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冒険者になりました!

簡単な依頼

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琴葉はお店を買ってきた奴隷、元奴隷のエリスにお店を任せ冒険者のお仕事をする事にした。

一度西街のダンジョンで、神代の迷宮より難易度が低いとわかった。
なので「わたしは難易度が低い順に攻略するタイプだから!」と、西街ダンジョンを攻略する事にしたのだ。

琴葉はお気に入りの愛剣[聖剣ラケット]を専用のケースに入れて冒険者ギルドへ向かった。

朝早くギルドに来ると、依頼書が貼ってある掲示板や受付が人で埋め尽くされていた。
琴葉が「これ並ぶの嫌だなぁ」と思っているとギルド職員の1人が「ダンジョンへ行く方はギルド外の入り口付近にダンジョン素材の買取表があるので、そちらをご覧下さい!」と大きな声でお知らせしていた。

それを聞いた多くの冒険者が一斉に入り口へ向かったので、入り口にいた琴葉は押し出されて外に出た。

ダンジョンへ行く冒険者達が買い取り表を確認していき、やっとギルドへ入れた。
琴葉が再びギルドへ入ると、普通に歩ける程度の混み具合になっていた。
琴葉もダンジョンへ行くのだが、どうせならランクも上げたいと思い依頼を探すのだ。

この西街には2種類の冒険者がいる、1つはランクアップを目指すタイプだ。
依頼をこなして貢献度ポイントを稼いで、より高いランクを目指す者たちである。
ランクアップのメリットは有名になったり、強さの証明だったり、高ランクになるとギルドから月給が貰えたりするのだ。
高ランクほど仕事が減って生活に余裕が出来る、なぜならば月給が貰える上に仕事がスタンピードや高ランクモンスターの討伐など稀に起きる事への対処程度になるからだ。
自分の才能を信じる人はこっちを目指すのだ。

もう一方は、依頼などはほとんど受けずにひたすらダンジョンへ潜り、資源を持ち帰り売り払う人達だ。
こっちは目先のお金を取るタイプで、稼いだお金もその日の夜に散財してしまう者が多い。
「このくらいすぐに稼げる」と考えるためだ。
将来の事を考えないので、歳を取るとお金に困って山賊になる者も一定数いる。
才能が無い、と諦めてこっちのタイプになった者も居るが、その者達は比較的まともで無難に貯金をするので山賊になるケースは少ない。

琴葉は何も考えずランクアップを目指していた。
理由はSランク冒険者とかがカッコイイ!と思っているからだ。

「受けられそうな依頼全部受けちゃおうかな!」

《ピキー!》

琴葉はゲーム中で受けられる依頼は全部受けるタイプだった。
そのせいで期限ギリギリにてんてこ舞いになるのだが、結局こなせてしまうので反省しないのだ。

Gランク依頼
[物販手伝い][薬草納品][逃げたペット探し][孤児院の修理][薪割り]

見事に雑用である。
危険があるのは街の外に出る薬草納品くらいだろうか。

「全部出来そう!受けよう!」

《ピキー!》

依頼書を剥がして受付嬢へ渡す。

「あら、こんなに受けるの?・・・うん、期限は1週間あるから頑張れば出来そうね。良いわ、ギルドカードを貸して頂戴。」

琴葉は元気よく「はい!」とカードを渡す。
それをニコニコしながら受け取る受付嬢は琴葉のカードを確認して、ギルマスからドンドン貢献度上乗せしてランクアップを早めろと言っていた人物だとわかった。

「・・・コトハちゃんね、はい。依頼を登録したわよ。・・・所でこの前ギルマスと何かお話したかしら?何も無かったら良いんだけど。」

「んー?何か話したっけ?・・・あ!オリハルコンの事かな?Bランクになったら買い取るから絶対に他に売らないように言われたよ。」

「オリッ!?・・・えーと、コトハちゃん。それは知っているギルマスと私以外には言わないほうが良いわよ。次からレアな物とかあったら私に相談してちょうだい。私はミレーヌよ。」

「わかったー!ミレーヌさんに相談する!」

「良い子ね。」

ミレーヌに頭をナデナデされエヘーとダラシない笑顔をする琴葉。

ボソッ「ギルマス、自分だけ美味しい思いしようとしてたわね・・・」

琴葉はナデナデに蕩けていたのでミレーヌの呟きを聞いていなかった。
側にいた丸子も琴葉にナデナデされていたので同じく聞いていなかった。



「薪割りダイナミック!薪割りダイナミック!」

《ピキー♪》

琴葉は次々薪を作っていく。
丸子は応援している。

「いやぁ元気な子供だべなぁ。仕事が早くて助かるべぇ!」

依頼人の男性は街の大浴場のお湯焚き担当のボブンだ。
丁度切ってある薪を使い切り、今朝薪用の丸太が納品されたばかりなので、薪を割る依頼を出したのだ。
一人で薪を切って窯に入れるのは重労働なので依頼した初日から琴葉が来てくれて助かっていた。
琴葉は異常な身体能力とスキルが有るため、信じられない速度で薪が作られていき、1ヶ月分の薪をあっという間に切ってしまった。

「凄いべなぁ~1ヶ月は薪を切らなくてもいいべ!ほれ!依頼書にサインしといたど!」

「わーい!おわったー!また無くなりそうになったら依頼してね!」

《ピキー!》



「見つけたよ!耳の先端だけ白い黒猫!」

《ピキー!》

逃げ出したペットである耳の先端だけ白い黒猫を見つけ出した琴葉。
ペット探しの依頼である。

「ギニャー!!」

「ふっふっふ、わたしの速さを舐めちゃダメだよ!・・・ほら捕まえた!」

「ニャー!!フニャー!!・・・ナーン♡」

捕まえられた黒猫は抵抗していたが琴葉のナデナデ術に抗えずゴロゴロしだした。

「カワイイ奴め!もっと愛でてあげよう!」

依頼人のお婆さんに引き渡す頃にはマタタビで蕩けたようになっていたという。



「わぁ・・・魔法って凄いんだね」

孤児院の孤児の一人、ロイは幽霊屋敷のようなオンボロ孤児院が魔法で新築のようになっていく工程を口をあんぐりさせて見ていた。

「創作意欲がわいてきたよー!もっと細工を加えていこう!」

《ピキー!》

もともと孤児院は子供好きの夫婦が始めた。
夫婦と子供一人が住める程度のこじんまりした家だった。
しかし夫婦には子供が出来ず、子供が作れない年齢になった頃孤児を引き取り始めた。そして増える孤児に対応するため増改築を繰り返した。
そのせいで随分と歪な形で正直住みづらい家だった。

それを琴葉が錬金神と鍛冶神を並列起動して家を素材に新たに家を作り直しだしたのだ。

出来上がった孤児院は夏は涼しく、冬は温かい。井戸は設置した風車で汲み上げ高い所に作ったタンクに貯め。キッチン、トイレ、風呂に捻れば出る蛇口を設置。
下水は元々街にあったので問題なかった。

屋根にソーラーパネルの様なものを作り、太陽光を魔力に変換出来るようにし、灯り、湯沸かし、冷蔵庫、コンロに通した。

布団類も元々あったボロボロの毛布を素材に錬金神でフッカフカの布団一式にし、継ぎ接ぎだらけの着替えも琴葉がこの街で見かけたデザインの一般的な服に作り直した。

ちなみに魔石を使用した灯りや湯沸かしは貴族様が使うものである。
コンロや冷蔵庫は存在すらしない。もちろんソーラーパネルも。

「なんてこった。あのボロ屋がこんなに立派になるなんて。雨漏りの修理をしてもらうだけのつもりだったのになぁ・・・」

「アナタ、これはきっと神様からの贈り物ですよ!」

琴葉は仕事は終わった!とサッサとサインを貰って次の仕事へ向かった。



薬草採取はあっという間に終わった。
人がほとんど来ない古代竜の巣の近くに沢山生えて居たので一飛びして取ってきたのだ。

「残りは店番だけだね。もうすぐ昼だからお昼ごはんお店で食べてからだね!」

《ピキー!》

薬草を薬師のお店に納品し、コトハのアトリエに戻った。

「おかえりなさいませコトハ様。昼食の準備は出来ていますよ。」

昼食をお店で食べる事など決めていなかったのに準備をしていたメイド服のエリス。
出来るメイドである。

「わーい!おなかすいたー!」

《ピキー♪》
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