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第1章 異世界に!

31話 依頼をドンドンやりに行こう!③

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 ケンジ達は、今日の仕事は終わりという事で雑貨屋を巡り、どんな物があるのか、見て回っていた。

「ご主人様、こんなのはいかがですか?」

「いいじゃないか!良く似合ってるよ。性能の方も、システィナに合っているみたいだしな」

 システィナは、ケンジにアクセサリーを見せていた。4人は屋台での食事をすませ、細工屋でアクセサリーを手に取り、どんな物があるのか見てたのだ。

「それにしても、アクセサリーと一言に言っても、色んな物があるんだな……デザインも豊富だよな」

「主、デザインだけじゃなく、性能も色んな物が複合して付与されていますね」

 この世界の、アクセサリーは見栄えが良いだけでなく、色々な能力がアップしたり、スキルがついたりしているのだ。
 例えば、アクセサリーを身に着けるだけで、弱い物ではSTRが+5とかDEX+5だとか付与されているが、強い物になると複合性能といって、STR+5とスキル戦術+15.00等、身に着けるだけでとても役に立つのである。
 だが、アクセサリーを作る時、任意の能力が付与されるわけではなく、性能はランダム付与されるらしく、STR+5と魔法スキル+15.00とか、これはちょっとというような物も多いのだ。

 システィナが,手に取っていたのがこんな感じのアクセサリーだった。
 

綺麗に磨かれた指輪
性能    DEX+5 音楽スキル+10.00
値段    80万ドゴン


 ケンジは、値段を見て顔をしかめたのだった。今日は、Fランクの依頼しかしていないので、完璧に予算オーバーだったのだ。

 やっぱり、この世界でもアクセサリーって、高価なんだなあと思うケンジだった。
 ケンジ達は、何も買わずに店を出ていき、出て行った後、店の店主はなんにも買っていかないケンジ達を見て、ブツブツ言っていたのだった。

「悪いな……アクセサリー、買ってあげれなくて……もっと稼がないと、あの価格じゃ……アクセサリーはまだ手が出ないよ」

「ご主人様!そんな、謝らないでください。あたし達は、ホントにご主人様といられるだけで幸せですよ」

「「そうですよ」」

「そっか……そう言ってもらえると俺も助かるよ。それにしても、アクセサリーって高いんだな……あれなら、武器が買えるぞ」

「そうですね。アクセサリーつけるだけで、攻撃力やスキルが苦労せず、高める事ができますからね」

「それに、あのアクセサリーはマジックアイテムですから、高額なのはしょうがないですよ」

「あれって、マジックアイテムになるのか……」

「そうですよ!アクセサリーを作る際に、道具のツールがゴットオーダーで出た、マジックアイテムが作れる特別なツールで、製作したアクセサリーなんですよ」

「なるほどなぁ!だから、あんなに高いのか!でも、あんなに高額だけど、装備したら安く感じるほど高性能なんだけどなぁ。でも、今はあそこまでの予算がないのが悔しいな……」

 そんな事を言いながら、町を散策しいろんな物を見て回る、ケンジ達だった。





 夕方、ケンジ達は依頼を完了しに、生産ギルドに寄るのだった。ケンジが、生産ギルドに入ろうとしたら、受付嬢のアンナがケンジの姿を見るや否や、すごい勢いで駆け寄ってきたのだった。

「ケンジ様、今日は何をしたんですか?」

 アンナは、ケンジに駆け寄ると同時に捲し立てるように、今日あった事を尋ねてきたのだ。

「ちょ、ちょっと……アンナさん!近づきすぎだって……」

 アンナは、下から見上げる格好で、ケンジの胸倉をつかむ様に寄り添い、上目遣いでケンジを見つめていたのだった。

「そんな事はどうでもいいです!ケンジ様、今日はいったい何をしてたのですか?」

「えっ?何をって……アンナさんも知ってる通り、Fランクの依頼をこなしてたんですよ。そして今、帰ってきただけですが……何が、あったのか知らないですが、もう少し離れて落ち着いてくださいよ」

 ケンジがそう言うと、アンナは自分がケンジに寄り添っているのを見て、すぐに照れながら離れてくれて謝罪してくれたのだった。

「申し訳ございません……実は、昼ぐらいからケンジ様に、町の人達から指名依頼がドンドン入ってきて、それを処理するのに、生産ギルドがパニック状態になったんですよ」

 それを聞いた、ギルスレイン達がため息をもらすのだった。

「貴方達、なにか心当たりがあるの?」

「いえ……私達は何もしらないです!」

 ギルスレインは、ケンジを心遣い何も言わない事にしたのだった。

「俺達は、普通にFランクの依頼をしただけだしな……今も、その清算をしにきただけだよ」

「じゃあ、なんでいきなり平民の町の人達が、こぞってケンジ様に指名依頼をしにきたのかしら?説明をしてくれないかしら」

「そんなの、俺が知るわけもわかる訳もないじゃないか!」

「それはそうだけど……ケンジ様が何かやったんじゃないのですか?」

「それに想像したら、すぐわかる事だと思うけどな」

「え?やっぱり何かしたのね!」

「そんなの考えたらすぐわかるだろ!生産ギルドにしても冒険者ギルドも、みんなFランクの仕事を蔑ろにしすぎなんだよ」

 ケンジは、諭すようにアンナに説明を続けるのだった。

「どういう事ですか?」

「今日一日、Fランクの依頼をしてみてわかったんだが、町の人達は女の人や老人の人達では、大変な仕事を依頼してきている事にギルドは気づいているか?それを、値段が安いからって長い期間放置していて、俺が今日依頼をこなしたら、みんな異常なくらい感謝していたよ」

「そ、それは……私達もわかってたんですが……」

「分かってて、放置していたのか?それって職務怠慢じゃねぇのか?」

「そんな事は……」

「だから、久しぶりにFランクの依頼をこなしてくれる人が出たという事もあり、指名依頼が殺到したんだろ?」

「な、なるほど・・・」

「なるほどって、他人事かよ!感心している場合じゃないとおもうけどな!」

「それってどういう事ですか?」

「わかってないのか?よく考えたらわかる事だよ。それより今日の清算してくれないか?」

 ケンジは、呆れ返り何もなかった事にして、今日やった依頼の清算をすませた。

 そして、昨日狩ったジャイアントフォレストボアの、毛皮と牙を買い取ってもらったのだった。その際、生産ギルドは肉が無い事に疑問を感じ、ケンジに尋ねてきた。
 ケンジは、高級肉だとわかっていたので売らないと言ったら、ギルド職員はガッカリして落ち込むのだった。ジャイアントボアは、なかなか見かける事ができないうえ、とても美味しい肉なので人気が高いのだ。その上、ボアがとても強く狩るとなると生産職では無理で、持ち込まれるのは冒険者ギルドばかりで、生産ギルドには持ち込まれる事が無いのである。
 そういう事から、ギルド職員は少しだけでもいいから売ってくれと食い下がったのだが、ケンジは宿屋に差し入れしたので、残りは自分達で食べるつもりだと言い、ギルドへの買取は断ったのである。

「ケンジ様、お願いします!肉も売ってもらえないでしょうか?こんな機会、生産ギルドでは滅多にないのです」

「いや、日ごろお世話になっている宿屋に差し入れしたんですよ。残りは、俺達で食べる分しか残っていないから無理です」

「えええぇ~~~‼ジャイアントボアの肉を、売らずに差し入れしたのですか?」
 
 ケンジの、言葉を聞きアンナは驚き、ガックリと肩を落とすのだった。

「あの……ケンジ様、後どれくらい肉は残っているのですか……その中から、1割でもいいので売ってもらえないですか?」

 さすが、アンナである。少しでも、ギルドの売り上げを上げる為、交渉をしてきたのだった。その執着を見て、ケンジは諦めた感じで、交渉に応じる事にしたのだった。

 それを聞いた、アンナは跳び上がるほど喜び、他のギルド職人は笑顔をみせていたのだった。ただケンジも、黙って普通に売るつもりは全くなく、アンナに交渉をはじめるのだった。

「じゃあ、持っている肉の3分の1で100㎏売ることにします。いくらで買い取ってもらえますか?」

「では、200g5,000ドゴンでお願いします」

 ケンジは、黙って席を立とうとしたら、アンナは慌てて言い直すのだった。

「アンナさん、俺が知らないと思って、交渉はしない事ですよ。」

「すいませんでした……200g8,000ドゴンでいかがでしょうか?」

「あのですね……俺は、売らなくても全然いいんですよ。ジャイアントボアは、最近出回っていなかったと思いますが!」

 ケンジは、肉に鑑定をし、今の相場は200g15.000ドゴンと出ていて、この値段でも十分安く、売り切れるのを知っていたのだった。

「それじゃ、200g12.000ドゴン、これがめいっぱいです。ケンジ様お願いします!なんとかこれでお売りください!」

 ケンジは、15.000まで値を上げたかったが、欲張りすぎるのも駄目だと思い、その値段で手を打ったのである。
 ケンジは、売る時にボソッと相場の値まで上げたかったんだがと言ったら、アンナはギクッと肩が上がったのを見逃さなかった。

「アンナさん、肉を無理して売ったのだから、覚えていてくださいね。これは貸にしておくから、ちゃんと覚えておいてね」

 ケンジは、きっちりアンナにくぎを刺しておいた。

「わかりました……」

 アンナはガックリうなだれるのだった。

 ケンジは、ジャイアントボアの肉を、100㎏を売り600万ドゴンという、大金を手に入れるのだった。牙も毛皮もたいした傷もなく、高値で買い取ってもらえたのだった。

 この売り上げの結果を見たら、確かにみんなFランクの依頼など受けたがらないなと思うケンジであった。


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