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三浦先輩との会話(バイトと寄宿舎)
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「尚美、夏休みは、何か予定ある?」
「え、まだ特に決めていませんが…。」
「じゃ、私と一緒に、もう少し稼げるバイトも増やさない?」
「え?何をするんですか?」
「夏の間だけだけどね。川越市内の保育園のプール掃除の仕事があるのよ。稼げるわよ。めちゃくちゃ暑くて大変だけどね。」
「え?それって男の人の仕事じゃないですか?」
「保育園のプールだから、水深が浅いし、女の子でも出来るのよ。保育園は女の人が多いから、私達女子高生の方が歓迎されるみたい。汗臭い男の人よりもね。この仕事も川越市の仕事だから、怪しい雇い主でないから、安心して働けるよ。」
「三浦先輩、その仕事も大石先生の…。」
「そうよ。大石先生うるさいけど、私のような経済的に苦しい生徒の事もちゃんと考えてくれるから。近年にないよい舎監ではないかな。むしろ、厄介なのは生徒会の奴らよ。」
「え?生徒会が寄宿舎に何か関わってくるんですか。」
「…知らないのか。まあいいわ、簡単にいうとね。今の生徒会の一部の生徒が、寄宿舎制度を、時代に合わないからといって改革しようとしているの。」
「改革、ですか」
「勝手な話よね。今の一女は、昔と違い、全体的に裕福な良家のお嬢さんの割合が高くなったのよ。苦学生の砦である寄宿舎を縮小して、その予算で全館空調整備と寄宿舎を国際交流館にするとかなんとか。空き部屋の多くなった寄宿舎を改造して交換留学生を招こうという身勝手な計画よ。」
「私達はどうなるんですか?」
「生徒会での意見と、教師側の意見が一致して、さらに県の教育委員会が承認したら、退宿を打診されるかもしれない。そうさせないために、私達は大石先生と組んで頑張っているけど。県の教育委員会の方針だと、無駄な学校の施設はとり壊せというのが、最近の風潮だし。どうなるかわかったものじゃないわ。」
「そんなぁ…。」
私は泣きそうな声を出していることに気づいた。しかし、三浦先輩は冷徹に言い放った。
「生徒会の中では、寄宿舎の改革はおろか、目処がついたら一気に廃止を目指していると言う話もある。また、一女の共学化まで目論んでいる連中もいるみたいだから。あんたも、今後の母校の未来のために、アルバイトと学業だけでなく、生徒会の動向にも目を光らせた方がいいわ。私たちが一年の頃は、黒沢先輩という宿舎長の先輩が3年にいて、生徒会選挙で大活躍して、寄宿舎の権利を守ってくれたけど、今は居ないしね…。」
「共学化まで生徒会の一存で出来るんですか?」
「まさか。でも、全国どこの公立高校も、名門の進学校のところは共学化しているから、その流れが埼玉にもやってくるかもね。男子校の川越第一と合併という話になるかもね。まして生徒会が共学賛成となれば、話は割と簡単に進むかもしれない。」
私は言葉を失った。元倉家みたいな、貧しくても勉学に励む生徒のための受け皿があってもいいじゃないか。一女はそんな生徒のための受け皿であるべきなのだ。
「今の寄宿舎生の2年生の中で、今の生徒会をよく思っている人は1人もいないはず。ただ、麗華だけは、2年1組の同級生に生徒会の友達がいるから、強く言えないみたいだけど。」
「え、まだ特に決めていませんが…。」
「じゃ、私と一緒に、もう少し稼げるバイトも増やさない?」
「え?何をするんですか?」
「夏の間だけだけどね。川越市内の保育園のプール掃除の仕事があるのよ。稼げるわよ。めちゃくちゃ暑くて大変だけどね。」
「え?それって男の人の仕事じゃないですか?」
「保育園のプールだから、水深が浅いし、女の子でも出来るのよ。保育園は女の人が多いから、私達女子高生の方が歓迎されるみたい。汗臭い男の人よりもね。この仕事も川越市の仕事だから、怪しい雇い主でないから、安心して働けるよ。」
「三浦先輩、その仕事も大石先生の…。」
「そうよ。大石先生うるさいけど、私のような経済的に苦しい生徒の事もちゃんと考えてくれるから。近年にないよい舎監ではないかな。むしろ、厄介なのは生徒会の奴らよ。」
「え?生徒会が寄宿舎に何か関わってくるんですか。」
「…知らないのか。まあいいわ、簡単にいうとね。今の生徒会の一部の生徒が、寄宿舎制度を、時代に合わないからといって改革しようとしているの。」
「改革、ですか」
「勝手な話よね。今の一女は、昔と違い、全体的に裕福な良家のお嬢さんの割合が高くなったのよ。苦学生の砦である寄宿舎を縮小して、その予算で全館空調整備と寄宿舎を国際交流館にするとかなんとか。空き部屋の多くなった寄宿舎を改造して交換留学生を招こうという身勝手な計画よ。」
「私達はどうなるんですか?」
「生徒会での意見と、教師側の意見が一致して、さらに県の教育委員会が承認したら、退宿を打診されるかもしれない。そうさせないために、私達は大石先生と組んで頑張っているけど。県の教育委員会の方針だと、無駄な学校の施設はとり壊せというのが、最近の風潮だし。どうなるかわかったものじゃないわ。」
「そんなぁ…。」
私は泣きそうな声を出していることに気づいた。しかし、三浦先輩は冷徹に言い放った。
「生徒会の中では、寄宿舎の改革はおろか、目処がついたら一気に廃止を目指していると言う話もある。また、一女の共学化まで目論んでいる連中もいるみたいだから。あんたも、今後の母校の未来のために、アルバイトと学業だけでなく、生徒会の動向にも目を光らせた方がいいわ。私たちが一年の頃は、黒沢先輩という宿舎長の先輩が3年にいて、生徒会選挙で大活躍して、寄宿舎の権利を守ってくれたけど、今は居ないしね…。」
「共学化まで生徒会の一存で出来るんですか?」
「まさか。でも、全国どこの公立高校も、名門の進学校のところは共学化しているから、その流れが埼玉にもやってくるかもね。男子校の川越第一と合併という話になるかもね。まして生徒会が共学賛成となれば、話は割と簡単に進むかもしれない。」
私は言葉を失った。元倉家みたいな、貧しくても勉学に励む生徒のための受け皿があってもいいじゃないか。一女はそんな生徒のための受け皿であるべきなのだ。
「今の寄宿舎生の2年生の中で、今の生徒会をよく思っている人は1人もいないはず。ただ、麗華だけは、2年1組の同級生に生徒会の友達がいるから、強く言えないみたいだけど。」
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