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疑惑(上)
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10月、僕はとうとう重い腰を上げて、同窓会定例に参加する事にした。
まみは、喜んでくれたが、アッコと高野は無反応だった。しばらく参加していなかったから、仕方ない。気になったのは第一小の矢部・富山・ナベと、第二小の横山・泉・ミサコの動向だった。
10月第一日曜日に、結局第三小学校の校庭に集まったのは、第一小の3人と、第三小の4人だけだった。ナベの性格を見て、同窓会に引き入れた、まみはしてやったりの表情だった。ぎこちない感じだった僕もナベとは多く話すことが出来た。富山も、男子のリーダーを自覚したのか、僕にもよく話しかけてくれた。第二小学校の連中については、今日は考えないようにした。積もる話で、いい雰囲気で時間は流れていった。
ただ、この日、爆弾を投下してしまった人物がいた。
「ところでツーは、満川さんをこの同窓会に呼んできてくれるの?」
誰だ?
誰だ?
和気あいあいとしていた、その座が一気にざわついた。誰だ?というのは、満川さんを指している疑問詞なのか、その満川という名前を出してきた仲間を指しているものなのか、僕も混乱してしまった。いつもなら絶妙な言葉を放り込むまみが、黙ったままだった。
爆弾を放り込んだのは、なんと高野だった。高野は、彼女のクラスである1組の中でのうわさ話をここでぶち込んできた。無口な彼女の特ダネに、一同が聞き耳を立てた。
「私が小2の時に、転校してきた子、満川さん。今はツーと同じ2組にいるんだけど、満川さんとツーが図書委員で、林間学校の係も同じだったのね。いつも2人で活動している時に、ツーが満川さんを、この会に誘っているって。」
「おおー」男子生徒は、驚きの声をあげた。「ツーもやるじゃん、隅に置けないのぉ」マジメな性格の矢部が茶化したので、一同、ドッと笑いが巻き起こった。
まみは、喜んでくれたが、アッコと高野は無反応だった。しばらく参加していなかったから、仕方ない。気になったのは第一小の矢部・富山・ナベと、第二小の横山・泉・ミサコの動向だった。
10月第一日曜日に、結局第三小学校の校庭に集まったのは、第一小の3人と、第三小の4人だけだった。ナベの性格を見て、同窓会に引き入れた、まみはしてやったりの表情だった。ぎこちない感じだった僕もナベとは多く話すことが出来た。富山も、男子のリーダーを自覚したのか、僕にもよく話しかけてくれた。第二小学校の連中については、今日は考えないようにした。積もる話で、いい雰囲気で時間は流れていった。
ただ、この日、爆弾を投下してしまった人物がいた。
「ところでツーは、満川さんをこの同窓会に呼んできてくれるの?」
誰だ?
誰だ?
和気あいあいとしていた、その座が一気にざわついた。誰だ?というのは、満川さんを指している疑問詞なのか、その満川という名前を出してきた仲間を指しているものなのか、僕も混乱してしまった。いつもなら絶妙な言葉を放り込むまみが、黙ったままだった。
爆弾を放り込んだのは、なんと高野だった。高野は、彼女のクラスである1組の中でのうわさ話をここでぶち込んできた。無口な彼女の特ダネに、一同が聞き耳を立てた。
「私が小2の時に、転校してきた子、満川さん。今はツーと同じ2組にいるんだけど、満川さんとツーが図書委員で、林間学校の係も同じだったのね。いつも2人で活動している時に、ツーが満川さんを、この会に誘っているって。」
「おおー」男子生徒は、驚きの声をあげた。「ツーもやるじゃん、隅に置けないのぉ」マジメな性格の矢部が茶化したので、一同、ドッと笑いが巻き起こった。
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