44 / 107
暗雲
第42話 俺がいい?
しおりを挟む
「昨日の……やつ、さ」
さっき受けた報告を思い出しながら、首筋の歯型に舌を滑らせる。
がくがくと震えている腰を撫で、赤く腫れ上がった目尻に口付けを落とした。
毎日めちゃくちゃにされて泣いている所為で、再会した日以降の旭陽はいつも目元が熱っぽい。
「お前の言った通りだった。人間が、魔族に手を出してた。関わってた人数も予想以上だったよ。
……旭陽が事前に案を出してくれてたから、虐殺を命じずに済んだ」
顔や腕に軽いキスを繰り返しながら、深く息を吐き出した。
ぐちゃぐちゃになっていた頭の中は、旭陽に触れているうちに大分落ち着いてきている。
でもやっぱり、どんな顔をして話せば良いのか分からない。
相手の正気を飛ばしてから聞かせるというのは、自分でも随分と卑怯な真似だと思う。
それでも否定されるのが怖くて、ゆっくり掻き混ぜる腰の動きを止めることはできずにいる。
「ッ゛ぁ、ァ、あ……っ」
聞こえているのかいないのか、焦点を合わせられない瞳がふらつきながら俺を見ている。
微かな嬌声を零している唇に触れるだけの口付けを落とし、言葉を続けた。
「調査も予想よりかなりスムーズに進んで、暴れたり誤魔化したりする者はいなかったって。
…………そいつらにも、罪悪感が……あったんだろうか」
感情を排して伝えようとしているのに、どうしても声が祈るようなものになってしまう。
ゆらりと動いた黄金の焦点が、一瞬俺に合った。
「――とにかく、助かった! ……だから、ひとつ……旭陽の頼みを、聞いてやろうと思って」
馬鹿かと切り捨てられるのが怖くて、声は少し早足になった。
誤魔化しが入っていると言われても否定はできない。
でも、嘘ではない。
俺から離れたいとか、帰りたいとか、そういう内容だったら拒絶してしまう程度だが。
それでも今すぐやめろだとか暫く触るなだとか、その程度ならちゃんと叶えてやろうと決めて口にした。
「ッぁ゛……ぁ゛、ぅ……ッ」
「ん?」
唇を震わせながら、旭陽が何かを答えようとしている。
促してみれば、掠れた声がたどたどしく「て……」と呟いた。
「て?」
「ッ……手、ぇ……ゃ、……」
俺の首裏で束ねられている腕を見る。
桃紅色が褐色の肌から滑り落ちて、旭陽の腕が解放された。
そのままシーツの上に落ち、指先まで小刻みにぶるぶると震えている。
両腕、特に手首から先は全て媚薬の中に沈められていた状態だ。
力が入らないだろうし、動かしたらその分だけ快感に襲われるから動かせないんだろう。
「……それだけ?」
ひとつとは言ったが、あまりにも些細だ。
思わず問いを重ねてみると、泣き濡れた頬が首筋に擦り寄ってきた。
泣きじゃくっていた名残りで、ひくひくと喉が微かな音を立てている。
「ま……が、ぃ……っ」
「……なに?」
荒い呼吸の下からどうにか絞り出された声だったが、聞き間違えかと思ってまた尋ね返してしまった。
薄い唇に、僅かに旭陽自身の犬歯が食い込む。
「ッま、ぇ……っから、が……ぃっ……い……!」
唸るように叫んで、ごつりと俺の首に頭をぶつけてきた。
今の体勢を見下ろす。
俺が後ろから旭陽を抱き締めて、背面から貫いている状態だ。
まえから。……向かい合っての方が良い、のか。
後ろからだと嫌なのか。
犯されていることでも、普通なら有り得ない場所まで侵されてることでもなく?
「……いいよ」
馬鹿だなあ。
笑ってやりたいのに、俺の顔は表情筋がイカれてしまったらしい。
阿呆みたいに甘ったるい、幸福が隠せていない笑顔しか浮かべられなくなってしまった。
愚かとしか言いようがない俺を見て、貶すどころか瞳を蕩けさせた旭陽も、きっとイきすぎて頭の何処かが馬鹿になっている。
「ッは、ァ゛あ……っ」
ずるりと長大なペニスを引き抜けば、中から大量の白濁と桃紅の粘液が溢れ出してくる。
旭陽のペニスからも、ゆっくりと同色の粘体が流れ出してきた。
ごめんな。これ以上は喰わせてやれない。
こいつはやっぱり、俺だけの旭陽だから。
物分りの良いスライムは、シーツの上を滑って端に移動していく。
それを見届ける時間も惜しくて、性急に体の向きを変えさせた。
ぐったりと腕に体重を預けてくる男を胸元に引き寄せ、今度は前から背中へと腕を回す。
「ぁ……ンッ、……っき、ら……」
シーツに落ちていた腕が、ぴくりと小さく反応した。
酷く緩慢な動きでシーツから離れ、何度も落ちそうになりながら持ち上がる。
幾度か小さな怯みを見せながら、ゆっくりと首に絡み付いてきた。
ふ、と何処か満足げな吐息が首筋に触れる。
……狡いなあ、旭陽は。
喉から込み上げそうになった衝動を飲み込んで、腰に腕を巻き付けた。
俺の吐き出したものを零し続けている場所に押し付け、ガチガチの熱で再び貫く。
「ッくあ゛ぁあアアーッ!」
がくがくと跳ねた男が、今度こそ高く潮を吹いた。
さっきまではスライムに飲まれていた体液が、何に邪魔されることもなくびしゃびしゃと俺と旭陽の体を濡らしていく。
はくはくと空気を食んでいる唇を塞ぎ、深く口付けながら奥を穿った。
さっき受けた報告を思い出しながら、首筋の歯型に舌を滑らせる。
がくがくと震えている腰を撫で、赤く腫れ上がった目尻に口付けを落とした。
毎日めちゃくちゃにされて泣いている所為で、再会した日以降の旭陽はいつも目元が熱っぽい。
「お前の言った通りだった。人間が、魔族に手を出してた。関わってた人数も予想以上だったよ。
……旭陽が事前に案を出してくれてたから、虐殺を命じずに済んだ」
顔や腕に軽いキスを繰り返しながら、深く息を吐き出した。
ぐちゃぐちゃになっていた頭の中は、旭陽に触れているうちに大分落ち着いてきている。
でもやっぱり、どんな顔をして話せば良いのか分からない。
相手の正気を飛ばしてから聞かせるというのは、自分でも随分と卑怯な真似だと思う。
それでも否定されるのが怖くて、ゆっくり掻き混ぜる腰の動きを止めることはできずにいる。
「ッ゛ぁ、ァ、あ……っ」
聞こえているのかいないのか、焦点を合わせられない瞳がふらつきながら俺を見ている。
微かな嬌声を零している唇に触れるだけの口付けを落とし、言葉を続けた。
「調査も予想よりかなりスムーズに進んで、暴れたり誤魔化したりする者はいなかったって。
…………そいつらにも、罪悪感が……あったんだろうか」
感情を排して伝えようとしているのに、どうしても声が祈るようなものになってしまう。
ゆらりと動いた黄金の焦点が、一瞬俺に合った。
「――とにかく、助かった! ……だから、ひとつ……旭陽の頼みを、聞いてやろうと思って」
馬鹿かと切り捨てられるのが怖くて、声は少し早足になった。
誤魔化しが入っていると言われても否定はできない。
でも、嘘ではない。
俺から離れたいとか、帰りたいとか、そういう内容だったら拒絶してしまう程度だが。
それでも今すぐやめろだとか暫く触るなだとか、その程度ならちゃんと叶えてやろうと決めて口にした。
「ッぁ゛……ぁ゛、ぅ……ッ」
「ん?」
唇を震わせながら、旭陽が何かを答えようとしている。
促してみれば、掠れた声がたどたどしく「て……」と呟いた。
「て?」
「ッ……手、ぇ……ゃ、……」
俺の首裏で束ねられている腕を見る。
桃紅色が褐色の肌から滑り落ちて、旭陽の腕が解放された。
そのままシーツの上に落ち、指先まで小刻みにぶるぶると震えている。
両腕、特に手首から先は全て媚薬の中に沈められていた状態だ。
力が入らないだろうし、動かしたらその分だけ快感に襲われるから動かせないんだろう。
「……それだけ?」
ひとつとは言ったが、あまりにも些細だ。
思わず問いを重ねてみると、泣き濡れた頬が首筋に擦り寄ってきた。
泣きじゃくっていた名残りで、ひくひくと喉が微かな音を立てている。
「ま……が、ぃ……っ」
「……なに?」
荒い呼吸の下からどうにか絞り出された声だったが、聞き間違えかと思ってまた尋ね返してしまった。
薄い唇に、僅かに旭陽自身の犬歯が食い込む。
「ッま、ぇ……っから、が……ぃっ……い……!」
唸るように叫んで、ごつりと俺の首に頭をぶつけてきた。
今の体勢を見下ろす。
俺が後ろから旭陽を抱き締めて、背面から貫いている状態だ。
まえから。……向かい合っての方が良い、のか。
後ろからだと嫌なのか。
犯されていることでも、普通なら有り得ない場所まで侵されてることでもなく?
「……いいよ」
馬鹿だなあ。
笑ってやりたいのに、俺の顔は表情筋がイカれてしまったらしい。
阿呆みたいに甘ったるい、幸福が隠せていない笑顔しか浮かべられなくなってしまった。
愚かとしか言いようがない俺を見て、貶すどころか瞳を蕩けさせた旭陽も、きっとイきすぎて頭の何処かが馬鹿になっている。
「ッは、ァ゛あ……っ」
ずるりと長大なペニスを引き抜けば、中から大量の白濁と桃紅の粘液が溢れ出してくる。
旭陽のペニスからも、ゆっくりと同色の粘体が流れ出してきた。
ごめんな。これ以上は喰わせてやれない。
こいつはやっぱり、俺だけの旭陽だから。
物分りの良いスライムは、シーツの上を滑って端に移動していく。
それを見届ける時間も惜しくて、性急に体の向きを変えさせた。
ぐったりと腕に体重を預けてくる男を胸元に引き寄せ、今度は前から背中へと腕を回す。
「ぁ……ンッ、……っき、ら……」
シーツに落ちていた腕が、ぴくりと小さく反応した。
酷く緩慢な動きでシーツから離れ、何度も落ちそうになりながら持ち上がる。
幾度か小さな怯みを見せながら、ゆっくりと首に絡み付いてきた。
ふ、と何処か満足げな吐息が首筋に触れる。
……狡いなあ、旭陽は。
喉から込み上げそうになった衝動を飲み込んで、腰に腕を巻き付けた。
俺の吐き出したものを零し続けている場所に押し付け、ガチガチの熱で再び貫く。
「ッくあ゛ぁあアアーッ!」
がくがくと跳ねた男が、今度こそ高く潮を吹いた。
さっきまではスライムに飲まれていた体液が、何に邪魔されることもなくびしゃびしゃと俺と旭陽の体を濡らしていく。
はくはくと空気を食んでいる唇を塞ぎ、深く口付けながら奥を穿った。
0
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
俺をハーレムに組み込むな!!!!〜モテモテハーレムの勇者様が平凡ゴリラの俺に惚れているとか冗談だろ?〜
嶋紀之/サークル「黒薔薇。」
BL
無自覚モテモテ勇者×平凡地味顔ゴリラ系男子の、コメディー要素強めなラブコメBLのつもり。
勇者ユウリと共に旅する仲間の一人である青年、アレクには悩みがあった。それは自分を除くパーティーメンバーが勇者にベタ惚れかつ、鈍感な勇者がさっぱりそれに気づいていないことだ。イケメン勇者が女の子にチヤホヤされているさまは、相手がイケメンすぎて嫉妬の対象でこそないものの、モテない男子にとっては目に毒なのである。
しかしある日、アレクはユウリに二人きりで呼び出され、告白されてしまい……!?
たまには健全な全年齢向けBLを書いてみたくてできた話です。一応、付き合い出す前の両片思いカップルコメディー仕立て……のつもり。他の仲間たちが勇者に言い寄る描写があります。
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
チート魔王はつまらない。
碧月 晶
BL
お人好し真面目勇者×やる気皆無のチート魔王
───────────
~あらすじ~
優秀過ぎて毎日をつまらなく生きてきた雨(アメ)は卒業を目前に控えた高校三年の冬、突然異世界に召喚された。
その世界は勇者、魔王、魔法、魔族に魔物やモンスターが普通に存在する異世界ファンタジーRPGっぽい要素が盛り沢山な世界だった。
そんな世界にやって来たアメは、実は自分は数十年前勇者に敗れた先代魔王の息子だと聞かされる。
しかし取りあえず魔王になってみたものの、アメのつまらない日常は変わらなかった。
そんな日々を送っていたある日、やって来た勇者がアメに言った言葉とは──?
───────────
何だかんだで様々な事件(クエスト)をチートな魔王の力で(ちょいちょい腹黒もはさみながら)勇者と攻略していくお話(*´▽`*)
最終的にいちゃいちゃゴールデンコンビ?いやカップルにしたいなと思ってます( ´艸`)
※BLove様でも掲載中の作品です。
※感想、質問大歓迎です!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる