転校サバイバーズ

藤沢 南

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扇町中学編

台湾からの転校生

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 新学期は杉原の話で持ちきりだったのだが、僕はむしろこっちの話の方が興味があった。
台湾からやってきた双子の姉弟が、3年3組と5組に転入したのだった。
それぞれの担任の先生は、その双子のご両親の意向もあり、全く他のクラスメイト達に紹介もせずに、去年から扇町中学にいた生徒と同じように扱った。

双子の弟は、テニス部に入り、1ヶ月後には僕とコンビを組むことになった。
彼の名はジョニー=チャン。世界的テニスプレイヤーのマイケル=チャンと苗字が同じで、僕は彼との練習を誇らしく思った。

「ジョニーは、扇町中学のマイケル=チャンになれ。」
「うん。津山も加油な。」
しばらく新聞配達を休み、ジョニーのためにいろいろと練習や勉強に付き合う事になった。新聞配達をやりたい少年は多く、僕が抜けても何も問題はないようだったが、クマは少し不満げだった。
「津山、チャンの世話もほどほどにな。」
「ああ。」
僕は親友のクマの不安もよそに、自分と同じ目的を持つ仲間ができたことを心から歓迎した。

一方、双子の姉はアイリス=チャンといい、体操部に入った。
彼女のすらりとした手足と華麗な演技に魅せられ、女子からの応援が凄まじかった。
3組では越智と隣の席になり、2人はすぐに意気投合した。
越智は瀬戸内の鬼の子孫だが、アイリスは台湾育ちという事で、鬼に対する恐れもなかった。むしろそんな日本民話の世界のキャラクターの子孫という事で越智をとても気に入ってしまった。
彼女は「鬼ちゃん、鬼ちゃん」と越智の事を慕い、いつもクラス内で一緒だった。
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