下級貴族の三男で誰にも相手にされ無かったけど、ミニサキュバスになったらモテモテになりました!

れぷ

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ゴブリンの討伐が終わったのでギルドに報告に戻ろうと歩いていると、さっき薬草の見分け方を教えた少年が1匹のゴブリンと戦っていた。

少年は薬草採取用の小さなナイフしか持っておらずピンチです。

ボクはすぐにゴブリンを斬り、少年を少し後ろに移動させた。
斬ってからポロリするまで少し生きてるから距離をとったのだ。

「え?!何が?・・・き、きみはさっきの!」
少年はボクの事を見て顔を赤くして嬉しそうな顔をした。

「大丈夫ですか?」

「あぁ!ゴブリンは何故か勝手に死んだみたいで助かったよ!俺運が良いみたいだ。君にもまた会えたし!」

少年はなにやらご機嫌でゴブリンは自然死したと思っているようです。
女の子に助けられると、男の子のプライドを傷つけそうなのでボクが斬った事は内緒にした。

「ボクも街に帰るところなので一緒に行きましょう。」

少年はニコニコしながらボクの手を取り街へと歩き出した。
魔物が出る場所で手を繋いで歩くのは咄嗟に動けないから困るのでは?と思ったけど、余りにも嬉しそうに手を繋いでいるので言えなかった。

帰り道はスライムにしか遭遇しなかった。
少年が張り切ってスライムと戦っていたけど、腰が引けて前屈みになりナイフをデタラメに振り回していた。
なるほど、あれだと子供でも勝てるゴブリンにも勝てないね。

たしかギルドで戦闘訓練の基礎だけ教えてくれるサービスがあったはずだけど受けてないのかな?

街が見えてくると少年は繋いでいた手を離した。女の子と手を繋いでいるところを友達に見られると恥ずかしいし、という顔をしている。多分合っていると思う。

「じ、じゃあ、俺ギルドに報告しに行くから!またな!」

そう言って少年は走っていった。
いやボクも冒険者だからギルドに報告に行くんだけどね。おっちょこちょいだね!
薬草の見分けも出来てなかったしゴブリンにも勝てないし、その上おっちょこちょいなんだ。
うーん、ダメな子程可愛いって奴なのかも知れない。まだ子供だから可愛いけどあのまま大人になったら大変だね。
せめて戦闘訓練と薬草辞典の熟読を勧めとこう。

今日はのんびりギルドに向かう。
買い足す物もないし報告で終わりだからね!

途中で野良猫と出会えたので撫で回した。
猫ってどうしてこんなに可愛いんだろう!
身体を擦り付けて甘えてくる所とか、ここを撫でてよ!って感じでボクの手に撫でて欲しい所を当ててくる所とか最高に可愛い!

気がついたら野良猫が増えていて、コッチも撫でろ!と言うように撫でられ争奪戦が勃発した。
ボクの手が二本しか無いのが悔やまれる!
全員纏めて可愛がりたい!
白猫、黒猫、虎柄、灰猫、茶猫みんな可愛い!

1時間程タップリと可愛がり、そろそろギルドに行こうと猫ちゃん達にバイバイして歩き出す。
でも、猫ちゃん達はボクの足元にくっついて付いてくる。
か、可愛い!
ボクにはこの子達を無下に遠ざける事なんて出来ないよ!

と言うわけでギルドへの報告の間もずっと一緒について来ていた。
ギルド職員や他の冒険者達も最初は驚いていたけど、直ぐに小動物を愛でるような顔になった。

今日の冒険者はおしまい、なので魔法の袋に刀と胸当てをしまいお家に帰る。
猫ちゃん達はまだ付いてきている、お家で飼えないかなぁ。

コッソリ自室に窓から戻ったボクは服を着替えてから廊下に出た。
丁度近くにメイドさんが居たので猫ちゃん達にミルクをあげたい事を伝える。

「まぁ!可愛らしい猫ちゃん達ですね!ヒナ様、直ぐに猫ちゃん達のご飯を用意しますね!」

メイドさんは早足で廊下を駆け抜けていった。

暫く部屋で猫ちゃん達を撫でながら待っていると、さっきのメイドさんと他のメイドさんプラスとお兄ちゃん2人がやって来た。

「ヒナ!猫を飼いたいんだって?・・・ぐはっ!・・・美幼女と小動物の組み合わせは破壊力抜群だぜ!」

長男のリカルドお兄ちゃんが派手なリアクションで、まるで吐血をしたかのような仕草の後ヨロヨロと片膝をついた。

「くっ!撮影機の魔導具を持ってくるんだった!メイ!取ってきてくれ!」

「はい!すぐに!!」

次男のラールドお兄ちゃんはメイドさんの1人に指示を出して何かを取りに行かせた。
メイドのメイさんはお兄ちゃんの命令だからか普段走らない廊下を全力疾走して行った。

「この子達、野良だけどボクにとっても懐いてくれてるの。飼っちゃダメ?」

首を傾げながら聞いてみると、お兄ちゃん達はブハッ!っと鼻血を吹き出した。

「だ、大丈夫だヒナ!お兄ちゃんがどんな手を使ってでも父上を説得してみせる!」

リカルドお兄ちゃんは顔の下半分を鼻血で覆いながらキリッとした顔になった。
イケメンなのに鼻血で台無しだね。

「飼えるよヒナ、この最強の組み合わせを捨てる程、父上は愚かでは無いよ。」

ラールドお兄ちゃんは同じく顔半分を鼻血まみれにしながらボクの頭をナデナデする。

猫ちゃん達はそんな事おかまいなしに構って攻撃をしている。可愛い。

最初に声をかけたメイドさんが猫ちゃん達のご飯の用意をしているけど猫ちゃん達はボクから離れない。
なのでボクがご飯のそばまで移動して「食べて」って言って食べさせる。
そこでようやくガツガツとご飯を食べ始めた。
猫ちゃん達の優先順位、ご飯よりボクなの?
動物ってご飯が一番優先するものだと思ってたんだけど違うのかな?

何匹かは満腹になったのか、再びボクに甘え始める。

ご飯を食べる猫ちゃん達を眺めていると、いつのまにか父上が部屋の入口に立っていた。

「ち、父上!いつのまに!いや、丁度いい所に来てくれましたね!ヒナが猫を飼いたいそうなんです。私は勿論ヒナの味方なので父上と争う事も吝かではありませんよ!」

リカルドお兄ちゃん、なんでちょっと喧嘩腰なんですか?

「父上、見てくださいこの光景。まるで天使と戯れる聖獣のようではありませんか!まさかこの光景を壊すような愚かな真似はしませんよね?」

ラールドお兄ちゃんも少し喧嘩腰です。
なんで?!

「パパ、猫ちゃん達、飼って良い?」

ちなみにボクが父上の事をパパと呼ぶと何でも言う事を聞いてくれる。

「勿論だ!有名な画家を用意する!この光景を後世に伝えなければ!」

そう言って父上は急いで執務室へ向かった。
そして直ぐに戻ってきて「画家を手配した!明日にはくる手筈だ!」と言ってボクの部屋のテーブルに着いてメイドさんにお茶と菓子を頼んだ。

お兄ちゃん達も席に着き、猫ちゃん達と戯れるボクをニコニコしながら眺めるのだった。

ちなみに何処かのお茶会に参加していたお母様は帰って来るなり「あんなお茶会なんか参加せずにこの光景を早く見たかったですわ!!」と絶叫していた。
貴族のお茶会を「あんな」って、ウチの家族テンション上がると少し口が悪くなるよね。
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