転校サバイバーズ

藤沢 南

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広島生活スタート

スイミング

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新聞配達、そしてスイミング。
この二つは埼玉時代に頑張ってきたこと。ここ広島でもスイミングクラブが見つかったので、入会したものの…
同じクラスには小学校3年生の子以下しかいなくて、僕は完全に浮いてしまった。

それから3ヶ月後になって気づいたのだが、スイミングクラブは、ここ広島では、学校の水泳の授業についていけず、どうしても泳げない子が入るもの、という位置付けらしい。また、小3までに泳げるようになった子は、小学校の水泳部に入るのが普通で、いつまでたってもスイミングクラブにいる子は、よっぽどのカナヅチの児童に限られていたという。

そのせいか、僕は、年下の子たちに呼び捨てで呼ばれるようになってしまった。
「津山、いつまで25メートル泳いどんじゃ。」
小2の女の子とは思えないぐらいの汚らしい言葉。当初は僕は非常に面食らったが、ここのスイミングクラブは埼玉時代にゆっこと僕が入っていたスイミングスクールと同じ系列のクラブだった。ここで頑張ればいつかゆっこに再会できるかもしれない、僕は暗い表情を水面下に隠しながら、ひたすらガキどもの罵声に耐えた。
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