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6話
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「ウナーン嬢、男爵様からのお迎えが来ております。どうぞこちらへ。」
「ご苦労。」
一応貴族に会うので服装は一時期貴族ロールプレイをしていた時のドレスにした。
ゲームプレイヤーでもクエストで功績をあげると貴族になれたりする。
そしてそこから功績をあげまくって最終的には侯爵まで昇り詰めることが出来るのだ。男性プレイヤーならば。
女性プレイヤーなら更に上の王太子妃になって、更に王妃になれることもあるかそうだ。
ただ、実現したプレイヤーは居なかった。
何故ならゲーム内の時間はリアルと連動しているので、10年程度では王位が変わったりはしなかったりからだ。
ちなみに王太子妃まで登り詰めたのは私だ。
王妃までは時間の問題だったけど、その時間がネルストには無かっただけだった。
なので私は王家の証とかもアイテムとして持ってたりする。
キーアイテムだったけど、現在では役に立たないかな?
王妃レベルの礼儀作法は身につけて居るけれど、その振る舞いはTPO的に不適切なので、今回は王太子妃レベルの礼儀作法にしておいた。
これなら高位貴族の令嬢より上程度である。
一方相手方である男爵は貴族の中では下位である。
私の挨拶を見て、そそくさと上座から離れて私を上座に促した。
そして大汗をかきながら「ネックレスはお返し致します!!」と返された。
しかし私はこれを売る為に来たのでそれは困る。
「私はこれを売りに来ました。買取り拒否は困りますね。」
「ひぃっ!わ、分かりました!お望みのままに!!」
と言うことで、当初の話より多い金貨数千枚で買って貰えた。
どうやら他国の高位貴族の娘だと勘違いされたらしい。
他国の高位貴族用入国手形と言うものを貰った。
この国では他国に入っても罰とかは無く、他国の貴族でも自由に出入りが可能というユルユルさだった。
流石に好き放題出来る訳ではないけどね。
各国は神話の時代に栄えた帝国の末裔達が国を興したので、同じ大陸内なら身内、という感覚が強いらしい。
だから他大陸から来る人には厳しいそうだ。滅多に来ないらしいけどね。
そして高位貴族用手形は一々高位貴族ですよと説明するのが面倒だから、これ一つで身分を証明出来るという水戸黄門の印籠みたいな物なのだ。
これを持っていれば少なくとも下位貴族や平民は手を出せなくなる。と言う訳。
ありがたく頂戴して高級宿に戻った。
「さて、目的のお金は予想以上に多く手に入ったな。じゃあ次は王都を目指してみようかな!」
男爵の領都はお店は多いけど、私から見たら粗悪品しか売ってないので、お金は宿代くらいしか使わないかも?
ラノベの定番の孤児院や奴隷商なんかも無いみたいだから、もう見る物は無いや。
領都を出て王都方面へ馬車を走らせる。
ゲーム内でもそうだったけど、この世界はダンジョンにしかモンスターは出ない。
野生の獣は居るから絶対安全とは言えないけど、それでも一般人や行商人が街道を行き来する程度には安全だ。
旅は順調・・・なんだけど、見ちゃったんだよね。
ズタボロの幼い姉妹を。
外の景色でも見るかな、と思って窓のカーテンを開けたら丁度そのタイミングにその場に居たのがそのズタボロ姉妹だった。
服がズタボロなのは貧しい田舎の村あるあるなんだけど、明らかに大人に殴られた様な痣があった。
見ちゃったら見捨てられないよねぇ・・・
「ウマ太郎、ウマ二郎!ストップ!」
ヒヒーン!
止まった馬車から降りると、ズタボロ姉妹の妹の方が意識を失って倒れてしまった。
「リリ!!」
姉の方もフラフラだけど、必死に妹の名前を叫ぶ。
「大丈夫、まだ生きてる。」
鑑定によると栄養失調から来る貧血。
状態が空腹の上のランク"飢餓"になっている。
このままだと衰弱死してしまう。
私は妹の方を抱き抱え、姉の方も馬車に入るように言った。
私は妹のリリを席に寝かせて、まずは回復魔法を掛けた。
今のままだと弱り過ぎて食事も取れなさそうだったから。
「き、奇跡だわ!あなた奇跡を使える聖女様なの?!」
姉の方は魔法を奇跡と呼んで、さらに私を聖女と呼んで興奮し出した。
「あっ・・・!」
「お姉さんの方も弱ってるから、そんなはしゃいだら貧血で倒れるよ。」
姉の方もフラっと立ち眩みを起こしたのでこちらも回復魔法で生命体の回復を施した。
そして病み上がりにはお粥の様な物って事でオートミールを作り食べさせた。
リリの方も直ぐに目を覚ましてがっついてた。
「助けていただきありがとうございました!」
「あいがとーごじゃいましゅた!」
姉の方はララ、妹のリリと2人で盗賊団に襲われた村から何とか逃げ出して来たらしい。
一度は捕らえられたけど、村の大人達が子供だけでも、と逃してくれたそうだ。
うっ!ここまで聞いちゃうと助けないと後味悪いよね。
「2人の村は何処?私が盗賊団を懲らしめてあげる。」
「聖女さま!ありがとうございます!!」
「せーじょさま!あいあとう!」
ララは私が奇跡を使える聖女だと思っているから、盗賊も奇跡の力で一捻りですよね!と興奮していて、リリも姉の興奮に乗ってはしゃいでいる。
村の場所は子供の足で3日、私の馬車なら1日で行けるかな。
「ご苦労。」
一応貴族に会うので服装は一時期貴族ロールプレイをしていた時のドレスにした。
ゲームプレイヤーでもクエストで功績をあげると貴族になれたりする。
そしてそこから功績をあげまくって最終的には侯爵まで昇り詰めることが出来るのだ。男性プレイヤーならば。
女性プレイヤーなら更に上の王太子妃になって、更に王妃になれることもあるかそうだ。
ただ、実現したプレイヤーは居なかった。
何故ならゲーム内の時間はリアルと連動しているので、10年程度では王位が変わったりはしなかったりからだ。
ちなみに王太子妃まで登り詰めたのは私だ。
王妃までは時間の問題だったけど、その時間がネルストには無かっただけだった。
なので私は王家の証とかもアイテムとして持ってたりする。
キーアイテムだったけど、現在では役に立たないかな?
王妃レベルの礼儀作法は身につけて居るけれど、その振る舞いはTPO的に不適切なので、今回は王太子妃レベルの礼儀作法にしておいた。
これなら高位貴族の令嬢より上程度である。
一方相手方である男爵は貴族の中では下位である。
私の挨拶を見て、そそくさと上座から離れて私を上座に促した。
そして大汗をかきながら「ネックレスはお返し致します!!」と返された。
しかし私はこれを売る為に来たのでそれは困る。
「私はこれを売りに来ました。買取り拒否は困りますね。」
「ひぃっ!わ、分かりました!お望みのままに!!」
と言うことで、当初の話より多い金貨数千枚で買って貰えた。
どうやら他国の高位貴族の娘だと勘違いされたらしい。
他国の高位貴族用入国手形と言うものを貰った。
この国では他国に入っても罰とかは無く、他国の貴族でも自由に出入りが可能というユルユルさだった。
流石に好き放題出来る訳ではないけどね。
各国は神話の時代に栄えた帝国の末裔達が国を興したので、同じ大陸内なら身内、という感覚が強いらしい。
だから他大陸から来る人には厳しいそうだ。滅多に来ないらしいけどね。
そして高位貴族用手形は一々高位貴族ですよと説明するのが面倒だから、これ一つで身分を証明出来るという水戸黄門の印籠みたいな物なのだ。
これを持っていれば少なくとも下位貴族や平民は手を出せなくなる。と言う訳。
ありがたく頂戴して高級宿に戻った。
「さて、目的のお金は予想以上に多く手に入ったな。じゃあ次は王都を目指してみようかな!」
男爵の領都はお店は多いけど、私から見たら粗悪品しか売ってないので、お金は宿代くらいしか使わないかも?
ラノベの定番の孤児院や奴隷商なんかも無いみたいだから、もう見る物は無いや。
領都を出て王都方面へ馬車を走らせる。
ゲーム内でもそうだったけど、この世界はダンジョンにしかモンスターは出ない。
野生の獣は居るから絶対安全とは言えないけど、それでも一般人や行商人が街道を行き来する程度には安全だ。
旅は順調・・・なんだけど、見ちゃったんだよね。
ズタボロの幼い姉妹を。
外の景色でも見るかな、と思って窓のカーテンを開けたら丁度そのタイミングにその場に居たのがそのズタボロ姉妹だった。
服がズタボロなのは貧しい田舎の村あるあるなんだけど、明らかに大人に殴られた様な痣があった。
見ちゃったら見捨てられないよねぇ・・・
「ウマ太郎、ウマ二郎!ストップ!」
ヒヒーン!
止まった馬車から降りると、ズタボロ姉妹の妹の方が意識を失って倒れてしまった。
「リリ!!」
姉の方もフラフラだけど、必死に妹の名前を叫ぶ。
「大丈夫、まだ生きてる。」
鑑定によると栄養失調から来る貧血。
状態が空腹の上のランク"飢餓"になっている。
このままだと衰弱死してしまう。
私は妹の方を抱き抱え、姉の方も馬車に入るように言った。
私は妹のリリを席に寝かせて、まずは回復魔法を掛けた。
今のままだと弱り過ぎて食事も取れなさそうだったから。
「き、奇跡だわ!あなた奇跡を使える聖女様なの?!」
姉の方は魔法を奇跡と呼んで、さらに私を聖女と呼んで興奮し出した。
「あっ・・・!」
「お姉さんの方も弱ってるから、そんなはしゃいだら貧血で倒れるよ。」
姉の方もフラっと立ち眩みを起こしたのでこちらも回復魔法で生命体の回復を施した。
そして病み上がりにはお粥の様な物って事でオートミールを作り食べさせた。
リリの方も直ぐに目を覚ましてがっついてた。
「助けていただきありがとうございました!」
「あいがとーごじゃいましゅた!」
姉の方はララ、妹のリリと2人で盗賊団に襲われた村から何とか逃げ出して来たらしい。
一度は捕らえられたけど、村の大人達が子供だけでも、と逃してくれたそうだ。
うっ!ここまで聞いちゃうと助けないと後味悪いよね。
「2人の村は何処?私が盗賊団を懲らしめてあげる。」
「聖女さま!ありがとうございます!!」
「せーじょさま!あいあとう!」
ララは私が奇跡を使える聖女だと思っているから、盗賊も奇跡の力で一捻りですよね!と興奮していて、リリも姉の興奮に乗ってはしゃいでいる。
村の場所は子供の足で3日、私の馬車なら1日で行けるかな。
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