カラー・ロック

他島唄

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Find our color⑪

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「ごめん。私、ちょっと先に帰るねー。」
 練習中に合わせをして、みんなで感想を言い合ったあと、千代さんはそう言った。部活動終了の時間まで残り30分くらいだ。
 「りょーかい。何か用事?デートとか?」
 明音がテキトーに返事をする。彼女も疲れているのだろう。1時間半程、ドラムを叩いているのだから。ホントに脳死の返事だ。
 「違うわよ。てか、彼氏なんていないし!家族で出かけるだけ。」
 千代さんは呆れながら答える。そんな目をした千代さんは初めて見た。
 「アハハ。冗談だって。怒らないでよ。」
 明音は汗を拭いながら、ヘラヘラと答える。
 「お出かけいいなー。いってらっしゃーい。」
 私は明音が変なことを言い出さないよう、遮るように会話に混じる。
 「まぁ恒例行事みたいなもの、なんだけどね。じゃあ、おつかれー。」
 千代さんと私は、先週のチョッとした、それでも馴れ初めのような恥ずかしい話から、少し距離が近くなった気がする。そして、千代さんはパッと片付けをして、部室を出た。
 「「おつかれー。」」

 
 「いろはー。もうちょっと練習してく?」
 部室に残された私たちに少しの間の沈黙が流れた。そして、それを破ったのは明音だった。
 「うーん。さっきの合わせで間違えたとこ練習したいな。明音は?」
 「いろはが残るなら私も練習してくよ。」
 「ありがとー。」
 こうして、私たちは練習に戻った。


「最後、音源も流すから合わせてみない?」
 これが、初心者リズム隊の宿命なのだ。私も明音もまだ、演奏中に迷子になってしまうことがある。千代さんがいれば問題ないのだが、リズム隊だけになると、お互いに不安になってしまうときがあるのだ。その対策として、先輩の音源をガイドとして、スピーカーから出している。
 「いいよー。」
 そうして、2人での合わせが始まる。明音の自信満々な部分と、ちょっぴり不安そうな部分が、演奏を通して私に伝わる。明音にも同じように伝わっているのだろう。なんだか会話してるみたいで面白いなー、なんて思いながら演奏が終わっていく。

 「私達も、そろそろ帰ろー。」
 「そだねー。」
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