平成寄宿舎ものがたり

藤沢 南

文字の大きさ
上 下
32 / 39

柿沼律と友人達(群馬の柿沼律の実家にて)

しおりを挟む
   反対に、中井えみが柿沼律の実家に遊びに行った時は、大農家の居間に通された。
利根川からの風が生ぬるく吹き込んでいたが、それがあまり役に立たないほど暑かった。
「群馬って暑いのよ。埼玉の熊谷も暑いみたいだけどね。」
でも、夕方に近所の柿沼農園の畑まで2人で歩いて行った時には、夕涼みとも言えるぐらいに心地よく気温が下がった。
「どこかで夕立があったかもね。涼しいから。」

中井えみを柿沼家の実家に呼んだ時は、夕方以外は家にいて、2人でおしゃべりをしていたが、寄宿舎生の仲間を呼んだ時は、みんなで地元のバカでかいプールに遊びに行った。波も起きず、ウォータースライダーもなく、ただ50メートルのプールがあるだけ。スクール水着ではしゃぐ埼玉・川越市の高校生4人…柿沼・関・名取・三浦は童心に帰って楽しんでいた。その帰り道…
「ナンパされなくて良かったね。」名取がおどけた。
「あったりまえじゃない。色気のない格好してるんだから…。」三浦が苦笑した。
「日本の高校生って、夏休みはこんな感じで遊ぶの?」日本のものなら何事にも好奇心旺盛な関麗華が目を輝かせる。
「そうでもないよ。どちらかというと、これは日本の田舎の小学生の遊びかなぁ。私の小学生の頃は、住んでいるところが田舎だから、プール行くしかなかったのね。…来年は、湘南の海でも行こうか。可愛い水着着て。カッコイイ男の子にナンパされちゃうかもしれないけど。」柿沼が、関の誤解を解くべく説明した。
「でも、今日は楽しかったな。こんなに何も考えずにはしゃいだのは久しぶりよ。」三浦が、柿沼をフォローするつもりなのか、そう言葉を継いだ。
「楽しんでもらえれば、こんな遠くまで呼んだ甲斐はあったかな。」柿沼が微笑む。
「楽しかったよ、私も。私も山梨の田舎で育ったから、夏といえばプールだったし。でも、50メートルプールはなかったな。だから、目一杯泳いだよ。」名取も同意した。
みね、泳ぐの早いんだもの。私、追いつけなかった。」関が名取に言葉を向けた。
「麗華は、泳ぐのは苦手なんだね。」名取が言う。
「台湾でも学校で何度か泳いだんだけどね。峰は運動は何でも上手ね。」
「シェシェ」名取の返しに、一堂、湧いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

コンプレックス

悠生ゆう
恋愛
創作百合。 新入社員・野崎満月23歳の指導担当となった先輩は、無口で不愛想な矢沢陽20歳だった。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

私と先輩のキス日和

壽倉雅
恋愛
出版社で小説担当の編集者をしている山辺梢は、恋愛小説家・三田村理絵の担当を新たにすることになった。公に顔出しをしていないため理絵の顔を知らない梢は、マンション兼事務所となっている理絵のもとを訪れるが、理絵を見た途端に梢は唖然とする。理絵の正体は、10年前に梢のファーストキスの相手であった高校の先輩・村田笑理だったのだ。笑理との10年ぶりの再会により、二人の関係は濃密なものになっていく。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...