カラー・ロック

他島唄

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 「よく頑張ったね。」
 紅葉先輩は、私の必死さを感じ取ってか優しく言ってくれた。
 「ありがとうございます。でもまだまだです…。」
 私は悔しかった。ここ1週間、正直よく出来てるくらいに思っていた。でも、人に聞かれると全然違った。

憧れとの距離を測ってしまう。ほんとは、測れてもないのかもしれない。だって、先輩たちとの間には、地平線のように遠い距離と、宇宙のような高いかべがあるのだ。点のような2次元な私には3次元は計れない。


 「まだ初めて1週間でしょ。それはそうだよ。」
 「そうなんですけど…。技術以上に足りてない気がするんです。練習しても埋まらないような…。」
 「それでも、練習するしかないんだよねー。私も先輩たちにはまだ追いつけない。」
 「そうですよね…。」 
 「そんな、悩める後輩にヒントをあげよう。」
 紅葉先輩は笑顔で私に問いかけてくる。
「音は裏切らない。自分だけのものを見つけるのが大事だよ。」
 「自分だけのもの…。」
 「そうだよ。それが、いろはを助け導いてくれる。」
 「なんか大袈裟ですね。」
 「そうだねー。でも、本当にそう思うときが来ると思うよ。」
 「ありがとうございます。」
 「疑ってるでしょ。」
 「まぁ。まだ分からないです。」
 「そうだろうね。まぁ練習するしかないんだよ。」
 先輩は私ではない誰かにも諭すようにいった。そして、それを言い残すと私と紅葉先輩の間に少しの静寂が流れる。
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