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Knock my Heart
Knock my Heart③
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ゴールデンウィークが始まって2日経った。この2日間を、短くまとめると「食う・寝る・ベース・スマホ」だった。こう言うと、なんとも時間を無駄にしているようだったが、私の感覚的には非常に充実していた。中学時代の私は、日がな一日ゴロゴロして、スマホで動画を見たりゲームをしているくらいだった。そこから増えたことと言ったら、ベースくらいだ。しかし、そんな「3文字の変化」は私にとって刺激的だった。ここ2日間で、さらに指の先が固くなってきたのを感じる。「女の子らしい」とは違った指が新鮮で、ベーシストらしくなったのかと思うと笑みがこぼれる。そんな感じで、一見ボッチのようなゴールデンウィークを過ごしていたのだ。
『明日の昼、ひまな人、全員集合!』
2日目の夜、夕食が終わった頃に携帯が鳴った。軽音部のグループラインだった。メッセージを送ったのは香音先輩だ。「明日かぁ。」なんて考えていると、ポツポツと返信が来た。渚先輩と千代さんは参加だ。「返信はや...。」と思いながら、焦って私も「参加します」と送信する。
11時30分が待ち合わせ時間だ。私は11時20分頃に待ち合わせ場所の駅前についた。
「おはよーー!!」
駅前、背の高い時計の前から渚先輩が手を振る。渚先輩越しだと時計の高さがいつもより高くみえる。
「おはようございます。」
私も小さく手を振り返しながら答える。渚先輩の周りを見ると、千代さんも来ていた。目を凝らすと、千代さんも小さく手を振ってくれている。
「おはよー。」
そして、千代さんとも挨拶を交わす。
「お待たせしました。あとは、香音先輩ですか?」
「うん。あと、明音ちゃんも来れるみたいだよ。なんか、用事が早く終わったみたいで。」
私の問いかけに答えるように、渚先輩は言う。
「明音も来るんですね。教えてくれればよかったのに...。」
私がちょっとムッとしたように言う。
「そろそろ、集合時間ですね。」
千代さんがふと時計を見ながら言う。
「そうだねー。電話してみよっか。」
ウズウズしていた渚先輩が、スマホをサッサといじりながら香音先輩に電話し始める。
「それなら、私は明音に...。」
私も渚先輩のようにスマホをいじり明音に電話する。
「もしもしー。明音―?」
コール音の後に明音が出た。電話の外が少し騒がしい。
「もしもーし。こちら、明音ですよー。」
明音は焦った様子もなく、むしろマイペースな感じで答える。
「ちょっと。もう、集合時間だよ。」
「あれ、香音先輩には少し遅れるかもって伝えてるけど。」
逆に私が少し焦りながら伝えると、明音はキョトンとしながら答える。そんな話は聞いてない。香音先輩はそういうところ、適当なようだ。
「そうだったの。どれくらいで着きそう?」
「今、駅のホームだからすぐ着くよ。意外と早く着いた。」
電話の向こうで明音が、「へへへ」と笑っているのが伝わる。
「そうなの?なら良かった。香音先輩以外、来てるから急いでね。」
「へーい。すぐ行くよー。」
明音が答えて電話を切る。私と同じように電話が終わった渚先輩に電話の内容を伝える。すると、渚先輩は珍しく呆れながらため息をついた。
「香音のやつ...。自分から誘っておいて、今起きたって。...二度寝したらしい。明音が来たら行こう。」
渚先輩は、また、ため息をつきながら言った。
明音が、「すみませーん。」と大きな声で言いながら走ってきた。私たちはそれを迎えて、駅前のファミレスに入った。
『明日の昼、ひまな人、全員集合!』
2日目の夜、夕食が終わった頃に携帯が鳴った。軽音部のグループラインだった。メッセージを送ったのは香音先輩だ。「明日かぁ。」なんて考えていると、ポツポツと返信が来た。渚先輩と千代さんは参加だ。「返信はや...。」と思いながら、焦って私も「参加します」と送信する。
11時30分が待ち合わせ時間だ。私は11時20分頃に待ち合わせ場所の駅前についた。
「おはよーー!!」
駅前、背の高い時計の前から渚先輩が手を振る。渚先輩越しだと時計の高さがいつもより高くみえる。
「おはようございます。」
私も小さく手を振り返しながら答える。渚先輩の周りを見ると、千代さんも来ていた。目を凝らすと、千代さんも小さく手を振ってくれている。
「おはよー。」
そして、千代さんとも挨拶を交わす。
「お待たせしました。あとは、香音先輩ですか?」
「うん。あと、明音ちゃんも来れるみたいだよ。なんか、用事が早く終わったみたいで。」
私の問いかけに答えるように、渚先輩は言う。
「明音も来るんですね。教えてくれればよかったのに...。」
私がちょっとムッとしたように言う。
「そろそろ、集合時間ですね。」
千代さんがふと時計を見ながら言う。
「そうだねー。電話してみよっか。」
ウズウズしていた渚先輩が、スマホをサッサといじりながら香音先輩に電話し始める。
「それなら、私は明音に...。」
私も渚先輩のようにスマホをいじり明音に電話する。
「もしもしー。明音―?」
コール音の後に明音が出た。電話の外が少し騒がしい。
「もしもーし。こちら、明音ですよー。」
明音は焦った様子もなく、むしろマイペースな感じで答える。
「ちょっと。もう、集合時間だよ。」
「あれ、香音先輩には少し遅れるかもって伝えてるけど。」
逆に私が少し焦りながら伝えると、明音はキョトンとしながら答える。そんな話は聞いてない。香音先輩はそういうところ、適当なようだ。
「そうだったの。どれくらいで着きそう?」
「今、駅のホームだからすぐ着くよ。意外と早く着いた。」
電話の向こうで明音が、「へへへ」と笑っているのが伝わる。
「そうなの?なら良かった。香音先輩以外、来てるから急いでね。」
「へーい。すぐ行くよー。」
明音が答えて電話を切る。私と同じように電話が終わった渚先輩に電話の内容を伝える。すると、渚先輩は珍しく呆れながらため息をついた。
「香音のやつ...。自分から誘っておいて、今起きたって。...二度寝したらしい。明音が来たら行こう。」
渚先輩は、また、ため息をつきながら言った。
明音が、「すみませーん。」と大きな声で言いながら走ってきた。私たちはそれを迎えて、駅前のファミレスに入った。
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