平成寄宿舎ものがたり

藤沢 南

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諸岡の野望

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   諸岡百合子は、今の一女の寄宿舎制度を改良し、ラ=ファイエット高校のようなエリート留学生達の生活と交流の場にしようと考えていた。無論その考えは英語部の仲間にも、関麗華にも、それ以外の寄宿舎の女子生徒にも伝えていなかった。生徒会に立候補した諸岡が、高校3年間で成し遂げたい究極の目標だった。『ラ=ファイエットの日々は、私の人生に素晴らしい気づきを与えてくれた。私は、この川越第一女子高校を、ラ=ファイエットのような国際的にも有名な学校にしたい。』

秋の生徒会選挙で、諸岡百合子は、その野望を胸に秘め、当たり障りのない耳障りのいい公約を並べ立て、書記に当選した。

「ふ。1年2組の才色兼備の秀才さん、お手並み拝見といきますか。」
生徒会も一枚岩でなかった。運動系の部活から送り込まれてくる生徒会役員が少数派だったが、発言力と高い得票率に物を言わせて、予算をたくさんもっていってしまう。
「ま、生徒会会長の私と副会長の大滝がいる限り、そう簡単には諸岡の思い通りには行かないから。」

生徒会会長の平山さんは2年生で、カラーガード部の1年次に1年生キャプテンを務めた。カラーガード部は応援部の派生した部活と言えるが、軍服のようなドレスのような正装を着て応援や行進や隊列を披露する。川越まつりでのドリル演奏で吹奏楽部の先導を行なう。今や押しも押されもせぬ一女の花形部活である。一方で応援部はカラーガード部が分離独立後は精彩を欠き、今はほとんど休部状態だった。男子校である川越第一高校の応援団との連携を模索したりしていたが、一女の保守層、つまりは『名門、川越第一高校の男子といえど一女の校門はくぐらせない』という意見を持った生徒や先生が多く、これもなかなか思い通りに行かないようだ。もう1人の運動部メンバー、生徒会副会長の大滝は陸上部で高跳びの選手だった。
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