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第42話 しっこくしっこく!

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10分ほど待ったが、結局信之の唇は戻らなかったので、回復魔法を使用して唇は治った。

「恐ろしい攻撃だった…。」

「そ、そうだね。まさかエクスヒールを使わないと治らないとは思わなかったね…」

唇の腫れは回復魔法上位を使用しないと戻らなかった。

「イリス、次どうぞ。」

「あ、遠慮しておきます。」

イリスは既に自分がエウテルペに認められず、唇が腫れる未来が見えていたため、丁重に断った。

「これも、異次元収納の肥やしか…。」

そういって信之はエウテルペの神笛を異次元収納に入れた。




「なかなか遺跡無いね~」

現在信之とイリスは、3階層を50%程度踏破したところだ。

「そうだね。上空から見ても見当たらないな。」

信之には纏翼というスキルがある。纏翼は無属性の魔力の翼を具現化して空を飛ぶことができるスキルだ。空を飛ぶ魔法はまだあり、魔法士で覚えるフライでも同じように空を飛ぶことができるのだが、纏翼の場合は翼を具現化できるので信之は好んで使用している。厨二病の鏡である。

「遺跡は見当たらないけど、たくさんメタルクイーンはいてくれるから経験値美味しいよね!」

オタクは嬉しそうである。

「メタルクイーンは本当に経験値美味しいよな。そろそろ魔導王がカンストしそうだよ。今度は物理系の職に転職して攻撃力を上げるか。」

信之の現在の目的は、天衝銀竜を倒すことなのでレベルが上がることは大歓迎だ。

「あ、信くん、私もそろそろMPが9999になるから上限突破の間には私も一緒に行くね!」

「おぉ!それは助かる!」

イリスも一緒に行けるとなれば、かなりの戦力になりそうだと思う一方、二人であってもあの天衝銀竜を倒すのは難しいと考える信之。

(一撃が即死クラスだし、もしかしたら天衝銀竜は前回本気で戦っていなかったかもしれない。何か、一気に強くなれるものが必要だな…。)

「あ、信くん。ここに洞窟があるよ!」

森の中を歩いていると、イリスは洞窟を発見した。
二人は、早速洞窟内部を探索する。
「ライト。うーん思ったより広いな。」

「今までの洞窟と比べると一番広いね!」

(あれ?今までの洞窟?掘った穴程度のものしかなかったような…。)

イリスの言動が気になったが、今までの経験から突っ込むのはやめておく。

洞窟の中は特に入り乱れているわけでは無く、一方通行となっているようだ。モンスターも見当たらない。

「あ、明かりが見えてきたよ!」

イリスが指を指す方向から、光が漏れているのを確認した。

「お!」

「宝箱!レアアイテムかな!?」

ミミックでないことを確認し、イリスは宝箱を慎重に開けようとする。
そこで信之はとあることを思い出す。

「イリス、宝箱を開けるときはね。ごまだれ~っていうんだよ。」

「へ?ごまだれ?」

「そうそう。そうするときっと良いもの入ってるよ。」

「そうなの!?わかった!やってみる!」

イリスは宝箱を開ける

「ごまだれ~!!」

中に入っていたのは。

「刀?」

「うーん、刀だな…いまいちだった…。」

「えぇ~!…ごまだれの声をもっと大きくすればよかったかなぁ…」

中に入っていたのは刀であり、信之は肩を落とす。
信之の考えでは、刀は不要であるのだ。理由としては魔装召喚をすれば刀は想像で作ることができるし、大鎌を作ることもできる。なので、武器や防具は特に必要ないと考えていた。

「もしかしたら何か特殊能力があるかもしれないし、鑑定してみるか。」

ーーーーーーー
(名)
死刻《しこく》

(概要)
切り「刻」む毎に相手は少しずつ衰弱し、いずれ「死」が訪れると言われる刀。
斬った相手に対してステータスを2%下げる効果を持つ。5回まで効果は重複する。
因みに最初についた名前は紫黒《しこく》であり、刀身が紫がかった黒であったことからその名前が付けられた。その後、特殊能力がある事が判明し、死刻と名前が変わった。
ーーーーーーー

「普通に強かったー!!!」

「これは確かに強いね!相手のステータスを10%も下げられるなんて!」

「これがごまだれ効果か!」

信之は刀を鞘から抜いて、刀身を見る。
刀身は、80cmほどで、柄を合わせると100cm以上ある。信之やイリスは分かっていないが一般的な刀と比べると少し長い。

「持ちやすいな。ちょっと重量感もあって、これ良いかも!」

「刀の黒い部分が紫がかっていてかっこいいね!厨二病な信くんにピッタリだよ!」

「ぐはっ!」

イリスは信之をいじめたくて言っている訳ではなく、素直にそう思って言っている。それを知っている信之は大ダメージを負う。

「刀の強さはどれくらいだ…?」

信之はふと強さが気になってステータスを調べて見た。

ーーーーーーー
平信之

職業 魔導王 ☆7
種族 デブを卒業せし凡人(筋肉質)
称号 羞恥神・大魔導

Lv 53/100
HP 7220
MP 9999
ATK 2612 (3612) ※攻撃力増加Lvアップ分含む
DEF 2050
INT 9660
AGI 1310
スキルポイント 154000

スキル
「鑑定」、「獲得経験値増加Lv9」、「スラッシュ」、「十文字スラッシュ」、「バックスタブ」、「攻撃力増加Lv9」、「異次元収納」、「シールドアーマー」、「剣技Lv9」、「ファイアショット」、「アイスショット」、「ウインドショット」、「ストーンショット」、「魔力操作」、「魔装召喚」、「テレポート」、「瞬間移動」、「ヒール」、「ワイドヒール」、「エクスヒール」、「ファイアスピア」、「アイススピア」、「ウインドスピア」、「ストーンスピア」、「ストーンシールド」、「サンダーブレード」、「エクスプロージョン」、「アブソリュート0」、「サイクロン」、「グランドノヴァ」、「魔導の極み」、「消費MP軽減Lv9」、「キュアヒール」、「ナイトアイ」、「ウインドインパクト」、「纏幻」、「魔纏の瞳」、「竜頭掌底波」、「ショックウェーブ」、「纏翼」、「メテオスウォーム」、「ゼフュロス」、「成長促進」etc…、「ア〇ンストラッシュ」

・転職が可能です。
・上限突破の間へ転送が可能です。
ーーーーーーー

「強い!?」

「やったね!これでドラゴンさんにまた一歩近づいたね!」

「そうだな。魔装召喚は魔力を込めた際に能力の底上げは限界があるし、ステータスを下げることもできる死刻を使っていくか。」

魔装召喚のスキルは、魔力を込めれば込めるほど強くはなるが上限がある。

ーーーーーーー
(名)
魔装召喚

(概要)
装備を魔力で具現化できるスキル
使用者の想像次第で姿形を変えることが可能。
また、込めた魔力量により強度が変わる。
ただし、上昇値はATK・DFEともに300が上限
ーーーーーーー

比べて死刻は攻撃力が1000である為、特殊能力がなくても十分に強い。

「やっと使えるのレアアイテムが手に入ったな!」

「うんうん!後は私がもう少しレベルあげれば二人で挑戦できるね!」

「だな!よし!ぱぱっとレベル上げるか!」

「は~い!」


信之とイリスは、一旦探索を止めてレベル上げに勤しんだ。

ーーーーーーー
平信之

職業 侍
種族 デブを卒業せし凡人(筋肉質)
称号 羞恥神・大魔導

Lv 21/30
HP 8050
MP 9999
ATK 2960 (3960) ※攻撃力増加Lvアップ分含む
DEF 2310
INT 9999
AGI 1420
スキルポイント 45000

スキル(新規獲得のみ)
「クリムゾンフレア」、「ウルカヌス」、「ガイアシェイク」、「ダークエンチャント」、「グラビティホール」、「ジャッジメント」、「カース」、「マジックブレイク」、「居合」、「心眼」、「飛燕」、「月光」
・転職が可能です。
・上限突破の間へ転送が可能です。
ーーーーーーー

ーーーーーーー
神谷イリス

職業 武闘家☆2
種族 人間
称号 銀髪の天使・レベル上げオタク・残念美少女・嬲《なぶ》りし者

Lv 43/50
HP 4850
MP 9999
ATK 1510 
DEF 1320
INT 9120
AGI 1500
スキルポイント 298000

スキル(新規獲得のみ)
「プロテクション」、「神の恵み」、「ホーリーブレイズ」、「ディバインフィールド」、「スターダストレイ」、「ヴァルキュリアアロー」

転職が可能です。
ーーーーーーー

「良い感じに育ったな!メタルクイーンばんざい!」

「うんうん!メタルクイーンばんざい!」

二人はステータスが想像以上に上がっていたため喜ぶ。

「ん?イリスさん?この残念美少女とは…?」

イリスの称号に気づいた信之はイリスに問う。

「う…。こ、これはその…色欲のスキルを取った経緯を信くんに話したら、その後システム音がして…。」

「あ、あの時か…。」

恥ずかしい記憶を思い出し、顔を赤らめるイリス。

「ちなみに、嬲りし者ってのはどうやってとったの?」

「…」

顔をより一層赤らめたが、イリスは話さない。

「イリスさん?」

「言わなきゃダメ?」

「…ダメ。」

「…夜の…その…信くんいじめるの楽しいなって思ってたら、手に入っちゃった…。」

「そんなこと思ってたの!?」

顔を赤らめるイリスと、今後の夜の格闘技対策を本気で考える信之であった…。




「あれ…」

「どうしたの?信くん。」

「今…システム音がして、嬲られし者っていう称号とったわ…。」

「わ…わたしのせいかな…。」
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