さてと、奴隷商店はどこかな?」
マップで確認しながら、メイン通りを真っ直ぐに行くとでっかい建物があり、その横の道を抜けた所に奴隷商店はあったのだ。
「ここも、綺麗な建物だな……」
ケンジ達は中に入ると、綺麗な女性がカウンターに並んでいるのが見え、そこで本契約をお願いしたのだ。カウンターの女性は、ケンジの言葉に微笑み一礼したのであった。
「少々お待ちください。本契約の担当の者を呼んできます」
「なんか、いつ来ても緊張するなあ……」
「お待たせしました!どうぞこちらへ」
ケンジ達は、奥の部屋に案内され、本契約をすませたのだが、今回は奴隷を進められなくて良かったと思うケンジだった。
「これでマードック、オリヴィアも安心出来たろ?」
「はい!そうですね」
「やっぱり、本契約してると安心できますね」
「それじゃ、今日は疲れたし宿屋にいこうか?」
「主、それなら一回生産ギルドに寄って、お勧めの宿屋を聞いた方がいいかと思いますよ」
「確かにそうだな!じゃ、ギルドに行こうか」
ケンジは、この町のギルドに行こうとしたのだが、マップに生産ギルドの場所が現れなかったので、そこらを歩いている人に聞く事にしたのだった。
「プリム、この町の人達って、獣人が多い感じがするな……前の町と何か違うのか?」
「ご主人様……あの申し訳ないのですが、あの者達の事でしょうか?」
「ああ!人にケモ耳と尻尾が生えてるだろ?違うのか?」
「ご主人様、あの方達は獣人じゃないですよ。あの方々は獣人と人のハーフです。獣人というのは、あちらにいる人達ですよ」
そこには、狼男のように獣が2足歩行をし、人の言葉を話している獣人が居たのだった。そして、この世界では人に近い姿をして、獣の耳と尻尾がある人達は、人と獣人のハーフなのである。
ハーフは、色々な種族がいて、エルフやドワーフ、ノームそして魔族等、多岐にわたりいるのだ。そして、ハーフは忌み子として不遇の人生を送り、人々から亜人と呼ばれる事も多いのだそうだ。
そして、今までいたブリュンガスの町では、ハーフは差別対象の存在であった為、ブリュンガスの町では殆ど見かけなかったのである。この町では、差別はごく一部の他の町から来た者がするくらいで、この町はハーフの者が暮らすには、まだ過ごし易い環境だったのである。
「分からないですが、たぶんこの町はハーフでも差別が少なく、生活し易い町なんでしょうね」
「へえ!そんな事だと知らなかったよ」
「ほんと、差別なんてくだらない!無くなってほしいものですよ……」
「そうだな。あんなモフモフを差別するなんてくだらないよ!」
ケンジは、ブツブツ言いながら怒っていたのだった。
その時、何が起こったかわからないが、ケンジの背中に何かが突進してきて、その物体と共に盛大に吹っ飛んだのだった。
「「主!」」「「「「ご主人様!」」」」
ギルスレイン達は、何が起きたのか分からず大きな声を出して、ケンジに駆け寄るのだった。
「なんだお前は!私達の主になにをする!」
ギルスレインは、短剣を抜き威嚇をするのだった。だが、その者はいきなり涙を流し、ケンジに抱きつき泣き出すのだった。
「ケンちゃん!会いたかった‼もう絶対離れないよ!」
その少女は、ケンジに向かい合って涙を流しながら、ケンジに抱きつき離れようとしなかったのだ。
「主!知合いですか?びっくりさせないでくださいよ……」
「いや……ちょっとまて!俺に知り合いなんて……」
その少女は、ケンジに抱きつき、何回もケンちゃんと言うだけだった。周りの知らない人からは、女の子を捨てたんじゃないか?とか、ちゃんと責任を取れだとか、色々冷やかされたが、ケンジにとってはガイアースで知り合いと言ったら、ギルスレイン達くらいなのだ。
「君は、いったい誰だ?見覚えが無いんだが……」
「「ご主人様……」」
「この状況は、絶対知り合いですよ!まさか……この少女の純潔を奪って、めんどくさくなって逃げたとかじゃないでしょうね?」
システィナとプリムは、とんでもない邪推をするのだった。
「ば、ばか!俺がそんな事するかぁ~~~‼」
「じゃあ、何でこんな事になってるんですか?」
「そんなの俺が知りたいわあああぁ~~~~!」
ケンジは、半泣きになりながら自分に非はないとばかりに、大きな声を出し無罪を訴えるのだった。
「なぁ……君はいったい誰なんだ?」
その少女は、ケンジの顔を見上げ、瞳に涙を浮かべながら言葉に詰まらせながら、声を出した。
「ケンちゃん……長かったよ……やっと、会う事ができた……よ……」
その涙を流した泣き顔を見て、ケンジは一瞬戸惑ったのだったが、大きな声を出すのだった。
「お……お、お前!舞か?なんで、ここに⁉」
「そうだよ。やっと会う事が出来たんだよ!」
周りからは、やっぱりなという感じで、そんなに愛されてるんだから捨てんじゃねぇよとか、僻みのお言葉がとんできたのだった。
ギルスレイン達も、まさかあの優しい自分の主が、こんな少女を捨てるなんてと思い、ジト目でケンジを見るのだった。
「「主!主がそんなお方だとは……」」
これは男性陣、ギルスレインとマードックのお言葉。
「「「「そうですよ……見損ないました!ちゃんと責任を取ってあげてください‼」」」」
これは女性陣、システィナ、プリム、セイラ、オリヴィアのお言葉。
時間が経ち、やっと舞が落ち着き、ケンジから離れるのだった。ケンジは、何とか冷静を保ち舞の肩を持ち、座れる場所に行こうというのだった。
「ここじゃなんだし、ギルドの酒場に行こう。舞も、そこで事情を話してくれるか?」
「うん……ケンちゃんごめんね……ちゃんと話すから……」
ギルドの場所は、舞が知っていて案内してもらうのだが、この町はグランバス王国の辺境貿易街のテンペという町らしいのだ。
グランバス王国の、王様は善政を営み人民に慕われていて、犯罪の少ない町なのだそうだ。実際、差別も少なく色んな所から噂を聞き、人々が集まってくるのであった。だからといって、地球のように行動はしてはいけないのだ。
治安がいいと言っても、あくまでここガイアースでの意味で治安が良いのである。
ケンジ達はギルドに入ると、この町のギルドはものすごく大きくフロアが4つに分かれていて、冒険者・生産・商人・魔道ギルドが全部入っているぐらい大きい建物なのだ。そして、2階建てで2階が酒場となっていて数多くの人が騒いで、楽しそうに食事をしているのだった。
「なるほどなぁ。こうして4つのギルドを一緒の建物の中に入れたら、連携も楽になるものな」
ケンジ達は感心して周りを見ているのだった。
「ケンちゃん!こっち席空いているよ」
ケンジ達は、舞についていき席につくのだったが、奴隷の立場であるギルスレイン達は、ケンジの後ろに立ったままである。
「ギル?みんな?なにをやっているの?早く席に着きなよ」
「いや、ですが主のお知り合いの方もいらっしゃいますし、我々はここで構いません。」
「舞。一緒に座ってもいいよな?」
舞はニッコリ笑って頷くのだった。ギルスレイン達は、さすが主の知人だと思いながら、恐縮しながら同じ席に着くのだった。
*-------*------*------*
第2章になって、ようやくこの物語のヒロイン登場です。
長かった……(;´Д`)
でも、ようやく登場させる事ができて自分も嬉しく思います。
閑話でも、前世の事を書いたのですが、この舞は
立花極心流の正統後継者で武闘家なのである。
舞が賢治と一緒のパーティーを組みどういう生活を送るのか、
今から書くのがホントたのしみです。(^^)/
今は、魔法使いのケンジを筆頭に、斥候役のギルスレイン、アタッカーにプリム、サポート役にシスティナ、マードック、セイラ、回復役にオリヴィアで固めており、ケンジが戦わなくても、Cランクの魔物ぐらいなら、充分に戦う事が出来るようになっていたのだった。
数日は何事もなく、平和な旅が続いていたのだが、4日目の夜野営をしてた時、オークが5匹ぐらい出てきたのだが、プリムが予想以上に槍の使い手として育っていたので、苦も無く全滅させてしまったのだった。
朝起きると、ギルスレインがオークを解体をして、素材である魔石と肉を渡してくるのだった。オークの肉は、庶民の食材として人気ある肉でそこそこ高く買い取ってくれるのだ。
馬車の屋根の部分は破けたままだったが、5日目にフォレストディアをうまい具合狩る事が出来たので、ギルスレインに皮を剥いでもらい町に着いたら、プリムに鞣してもらおうと思うケンジであった。
そして2週間後、ようやく琵琶湖と思われる湖が、見えてきたのだった。ケンジは、地球なら道路も舗装され、神戸から滋賀県まで数時間で行き来できる距離なのに、1週間で到着できると思っていたが、魔物がいる世界で馬車だと、こんなに旅が大変なんだと改めて思うのだった。
「主、むちゃくちゃでかい湖がみえます。あれがそうですか?」
「ああ!やっと着いたな」
「ご主人様。あれって海にみえますね。あんなでかい池があるんですか?」
「そうだな。海なら塩水だが、あれは真水だからな。世の中にはまだまだ面白い所はいっぱいあるぞ」
「セイラ、あの湖沿いに道があるだろ?あれを北に向かってくれ。マップで見たら、その先にでかい町があるみたいだ」
「はい!主様は、そんな詳しくこの辺りがわかるのですか?」
「そうだな!レアスキル様々だ。ティアさんに感謝しなきゃな」
ケンジ達は、北に馬車を走らせる事約1時間、その先の高台に大きくそびえる城壁が見えてきたのだった。
「主様!町が見えてきましたよ」
「やっと着いたな!早く宿屋でゆっくりしたいよ。まあ、その前にマードックとオリヴィアの、本契約しないといけないけどな」
「「はい!」」
二人は嬉しそうに笑うのだった。
「ギル、ここもダンジョンとかあるのかな?」
「あるかどうかはわかりませんが、こんだけ大きく発展した街ならあると思いますよ」
「そっか。それならよかった」
「大きい町は、必ずダンジョンの恩恵があって、ダンジョンの近くに町を作るものですからね!ただ……スタンピードっていうデメリットもありますが、それは衛兵や冒険者達が定期的に間引く事で回避できますから、それほど心配はないと思いますよ」
「今度は……俺も自重して、水面下で行動しなくちゃな……」
ケンジ達はそんな事を話ながら、セイラには城門に近づく前に馬車を停めさせ、ここからは歩いて行こうというのだった。
「こんな魔法生物に、馬車を引かせているのを見られたら、また騒ぎになるから、ここからは歩いて行こう!」
「はい」
ケンジは、魔法を解除し魔法生物を消して、馬車をインベントリに収納するのだった。まだ城門も先なのもあり、人もいなくてケンジは安心するのだった。
ケンジ達は、城門に近づきここも大きい町だなと感動し、城門までの列に並ぶのだった。
「主、並ぶのはこっちの列ですよ。主はギルドカードありますから!」
「そっかそっか!まちがえた……」
それを見た、周りの人達は、にこやかに笑うのだった。ケンジは、ギルドカードを見せると、城門の兵はすぐに中に入れてくれるのだった。
「やっぱ、カードは便利だよなあ」
「そうですね。そんなに待たず町に入れましたね」
「さてと、奴隷商店はどこかな?」
マップで確認しながら、メイン通りを真っ直ぐに行くとでっかい建物があり、その横の道を抜けた所に奴隷商店はあったのだ。
「ここも、綺麗な建物だな……」
ケンジ達は中に入ると、綺麗な女性がカウンターに並んでいるのが見え、そこで本契約をお願いしたのだ。カウンターの女性は、ケンジの言葉に微笑み一礼したのであった。
「少々お待ちください。本契約の担当の者を呼んできます」
「なんか、いつ来ても緊張するなあ……」
「お待たせしました!どうぞこちらへ」
ケンジ達は、奥の部屋に案内され、本契約をすませたのだが、今回は奴隷を進められなくて良かったと思うケンジだった。
「これでマードック、オリヴィアも安心出来たろ?」
「はい!そうですね」
「やっぱり、本契約してると安心できますね」
「それじゃ、今日は疲れたし宿屋にいこうか?」
「主、それなら一回生産ギルドに寄って、お勧めの宿屋を聞いた方がいいかと思いますよ」
「確かにそうだな!じゃ、ギルドに行こうか」
ケンジは、この町のギルドに行こうとしたのだが、マップに生産ギルドの場所が現れなかったので、そこらを歩いている人に聞く事にしたのだった。
「プリム、この町の人達って、獣人が多い感じがするな……前の町と何か違うのか?」
「ご主人様……あの申し訳ないのですが、あの者達の事でしょうか?」
「ああ!人にケモ耳と尻尾が生えてるだろ?違うのか?」
「ご主人様、あの方達は獣人じゃないですよ。あの方々は獣人と人のハーフです。獣人というのは、あちらにいる人達ですよ」
そこには、狼男のように獣が2足歩行をし、人の言葉を話している獣人が居たのだった。そして、この世界では人に近い姿をして、獣の耳と尻尾がある人達は、人と獣人のハーフなのである。
ハーフは、色々な種族がいて、エルフやドワーフ、ノームそして魔族等、多岐にわたりいるのだ。そして、ハーフは忌み子として不遇の人生を送り、人々から亜人と呼ばれる事も多いのだそうだ。
そして、今までいたブリュンガスの町では、ハーフは差別対象の存在であった為、ブリュンガスの町では殆ど見かけなかったのである。この町では、差別はごく一部の他の町から来た者がするくらいで、この町はハーフの者が暮らすには、まだ過ごし易い環境だったのである。
「分からないですが、たぶんこの町はハーフでも差別が少なく、生活し易い町なんでしょうね」
「へえ!そんな事だと知らなかったよ」
「ほんと、差別なんてくだらない!無くなってほしいものですよ……」
「そうだな。あんなモフモフを差別するなんてくだらないよ!」
ケンジは、ブツブツ言いながら怒っていたのだった。
その時、何が起こったかわからないが、ケンジの背中に何かが突進してきて、その物体と共に盛大に吹っ飛んだのだった。
「「主!」」「「「「ご主人様!」」」」
ギルスレイン達は、何が起きたのか分からず大きな声を出して、ケンジに駆け寄るのだった。
「なんだお前は!私達の主になにをする!」
ギルスレインは、短剣を抜き威嚇をするのだった。だが、その者はいきなり涙を流し、ケンジに抱きつき泣き出すのだった。
「ケンちゃん!会いたかった‼もう絶対離れないよ!」
その少女は、ケンジに向かい合って涙を流しながら、ケンジに抱きつき離れようとしなかったのだ。
「主!知合いですか?びっくりさせないでくださいよ……」
「いや……ちょっとまて!俺に知り合いなんて……」
その少女は、ケンジに抱きつき、何回もケンちゃんと言うだけだった。周りの知らない人からは、女の子を捨てたんじゃないか?とか、ちゃんと責任を取れだとか、色々冷やかされたが、ケンジにとってはガイアースで知り合いと言ったら、ギルスレイン達くらいなのだ。
「君は、いったい誰だ?見覚えが無いんだが……」
「「ご主人様……」」
「この状況は、絶対知り合いですよ!まさか……この少女の純潔を奪って、めんどくさくなって逃げたとかじゃないでしょうね?」
システィナとプリムは、とんでもない邪推をするのだった。
「ば、ばか!俺がそんな事するかぁ~~~‼」
「じゃあ、何でこんな事になってるんですか?」
「そんなの俺が知りたいわあああぁ~~~~!」
ケンジは、半泣きになりながら自分に非はないとばかりに、大きな声を出し無罪を訴えるのだった。
「なぁ……君はいったい誰なんだ?」
その少女は、ケンジの顔を見上げ、瞳に涙を浮かべながら言葉に詰まらせながら、声を出した。
「ケンちゃん……長かったよ……やっと、会う事ができた……よ……」
その涙を流した泣き顔を見て、ケンジは一瞬戸惑ったのだったが、大きな声を出すのだった。
「お……お、お前!舞か?なんで、ここに⁉」
「そうだよ。やっと会う事が出来たんだよ!」
周りからは、やっぱりなという感じで、そんなに愛されてるんだから捨てんじゃねぇよとか、僻みのお言葉がとんできたのだった。
ギルスレイン達も、まさかあの優しい自分の主が、こんな少女を捨てるなんてと思い、ジト目でケンジを見るのだった。
「「主!主がそんなお方だとは……」」
これは男性陣、ギルスレインとマードックのお言葉。
「「「「そうですよ……見損ないました!ちゃんと責任を取ってあげてください‼」」」」
これは女性陣、システィナ、プリム、セイラ、オリヴィアのお言葉。
時間が経ち、やっと舞が落ち着き、ケンジから離れるのだった。ケンジは、何とか冷静を保ち舞の肩を持ち、座れる場所に行こうというのだった。
「ここじゃなんだし、ギルドの酒場に行こう。舞も、そこで事情を話してくれるか?」
「うん……ケンちゃんごめんね……ちゃんと話すから……」
ギルドの場所は、舞が知っていて案内してもらうのだが、この町はグランバス王国の辺境貿易街のテンペという町らしいのだ。
グランバス王国の、王様は善政を営み人民に慕われていて、犯罪の少ない町なのだそうだ。実際、差別も少なく色んな所から噂を聞き、人々が集まってくるのであった。だからといって、地球のように行動はしてはいけないのだ。
治安がいいと言っても、あくまでここガイアースでの意味で治安が良いのである。
ケンジ達はギルドに入ると、この町のギルドはものすごく大きくフロアが4つに分かれていて、冒険者・生産・商人・魔道ギルドが全部入っているぐらい大きい建物なのだ。そして、2階建てで2階が酒場となっていて数多くの人が騒いで、楽しそうに食事をしているのだった。
「なるほどなぁ。こうして4つのギルドを一緒の建物の中に入れたら、連携も楽になるものな」
ケンジ達は感心して周りを見ているのだった。
「ケンちゃん!こっち席空いているよ」
ケンジ達は、舞についていき席につくのだったが、奴隷の立場であるギルスレイン達は、ケンジの後ろに立ったままである。
「ギル?みんな?なにをやっているの?早く席に着きなよ」
「いや、ですが主のお知り合いの方もいらっしゃいますし、我々はここで構いません。」
「舞。一緒に座ってもいいよな?」
舞はニッコリ笑って頷くのだった。ギルスレイン達は、さすが主の知人だと思いながら、恐縮しながら同じ席に着くのだった。
*-------*------*------*
第2章になって、ようやくこの物語のヒロイン登場です。
長かった……(;´Д`)
でも、ようやく登場させる事ができて自分も嬉しく思います。
閑話でも、前世の事を書いたのですが、この舞は
立花極心流の正統後継者で武闘家なのである。
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