33 / 109
第33話 俺はここにおりますが…なにか?
しおりを挟む
「あなたが…イリスちゃんの彼氏君ね。」
次の日、信之はイリスとともに事務所の社長と対談した。
対談している場所は事務所で応接間や個室ではなく、従業員が普通に働いている部屋の一角だ。
そこにはソファーがあり、3人はソファーに座って対談をしている。
近くにはテレビがありニュースが流れている。
(ちゃんとテレビが近くにあって、ニュースが流れてるな。イリス、ナイスだ!)
(うん!信くんの言った通りテレビが近い場所にして、ニュースも流したよ!)
信之には、考えがあるようだ。内容についてはイリスにも話してはいない。
「初めまして、平信之と言います。」
「ええ、初めまして。イケメン君ね。その容姿でうちのイリスちゃんを落としたのかしら。」
イケメンスキルが発動しているようだが、どうやらあまり歓迎はされていないらしい。社長は信之をピエロだと考えているだろうし、何より事務所の稼ぎ頭の足枷となる人間が来たのだから当然といえば当然である。
「しゃ、社長!」
いきなりバチバチの雰囲気になりそうに感じたイリスは焦る。
「歓迎はされませんよね。事務所のトップアイドルが彼氏を作ってその男と対談なんて。」
「わかってるじゃない。」
社長は足を組みながら肯定する。
「でも、俺とイリスは本気です。どんなことがあっても別れることはありません。」
「…!」
威圧感のある信之の目に狼狽える社長。
「はぁ、それも…わかってるわよ。イリスちゃんにも言ったけど、こちらはマスコミに対して恋愛については本人に任せている。という回答をするわ。」
「ありがとうございます。ご迷惑おかけして申し訳ありません。」
頭を下げて謝罪する信之。
「いつかこうなることはあり得るとは思っていたし、仕方ないわよ。イリスちゃんが幸せならそれでいいわ。」
社長は優しい目でイリスを見る。
イリスにはその目がくすぐったそうだ。
優しい目をしていた社長だったが、信之の方を見ると目を鋭くする。
「そういえばイリスちゃんは、ゴブリンに二度襲われていて、そこをピエロに助けられているわ。」
来たか。と思う信之とイリス。
「はい、イリスから聞いています。」
「それだけでなく、蓮見悠助に襲われた時もピエロが突然現れてイリスちゃんを助けたわ。」
「はい、そちらも聞いています。」
「そう…。イリスちゃんはね、今まで男性と仲が良くなるようなことは無かったのよ。」
社長は核心に迫ろうとする。
「ピエロが現れるようになってから、あなたが現れて付き合い始めた。これは…」
その時、テレビで速報が流れる。
「速報が入りました。監視を行っているダンジョン付近にて、ピエロの仮面を付け、大鎌を所持する人物が現れました。その人物は現在とてつもない速さでダンジョン付近にいるモンスターを倒しているとのことです。先日、ゴブリンに襲われた神谷イリスさんを助け出した人物と全く同じ様相で同じ大鎌を所持しているということで、その人物で間違いはないとのことです。」
「「え!?」」
速報のニュースに、声を出して驚く社長。
そして社長よりも驚くイリス。
「今話に出ていたピエロですね。」
信之は素知らぬふりをして発言する。
「え、えぇ。」
流石に動揺を隠せない社長。
「あ、すみません。話の途中でしたね。」
無表情で話を戻そうとする信之。内心は非常に悪い顔をしている。
「え、えっと。何の話だったかしら…忘れてしまったわ。」
「ピエロの…」
「と、兎も角!イリスちゃんと付き合うのであれば彼女を不幸にしないこと!いいわね!」
「もちろんです。」
「そう、ならいいわ。話は終わりよ。」
そう言って、ニュースにくぎ付けとなる社長であった。
事務所からの帰り道。
(作戦成功したな。)
信之は念のために声には出さず、念話でイリスに話しかける。
(なにしたの!?私も社長と一緒にびっくりしちゃった!)
(魔纏士のスキルを使ったんだ。)
魔纏士のスキルの中に纏幻というスキルがある。
ーーーーーーー
(名)
纏幻
(概要)
無属性の魔力で自身のコピーを作成する。
魔力を込めた分ステータスは上昇するが、自身のステータスの1/10が上限であり、それを上回ることは不可。
また、纏幻で作成した自身のコピーを動かすことは可能だが、複雑に動かす場合、並列意思が必須となる。
ーーーーーーー
並列意思は、魔法士の☆6で取得できるスキルであり、信之は既に取得している。
このスキルがあることにより、本人もコピーも意志を持って動かすことができるのだ。
信之はイリスにそれを説明した。
(凄い!これなら絶対に信くんがピエロさんってことバレなそうだね!)
(あぁ、バレないと思う。なので俺に犯罪歴は無しだ。)
(無罪ばんざーい!ばんざーい!)
念話だけで良いのにテンションが上がって体でもバンザイを行うイリス。
すれ違った人は、今まで無言だったのにいきなりバンザイをし始めたイリスに驚く(マスク等しているのでイリスとはバレてはいない。)
自分の行動で驚かせてしまったと気付いたイリスは顔を赤く染め、俯く。
「イリス…。」
「はぅ…。何も言わないで…。」
次の日、信之はイリスとともに事務所の社長と対談した。
対談している場所は事務所で応接間や個室ではなく、従業員が普通に働いている部屋の一角だ。
そこにはソファーがあり、3人はソファーに座って対談をしている。
近くにはテレビがありニュースが流れている。
(ちゃんとテレビが近くにあって、ニュースが流れてるな。イリス、ナイスだ!)
(うん!信くんの言った通りテレビが近い場所にして、ニュースも流したよ!)
信之には、考えがあるようだ。内容についてはイリスにも話してはいない。
「初めまして、平信之と言います。」
「ええ、初めまして。イケメン君ね。その容姿でうちのイリスちゃんを落としたのかしら。」
イケメンスキルが発動しているようだが、どうやらあまり歓迎はされていないらしい。社長は信之をピエロだと考えているだろうし、何より事務所の稼ぎ頭の足枷となる人間が来たのだから当然といえば当然である。
「しゃ、社長!」
いきなりバチバチの雰囲気になりそうに感じたイリスは焦る。
「歓迎はされませんよね。事務所のトップアイドルが彼氏を作ってその男と対談なんて。」
「わかってるじゃない。」
社長は足を組みながら肯定する。
「でも、俺とイリスは本気です。どんなことがあっても別れることはありません。」
「…!」
威圧感のある信之の目に狼狽える社長。
「はぁ、それも…わかってるわよ。イリスちゃんにも言ったけど、こちらはマスコミに対して恋愛については本人に任せている。という回答をするわ。」
「ありがとうございます。ご迷惑おかけして申し訳ありません。」
頭を下げて謝罪する信之。
「いつかこうなることはあり得るとは思っていたし、仕方ないわよ。イリスちゃんが幸せならそれでいいわ。」
社長は優しい目でイリスを見る。
イリスにはその目がくすぐったそうだ。
優しい目をしていた社長だったが、信之の方を見ると目を鋭くする。
「そういえばイリスちゃんは、ゴブリンに二度襲われていて、そこをピエロに助けられているわ。」
来たか。と思う信之とイリス。
「はい、イリスから聞いています。」
「それだけでなく、蓮見悠助に襲われた時もピエロが突然現れてイリスちゃんを助けたわ。」
「はい、そちらも聞いています。」
「そう…。イリスちゃんはね、今まで男性と仲が良くなるようなことは無かったのよ。」
社長は核心に迫ろうとする。
「ピエロが現れるようになってから、あなたが現れて付き合い始めた。これは…」
その時、テレビで速報が流れる。
「速報が入りました。監視を行っているダンジョン付近にて、ピエロの仮面を付け、大鎌を所持する人物が現れました。その人物は現在とてつもない速さでダンジョン付近にいるモンスターを倒しているとのことです。先日、ゴブリンに襲われた神谷イリスさんを助け出した人物と全く同じ様相で同じ大鎌を所持しているということで、その人物で間違いはないとのことです。」
「「え!?」」
速報のニュースに、声を出して驚く社長。
そして社長よりも驚くイリス。
「今話に出ていたピエロですね。」
信之は素知らぬふりをして発言する。
「え、えぇ。」
流石に動揺を隠せない社長。
「あ、すみません。話の途中でしたね。」
無表情で話を戻そうとする信之。内心は非常に悪い顔をしている。
「え、えっと。何の話だったかしら…忘れてしまったわ。」
「ピエロの…」
「と、兎も角!イリスちゃんと付き合うのであれば彼女を不幸にしないこと!いいわね!」
「もちろんです。」
「そう、ならいいわ。話は終わりよ。」
そう言って、ニュースにくぎ付けとなる社長であった。
事務所からの帰り道。
(作戦成功したな。)
信之は念のために声には出さず、念話でイリスに話しかける。
(なにしたの!?私も社長と一緒にびっくりしちゃった!)
(魔纏士のスキルを使ったんだ。)
魔纏士のスキルの中に纏幻というスキルがある。
ーーーーーーー
(名)
纏幻
(概要)
無属性の魔力で自身のコピーを作成する。
魔力を込めた分ステータスは上昇するが、自身のステータスの1/10が上限であり、それを上回ることは不可。
また、纏幻で作成した自身のコピーを動かすことは可能だが、複雑に動かす場合、並列意思が必須となる。
ーーーーーーー
並列意思は、魔法士の☆6で取得できるスキルであり、信之は既に取得している。
このスキルがあることにより、本人もコピーも意志を持って動かすことができるのだ。
信之はイリスにそれを説明した。
(凄い!これなら絶対に信くんがピエロさんってことバレなそうだね!)
(あぁ、バレないと思う。なので俺に犯罪歴は無しだ。)
(無罪ばんざーい!ばんざーい!)
念話だけで良いのにテンションが上がって体でもバンザイを行うイリス。
すれ違った人は、今まで無言だったのにいきなりバンザイをし始めたイリスに驚く(マスク等しているのでイリスとはバレてはいない。)
自分の行動で驚かせてしまったと気付いたイリスは顔を赤く染め、俯く。
「イリス…。」
「はぅ…。何も言わないで…。」
10
お気に入りに追加
1,260
あなたにおすすめの小説
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)
mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。
王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか?
元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。
これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
一般職アクセサリーショップが万能すぎるせいで、貴族のお嬢様が嫁いできた!〜勇者や賢者なんていりません。アクセサリーを一つ下さい〜
茄子の皮
ファンタジー
10歳の男の子エルジュは、天職の儀式で一般職【アクセサリーショップ】を授かる。街のダンジョンで稼ぐ冒険者の父カイルの助けになるべく、スキルアップを目指すが、街全体を巻き込む事態に?
エルジュが天職【アクセサリーショップ】で進む冒険物語。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる