1 / 7
#1 最強に成れると聞いたので
しおりを挟む
俺、佐藤蓮。普通科の普通の男子高校生。
趣味は読書とネットサーフィン。
俺はついこの間発売されたVRMMORPG『ファンタジー・ライフ・オンライン』通称:FLOをプレイしようとしていた。
何故ゲームも普段やらない俺が新発売のこのゲームをやろうと思ったか、理由は単純だ。
触発された、だ。
普段ラノベやネット小説ばっかり読んでいるが、最近ハマった小説がゲーム無双ものだった事と、好きなネットの活動者グループがやっているゲーム実況動画を見た事により、俺の中のゲーム欲が高まってしまった。
そして、更新されたネット小説の新ページを読み終わり、「ゲームやりたいな、でもどのゲームやろうかな」と考えていたその時、丁度評価ボタンの下に新しいゲームの先行予約広告があるではないか!
この運命的な出会いを信じ、俺はハードとゲーム予約を早速ポチッた。
そして遂に、今日が正式サービスの開始日である。
◆◆◆
俺はダンボールからフルフェイスヘルメットの様な機械を取り出す。
これこそがVRゲームの今最も売れてるハード、『バチャルヘメル』だ。
横には外部操作用のタブレット端末が置いてある。
思わず「おぉ、」と声が漏れてしまう。
恥ずかしい事に、あらゆる事でVRが主流のこの時代に、VRゲームをした事が無かったのだ。少し気持ちが昂ってしまう。
早速、FLOのデータをダウンロードする。この時、携帯端末に送られてきたFLOのコード番号を打ち込んでおく。
『購入データを確認しています。』
『購入データが確認できました。』
『データダウンロードを開始します。』
『データダウンロードが完了しました。』
『ログインが可能です。』
画面に映し出された『ログインが可能です。』の文面を確認し、俺はゲーム機を被る。
視界は暗転し、やがて見知らぬ部屋に居る事に気が付く。
俺の目の前にはやはりコチラも見知らぬ女性が立っている。
「ようこそ、佐藤蓮様。私は管理AI5号“レオン”でございます。」
女性が喋り出す。
やっぱりAIって中に人が入ってるんじゃないかってくらい動作から声の発音まで人間ぽいよな。
随分昔の動画に機械的な動きをするAI搭載ロボで遊ぶ動画を見てから、今のAI見る度にを科学の力ってすげーって思うようになったな。
しかし、5号とはこのゲームを作った会社は相当マネーをかけてらっしゃる。
実況動画で見たAIは多くても三体位だったのに、これは本当にゲームの広告を見たのは運命の出会いだったのかもしれんな。
「……あの、聞いていらっしゃいますか?」
「へ?」
いけないいけない。ちょっと自分の世界に浸ってしまっていたようだ。
「すいません、ボーッとしてて。『レオンでございます』までは聞いてたんですけど……」
「では、もう一度説明させて頂きます。」
「よろしくお願いします。」
なんか申し訳ない。
「これから蓮様にはキャラメイクをして頂きます。キャラメイクについてはご存知ですか?」
「はい、勿論。」
「では、まずプレイヤーネームを決めて下さい。ゲーム世界での貴方の名前ですね。」
目の前に半透明の文字の書かれた板の様な物が現れる。
「えーと、それじゃあ…」
俺は文字を打ち込んで行く。
今回俺はこのゲームで無双して勇者とか魔王とか知る人ぞ知る達人的な、とにかく俺TUEEEE系主人公の行動を真似てトップ層に入り込む寸法である。
ネチケットは守るが。
「よし、出来た。」
「了解しました。ナターロ・モゥキィ・オリッシュ様、でよろしいですか?ゲーム開始後に名前の変更は出来ません。」
「その名前で大丈夫です。それと長いのでナターロで良いですよ。」
「了解しましたナターロ様。それでは次に種族の選択を選んで下さい。種族についての説明をさせていただきます。種族とはキャラクターの姿やスキルに影響する物です。種族は派生種や上級種に進化する事も出来ます。また、種族は条件を満たすと他系統の種族に転生したり、種族を二つ持ったりする事が可能です。」
再び半透明の板が現れる。そこには【人間】【森耳人】【山小人】etc……沢山の種族名が書かれている。
事前情報では、FLOは種族や職業が兎に角多い。
魔物や動物等の人外にもなる事が出来るらしい。
何にするのか、実はもう決めてあるのだ。
スクロールして行き見つけたその種族を選ぶ。
【小粘魔】
やっぱり無双すると言ったらスライムであろう。
「了解しました。【小粘魔】でよろしいですね?ゲーム開始後に種族の変更は進化等の手段以外では出来ません。また、人外プレイヤーは初期スポーン位置が始まりの町の外になります。更に、人間や森耳人等の幾つかの種族の町に入る事が困難となります。よろしいですか?」
「はい。大丈夫です。」
『種族スキルとして、《液状躰》《擬態》《物理耐性》《消化》《酸弾吐き》《スライム語》《状態異常耐性》《毒耐性》《酸無効》《悪食》《酸素不要》《火脆弱》《雷脆弱》を習得しました!』
初期プレイは中々にハードコアだが想像の範囲内だ。
その代わりにスキルなんかは大盤振る舞いだけど。
「では、次は職業をお決め下さい。職業についての説明をさせていただきます。職業とはスキルや行動に補正のかかる物になっています。職業は派生職業やより上級の職業への転職が可能です。また、条件を満たすと兼業として他の職業に就く事も出来ます。」
板の表示内容が切り替わり、【魔術師】【剣士】【盗賊】等の職業が表示される。
確か職業も馬鹿みたいに沢山あるはず。
職業はwikiなんかを見てもイマイチ決まらない。
ええい、めんどくさい。あんまり使いたくなかったけど、このゲームには種族や職業をランダムで決める機能がある。それにしよう。
スロットの様に文字がぐるぐると高速で入れ替わり、表示されたのは【戦士】。
【戦士】は前衛職で物理攻撃によっているが魔法も少し使えて、色々な武器を使ったり体術を使ったり出来る器用貧乏なバランスの取れた職業だったはずだ。
【剣士】や【拳士】【槍士】等の特化した職業には劣るものの、色んな手段で戦えるのが魅力だ。
器用貧乏という如何にも無双出来そうなワードに惹かれてしまう。
良し、これにしよう。
「決まりました。」
「了解しました。【戦士】でよろしいですね?ゲーム開始後に転職等の手段以外では変更が出来ません。」
「大丈夫です。」
『職業スキルとして、《武器使用》《火事場》《物理攻撃強化》のスキルを習得しました!。』
こういう同じ台詞を何回も言う所とかは機械的なんだな。
「では、次にステータスの振り分けを行ってもらいます。ステータスの説明をさせていただきます。ステータスとはこのゲームの世界に置ける身体能力の様な物です。職業や種族のレベルが一つ上がる毎に10のステータスポイントを獲得出来ます。それを消費し、各ステータスに割り振って頂きます。今から50のステータスポイントを配布しますので、ステータスを割り振ってみて下さい。」
ステータスポイント:50
HP(体力):0
MP(魔力):0
SP(持久):0
STR(筋力):0
DEX(器用):0
AGI(俊敏):0
VIT(頑丈):0
MND(精神):0
INT(知力):0
LUK(運気):0
これがステータスの一覧か。ご丁寧に横にはそれぞれの意味が書かれている。
ステータスポイントは50、これをどうしようか。
無双小説のセオリーでは極振りか平均振りのどちらかだ。後はプレイスタイルに合わせて分野特化振りもあるな。
魔法使いならMPとINTとMNDに全部振るとか。
やるなら平均振りか極振りだけど、やっぱりここはロマン溢れる極振りにしておこう!
ステータスポイント:0
HP(体力):0
MP(魔力):0
SP(持久):0
STR(筋力):0
DEX(器用):0
AGI(俊敏):0
VIT(頑丈):0
MND(精神):0
INT(知力):0
LUK(運気):50
これでいい!運気極振りでドロップウハウハでぼろ儲けだ!
「問題が発生しています。ステータスが0の場合、ゲーム続行不可能なデメリットが発生します。」
「え?出来ないの?デメリットってどんな?」
「体力が0なので開始と同時にリスポーンを繰り返します。筋力が0なので体が動かせません。頑丈が0なので重量や空気抵抗に耐えきれず潰れます。俊敏が0なので体が動きません。器用が0なので武器等を握れません。その他にも……」
「その辺で大丈夫です。振り直します、はい。」
「尚、ステータスは1さえ振られれば、問題無く機能します。」
「分かりました。」
確かに、俺TUEEEE系の小説でよく出るステータスが0とかマイナスとかで生きてるのは有り得ないもんな。こんな事にも気が付か無いとか馬鹿馬鹿しい。
完全に盲点だったわ。
なんか、極振りの気持ちが薄れた。
平均振りしようかな。でも極振りしたいな。
そうか!なら運気以外を均等に割り振って余りを運気に多く降ればいいんだ!
ステータスポイント:0
HP(体力):3
MP(魔力):3
SP(持久):3
STR(筋力):3
DEX(器用):3
AGI(俊敏):3
VIT(頑丈):3
MND(精神):3
INT(知力):3
LUK(運気):23
これなら問題ないだろう。
「了解しました。ステータスの振り直しは特殊なアイテムを使う等の手段以外でする事が出来ません。よろしいですか?」
「はい。」
『プレイヤー用スキルとして《ステータス閲覧》を習得しました!』
「それでは、アバターを作ってください。尚、アバターは種族によって変更出来る要素に限度が有ります。」
レオンさんがそう言うと目の前に丸っこい液体が集まったかのようなテニスボールの二倍位の物体が目の前に現れる。
弄る所、無くね?色とか薄い水色の半透明から少し色の濃さとか透明度を変えれるだけだし。
出来るだけ透明にしとこ。見えにくいって強そうだし。
「では、次にスキルポイントの配布をさせていただきます。スキルポイントの説明をさせて頂きます。スキルポイントとはスキルを獲得、進化等をする際に消費するポイントの事です。種族や職業のレベルが一つ上がる毎に5ポイントを獲得出来ます。それを消費し、現在習得出来るスキルの一覧から選んでスキルを習得したり、スキルのレベルを上げたり、スキルを進化させたりする事が出来ます。また、他のイベントやクエストや条件のクリアによってスキルポイント消費無しで新しいスキルを習得出来たり、スキルポイントを獲得出来たりします。どんな条件かは、是非貴方の目で確かめてみて下さい。」
『スキルポイントを10獲得しました!』
「なるほど、消費をせずにスキルを取ることも出来るのか。進化にも使うとなると使い所に困るな。」
「では、次にポイント消費無しで10個のスキルの習得をして頂きます。」
板には《剣術》《火属性》《魔法適正》《工作》《毒耐性》等のスキルが表示される。
スクロールして有用そうなスキルを探していく。
おお、《運気上昇》ってのがあるな。これは取るしかないだろう。
《言語学》か、さっきもらったスキルに《スライム語》ってのがあったから、下手したら他種族のプレイヤーと意思疎通が出来ない、みたいな事があるかも知れないから取っておこう。
《水属性》や《魔法適正》《水魔法》ってのがあるな。スライムと親和性が高そうだし取っておくか。
《毒生成》とか《酸生成》もスライムと相性が良さそうだから取ろう。
あとは《隠密》とか《鑑定》みたいな無双出来そうなスキル達だ。
選んだのは
《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》
あと一つスキル枠が余ってるし、ここはギャンブルしてみよう。
無双ものではここでチートスキルが出る所だ。
スロットの様に文字が入れ替わり、出てきたその文字は
《早食い》。
なんだそれ!チートでも何でもないだろ!
そんなに上手くいかないか。
まあ、このスタミナシステムあるみたいだし、有用そうだから別にそれでいいか。
「出来ました。」
「了解しました。選ばれたのは《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》《早食い》で間違いありませんね?」
「はい、大丈夫です。」
『《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》《早食い》を習得しました!』
「では、次にインベントリについては説明します。インベントリとはプレイヤーだけが持つ異空間収納スキルの様な物とお考え下さい。インベントリの中のアイテムは時間経過がありません。しかし容量には限りが有ります。《窃盗》等のアイテムを奪うスキルの影響は受けません。」
無限に入る訳では無いんだな。だから沢山運ぶ為に鞄の様なアイテムに入れて運ぶけど、盗まれる可能性があるって感じか。
「最後に、初期装備をお渡しします。コチラは種族や職業によって異なります。」
『獅子の女神“レオン”から「初心者の鉄長剣」「革の上着」「革のズボン」「革の下着」「低級HPポーション」×10「低級MPポーション」×10を渡されました!』
獅子の女神?5号とか言ってたけど、もしかして管理AIって12体居たりする?……んな馬鹿な。
てか、革装備はどうやって使えってんだ……
「では、キャラメイクは終了となります。貴方のゲームライフが寄り良い物になる事を我々は心からお祈りします。」
「あれ?チュートリアルは無いんですか?」
「はい。手探りでゲームをお楽しみ頂きたいのが我々の趣向でございます。では、初期スポーン位置へ転送させて頂きます。行ってらっしゃいませ。」
再び視界が徐々に暗転して行く。
◆◆◆
目を覚ますとそこは森の中でした。
さあ、俺の無双覇道の幕開けだ!
▶to be continued
◆◆◆
◆ステータス
名前:ナターロ・モゥキィ・オリッシュ
種族:【小粘魔】Lv1
職業:【戦士】Lv1
ステータスポイント:0
HP(体力):3
MP(魔力):3
SP(持久):3
STR(筋力):3
DEX(器用):3
AGI(俊敏):3
VIT(頑丈):3
MND(精神):3
INT(知力):3
LUK(運気):23(+1)
スキルポイント:10
・種族スキル
《液状躰_Lv-》《擬態_Lv1》《物理耐性_Lv1》
《消化_Lv1》《酸弾吐き_Lv1》《スライム語_Lv1》
《状態異常耐性_Lv1》《毒耐性_Lv1》《酸無効_Lv-》
《悪食_Lv1》《酸素不要_Lv-》《火脆弱_Lv10》
《雷脆弱_Lv10》
・職業スキル
《武器使用_Lv1》《火事場_Lv1》《物理攻撃強化_Lv1》
・一般スキル
《運気上昇_Lv1》《言語学_Lv1》《水属性_Lv1》
《魔法適正_Lv1》《水魔法_Lv1》《隠密_Lv1》
《毒生成_Lv1》《酸生成_Lv1》《鑑定_Lv1》
《早食い_Lv1》《ステータス閲覧_Lv-》
インベントリ
「初心者の鉄長剣」×1
「革の上着」×1
「革のズボン」×1
「革の下着」×1
「低級HPポーション」×10
「低級MPポーション」×10
趣味は読書とネットサーフィン。
俺はついこの間発売されたVRMMORPG『ファンタジー・ライフ・オンライン』通称:FLOをプレイしようとしていた。
何故ゲームも普段やらない俺が新発売のこのゲームをやろうと思ったか、理由は単純だ。
触発された、だ。
普段ラノベやネット小説ばっかり読んでいるが、最近ハマった小説がゲーム無双ものだった事と、好きなネットの活動者グループがやっているゲーム実況動画を見た事により、俺の中のゲーム欲が高まってしまった。
そして、更新されたネット小説の新ページを読み終わり、「ゲームやりたいな、でもどのゲームやろうかな」と考えていたその時、丁度評価ボタンの下に新しいゲームの先行予約広告があるではないか!
この運命的な出会いを信じ、俺はハードとゲーム予約を早速ポチッた。
そして遂に、今日が正式サービスの開始日である。
◆◆◆
俺はダンボールからフルフェイスヘルメットの様な機械を取り出す。
これこそがVRゲームの今最も売れてるハード、『バチャルヘメル』だ。
横には外部操作用のタブレット端末が置いてある。
思わず「おぉ、」と声が漏れてしまう。
恥ずかしい事に、あらゆる事でVRが主流のこの時代に、VRゲームをした事が無かったのだ。少し気持ちが昂ってしまう。
早速、FLOのデータをダウンロードする。この時、携帯端末に送られてきたFLOのコード番号を打ち込んでおく。
『購入データを確認しています。』
『購入データが確認できました。』
『データダウンロードを開始します。』
『データダウンロードが完了しました。』
『ログインが可能です。』
画面に映し出された『ログインが可能です。』の文面を確認し、俺はゲーム機を被る。
視界は暗転し、やがて見知らぬ部屋に居る事に気が付く。
俺の目の前にはやはりコチラも見知らぬ女性が立っている。
「ようこそ、佐藤蓮様。私は管理AI5号“レオン”でございます。」
女性が喋り出す。
やっぱりAIって中に人が入ってるんじゃないかってくらい動作から声の発音まで人間ぽいよな。
随分昔の動画に機械的な動きをするAI搭載ロボで遊ぶ動画を見てから、今のAI見る度にを科学の力ってすげーって思うようになったな。
しかし、5号とはこのゲームを作った会社は相当マネーをかけてらっしゃる。
実況動画で見たAIは多くても三体位だったのに、これは本当にゲームの広告を見たのは運命の出会いだったのかもしれんな。
「……あの、聞いていらっしゃいますか?」
「へ?」
いけないいけない。ちょっと自分の世界に浸ってしまっていたようだ。
「すいません、ボーッとしてて。『レオンでございます』までは聞いてたんですけど……」
「では、もう一度説明させて頂きます。」
「よろしくお願いします。」
なんか申し訳ない。
「これから蓮様にはキャラメイクをして頂きます。キャラメイクについてはご存知ですか?」
「はい、勿論。」
「では、まずプレイヤーネームを決めて下さい。ゲーム世界での貴方の名前ですね。」
目の前に半透明の文字の書かれた板の様な物が現れる。
「えーと、それじゃあ…」
俺は文字を打ち込んで行く。
今回俺はこのゲームで無双して勇者とか魔王とか知る人ぞ知る達人的な、とにかく俺TUEEEE系主人公の行動を真似てトップ層に入り込む寸法である。
ネチケットは守るが。
「よし、出来た。」
「了解しました。ナターロ・モゥキィ・オリッシュ様、でよろしいですか?ゲーム開始後に名前の変更は出来ません。」
「その名前で大丈夫です。それと長いのでナターロで良いですよ。」
「了解しましたナターロ様。それでは次に種族の選択を選んで下さい。種族についての説明をさせていただきます。種族とはキャラクターの姿やスキルに影響する物です。種族は派生種や上級種に進化する事も出来ます。また、種族は条件を満たすと他系統の種族に転生したり、種族を二つ持ったりする事が可能です。」
再び半透明の板が現れる。そこには【人間】【森耳人】【山小人】etc……沢山の種族名が書かれている。
事前情報では、FLOは種族や職業が兎に角多い。
魔物や動物等の人外にもなる事が出来るらしい。
何にするのか、実はもう決めてあるのだ。
スクロールして行き見つけたその種族を選ぶ。
【小粘魔】
やっぱり無双すると言ったらスライムであろう。
「了解しました。【小粘魔】でよろしいですね?ゲーム開始後に種族の変更は進化等の手段以外では出来ません。また、人外プレイヤーは初期スポーン位置が始まりの町の外になります。更に、人間や森耳人等の幾つかの種族の町に入る事が困難となります。よろしいですか?」
「はい。大丈夫です。」
『種族スキルとして、《液状躰》《擬態》《物理耐性》《消化》《酸弾吐き》《スライム語》《状態異常耐性》《毒耐性》《酸無効》《悪食》《酸素不要》《火脆弱》《雷脆弱》を習得しました!』
初期プレイは中々にハードコアだが想像の範囲内だ。
その代わりにスキルなんかは大盤振る舞いだけど。
「では、次は職業をお決め下さい。職業についての説明をさせていただきます。職業とはスキルや行動に補正のかかる物になっています。職業は派生職業やより上級の職業への転職が可能です。また、条件を満たすと兼業として他の職業に就く事も出来ます。」
板の表示内容が切り替わり、【魔術師】【剣士】【盗賊】等の職業が表示される。
確か職業も馬鹿みたいに沢山あるはず。
職業はwikiなんかを見てもイマイチ決まらない。
ええい、めんどくさい。あんまり使いたくなかったけど、このゲームには種族や職業をランダムで決める機能がある。それにしよう。
スロットの様に文字がぐるぐると高速で入れ替わり、表示されたのは【戦士】。
【戦士】は前衛職で物理攻撃によっているが魔法も少し使えて、色々な武器を使ったり体術を使ったり出来る器用貧乏なバランスの取れた職業だったはずだ。
【剣士】や【拳士】【槍士】等の特化した職業には劣るものの、色んな手段で戦えるのが魅力だ。
器用貧乏という如何にも無双出来そうなワードに惹かれてしまう。
良し、これにしよう。
「決まりました。」
「了解しました。【戦士】でよろしいですね?ゲーム開始後に転職等の手段以外では変更が出来ません。」
「大丈夫です。」
『職業スキルとして、《武器使用》《火事場》《物理攻撃強化》のスキルを習得しました!。』
こういう同じ台詞を何回も言う所とかは機械的なんだな。
「では、次にステータスの振り分けを行ってもらいます。ステータスの説明をさせていただきます。ステータスとはこのゲームの世界に置ける身体能力の様な物です。職業や種族のレベルが一つ上がる毎に10のステータスポイントを獲得出来ます。それを消費し、各ステータスに割り振って頂きます。今から50のステータスポイントを配布しますので、ステータスを割り振ってみて下さい。」
ステータスポイント:50
HP(体力):0
MP(魔力):0
SP(持久):0
STR(筋力):0
DEX(器用):0
AGI(俊敏):0
VIT(頑丈):0
MND(精神):0
INT(知力):0
LUK(運気):0
これがステータスの一覧か。ご丁寧に横にはそれぞれの意味が書かれている。
ステータスポイントは50、これをどうしようか。
無双小説のセオリーでは極振りか平均振りのどちらかだ。後はプレイスタイルに合わせて分野特化振りもあるな。
魔法使いならMPとINTとMNDに全部振るとか。
やるなら平均振りか極振りだけど、やっぱりここはロマン溢れる極振りにしておこう!
ステータスポイント:0
HP(体力):0
MP(魔力):0
SP(持久):0
STR(筋力):0
DEX(器用):0
AGI(俊敏):0
VIT(頑丈):0
MND(精神):0
INT(知力):0
LUK(運気):50
これでいい!運気極振りでドロップウハウハでぼろ儲けだ!
「問題が発生しています。ステータスが0の場合、ゲーム続行不可能なデメリットが発生します。」
「え?出来ないの?デメリットってどんな?」
「体力が0なので開始と同時にリスポーンを繰り返します。筋力が0なので体が動かせません。頑丈が0なので重量や空気抵抗に耐えきれず潰れます。俊敏が0なので体が動きません。器用が0なので武器等を握れません。その他にも……」
「その辺で大丈夫です。振り直します、はい。」
「尚、ステータスは1さえ振られれば、問題無く機能します。」
「分かりました。」
確かに、俺TUEEEE系の小説でよく出るステータスが0とかマイナスとかで生きてるのは有り得ないもんな。こんな事にも気が付か無いとか馬鹿馬鹿しい。
完全に盲点だったわ。
なんか、極振りの気持ちが薄れた。
平均振りしようかな。でも極振りしたいな。
そうか!なら運気以外を均等に割り振って余りを運気に多く降ればいいんだ!
ステータスポイント:0
HP(体力):3
MP(魔力):3
SP(持久):3
STR(筋力):3
DEX(器用):3
AGI(俊敏):3
VIT(頑丈):3
MND(精神):3
INT(知力):3
LUK(運気):23
これなら問題ないだろう。
「了解しました。ステータスの振り直しは特殊なアイテムを使う等の手段以外でする事が出来ません。よろしいですか?」
「はい。」
『プレイヤー用スキルとして《ステータス閲覧》を習得しました!』
「それでは、アバターを作ってください。尚、アバターは種族によって変更出来る要素に限度が有ります。」
レオンさんがそう言うと目の前に丸っこい液体が集まったかのようなテニスボールの二倍位の物体が目の前に現れる。
弄る所、無くね?色とか薄い水色の半透明から少し色の濃さとか透明度を変えれるだけだし。
出来るだけ透明にしとこ。見えにくいって強そうだし。
「では、次にスキルポイントの配布をさせていただきます。スキルポイントの説明をさせて頂きます。スキルポイントとはスキルを獲得、進化等をする際に消費するポイントの事です。種族や職業のレベルが一つ上がる毎に5ポイントを獲得出来ます。それを消費し、現在習得出来るスキルの一覧から選んでスキルを習得したり、スキルのレベルを上げたり、スキルを進化させたりする事が出来ます。また、他のイベントやクエストや条件のクリアによってスキルポイント消費無しで新しいスキルを習得出来たり、スキルポイントを獲得出来たりします。どんな条件かは、是非貴方の目で確かめてみて下さい。」
『スキルポイントを10獲得しました!』
「なるほど、消費をせずにスキルを取ることも出来るのか。進化にも使うとなると使い所に困るな。」
「では、次にポイント消費無しで10個のスキルの習得をして頂きます。」
板には《剣術》《火属性》《魔法適正》《工作》《毒耐性》等のスキルが表示される。
スクロールして有用そうなスキルを探していく。
おお、《運気上昇》ってのがあるな。これは取るしかないだろう。
《言語学》か、さっきもらったスキルに《スライム語》ってのがあったから、下手したら他種族のプレイヤーと意思疎通が出来ない、みたいな事があるかも知れないから取っておこう。
《水属性》や《魔法適正》《水魔法》ってのがあるな。スライムと親和性が高そうだし取っておくか。
《毒生成》とか《酸生成》もスライムと相性が良さそうだから取ろう。
あとは《隠密》とか《鑑定》みたいな無双出来そうなスキル達だ。
選んだのは
《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》
あと一つスキル枠が余ってるし、ここはギャンブルしてみよう。
無双ものではここでチートスキルが出る所だ。
スロットの様に文字が入れ替わり、出てきたその文字は
《早食い》。
なんだそれ!チートでも何でもないだろ!
そんなに上手くいかないか。
まあ、このスタミナシステムあるみたいだし、有用そうだから別にそれでいいか。
「出来ました。」
「了解しました。選ばれたのは《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》《早食い》で間違いありませんね?」
「はい、大丈夫です。」
『《運気上昇》《言語学》《水属性》《魔法適正》《水魔法》《隠密》《毒生成》《酸生成》《鑑定》《早食い》を習得しました!』
「では、次にインベントリについては説明します。インベントリとはプレイヤーだけが持つ異空間収納スキルの様な物とお考え下さい。インベントリの中のアイテムは時間経過がありません。しかし容量には限りが有ります。《窃盗》等のアイテムを奪うスキルの影響は受けません。」
無限に入る訳では無いんだな。だから沢山運ぶ為に鞄の様なアイテムに入れて運ぶけど、盗まれる可能性があるって感じか。
「最後に、初期装備をお渡しします。コチラは種族や職業によって異なります。」
『獅子の女神“レオン”から「初心者の鉄長剣」「革の上着」「革のズボン」「革の下着」「低級HPポーション」×10「低級MPポーション」×10を渡されました!』
獅子の女神?5号とか言ってたけど、もしかして管理AIって12体居たりする?……んな馬鹿な。
てか、革装備はどうやって使えってんだ……
「では、キャラメイクは終了となります。貴方のゲームライフが寄り良い物になる事を我々は心からお祈りします。」
「あれ?チュートリアルは無いんですか?」
「はい。手探りでゲームをお楽しみ頂きたいのが我々の趣向でございます。では、初期スポーン位置へ転送させて頂きます。行ってらっしゃいませ。」
再び視界が徐々に暗転して行く。
◆◆◆
目を覚ますとそこは森の中でした。
さあ、俺の無双覇道の幕開けだ!
▶to be continued
◆◆◆
◆ステータス
名前:ナターロ・モゥキィ・オリッシュ
種族:【小粘魔】Lv1
職業:【戦士】Lv1
ステータスポイント:0
HP(体力):3
MP(魔力):3
SP(持久):3
STR(筋力):3
DEX(器用):3
AGI(俊敏):3
VIT(頑丈):3
MND(精神):3
INT(知力):3
LUK(運気):23(+1)
スキルポイント:10
・種族スキル
《液状躰_Lv-》《擬態_Lv1》《物理耐性_Lv1》
《消化_Lv1》《酸弾吐き_Lv1》《スライム語_Lv1》
《状態異常耐性_Lv1》《毒耐性_Lv1》《酸無効_Lv-》
《悪食_Lv1》《酸素不要_Lv-》《火脆弱_Lv10》
《雷脆弱_Lv10》
・職業スキル
《武器使用_Lv1》《火事場_Lv1》《物理攻撃強化_Lv1》
・一般スキル
《運気上昇_Lv1》《言語学_Lv1》《水属性_Lv1》
《魔法適正_Lv1》《水魔法_Lv1》《隠密_Lv1》
《毒生成_Lv1》《酸生成_Lv1》《鑑定_Lv1》
《早食い_Lv1》《ステータス閲覧_Lv-》
インベントリ
「初心者の鉄長剣」×1
「革の上着」×1
「革のズボン」×1
「革の下着」×1
「低級HPポーション」×10
「低級MPポーション」×10
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。

異世界帰りのゲーマー
たまご
ファンタジー
部屋でゲームをしていたところ異世界へ招かねてしまった男
鈴木一郎 16歳
彼女なし(16+10年)
10年のも月日をかけ邪神を倒し地球へと帰ってきた
それも若返った姿で10年前に
あっ、俺に友達なんていなかったわ
異世界帰りのボッチゲーマーの物語
誤字脱字、文章の矛盾などありましたら申し訳ありません
初投稿の為、改稿などが度々起きるかもしれません
よろしくお願いします
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
戦国時代の武士、VRゲームで食堂を開く
オイシイオコメ
SF
奇跡の保存状態で頭部だけが発見された戦国時代の武士、虎一郎は最新の技術でデータで復元され、VRゲームの世界に甦った。
しかし甦った虎一郎は何をして良いのか分からず、ゲーム会社の会長から「畑でも耕してみたら」と、おすすめされ畑を耕すことに。
農業、食堂、バトルのVRMMOコメディ!
※この小説はサラッと読めるように名前にルビを多めに振ってあります。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる