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あたり、ゴスロリを着る。

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「失敗ね・・・」

 そんな委員長の呟き見つめる先には、ゴスロリを来て元気に動き回るあたりの姿があった。

「ゴスロリのイメージと真逆の存在なのを失念していたわ」
「まぁな。あたりは元気なアホの子だぞ?ゴスロリとはイメージが違いすぎるだろ!」
「いんちょ!どうだ?カッコイイか?」

 あたりはゴスロリに着替えさせられた後、カメラで撮ると言われたので様々なポーズをやり始めた。
しかし、そのポーズの種類は特撮風のヒーローポーズだった。

「ゴスロリ着てんのに特撮ヒーローの変身ポーズ取るとか、何に変身するつもりなんだあたりは・・・」
「うーん、魔法少女のコスプレの方が良かったかもしれないわね」
「それな」

 活発なあたりにはゴスロリよりも魔法少女や変身ヒロインの方が向いているなと委員長と慶次が思っていると、突然あたりが暴走を始めた。

「地球の平和を守って来る!」

 そう言って部室から飛び出して行ってしまったあたり。
あたりの脳内では日常感の無いゴスロリ服を着た事で、特撮ヒーローになった様な気分に浸っていた。
そして悪い奴らを倒すべくごっこ遊びが始まったのである。

***

「伝説の剣(木の枝)が落ちてる!最強の剣、ええっと・・・聖剣キノエーダ!!」

 良い感じの木の枝を拾ったあたりは、特撮を見て練習した剣の振り方を真似てブンブン振り回す。
しかし、思っていたほど頑丈では無かったみたいで、半ばから折れてしまった。

「残念!聖剣は偽物だった!やはり木製は伝説のじゃ無かったかも!次は鉄で出来た聖剣を見つけよう!」

 あたりはただの枝に戻った聖剣キノエーダをポイ捨てし、慶次の居る部室に戻る事にした。
もう何で部室から飛び出したのかは忘れているようだ。
あたりは時々一人で暴走しては、何かを見つけて慶次に見せに戻ったりしている。
なので慶次も追いかけるより元の場所で待っているのだ。

「ただいまー!」
「おう、お帰り。今回は何を見つけたんだ?」
「伝説の聖剣キノエーダを見つけたんだけど、偽物だった!よく見たら普通の木の枝だった!」
「その聖剣キノエーダは木の枝みたいな形してんの?」
「そうだぞ!握ると聖剣っぽいから間違えたんだ!」

 部室に戻ってきたあたりは、当たり前のようにソファに座る慶次の膝の上に乗り、聖剣について語り出した。
本人達はこれが自然な距離感なのかもしれないが、側から見たらただのバカップルである。

「リア充爆発しろ!って言った方が良いのかしら?」

 委員長は"私は何を見せられているんだ?"状態である。
 
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