(仮)プレリボ!〜prayer Reborn〜

れぷ

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2話

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 0時になった瞬間、視界が真っ白に染まった。
ブラックアウトすると思っていたらホワイトアウトだった。

 しかし次の瞬間には爽やかな風が吹く草原が視界に現れた。

「え・・・?此処は?」

 まだゲーム内ならメニューウインドウに現在地の名称とマップが出る筈だ。

「ラ・タカト平原?知らない土地だ。マップも見覚えが無い。」

 ちゃんとメニューウインドウは出たし、地名やマップも出ている。
しかしネルスト世界を余す事なく楽しんだ私が知らない土地なんて無い筈だ。
ならば此処はネルストの世界じゃない?

 マップを広域表示すると、ここから1番近い人里を発見した。

 私はアイテムボックスからフライングボードを取り出し、それに乗って人里を目指して飛んだ。

 フライングボードはサーフィンのボードの様な物に羽が生えたアイテムで、ネルスト内での移動手段としてはポピュラーな騎乗アイテムである。
他にも空飛ぶ絨毯やホウキなども騎乗アイテムとしてよく使われていた。

 フライングボードは空飛ぶ騎乗アイテムの中では1番性能が良くて、速度、高度、小回りの良さなど全てにおいて優秀なのだ。

 高高度まで上がる事が出来るので、目視で遠くまで見るには最適だ。

「あれ?あの遠くに微かに見えるのは・・・女神の塔ゴッデス・タワー?!って事は此処はネルスト世界!!」

 女神の塔はネルストでのエンドコンテンツで、最難関のダンジョンなのだ。
難易度の高さはプレイヤー達から「クリアさせる気ないだろう?!」と言わせるほど酷い物だった。
まぁ私はクリアしたけどね(どやぁ)

 女神の塔のクリア報酬は、女神様が願いを聞いて何でも叶えてくれる、という物だった。
なので私は、スロット式のインベントリが直ぐ一杯になるのが嫌いだったので、容量無限のアイテムボックスにしてもらった。

 それが一度目のクリア報酬。

 2週目からは難易度が更に上がったけど、クリアしてやった!
二度目の報酬でレベルキャップを無限解放してもらった。

 3度目の報酬では通常一つしか選べないジョブを何個も選べるようにしてもらった。

 4度目の報酬はゲームマスターしか使えない設定の転移魔法をもらった。

 5度目の報酬はそろそろ欲しい物が無くなって来たから女神様のオススメにしてみた。

 そして6度目に挑もうとしたら、運営から「もう勘弁して下さい!!」と泣かれたので殿堂入りという名の出禁になった。

「懐かしいなぁ女神の塔。あの塔でっかいから地平線にあっても見えるんだよね。」

 見えてはいるが、かなり遠い。
塔を目指すとフライングボードでも数日掛かるので今は行かない。

 そうこうしてたら目的に着いていた。
と言っても私の居る場所は上空だけどね。
真下に街・・・ではなくて村だね。
村があった。

 とりあえず村人らしき人に鑑定をしてみる。
ネルストでは小さな村と見せかけて盗賊団のアジトだったりする事があるのだ。
迂闊に普通の村だと思って立ち寄ると、隙を突いて毒を盛られて死に掛けた所で身包みを剥がされる、なんて事もある。
流石にインベントリ内の物は取られないけど、装備品は剥ぎ取られる。
一応、ジョブの一つ付与士による"所有者権限"を付与すれば奪われないが、付与はタイムリミットありの魔法なので初めから村を警戒して事前に付与するなどしないと意味が無いない。

 だから未知の人里を見つけたら、まず鑑定!!

「ふーん、盗賊団じゃないか。んん?!NPCやプレイヤーを表すマークが無い?!」

 鑑定をすると相手の区分が一目でわかる様にマークがあるものだ。
盗賊団の様な敵対NPCは赤文字のN、普通の人は白文字のN、交流を持った友好的な人なら青文字のN。NはNPCの頭文字ね。

 モンスターならMだし、プレイヤーならP、ゲームマスターならGだ。

 そのマークが鑑定した村人には無かった。つまり・・・NPCでは無い。
更に言うとプレイヤーでもモンスターでも無い。

「どうゆう事?!」

 そもそも突然知らない場所に居た事を考えると、ラノベなどで見た"サービス終了したゲームに取り残される"と言うのが1番あり得そうだ。

「その線で考えるならば、NPCは生身の人間になっている、って事?それならNPCの表示が無い事に納得がいく。」

 だとしたら私はネルストの世界に本当の意味で入ったと言う事だ。
私の全てに・・・

「ワクワクして来た!」

 意味不明な事態に不安になってたけど、ゲームが現実化して入り込めたなんて、私としては最高過ぎる幸運である!

「いや、慌てるな私!まずは情報収集からだ・・・まだネルストだと断定するには情報が不足している。」

 女神の塔くらいしかネルスト世界との共通点が無いからね。
決めつけは早計。

「まずはこの世界について、少しでも情報を集めよう。まずは村人からだね。」
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