異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第1章 異世界に!

16話 宿屋に行こう!①

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 ケンジは宿屋を行こうとしたがより良い宿屋に泊まりたいがわからないのでアンナさんにおすすめの宿を聞くことにした。

「アンナさん、この辺で良い宿屋はありませんか?」

「それなら、前の道を城門のほうに向かって、青い屋根の雑貨屋を左に曲がり100mぐらい行った場所に【森のさえずりの宿】って宿屋があり、50代くらいの夫婦がやっていて料理も美味しいそうですよ。」

「へえ!それは楽しみだ。そこに行ってみます。それじゃ又明日からよろしくお願いします。色々とありがとうございます。」

「いえいえ、それではまた明日。」

 もう夕暮れ時なのでお腹をすかせて宿屋に向かった。そこは、あまり大きくはないがシックな建物で落ち着いた宿屋でゆっくりできそうだと思うような建物だった。

「失礼します。」

 声をかけると若い女性が奥から出てきていきなり!

「は~い。いらっしゃい・・・あ~~~!あなたは!」

 すると奥から中年の女性が出てきて注意するのだった。

「なんだい!大きな声を出して。お客様に失礼だろ!」

「お母さん違うの。さっきマックを助けてくれた人が!」

 大声を出した女性は先ほど貴族の馬車に息子をひき逃げをされたマリアさんだったのだ。そして、マリアさんが頼ってこの町に来たのはこの宿屋を経営しているご両親だったのだ。

「まあ、あんたが孫のマックを救ってくれたのかい?本当にありがとねぇ。今日は泊まりに来たのかい?それとも食事?」

 宿屋の女将さんは涙を流しケンジに感謝をしたのだった。ケンジ達は女将さん達からのの歓迎に圧倒されながらギルドからの紹介でここに来た事を伝えた。

「ギルドからこの宿を勧められて何泊かお世話になろうかと思います。」

「そうかい!ゆっくりしておいき。でっ、何泊するんだい?」

「とりあえず、1週間ほどお願いしたいのですが、1泊幾らですか?」

「何、言ってんだい。孫の命の恩人からお金は受け取れないよ!いつまでも、ゆっくりしていきなよ。」

「いや・・・それは・・・悪いですよ。それにヒールの代金はちゃんといただきましたし。」

 奥から親父さんとマック君が出てきて、親父さんもまた涙を流しながらケンジにお礼を言ってきた。

「兄ちゃんがいなかったら、孫にもう会えないところだった・・・本当にありがとな。感謝しても感謝しきれないがこんなぼろい宿だがずっと泊まっていってくれ。」

「お兄ちゃん!ホントありがとう!」

「ケンジさん父も母もわたしもホント感謝しているんですよ。こんなことでしかお返しできませんがいつまでも泊まっててください。」

 ケンジはこれ以上断るのも悪く思い、親父さん達の好意を素直に受ける事にした。

「部屋は一番奥の大部屋を使っておくれ。」

「え?俺達は女性もいるから2部屋でお願いするつもりだったのですが・・・」

 女将さんが驚いたような顔をして説明をしてきた。その説明はシスティナもプリムも奴隷なので、奴隷に一部屋は貸すことが出来ないんだと申し訳なさそうに言われた。
 理由としては奴隷は主人の財産でやっぱり物扱いになるそうで宿屋でも泥棒の用心はしているが、誘拐にあうと責任は持てないということなのだ。普通は貴重品を手元に置くでしょうと説得されたのだ。

 そして、もし奴隷と一緒の部屋がいやだというなら、奴隷専用の頑丈な部屋があるからと言われギルスレイン達はそこになるらしい。感覚としては貴重品袋に入れて宿屋の金庫に預ける感じだとケンジは思ってしまった。

 当然だがケンジはシスティナ達をそんな所に押し込めるつもりはなく一緒の部屋でいいと言うのだった。

「いやいや・・・プリム達と一緒が嫌とかじゃなくて、道理的に女の子と一緒の部屋に泊まるのは・・・」

「ケンジさんはお優しい方なんですね。奴隷を人扱いされるなんて・・・この宿屋やってて初めて見たよ。」

「ご主人様・・・あたし達は奴隷部屋でもかまいませんよ。」
「あたしもご主人様に買われるまでもそこで泊まっていたんですし。」

「システィナ達をそこに泊まらせるなら大部屋がいいよ。」

 すると、女将さんはニコリと笑い部屋の鍵を渡してきた。

「ケンジさん、こちらが部屋の鍵ですが外出する時はこちらのカウンターにお返しくださいね。」

「はい。わかりました。」

「とりあえずお腹が減ってるので晩御飯用意できますか?」

「それでしたら、1階の奥にある食堂へどうぞ。」

 女将さんは丁寧に案内をしてくれた。

 「どこでもいいから座っておくれ。」

 ケンジは奥の4人掛けの席に行き座ったが、ギルスレイン達は座らずケンジの後ろに並び立っていた。ケンジはみんなが後ろに立っている事に居心地が悪く大きな声を出すのだった。

「な、なんでみんな座らないんだ?早く座りなよ。」

「座ってよろしいのですか?」

「ご飯食べるんだから座らないと食べれないだろ?」

 そういうとギルスレイン達は席に座らずその場の床に正座した。

「いやいや・・・なんで床に座るんだよ。座席につきなよ。」

「主と一緒の席につくなんて・・・奴隷は同じ席には恐れ多くてむ、無理です。」

「これからそんな考えはいらないよ。ずっと一緒に生活していくんだし、いいからみんな席に着きな。それに昨日は野宿で一緒にご飯を食べたじゃないか。」

「ご主人様、あれは野宿でしたし、みんな地べただったでしょ?」

「ああ、たしかにそうだったな。」

 女将さんが注文を取りに来てケンジは今日のお勧め聞いたのだ。女将さんは今日はフォレストウルフの肉が入ったからと言いAコースを進めてきた。

Aコース(ウルフのステーキ・サラダ・野菜のスープ・黒パン)10ドゴン

 そしてフォレストボアの肉がいいならとBコースも紹介してメニューを見せてきた。

Bコース(ボアのステーキ・サラダ・野菜のスープ・黒パン)8ドゴン

「じゃあ、俺はAコースにするよ。みんなは?」

「「「え?」」」

「え?じゃないよ。みんなは何にする?」

「我々は奴隷食になるので選ぶ事はないですよ。」

「はあ?奴隷食ってなに?それってどんな食べ物なの?」

 すると、女将さんは奴隷食の説明をしてくれたのだが、塩味がついた芋が少し入ったスープだと教えてくれた。

「はあぁ?そんなんじゃ栄養がつかないじゃないか・・・そんなんじゃ腹も減って動けなくなるぞ。」

「いや・・・でも、主・・・奴隷とはそういうものですから。」

 ケンジはこのままだとギルスレイン達は料理を選ばないと思い、勝手に注文をしたのだった。

「女将さん、Aコースを4つお願いします。」

「主、私達にそんな豪勢な料理はもったいないです。」

「「そうですよ。」」

「いいからいいから。俺が君達の主人だ。だったら何を与えても俺の勝手だろ?他所は他所だ!俺はそんな理不尽な事はしないと言ったはずだ。」

 ケンジはギルスレイン達をジト目で見ながら注文を済ませるのであった。

「ケンジさんよろしいのですか?」

 女将さんは申し訳なさそうに聞いてきたがケンジは構わないから持ってきてと言うのだった。それを聞きギルスレイン達は諦めて席に着きケンジにお礼を言うのだった。

 料理が届き4人掛けの席が料理でいっぱいになり、ギルスレインは目を輝かせて興奮しているようだった。

「ホントにこれを私が食べてもいいのですか?」
「「ご主人様ありがとうございます!」」

 システィナ、プリムは目を輝かせてと何回も言っていたのである。

 女将さんは申し訳なさそうにケンジに頭を下げてきた。

「料理は前払いになります・・・」

 この世界ガイアースでは宿泊は低額の料金なので宿屋は料理のボリュームでお客に贔屓にしてもらい、普通その料理の値段で利益を出すのである。なのでケンジ達に料理の料金までサービスしてしまうと完全な赤字になり立ち行かなくなるのである。

 女将さんは、ケンジだけなら食事もサービスするつもりだったがケンジが奴隷の分まで一緒の食事を頼むとは思わなかったのだ。

「ホントに申し訳ありません…」

女将さんとマリアはケンジに平謝りしたのだった・・・

 ケンジは料理までサービスしてもらえると思ってもいなかったのでキョトンとした顔になったのだ。

「いえいえ・・・宿泊もタダで泊まらせてもらうのに食事までご馳走になろうとはおもってなかったですよ。」

 ケンジは笑顔で銅貨4枚を女将さんに支払うのだった。

 食事をはじめたらギルスレイン達は奴隷に落ちてもこんな美味しい物が食べれるとは思わなかったと嬉しそうに食べ始めたのだった。
 ケンジも「いただきます!」と言い食事をはじめた。

 ウルフの肉は初めて食べたが肉汁が溢れ味付けも塩だけなのだがとても美味しく、スープは出汁が効いて中に入っている芋は味が染みて本当に美味しいのだ。パンは少し硬いがスープに浸して食べるのが普通でこれも又味わいがありパンの硬さもなくなり何個も食べれるのである。サラダもシャキシャキして張りがあり文句なしだった。

「ふう!食べた食べたすごく美味しかったです。ごちそうさま!」

 ケンジ達は食事に満足し女将さんにお礼を言い部屋に戻るのだったが、周りにいる他のお客にはケンジ達が居なくなってからボソボソ噂していたのだった。

「奴隷にも普通の食事を与えるなんて変な奴。」
「あんな奴初めてみたよ。」
「奴隷にあんな食事与えるなんて金がもったいないだろ?」
「金持ちはいいよな・・・俺には絶対無理だ!」

 ケンジを変な目で見てそんなことを口々に言っていたのだった。

 その客の奴隷達もまた心の中でなんて良い主人に買われたんだ・・・私達もあの人に買われたかった等、羨ましくまた嫉妬してギルスレイン達を横目で見ていたのだった。

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