カラー・ロック

他島唄

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モノクロ・ガールミーツガール

モノクロ・ガールミーツガール③

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 ベッドの魔力に逆らうことが出来ず、うたた寝をしていると、遠くから母が私を呼ぶ声が聞こえた。
 「いろはー、夕飯できたわよー。」
 「はーい。」
 私は海底にあるように重くなった身体を、ベッドから起こし、階段を降りていく。リビングの食卓には、オムライスが並んでいる。母の得意料理で、節目の日やその前日にはテーブルに並ぶことが多い。得意料理なだけあって、味はレストランと変わらないレベルだ。少し前には、「高級レストランの真ん中できると割れるやつに挑戦する!」など意気揚々と宣言していた。今日はまだ普通の「レストランのオムライス」なようだ。
 「いろは、高校どうだった?」
 普通、入学式が終わってからするであろう質問を母は投げかけてくる。
 「やっぱり綺麗だったよ。さすが女子校って感じ。」
 外から見た感想しか言えない私を他所に、母の質問は続いていく。
 「なら、楽しみね。部活とか何かはじめるの?」
 「うーん。わかんない。いいのがあればかな。」
 誰よりも私のことを知っている母は、特に部活をする気がないことも気づいているだろう。それでも、わざわざ聞いてくるのは、天然なのか、それとも何か部活を始めるように仕向けているのか分からなかった。
 「じゃあ、いいのがあるといいわね。」
 母は追求してこない。私が面倒くさがるのが分かっているのだろう。すんなりと引かれてしまう。私は、そういう気遣いをしてくれる母がきらいのなれないのだ。
 「そうだねー。ごちそうさま。」
 嫌いになれなくても、思春期のモヤモヤとした気持ちがないわけではない。精一杯の反抗なのか、話を遮るように、私はお皿を洗い場に持っていき、足早に自分の部屋へと帰るのだった。
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