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始まりの異世界
ここにきてようやく自己紹介
しおりを挟む「...は...?」
一瞬、頭が真っ白になった...
...えっ...裸...?...リード?
「その時はわしもようわからんだ...奴隷だったとしても、あまりな恰好じゃったからのぅ」
「...飼い主...でいいのかなこの場合は...?」
「言葉で表すなら、所有者もしくは主人というべきかの...当時、奴隷には人権などありゃせんかったし......それに、そんな恰好じゃったのはその主人の趣味らしい...」
...かなりの猛者だな...そいつ...
「...ただし、重要なのはそこではないのじゃ......なぜ奴隷として扱われておったかが重要だったんじゃ」
「...なぜ...とは?」
「ふむ...まぁわしも、偶然知る事が出来ただけなんじゃが......どうやらコンパクの質が高かったらしいのぅ」
コンパク...そういえば、ニーナもスライム娼年もコンパクがっみたいなことを言ってたっけ?
「あの...コンパクって...?」
「コンパクとは、生命力の塊じゃ。お主の世界でも、子を作るときとかに使っておるんじゃないのか?金玉の中に宿っておるじゃろ?」
...ふむ、やはり精子の事を指してるみたいだな......いや、卵子の事もコンパクというのなら遺伝子情報をまとめたものをコンパクと呼んでいる可能性もあるのか...?
「...コンパクが何なのかはイメージはなんとか......でも、だから奴隷にって話とは結びつかないんですが.........そのコンパクの質が高いのに何らかの利点があるとして、高かったから奴隷にしたとしても何か意味があるとは...もしかして、その高さを奪えたり...?」
「それは無理じゃ。コンパクの強さは生命力の強さが大きく関係しておるからの...何らかの方法でその強さを奪うなんてことはできん」
「...なら余計に疑問が......奴隷と交わる...とかじゃないんでしょ?」
「...強いコンパクはな、モンスター達に好まれるのじゃ...強い生命力を糧に進化するからのぅ......強いコンパクというだけでどんどん集まってきたじゃろうしな...中には、有益な交渉ができる者もおったじゃろうて」
「...つまり...モンスターと何らかの取引をするために、その青年は奴隷として所有されていた...と?」
「正確には少し違うの...モンスター達を支配するために飼っておったようじゃ」
「......強いコンパクなら...モンスター達を支配できるんですか?」
「いや、無理じゃ。強いコンパクというだけならこっちの世界にもわんさかおるが、支配出来たなんて言う話は聞いたことはなかったしの。全て、その奴隷だからできた事じゃ」
「...村長...それってどういう...?」
「...強いコンパクとは別に...また何かの好まれる要素があったってこと...?」
「ふむ...なかなかに鋭いのぅ...そうじゃ、その奴隷のコンパクはモンスターを夢中にさせる力があったのじゃ」
「夢中?...そういえば、あのスライムもすごいコンパクが欲しいっておねだりしてたような...」
そういえば、そうだったな。
あれが、夢中になってるってことなのか...?
「十中八九、夢中になっておったというところじゃろな......わしもどのように夢中になるかはわかっておらんでのぅ...ただ、夢中になり従順な下僕になるとだけ聞いておったからの」
「...やっぱり、モンスターを支配出来るってのは、かなりいいことなのか?」
「うむ。モンスターという生き物は最強の生物といってよい。もちろん、倒せないことは無いのじゃが...過酷な自然環境の中で進化してきた生き物じゃからのぅ...かなり手ごわい...中にはそれ相応の状況を作らねば倒せないモンスターも存在する。スライムもその内の1体かの」
「...スライムが...?」
「なんじゃ、お主らの常識ではそこまで手ごわい存在ではないのかの?」
「あ...あぁ...最弱のモンスターとして有名ですから」
「...なんともまぁ浅はかじゃのぅ......実際に相手をしたことが無いから仕方ないのかの...スライムは剣で切り裂こうが鎚で叩こうがそうそう倒せん...コアまで届けば何とかなるかもしれんが...そうそうとどかんしのぅ...」
「...かなり厄介なんですね...」
「厄介すぎるのじゃスライムは...中にはその弾力ではじき返すものもおれば、酸で武器を溶かしてくるものもおるからのぅ...」
...そんな怖い相手にちんぽ舐められてたのか...俺...
「...スライム...怖いですね......」
「うむ...理解してもらえたようで何よりじゃわ。そして、なんで奴隷として飼われていたか理解してもらえたかの」
「は...はい...」
モンスターに対する意識を改めながら、俺はふとあることに気が付いた...
...俺...今、結構危なくない...?
「...あー勘違いせんでくれ、お主をどうこうしようなんぞ考えておらんからの」
「...ぁ...そうですか...良かったです...」
「で、話を戻すがの...お主のような存在は過去に何度か現れておるんじゃ」
「...は...はぁ?......何度か...?」
「うむ...」
「...奴隷にするために呼び出されてるってことですか...?」
「...どうじゃろうな...奴隷となったのはあくまで結果なだけかもしれんとわしは考えておる...」
「...別の意味があったと...?」
「うむ...現れた場所もランダムじゃったしのぅ...召喚するといっても大規模の魔術を行使せねばならんが...それならば、それらしい噂の1つでも出てきそうなもんじゃが...全く出てこんかったからの......そして、いろいろ調べた結果、わしは何らかの異常現象に巻き込まれ、こちらの世界に来たのではないかと考えておる...ゆえに被害者じゃ......どのような条件になれば、こちらに飛ばされるのかわからんがの...」
...なるほど...偶然異常現象に巻き込まれて、意図せず奴隷になったなんて考えれば、確かに被害者という言葉が適しているな...
「......お主も同じように飛ばされてきたのかはわからんが...可能性としてはありえる話じゃ」
「......」
「そして、ある種の国宝でもある...お主の事を知れば欲しがる者はたくさんおるからのぅ......厄介な話じゃて...」
「...俺は...どうすればいいでしょうか...」
「...しばらくは、この村に追ったらええわい。わしはお主はどうこうしようとは思っておらんし...何よりわしらエルフは、自然の中で平和に暮らしたいのじゃ。だからお主をどうこうしようと考える者もそうはおらん...まぁ念のため、秘密にしておくことに越したことはないわい...それに、今後の事についてはゆっくり考えたらよいからのぅ」
「...すみません、ご迷惑をおかけするようで...」
「若者がそんなことを気にするでないわ。お主に非があるというわけでもあるまいに......ただのぅ、少しばかり問題があっての...」
「...問題...ですか...?」
「うむ...確証はないのじゃが...どうやら主のコンパクじゃが......蓄積するとモンスター達を呼び寄せる力があるらしい」
「...え...?」
「...偶然聞いた話じゃからの...確証はないが......かつて希少なモンスターを呼び寄せるために、何日もコンパクを試させ餌として使われたということがあったらしい......」
まじか...確かにそういう使い方もあるのかもしれないけど...
「...確証がないからの...どこまで本当かはわからんが...手を打っておくことに越したことはない...できれば、主の下の世話をしてくれる者を見つけておくことじゃわ。必要があればわしの方で手配するしの」
「...」
「...どうした...?...さすがにいきなりすぎたかの...?」
「...ちょっと...いきなりすぎですね...」
「...ん...それはすまんのぅ...だが重要なことだと思ったが故じゃ」
「...いえ...確かに......呼び寄せたりなんかしたら一大事ですから......でも、俺なんかにそんな相手が見つかるかはわかりませんけど...」
可能性は0ではないと考えたいが...
この村の美女たちが、平均レベルな俺の相手をしてくれるとはそうそう思えない...
「...それはわからんがの...相性の問題とかもある故......そういえばニーナ、お主の番にあたる者はおらんかったの。どうじゃ、この者と一度交わってみては?」
「ふぇ...?」
いきなり話を振られたニーナは呆気にとられ...
「...はっ...はぃぃぃぃぃぃいいい!?///」
めちゃくちゃ顔を真っ赤にして叫んだ。
まぁ、そりゃそうだよ。
いきなり番にしたら?なんて言われたら誰だって驚くわ...
...てか、よくよく考えてみたらお互い男じゃん。
「...あの...いきなりすぎるんじゃ...それに、お互い男ですし」
「こういったもんは縁じゃからの、勢いに任せるのも大事じゃわい。それに、男同士でもわしらは子を産めるしの」
「...ぱーどぅん?」
「...ぱーどぅんとはなんじゃ?...男同士で子を産めるのがそんなに珍しいのかえ?」
「......性別が異ならないと、子供を作れないというか...そもそも子供を作る器官が無いというか...」
「ふむ...そういえば、人族の体はそんな構造だったかの..わしらエルフは男同士でも女同士でも子をなすことは可能じゃ」
...女同士ならどうやるのかは大変気になるけど...まじか...
「...で...でもぼくッ...そのッ...そういった経験ないですし///...それに名前すらまだなのにッ...///」
「...そういえば、主の名前聞いとらんかったの」
「...あっ...そういえば......すっかり言う機会が無くて忘れてた...てか、俺もニーナの名前もさっき村長さんが言ったからわかったわけだし...」
「...お主ら...わしが言えたことではないが...少しの間でも一緒に行動しとったんなら、さすがに名前くらいはわかっておくもんじゃぞ?」
「す...すみません」
何も言い返せない...
「...では、改めて...俺は日向 紅葉です。年は17で、異世界人...て信じてもらえるかわかりませんが、よろしくお願いします」
「ぼ...僕はニーナっ、都市は90歳ですっ...」
こうして、俺たちはようやく自己紹介した...
てか、ニーナ...いや、ニーナさんっ...あなたその見た目で90歳なのッ?
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