平成寄宿舎ものがたり

藤沢 南

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FM放送;夕方悠々

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「6時でーす。夕方悠々です。今日も川越市の埼玉県民エフエム第2スタジオから生放送でお送りします。今日の担当DJは、現役女子高生の能勢悠です。あなたとともに悠々自適な時間をすごしましょう。」

いつ頃からか、寄宿舎のロビーにエフエム放送が流れるようになった。能勢悠、2年4組の生徒である。現役高校生モデル&DJとして、川越市ではちょっとした有名人になっている。学校では成績優秀だが、時々モデルの仕事で学校を休むことがある。が、ちゃんと出席日数は満たしており、一女でベスト5の成績で2年生に進級した。

彼女はエフエム放送で川越第一女子の事を嫌味のない程度に話題にしている。いつだったか、「私の故郷の川越市にある川越第一女子高校は、今時全国的にも珍しい『寄宿舎』が存在しています。お金に余裕がなくても、しっかり勉強する生徒には、入舎許可が出るそうです。頑張り屋のそこの中学3年生女子、川越第一女子高校を目指しませんか。私のような素晴らしい先輩達が待ってますよ。…ただし。私は寮にはいませんけど。」

  能勢悠はこんな感じで時々母校の宣伝をする。また、川越まつりの時には、エフエム放送臨時スタジオからカラーガード部の華麗な行進を実況放送した。彼女は一応カラーガード部に籍を置いているが、ほとんど参加していない。しかし、カラーガード部では皆んなから好かれている。なんと言っても、能勢悠と仲良くなると、ステキな男の子を紹介してくれるからだ。能勢悠は彼氏がいるのかいないのか不明だが、川越や所沢、遠くは大宮や浦和などまで高校生の男友達がいる。彼女の発掘してくる男の子のネタは無尽蔵で、女の子の要望に合わせて、あらゆるタイプの男の子を紹介してくれるのだった。

「今日は恋の相談に乗ってくださいというハガキでーす、…ええと、ペンネームはゆっこさん、でいいのかな。あ、ペンネーム間違いないようです。裏にはっきり書いてありました。
 
  武蔵市のゆっこさんからのおハガキです。『私には小五の時に初めてデートした男の子がいます。でも彼は今は引越しで遠くの県に行ってしまって会えません。もう3年ぐらい会っていませんが、手紙のやり取りだけはしています。そんな私も、中3になって、同じクラスの男の子で気になる男の子がいます。悠さん、私はその男の子を好きになっていいのでしょうか。浮気とか、二股かける事になりますか。私は広島の彼も好きだけど、会えないのがつらくって。 』ふむ、なんだかぜいたくな悩みがきたぞ。では、悠ねえさんから一言言っておこう。

『埼玉の男は間違いない。埼玉の男を好きになりなさい。』これで良いかな。ゆっこちゃん。ではリクエスト行きましょう。」
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