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おはようござい死ね篇
#9 みんな仲良くプレイしましょう!
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〖YOU WIN!〗
〖経験値を獲得。〗
〖素体の経験値貯蔵量が一定量超過を確認しました。〗
〖レベルアップ開始─Now Loading…〗
〖プレイヤーネーム:”バンブー”がレベル10に達しました。〗
〖スキルポイントが3ポイント贈呈されます。〗
〖ビギナープロトコル解除:条件-2”素体レベルの一定レベルまでの上昇”が達成されました。〗
〖以降から死亡後にデスペナルティが適応されます。〗
俺は地面に転がる仮面を拾い上げる。罅が入っていないか確認し、装着する。
ムホンの【回復魔法】を浴びながら、俺は顎に手を当てる。
「意外と強かったな。やっぱり毒がデカいか?……まぁ、だいたい分かったし、お前らが居れば余裕か」
「ピョン」
自信満々な音でムホンは鳴き声を上げる。
「よし、早速レベル上げだ」
俺達は再び集まり出した光の欠片に目掛けて走り出した。
「次から次へと、全く……最高かよ!」
配下①達はピョンピョンと可愛らしく詠唱する。
その間に俺とムホンは二人で左右から紫蛙へ突っ込む。
ムホンが注意を引きつつ、薙ぎ払うようにその無駄にゴテゴテとした角を振りかざす。
───〔スライド〕
それを避けるべく後ろに飛び跳ねた紫蛙の背骨をスキルの威力が上乗せされたナイフで斬り付ける。
ゲコォ、そんな間の抜けた雑音を喉から垂らしながら、紫蛙は口に毒々しい色の液体を栗鼠のように頬を膨らませ始める。
水風船のようにパンパンに膨れ上がったそれをムホンが飛び退いた瞬間にナイフで突いて破裂させる。
顔の左から血と毒の液体を噴水のように射出する紫蛙は激痛と憤怒に狂ったかのように我武者羅に暴れ出す。
紫蛙は俺目掛けて跳躍する。かかったな馬鹿が!
それを阻止したのは配下①のそれぞれ別属性の魔法スキル達。
「グェ?!」
俺の目の前に先刻まで迫っていた両生類は色とりどりのエフェクトと共にに吹き飛ばされ、ズタボロになって壁にへばりつく。
一人でまあまあ苦戦した相手を、チームだとこうもあっさり捻る事が出来る。やはり数とは偉大な物だ。
休憩を済ませた俺達は再びダンジョンの奥へと進む。しばらくした所で、ふとある事に気付く。
「……ピョン」
「お前も聞こえたか、今の声」
それな紛れもなく人の声だった。新手の魔物か、それとも異邦人か。ダンジョンのコンセプトを察するに後者の方が可能性は高いだろう。
俺は慎重に【隠密】を発動させると配下①のうち一匹、イチノイチとイチノニを先行偵察させる。
ちなみにイチノイチくんは【火魔法】、イチノニちゃんは【闇魔法】の使い手だ。先手高火力&デバフは暗殺者の基本のキ。いかに早い段階で相手に深手を負わせる事が出来るかが勝負を大きく左右する。ここテストに出ます。
暗殺とは準備。準備こそ暗殺の極意なのだ。
「だ、誰だッ!」
「な、なぜここに〈一角兎〉が?!」
「『ピョンピョン』」
「『ピョピョン』」
混乱する異邦人達を飲み込むのは焔の濁流。
焼け焦げながらも構えようとする彼らを、黒い色のモヤが纏わり付く。
「今度はなんだよ!」
「前が見え辛ぇぞ、オイ!」
「クソ!落ち着け! オロオロしてちゃやられ……」
───〔スライド〕
先ずは指揮系統から破壊していく。指揮を失った軍隊は驚く程に脆くなる。
思い出すな、今は亡きDLO。忘れもしない、あれは確か大規模ギルドを一人でぶっ壊す遊びをしてた時だったな。
まずは簡単なのからって事で、後衛のサブマスと指示を出してるヤツを片っ端から殺して回った。
するとどうだろうか、統率の取れなくなったプレイヤー達は連携もバラバラに頓珍漢な作戦をそれぞれが立て始めた。中にはいがみ合って喧嘩まで発展してるヤツらも居たな。
とうのギルマスはカリスマはあるものの根っからの脳筋で、上手く事態に対処しきれなかった。
俺は殺されてしまったものの、ギルドはその時の蟠りが原因で多くのメンバーが脱退。その後間もなくとしてそのギルドは無事解散した。肉を切らせて骨を断つとは正にこの事だ。
さて、話は目の前の異邦人達に戻る。
彼らは今視界の大変よろしくない状態にある。これは【闇魔法】『御先真暗』が引き起こしたものだ。この魔法の効果は低度の盲目とステータスの微量な低下だ。
地味と思われるかも知れないが、人間の脳が周りの事を把握するのに使う情報の約八割は視界情報と言われている。それがいきなり心許ない物になってしまう事の、なんと恐ろしい事か。
そこに身体の力がいきなり抜けたらどうだろうか。
更に更にそこへ居るはずの無い魔物、いきなりの全体攻撃を上乗せすれば、情けなく尻もちをつくパーティの一人を責める者も少しは減るだろうか。まあ、結局ダサいものはダサいのだが。
ムホンは異邦人のうちの一人の脚をスキルで大きく抉る。それに続くように①達も魔法や角で攻撃を開始する。
しかし、相手も黙っている訳では無い。
盲目状態でも見える範囲までやってきた瞬間に剣を振る者。
我武者羅に槍を振り回す者。
結界のようなものを展開させて自分を守る者。
尻もちをついたまま起き上がれず、へその上から角が生える者。
実に個性的な様々な対応をする。
しかし消耗戦なら深手の4対、絶好調の11で俺達の勝ちだ。
「ちっ、ダメだ勝てねぇ!」
「諦めんのかよ」
「だってよ……」
オイオイ、俺達を前にして仲間割れとはいい度胸じゃねぇか。こういう時こそ一致団結の時だと俺は思うね。
「ピョン」
「グァァッ!」
「アルト! クソ、アレを使うしか……」
ムホン達は異邦人を一方的に蹂躙する。
残りの一人にナイフを刺しかかろうとした所で異変に気付く。
何故反撃しない?
戦意喪失? 抵抗しても無駄と分かったから? いや、違う。コイツは今笑ってる。
「なぁ。アンタ、例の仮面の暗殺者だろ? ウワサは聞いてるぜ、自殺したんだってな。なら……」
「不味い! みんな逃げ──」
「……殺されるのは初めてか?」
ダンジョン中に、轟音が響き渡る。
直撃を避けたはいいものの、俺達は爆風の余波で吹き飛ばされ、硬い岩壁に叩き付けられる。
衝撃で空になった肺に空気を、大きく深呼吸して流し込む。咄嗟に【早着替え】した事で仮面は砕けなかった。
まだ計画は終わっていないのに、勝手に壊れてもらっては困るからな。
多分あの仮面屋は例の一件で使えない。次使えば確実に足がつく。こんな事なら予備の仮面でも買っておくべきだったか?
まあ何はともあれ。結局、自爆太郎くんは俺達を誰一人として殺せず、儚く散っていった。が、侮れない奴だった。
異邦人の中にはこういう捨て身覚悟のヤツも居るだろう。気を引き締めていこう。油断大敵だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後も俺達は目立った困難も無く、順調にレベルを上げていった。ただ一つ不可解なのは……
「……なぁ、なんか蛙強くなってきてない?」
「ピョピョン」
俺にはウサギ語が分からないが、今のは恐らく肯定だろう。多分。
魔物の強さだけでなく、姿形まで変わってしまっている。紫蛙の肌のイボのような物は大きくギザギザした形になり、大きさも一回り二回りデカくなっている。おそらく上位種として間違いない。名前分からないし、仮に強紫蛙と名付けよう。
それに洞窟自体だって変だ。最初は普通の岩だったのに段々とグラデーションがかかって行き、今ではすっかり紫色の不気味でファンタジーな目に悪い壁になってしまった。
「グゲゲコ、」
「イチノヨン、『水波動』だ」
配下①の水属性担当、イチノヨン君がウサギ語で愛くるしい詠唱を終えると、強紫蛙の顔面に直撃する。
コイツらの意外な弱点も分かった。それは「水」だ。
紫蛙共は蛙であるにも関わらず、水属性の魔術が大の苦手としている。水に触れただけで暴れ回ったり痙攣したりする。
なんだかシャワーを嫌がるイエネコみたいでキモすぎて笑ってしまった。猫は可愛いがコイツらは可愛くは無かった、蛙だからな。
そんな訳で、イチノヨン君は大活躍。配下①の中で一番最初に〈一角大兎〉となった。エリートだ。その他の配下①達もそれを追うように進化して行った。いやぁ、めでたいめでたい。
ちなみに、配下のレベルキャップは俺やムホンのレベルが上がる度に上昇している。なので①達は進化する事が可能だ。
閑話休題。ダンジョンの難易度が高くなって来ている。
この洞窟がどこまで続いているかは知らないが、そろそろ<迷宮の心臓>のあるダンジョンの最深部、いわゆるボス部屋に辿り着くのでは無いか。
AWLOにとってダンジョンボスとは<心臓>の守護者。初めて倒した者には特別なアイテムやらスキルが特典としてついてくるらしい。ソースはソクソだ。
それにこのボス装備、なんと他人譲渡不可。つまり、盗難完全防止機能のついた超強いアイテムが手に入る、という事だ。
「…………これは……」
「ピョンピョン……」
途中から明らかに人の手が加えられた石レンガ造りの壁床天井。
重苦しい存在感を放つ大きな大きな鉄扉。
その扉には装飾がなされており、人々がデカい蛙に喰われる様子が描かれている。
扉の左右に鎮座する阿吽の強紫蛙が象られた石像は、今にも動き出しそうな迫力を感じさせる。
扉の前に立つと、システムウィンドウが現れる。
〖プレイヤーネーム:”バンブー”がボス部屋を発見しました。〗
〖扉を開けるとダンジョンボスとの戦闘が開始されます。〗
〖扉を開けますか? Yes/No〗
俺は思わず息を飲む。それから口角を上がらせる。
「そんなの、一つしか無ぇだろ」
〖>>[Yes]/No〗
〖BOSS:”毒蛙の長老”との戦闘を開始します。〗
無機質に読み上げられた声に、気分が高揚する。
俺は仮面の中で歯を向き出してニヒル、と笑う。
───さぁ、戦いの始まりだ。
>to be continued… ⌬
〖経験値を獲得。〗
〖素体の経験値貯蔵量が一定量超過を確認しました。〗
〖レベルアップ開始─Now Loading…〗
〖プレイヤーネーム:”バンブー”がレベル10に達しました。〗
〖スキルポイントが3ポイント贈呈されます。〗
〖ビギナープロトコル解除:条件-2”素体レベルの一定レベルまでの上昇”が達成されました。〗
〖以降から死亡後にデスペナルティが適応されます。〗
俺は地面に転がる仮面を拾い上げる。罅が入っていないか確認し、装着する。
ムホンの【回復魔法】を浴びながら、俺は顎に手を当てる。
「意外と強かったな。やっぱり毒がデカいか?……まぁ、だいたい分かったし、お前らが居れば余裕か」
「ピョン」
自信満々な音でムホンは鳴き声を上げる。
「よし、早速レベル上げだ」
俺達は再び集まり出した光の欠片に目掛けて走り出した。
「次から次へと、全く……最高かよ!」
配下①達はピョンピョンと可愛らしく詠唱する。
その間に俺とムホンは二人で左右から紫蛙へ突っ込む。
ムホンが注意を引きつつ、薙ぎ払うようにその無駄にゴテゴテとした角を振りかざす。
───〔スライド〕
それを避けるべく後ろに飛び跳ねた紫蛙の背骨をスキルの威力が上乗せされたナイフで斬り付ける。
ゲコォ、そんな間の抜けた雑音を喉から垂らしながら、紫蛙は口に毒々しい色の液体を栗鼠のように頬を膨らませ始める。
水風船のようにパンパンに膨れ上がったそれをムホンが飛び退いた瞬間にナイフで突いて破裂させる。
顔の左から血と毒の液体を噴水のように射出する紫蛙は激痛と憤怒に狂ったかのように我武者羅に暴れ出す。
紫蛙は俺目掛けて跳躍する。かかったな馬鹿が!
それを阻止したのは配下①のそれぞれ別属性の魔法スキル達。
「グェ?!」
俺の目の前に先刻まで迫っていた両生類は色とりどりのエフェクトと共にに吹き飛ばされ、ズタボロになって壁にへばりつく。
一人でまあまあ苦戦した相手を、チームだとこうもあっさり捻る事が出来る。やはり数とは偉大な物だ。
休憩を済ませた俺達は再びダンジョンの奥へと進む。しばらくした所で、ふとある事に気付く。
「……ピョン」
「お前も聞こえたか、今の声」
それな紛れもなく人の声だった。新手の魔物か、それとも異邦人か。ダンジョンのコンセプトを察するに後者の方が可能性は高いだろう。
俺は慎重に【隠密】を発動させると配下①のうち一匹、イチノイチとイチノニを先行偵察させる。
ちなみにイチノイチくんは【火魔法】、イチノニちゃんは【闇魔法】の使い手だ。先手高火力&デバフは暗殺者の基本のキ。いかに早い段階で相手に深手を負わせる事が出来るかが勝負を大きく左右する。ここテストに出ます。
暗殺とは準備。準備こそ暗殺の極意なのだ。
「だ、誰だッ!」
「な、なぜここに〈一角兎〉が?!」
「『ピョンピョン』」
「『ピョピョン』」
混乱する異邦人達を飲み込むのは焔の濁流。
焼け焦げながらも構えようとする彼らを、黒い色のモヤが纏わり付く。
「今度はなんだよ!」
「前が見え辛ぇぞ、オイ!」
「クソ!落ち着け! オロオロしてちゃやられ……」
───〔スライド〕
先ずは指揮系統から破壊していく。指揮を失った軍隊は驚く程に脆くなる。
思い出すな、今は亡きDLO。忘れもしない、あれは確か大規模ギルドを一人でぶっ壊す遊びをしてた時だったな。
まずは簡単なのからって事で、後衛のサブマスと指示を出してるヤツを片っ端から殺して回った。
するとどうだろうか、統率の取れなくなったプレイヤー達は連携もバラバラに頓珍漢な作戦をそれぞれが立て始めた。中にはいがみ合って喧嘩まで発展してるヤツらも居たな。
とうのギルマスはカリスマはあるものの根っからの脳筋で、上手く事態に対処しきれなかった。
俺は殺されてしまったものの、ギルドはその時の蟠りが原因で多くのメンバーが脱退。その後間もなくとしてそのギルドは無事解散した。肉を切らせて骨を断つとは正にこの事だ。
さて、話は目の前の異邦人達に戻る。
彼らは今視界の大変よろしくない状態にある。これは【闇魔法】『御先真暗』が引き起こしたものだ。この魔法の効果は低度の盲目とステータスの微量な低下だ。
地味と思われるかも知れないが、人間の脳が周りの事を把握するのに使う情報の約八割は視界情報と言われている。それがいきなり心許ない物になってしまう事の、なんと恐ろしい事か。
そこに身体の力がいきなり抜けたらどうだろうか。
更に更にそこへ居るはずの無い魔物、いきなりの全体攻撃を上乗せすれば、情けなく尻もちをつくパーティの一人を責める者も少しは減るだろうか。まあ、結局ダサいものはダサいのだが。
ムホンは異邦人のうちの一人の脚をスキルで大きく抉る。それに続くように①達も魔法や角で攻撃を開始する。
しかし、相手も黙っている訳では無い。
盲目状態でも見える範囲までやってきた瞬間に剣を振る者。
我武者羅に槍を振り回す者。
結界のようなものを展開させて自分を守る者。
尻もちをついたまま起き上がれず、へその上から角が生える者。
実に個性的な様々な対応をする。
しかし消耗戦なら深手の4対、絶好調の11で俺達の勝ちだ。
「ちっ、ダメだ勝てねぇ!」
「諦めんのかよ」
「だってよ……」
オイオイ、俺達を前にして仲間割れとはいい度胸じゃねぇか。こういう時こそ一致団結の時だと俺は思うね。
「ピョン」
「グァァッ!」
「アルト! クソ、アレを使うしか……」
ムホン達は異邦人を一方的に蹂躙する。
残りの一人にナイフを刺しかかろうとした所で異変に気付く。
何故反撃しない?
戦意喪失? 抵抗しても無駄と分かったから? いや、違う。コイツは今笑ってる。
「なぁ。アンタ、例の仮面の暗殺者だろ? ウワサは聞いてるぜ、自殺したんだってな。なら……」
「不味い! みんな逃げ──」
「……殺されるのは初めてか?」
ダンジョン中に、轟音が響き渡る。
直撃を避けたはいいものの、俺達は爆風の余波で吹き飛ばされ、硬い岩壁に叩き付けられる。
衝撃で空になった肺に空気を、大きく深呼吸して流し込む。咄嗟に【早着替え】した事で仮面は砕けなかった。
まだ計画は終わっていないのに、勝手に壊れてもらっては困るからな。
多分あの仮面屋は例の一件で使えない。次使えば確実に足がつく。こんな事なら予備の仮面でも買っておくべきだったか?
まあ何はともあれ。結局、自爆太郎くんは俺達を誰一人として殺せず、儚く散っていった。が、侮れない奴だった。
異邦人の中にはこういう捨て身覚悟のヤツも居るだろう。気を引き締めていこう。油断大敵だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後も俺達は目立った困難も無く、順調にレベルを上げていった。ただ一つ不可解なのは……
「……なぁ、なんか蛙強くなってきてない?」
「ピョピョン」
俺にはウサギ語が分からないが、今のは恐らく肯定だろう。多分。
魔物の強さだけでなく、姿形まで変わってしまっている。紫蛙の肌のイボのような物は大きくギザギザした形になり、大きさも一回り二回りデカくなっている。おそらく上位種として間違いない。名前分からないし、仮に強紫蛙と名付けよう。
それに洞窟自体だって変だ。最初は普通の岩だったのに段々とグラデーションがかかって行き、今ではすっかり紫色の不気味でファンタジーな目に悪い壁になってしまった。
「グゲゲコ、」
「イチノヨン、『水波動』だ」
配下①の水属性担当、イチノヨン君がウサギ語で愛くるしい詠唱を終えると、強紫蛙の顔面に直撃する。
コイツらの意外な弱点も分かった。それは「水」だ。
紫蛙共は蛙であるにも関わらず、水属性の魔術が大の苦手としている。水に触れただけで暴れ回ったり痙攣したりする。
なんだかシャワーを嫌がるイエネコみたいでキモすぎて笑ってしまった。猫は可愛いがコイツらは可愛くは無かった、蛙だからな。
そんな訳で、イチノヨン君は大活躍。配下①の中で一番最初に〈一角大兎〉となった。エリートだ。その他の配下①達もそれを追うように進化して行った。いやぁ、めでたいめでたい。
ちなみに、配下のレベルキャップは俺やムホンのレベルが上がる度に上昇している。なので①達は進化する事が可能だ。
閑話休題。ダンジョンの難易度が高くなって来ている。
この洞窟がどこまで続いているかは知らないが、そろそろ<迷宮の心臓>のあるダンジョンの最深部、いわゆるボス部屋に辿り着くのでは無いか。
AWLOにとってダンジョンボスとは<心臓>の守護者。初めて倒した者には特別なアイテムやらスキルが特典としてついてくるらしい。ソースはソクソだ。
それにこのボス装備、なんと他人譲渡不可。つまり、盗難完全防止機能のついた超強いアイテムが手に入る、という事だ。
「…………これは……」
「ピョンピョン……」
途中から明らかに人の手が加えられた石レンガ造りの壁床天井。
重苦しい存在感を放つ大きな大きな鉄扉。
その扉には装飾がなされており、人々がデカい蛙に喰われる様子が描かれている。
扉の左右に鎮座する阿吽の強紫蛙が象られた石像は、今にも動き出しそうな迫力を感じさせる。
扉の前に立つと、システムウィンドウが現れる。
〖プレイヤーネーム:”バンブー”がボス部屋を発見しました。〗
〖扉を開けるとダンジョンボスとの戦闘が開始されます。〗
〖扉を開けますか? Yes/No〗
俺は思わず息を飲む。それから口角を上がらせる。
「そんなの、一つしか無ぇだろ」
〖>>[Yes]/No〗
〖BOSS:”毒蛙の長老”との戦闘を開始します。〗
無機質に読み上げられた声に、気分が高揚する。
俺は仮面の中で歯を向き出してニヒル、と笑う。
───さぁ、戦いの始まりだ。
>to be continued… ⌬
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