上 下
98 / 109

第98話 マサル外伝_1

しおりを挟む
「うっ…。ここは…?知らない天井だ…。」

目を開けると、白い天井が目に入った。
いや、天井ではない。空間と言った方が適切のようだ。

私はなぜ全く見知らぬ場所にいるかを思い出すために今までの事を振り返る。

確か私は現在27歳で、小さい頃に母と父は離婚した。
父親に引き取られたが酒癖が悪く、私は毎日暴力を振るわれていた。
小学校低学年の時に殴られた痣を見た先生は児童相談所に連絡し、結果的に父親は逮捕され、私は親族に引き取られた。

その親族とは特段仲が良かったわけでもなかったため、私はいつも一人で過ごしていた。
アニメを見ることが唯一の楽しみで、いつもアニメを見ては主人公ではなく、少し闇を抱えたライバル的存在の者に憧れ、妄想やモノマネをしていた。

そんなことをしていたせいで私は親族や周りからは痛い奴だと…。
おっと、振り返るにしては昔過ぎたか。
最近の事を振り返ろう…。

会社で仕事をしていた私は、モンスターがこの世界に出現するようになってある程度たった時、天動社長に個別に呼ばれ現在の日本の状況やこれから日本をどう変えていくか力説された。

感銘を受けた私は天動社長に…
「ふっ。これも運命さだめか…。マイマスターよ、私の力が必要であればいつでも力になろう。」

と忠誠を捧げたら、天動社長や秘書が固まった。
恐らく感動しすぎて息もできなかったのであろうな。

その後、私はチュウニビョウのスキルでどんどんのし上がり、すぐにテロリストの幹部となった。

だが、今考えてみれば天動社長の話していた未来像は杜撰で、誰も幸せになどならないような内容だった。
なぜ天動社長のあんな話に私は感銘を受け、幹部としてテロ活動をしてしまったのか甚だ疑問だ。

テロ活動中におかしな仮面を付けた者が現れた。
その者は、ピエロのような仮面の者とおかめの仮面の者がいた。

正直言って恐ろしかった…。
仮面を付けた者は二人いたのだが、その中でもおかめは別格だ。
あんなにも死の匂いを放つ者は見たことが無かった。

下にいると思ったらいつの間にかに屋上まで来ているし
「私は元の世界へと戻る。あとは任せたぞ勇者たちよ!」 (家に帰ります。あとの事はよろしくお願いします。)

と言って家に帰りたい気分だった。

そんなことを考えていたら瞬く間に部下がやられてしまい、指揮が大幅に下がった。
実は少し前からなぜ私はこんなテロ活動に加担してしまったのかと悩んでいたが…もはや手遅れであった。

ここまで来たらやり通すしかない。
本当は前に出たくはないが、幹部たるもの堂々と敵に立ち向かわねば指揮は戻らないと思い、気持ちを奮い立たせて前に出た。

大丈夫、私にはチュウニビョウスキルがある。
これを使用すれば敵は怯み、隙ができるはずだ。

と、思っていたら何かとてつもない衝撃を受けていつの間にかに気絶していた。
起きたときには搬送されている途中だった。

その後、刑務所に送られた私は暇だったので毎日筋トレをしていた。

何に影響されたのかわからないが、腕立て伏せ100回、腹筋100回、スクワット100回、ランニングは外に出させてくれなかったので、脳内で毎日10キロ走っていた。

それを繰り返していたある日、いきなり光に包まれた…。
そうして俺は今、ここにいる…。



「ねぇ…。回想長すぎじゃない?」

「む…。」

横を見ると、白い椅子に座った者がこちらを見ていた。
その者は光輝いていて、顔を確認することが出来ない。

「私が今の今まで気づかないとは…。貴様、何者だ。」

「気付かなかったのは君がずっと自分の回想をしていたからだろう?あほ面しながらぼーっとしていたし、時々ニヤけたりして正直気持ち悪かったよ。」

光り輝く者は私をディスってきた。
しかし、この程度はいつも周りにコソコソ言われているので何とも思わない。
寧ろ誉め言葉だ。

そういえば中学生の頃に私が授業中におしっこが我慢できずに漏らしてしまった時は―――

「こらこら、言っている傍から回想に入らないでよね…。」

「おっと、そうだった。それで…何者だ?いや、言わなくていい。私の封印されしこの邪眼で貴様の正体を見極めてやろう!」

私は眼帯を外そうとするが…。

「君には邪眼は無いし、君の眼帯は警察に取り上げられたでしょ…。あぁっ!これだけは取らないでぇっ!って警察にしがみついていたじゃないか。」

「…くっ!殺せ!」

「はぁ…。こんなに疲れる人間は初めてだよ…。そろそろ自己紹介するよ。僕は君のいる世界と、別の世界を管理する者さ。神様って呼んでくれていいよ?」

ん?こいつは何を言っているんだ?
自分を神などと…痛い、痛過ぎるぞ。

「まさか、貴様も私と同類…なのか?」

「一緒にしないでくれるかな!!?」

ふむ。自称神はツッコミもできるようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした

宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。 聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。 「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」 イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。 「……どうしたんだ、イリス?」 アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。 だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。 そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。 「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」 女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。

ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。 王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか? 元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。 これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。

NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~

ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。 城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。 速人は気づく。 この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ! この世界の攻略法を俺は知っている! そして自分のステータスを見て気づく。 そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ! こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。 一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。 そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。 順調に強くなっていく中速人は気づく。 俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。 更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。 強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』 カクヨムとアルファポリス同時掲載。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

処理中です...