とある悪魔の恋愛報告

❄️城宏。

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第4話

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病院で過ごす2度目の朝は想像より爽やかな空気で満ちていた。

あれほどまでに死を望んでいたのに,名前も知らなかった赤の他人に,死んで欲しくない,なんて言われて心の奥に嬉しいという感情が芽生え始めているせいかも知れない。

しばらくすると,コンコンと部屋をノックする音とともに見覚えのある制服,聖アウフリード高等学校の制服を着た,昨日の工藤直哉と名乗った男が遠慮がちに病室へと入って来た。

しばらくの沈黙の後,直哉が口を開いた。
「……昨日は君のことを考えずに生意気なことを言ってごめん…本当に悪気はなかったんだ…。」
「いや…俺も悪かったな。」
と答えながら俺は,自分が謝ったことに驚いていた。
自他ともに認める頑固だった自分が素直に謝った事などこれが初めてだった。

「ひとつ聞いてもいい?…なんで学校に来ないの?」
「…俺なんて行っても行かなくても変わんねぇよ」
「えっ?」
「……俺が行ってなんになるんだ?誰か得するのか?損じゃないか?俺なんて行ったところで誰も…何も変わらないのに。」

いつの間にか自分の口調が相手を攻めるようなものになっていたが,溢れ出した言葉は否応なしに次々と紡がれていってしまう。

「同じクラスだったっけ?…分かんねぇけど,俺が居なくて困ってる奴なんていなかっただろ?どうせ誰も俺なんかになんの興味もないんだよ!」
「それは違うよ…っ!」
間発入れずに声が飛んでくる。

「そんなことないっ!だって僕は……すっごい心配だったよ!」
「…どうせ口だけだろ?…もう分かってんだよ。あんたみたいに親切ぶった奴は大抵偽善でやってるだけだって…!誰も本当は」
「じゃあ……確かめて見る?再来週には退院できるでしょ?退院したら来てみて。1日だけでいいから。来れば分かるよ,きっと。」
「……分かった。退院したら行く……。だからもうここには来るな」
俺がそう言うと顔をしかめて,ほんの少しの静寂の後,首を振った。
「僕はたとえ君が嫌でもずっと来るよ。
……絶対来るから!」

直哉はそう言い残し泣きそうになりながら病院を飛び出して行った。

「なんだあいつ…」
自分勝手で傲慢で人の痛いところをついて俺の大嫌いなタイプだ。
だけど俺とは違って自分の力で輝いている

何度も痛いところをつかれ声を荒らげては自責の念にかられる,どっかの誰かとはまるで正反対だ。

とそんなことを考えているとまた,眠れない夜を過ごすことになってしまった。


                               To Be Continued…

ここまで読んで頂きありがとうございます!
⚠加筆あり
⚠ふぃくしょんです。
次の更新は3月下旬頃です。
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