上 下
12 / 619
第1章 異世界に!

11話 教会に行き再び。

しおりを挟む
 お腹一杯になったケンジ達は※①【世界地図】のマップを見ながら教会を目指していた。細い道が開けた場所に教会はありケンジは驚いたのであった。
 そこにあったのは地球で見ていたような教会でなくお城かというほどでかい建物であった。

「でけえ!これが教会?」

「そのようですね。」

 ケンジは一般の人が普通に入れるのか?とおもいながら敷地内に恐る恐る足を踏み入れるのだった。するとそこには一人のシスターがいて教会の玄関を掃除していてケンジ達に気がつき話しかけてきた。

「教会に何か用事ですか?懺悔ですか?それとも参拝に?」

「俺達でも参拝してもいいですか?なんか教会が立派すぎて場違いな気がして・・・」

「女神クローティア様は皆に平等に接してくれますよ。どうぞ教会にお入りください。」

 シスターはクスッと可愛らしく笑うのだった。

 教会の入り口はジャイアントでも悠々に通れるぐらい大きく、今の時間は誰でも入れるように開けっ放しにして解放になっているのだそうだ。

「では、わたしは表にいますのでごゆるりとどうぞ。」

 シスターはそう言ってまた表に出て行ってしまった。ケンジ達は教会の中の装飾やステンドグラスそして正面に祀ってある女神クローティアの巨大な神像に息をのんだ。

「主、すごい神像ですね。こうして私も参拝できることが凄く幸せです。」

「ああ、そうだな。俺もこういうものにふれあう事ができて感謝しなきゃな。」

 ケンジはそう言って片足をひざまづき両手を握り心の中でクローティアに語り掛けるのだった。

「ティアさん、色々あったが仲間が3人増えたけどなんとか町に着くことができたよ。」

 ケンジは目をつむり独り言のようにお祈りをした。

「ケンジさん無事町についてよかったですね。目を開けてください。」

「えっ?」

 そこはケンジがクローティアと初めて会った屋敷の庭がケンジの目の前に拡がっていたのであった。

「おお?なんで俺は又ここに来てるんだ?」
 
 クローティアは少し困ったような笑顔でケンジを迎えるのである。

「え~っとですね・・・ケンジさんを転移したさい加護を授けたんですが別れ際に友達になってと言われましたよね・・・」

「ああ、言ったな。」

「それでわたし・・・嬉しくなっちゃって力配分を間違えてしまい加護ではなく寵愛を授けてしまったみたです。だからこうしてお祈りするとケンジさんは神界にこれてしまうようになっちゃって・・・てへ。」

「そ・・・それってすごくやばいんじゃ・・・特に教会関係の組織から狙われたりしないのか?」

「まあ、マズいとは思いますがけどその為にベールも授けたのでばれる事は絶対ないです。それに大きな教会は聖職者が殆どいませんしね。魔法使いばかりなので問題ないですよ。」

 それをクローティアから聞いたケンジはホッと胸をなでおろした。

「そう言えばティアさん!それと言いたいことがたくさんあるんだがいいか?俺を死なせたくないという気持ちはわかりますし、俺自身感謝もしてるんだがレベル500とかスキルの値120.00とか全魔法適正とかもう失われている魔法とか色々やりすぎなんじゃないですか!」

「だってぇ・・・ケンジさんはわたしのお気に入りなんだもん。」

 クローティアはケンジに怒られて可愛らしくシナをつき女神らしくない行動したのだった。

「だってぇ~~~とかもんじゃない。俺が権力者達に狙われてもいいのか?」

「ケンジさんの今の力なら大丈夫ですよ。」

「いやいやいや・・・俺はそんな力でなんとかしようとか思わないよ。できたら仲間と楽しく自由に生きていきたいだけだよ。」

「でも一回授けた能力を取り上げる事が出来ないし・・・・じゃあ、お詫びに又何でも一つお願い事を聞いてあげるわ。」

「もうこれ以上いらないよ。どんだけ強くしたらいいんだ・・・」

「え~~~~でもわたしの気がすまないし・・・」

 ケンジはふと思い出したことがあり二ヤリと笑うのだった。

「ホントになんでもいいのか?」

「なによその笑みは・・・怖いけど女神クローティアに二言はないわよ!」

「その言葉信じるからね。あのさ俺ずっと気になってたことがあるんだけど舞はどうしてる?」

 ケンジの言葉にクローティアは下を向き落ち込んだようになるのだった。

「そうですね・・・少しマズいかもしれませんね。」

「え?なんで?友達が何とかしてくれてるって・・・」

「マイさんはケンジさんが亡くなって凄い落ち込みようで時間と友達が解決してくれると思っていたのですが一度手首を切って自殺未遂をしてしまい今は入院しています・・・」

「えええ!やっぱそんなに思い詰めてたか・・・」
「ティアさん舞は小さい頃から俺の後ばかりついてきて何かとおせっかいばかりして、俺は舞が俺に好意を持っていた事には気づいていたんだよ。」
「だから俺からの伝言をティアさんから伝えてくれないかな?この世界に転移して生き返れた事や、俺の事は忘れてちゃんと前を向いて幸せに生きてくれって。俺もこっちの世界で頑張るって伝えてくれないか?」
「俺からの伝言なら舞も時間はかかるかもしれないけどちゃんと聞いて前向きになると思うからさ。」
「後、お前の事が好きだったって。これを舞に伝えれなかった事が俺の後悔している事なんだ・・・自分で言いたいけどもう無理だからさ・・・・」

「ホントはケンジさんに対してのお願いを聞くつもりだったのですがしょうがないですね・・・わたしがマイさんの夢枕に立ちケンジさんの事を伝えましょう。」

「ホントか!」
 
 ケンジは喜びクローティアに抱きつき感謝を笑顔でしたのだった。

 クローティアはいきなりの事で顔を真っ赤にしてモジモジするのであった。そしてクローティアは照れを隠すように今なにかを思い出したように、ケンジを呼び出した事を説明するのだった。

「あ、そうそう!ケンジさんを神界に呼び出したわけがあったんだった。」

「大事な事なのか?」

「ええ、ケンジさんはガイアースの事がわからない事多いでしょ?」

「そりゃそうだな。奴隷のシステムの事もしらないし、町が城壁で囲まれてるとは思わなかった。転移する時聞いていたけど柵の様にもっと低い物と思っていたから驚いたよ。」

「なので、基本情報や色んな事をケンジさんに覚えてもらおうと思って呼び出したんですよ。」

「え、今から?覚えるの苦手なんだけどなあ・・・時間もかかるんでしょ?」

「いえ、ケンジさんの脳に直接インストールするだけなので情報を一気に植えつける事だできるので一瞬ですよ。」

「へぇそれは便利だな!そんな感じで覚えることができたら地球にいた時テストで楽勝だったのにな。」
 
 ケンジはクローティアの説明に笑顔で答え気軽に思っていたのだった。

「それじゃあいきますよ。」

「ああ、パッパッとやってくれ。」

「インストールしている時はすっごい頭痛がしますが我慢してくださいね。」

「なっ!そんな直前にいう・・・・がああああ!イタ、痛い!やめて・・・止めてくれぇ~~~~!」

 あまりの頭痛の激しさにケンジは頭を抱えのた打ち回るのだった。その姿は孫悟空が師匠の三蔵法師に折檻をされているかのように見えたのである。

「うがががが・・・ううう・・・・痛ぇ~~~!」

 ケンジはいきなりの事で何も言えなくて1分ほど頭痛にのた打ち回り耐えたのであった。

「はあはあはあ・・・・ひでえ目にあった・・・」

「ケンジさん大丈夫ですか?・・・」

「ティアさん!いきなりなんてことするんだよ!」

「ヒッ・・・ごめんなさい・・・でも、こうでもしないとガイアースの事1から教える事になって何年もかかるんだもの・・・」

「いや。前もって頭痛の事教えてくれたっていいじゃないか。いきなりあんな痛いのは耐えられないじゃんか!」

「でも、耐えられたでしょ・・・」

「そういうことじゃない!」

「でも、苦痛に耐えたことだけ実入りも大きいはずよ。」

「え?・・・お・・おおお・・・色んなことがわかるぞ。これって知識チートじゃないか?」

「そうね。ガイアースに住む人々がまだ解明されていない事も解るようになってて、これで何を隠し何をやってもいいのか怪しまれずにすむはずよ。」

「たしかにこれなら大丈夫だな。」

「じゃあそろそろ時間だわ。元の場所に戻っても時間は殆ど進んでいないから大丈夫よ。それじゃまた教会に寄ってね。今度はゆっくりお茶でもしましょうね。」

「ああ、そうだな。それと舞の事たのむよ。」

 そういうとクローティアはニコリと微笑み聞こえなかったが口元は「任せておいて!」というのが伝わった。






 目をつぶって参拝しているとギルスレイン達がケンジを呼ぶ声が聞こえてきた。

「主!主!凄いですよ!」

「うん?どうかしたのか?」

「参拝しているとき女神像から主を照らしていたんですよ。」

「主はなにか神から啓示あったのですか?」

 ケンジは今のあったことを知られないようにごまかしたのだった。

「いや・・・別に何もなかったけど?・・・でも、なんか暖かい気に包まれていた感じがしてたよ。」

「そうですか。神像と主がものすごく輝いてたんですよ。なにか啓示があったんなら私達もすごく誇らしいです。」

「そうなのか?だけど啓示があったら俺自身も嬉しいな。」

「「「ええ!そうですね!」」」




「それじゃ、次ギルドに向かおうか。」

 ケンジがそう言った時シスターが丁度良く教会の中に戻ってきたのだった。

「もう参拝はよろしいのですか?」

「ああ!もうすみました。これお布施です。」

 ケンジは鞄から大銅貨5枚を渡しお礼を丁寧にしたのだった。

「あなたの行く先に幸運がおとずれますように。」

 シスターは頭を下げお布施をうけとり奥に戻っていった。

 ケンジはクローティアにまた会うことができ嬉しく思い又、近い内に教会に寄ろうと思って後にしたのだった。


*-----*-----*-----*-----*

 この話で出てきたスキル

※①【世界地図】
 ケンジしか所持者がいないレアスキル。
世界中の地図が見れて拡大縮小も思いのままで、町の中、ダンジョンの中にも
使える便利の良いスキル。
 この地図にサーチの魔法を併用して使う事が可能で薬草や魔物を
見つけることも可能である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依
ファンタジー
主人公である小野田博俊(おのだひろとし)は女神ミーレヌのせいで死んでしまい、 異世界であるミストラルに転移してもらう。  そこには研磨という職業は無く、博俊は研磨でお店を開き、魔法と掛け合わせて 楽しく儲けて生活する物語。  研磨で新しい効果を生み出し、時には笑い時には悲しみありの長編小説。に、 したいとおもいます(*^-^*)

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

処理中です...