1 / 39
モノクロ・ガールミーツガール
モノクロ・ガールミーツガール①
しおりを挟む
ひらひらと桜の花びらが舞っている。木々の枝は、ピンク色に黄緑が混じり始めている。匂いはまだ春の香りだ。入学式で、桜が満開とはいかないだろう。そういえば、中学の時もそうだった。そもそも、桜が満開な入学式なんてフィクションなのかもしれない。
そんな哲学じみたことを考えながら、ぼんやりと高校からの帰り道を歩く。下見というやつだ。合格発表以来、久々に歩く道で哲学してしまうのは、私が意外と緊張しているからかもしれない。でも、その緊張の中に新しいことへのワクワクはない。部活も帰宅部だろうし、女子高だから恋愛なんかもしないだろう。ただ、新しい環境への純粋な緊張なのだ。
「つまんない。何かないかなー。」
私をボソッと呟く。どうせ誰も私に注意を向けたりしない。奇天烈な格好をしているわけでもないし。それでも、「何か」に期待しないわけではない。でも、物語のような出来事なんか起こりはしない。
少し重たくこわばる足を動かしながら、近道のために公園を横切る。まだどこの学校も入学式前なのだろう。子どもの数がいつもより多かった。子どもたちの赤みがかったオレンジの声が、夕焼けの空とグラデーションになっている。そんな暖色の公園で、モノクロな場所があった。本来ならイヤな組み合わせだろうが、私はその色に目を奪われた。モノクロは、少しずつ私の中にも流れ込み、先ほどまでの緊張をほどいてく。
色のもとをたどると、アコースティックギターを弾く少女がいた。ツヤのある黒いショートカットとは反対に、透き通るような白い肌、少し幼いが美人な顔立ち。年下のように思えたその少女は、ただただカッコよく見えた。少女に目を奪われていると、ふと目が合ったような気がして、急に恥ずかしくなった。気が付くと、私はその場を逃げるように離れていた。名前を聞いたりして、話さなかったことを後悔した。
そんな後ろ髪を引かれるような出会いが、私の日常を少しずつだが着実に変えていった。
そんな哲学じみたことを考えながら、ぼんやりと高校からの帰り道を歩く。下見というやつだ。合格発表以来、久々に歩く道で哲学してしまうのは、私が意外と緊張しているからかもしれない。でも、その緊張の中に新しいことへのワクワクはない。部活も帰宅部だろうし、女子高だから恋愛なんかもしないだろう。ただ、新しい環境への純粋な緊張なのだ。
「つまんない。何かないかなー。」
私をボソッと呟く。どうせ誰も私に注意を向けたりしない。奇天烈な格好をしているわけでもないし。それでも、「何か」に期待しないわけではない。でも、物語のような出来事なんか起こりはしない。
少し重たくこわばる足を動かしながら、近道のために公園を横切る。まだどこの学校も入学式前なのだろう。子どもの数がいつもより多かった。子どもたちの赤みがかったオレンジの声が、夕焼けの空とグラデーションになっている。そんな暖色の公園で、モノクロな場所があった。本来ならイヤな組み合わせだろうが、私はその色に目を奪われた。モノクロは、少しずつ私の中にも流れ込み、先ほどまでの緊張をほどいてく。
色のもとをたどると、アコースティックギターを弾く少女がいた。ツヤのある黒いショートカットとは反対に、透き通るような白い肌、少し幼いが美人な顔立ち。年下のように思えたその少女は、ただただカッコよく見えた。少女に目を奪われていると、ふと目が合ったような気がして、急に恥ずかしくなった。気が付くと、私はその場を逃げるように離れていた。名前を聞いたりして、話さなかったことを後悔した。
そんな後ろ髪を引かれるような出会いが、私の日常を少しずつだが着実に変えていった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる