異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第1章 異世界に!

37話 そして・・・⑤

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 ケンジ達は、宿屋に帰ってきて、女将さんに挨拶をしたのだった。

「女将さん……今まで、お世話になりました……」

「え?どうしたんだい?いきなり⁉」

「いや……ちょっと訳があって、この町を出る事にしたんですよ」

「えっ!今からかい?」

「はい!」

 ケンジは笑顔で返事をしたのだった。

「今からは夜になるし、魔物も活発になるから、町から出るのはお止めよ!そして、出発は明日の朝にしな……」

「だいじょうぶですよ」

 ケンジと、宿屋の女将さんが押し問答していると、マリアも話に入ってきた。

「ケンジさん!町を出るのですか?寂しいですが、町を出るなら母さんの言った通り、明日の朝にしてください!」

 親父さんも、厨房から出てきて、必死に引き留めてくるのだった。

「主……私も、今から出るのは止めておいた方がいいと思います……」

「どうしてだ?」

「確かに、主は強いので問題は無いかと思いますが魔物と夜出くわすと、どういったイレギュラーが発生するかわからないからです。それに、まだ仲間になったばかりのセイラがいるし、明日の朝出発した方が安全でいいかもしれません」

 ギルスレインに言われ、確かにセイラの事を考えれば、明日の朝早く出発した方がいいかもしれないと、ケンジも思い直すのだった。

「うん……確かにセイラの事を考えれば、その方がいいかもしれないな……ギルスレイン、俺はちょっと焦っていたかもしれない……」

「いえ、私はただ当たり前の事を言っただけですので……」

「それでもありがとな!」

「女将さん、やっぱ明日朝、早く立つ事にします」

「そうかい!思い直してくれて良かったよ。で、なんでいきなり出立する事になったんだい?」

「まあ、それは色々あってですね。俺もまだ若いし、他の土地も見て回りたいと思ったからですよ。あははは……」

「そうかい。この町が嫌になったのかと思ったじゃない。でも、そうじゃないなら良かったよ」

「いや……それはないです!この町は、良い所だと思いますよ」

 ケンジは、そこのところは、きっぱり否定して意思表示するのだった。

「まあ、そんなとこで話さず奥に入って、わしの料理食べて、明日に備えてゆっくり休みな!」

「はい!ありがとうございます。じゃ、みんな奥の席に座ろうか」

「あら、お一人増えたのですか?」

「ああ。今日から仲間になった、セイラと言うんだ」

 セイラは、欠損した右手と拷問を受けた顔を隠すようにして、無言でお辞儀をするのだった。マリアは、ケンジの奴隷を見て何かを感じ取って、奥の席に案内するのだった。

「それじゃ、こっちの席のほうが良いですね」

 セイラは、大きい席を用意されたのを見て戸惑い、ギルスレイン達が主人のケンジと同じ席に、躊躇する事なく座るのを見て驚くのだった。

「セイラ、遠慮せずに、君も席に着きな」

「いえ……わたしは、ここでいいです」

 ケンジは、セイラの肩をとって、むりやり席に座らせるのだった。

「ケンジさん、今日は何にしますか?」

「今日は何があるの?」

「メニューは3種類で、こちらになります」

 今日の、メニューを見ると昨日とは違い3種類あった。

Aコース
 ジャイアントフォレストボアのステーキ
 野菜のスープ
 黒パン 3個
 20ドゴン

Bコース
 オークのステーキ
 野菜のスープ
 黒パン 3個
 10ドゴン

Cコース
 コッケの塩焼き
 野菜のスープ
 黒パン 3個
 8ドゴン

 ケンジは、みんなに聞くとギルスレイン達3人はだいぶん慣れてきたようで、遠慮がちに注文するのだったが、セイラはそれを見てさらに困惑するのだった。

「セイラ。遠慮せずに食べな。どれがいい?」

「いえ……わたしは奴隷食で……」

「いや、それじゃなく普通のメニューで!」

「……」
 
 セイラは、困惑しメニューが決めれなかった。

「じゃ、俺と一緒でAコースにするか?みんなは、それでいいのか?」

「「「はい。ありがとうございます」」」

 ギルはBコースで、システィナとプリムはCコースを頼んだ。理由は、昨日と違うものが食べたかったそうだ。セイラは、ジャイアントボアが食べれるという事で、何回もケンジにお礼を言って頭を下げるのだった。
 そして、ケンジは明日からの旅に備えて、ソーセージと野菜炒めとサラダも2皿づつ、追加注文をするのだった。



「セイラ、これから戸惑う事も多いかもしれないが、奴隷という事は気にせず行動してくれ。君には、これから楽しく暮らしてほしいから、俺は皆を奴隷扱いじゃなく、仲間だと思っているからよろしくな!」

「でも、それでは……他人からの示しがつかないし、奴隷を甘やかしていると主人がなめられてしまいます」

「うーん……その辺は、どうでもいいかな……他所は他所!内は内かな?まあ、どちらにしてもそんな気にしなくていいよ」

「明日から、長旅で大変になるしいっぱい食べな!それにしても、ジャイアントボアって、ホント美味いな」

 ケンジ達は、楽しそうに夕食を食べたのだった。



 おなか一杯になった、ケンジ達は部屋に戻りゆっくりしていたが、ケンジはまた一人で部屋を出ていくのだった。

「主、どこに行くのですか?」

「ああ、ちょっと女将さんに、最後のお礼を言っておこうと思ってな。みんなは、ゆっくりしていていいよ」

 ケンジは、ニッコリ笑顔を見せて、部屋を出て行ったのだった。

 部屋を出ると、セイラはギルスレイン達に、ケンジの事を色々と聞くのだった。

「あの……みんなはどうしてあんな感じで、主人と接する事ができるの?恐れ多いとか思わないの?」

「ああ、その気持ちはわかるな……俺達も最初は、いや……今もセイラと同じ気持ちだよ」

「「そうそう!」」

「今も、まだ慣れてないけど、ご主人様は色んな事を考えて行動しているし、まだ奴隷根性が抜けない、あたし達にいちいち気を使ってくれるし優しいご主人様だよ」

「でも、優しいといっても、平民と同じご飯をくれるなんて……」

「あたし達は、ご主人様を信じてついていくだけだよ」

「ご主人様に買われて、わたし達は幸せと感じる事が多くなりました。そのご恩を返す為に、わたし達は頑張るだけです」

「セイラ!君もじきに、主がどんな人なのか目の当たりにすると思うけど、慣れるしかないと思うぞ」
 
 ケンジが出て行った部屋では、色んな事をギルスレイン達から聞くセイラであった。






 一方、部屋を出たケンジは、女将さん達に色々お世話になったとお礼を言うのだが、女将さん達は自分の方が孫の命を救ってくれたとか、ボアの肉を譲ってくれたおかげで宿屋の売り上げが上がったのだとか、こっちの方がお世話になったと、お礼を言われるのだった。

 そして、ケンジは裏庭の広場を、少し貸してほしいとお願いしたのだった。女将さんは、納屋の前だったら少し開けているから、そこなら良いと言ってくれるのだった。

「さてと、明日から長旅になるし、馬車を準備しなきゃな……」

 ケンジは、ギルスレイン達が襲われていた時の、奴隷商人の馬車をインベントリから出すのだった。

 馬車は、あの時のままで、木造で車輪のシャフトが折れ、このままでは使い物にならないのだ。ケンジは、馬車に対して※①【ウッドメンテ】の魔法を唱え修理した。

「ウッドメンテ!」

 すると、馬車は時間が戻るような感じで、折れていたシャフトや破壊された車輪や台座が元通りになり、屋根の部分の骨組みが、綺麗な状態に直ったのだった。


「う~ん……馬車本体は直ったけど、屋根の天幕が直らないな……これはしょうがないか……旅の途中、魔物の皮が手に入ったら、修理するしかないな」

 ケンジはそう独り言を言いながら、馬車をインベントリに収納して、ケンジは魔法ってホント便利いいなと満足して、部屋へと戻るのであった。

 そして、ケンジはガチャと部屋の扉を開けると、4人は話が盛り上がってくつろいでいたのだった。

「あっ、主!何をやってたのですか?随分と遅かったですね」

「ああ、女将さん達に挨拶して、明日の準備してただけだよ」

「そうですか!何か用事があったら、私達に遠慮なく命令してください。なんでもしますから!」

「ああ、わかってるよ。明日は、朝早いし護衛をちゃんと頼むな!」

「はい。まかせてください‼」

「じゃ、今日はもう遅いし寝るか」

 ケンジが、言ったところでふっと肝心な事を思った。

「この部屋、ベット4つしかないじゃん!セイラ、システィナ・プリムは悪いけど、女性様にベットを2つ引っ付けて3人で寝てくれ」

「ご主人様!今日は、わたしが夜の奉仕をするから、わたしがご主人様と一緒に寝ます!」

 プリムは、その豊満な胸を張り、さも当たり前のようにきっぱり言うのだった。

「えええ!」

「ええってなんですか!わたしじゃ不満ですか?」

「全然不満じゃないが……今日もやるのか?明日は早いんだぞ……」

「じゃあ、やらなくてもいいから添い寝だけでも……今日はわたしの番です!」

 そういって、プリムはケンジのベットに、潜り込むのだった。

*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきた魔法

※①【ウッドメンテ】
木属性魔法    2レベル
消費MP     25
詠唱速度     3秒(詠唱スキルが無い場合)
効果時間     なし
効果対象     1つの物
効果範囲     なし
必要秘薬     マンドラゴラの根・アビスの葉・虹パール各2個

備考
 唱えることにより木造の物が修理され元の状態になる。エルフが
得意とする魔法の一つである。
魔法使いレベル30、魔法スキル40.00以上で使用可能


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