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幼き聖女について

静かにゆっくり…確実に忍び寄る悪意

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ルキアーナからの知らせは、後日帰還組の側近によって報告された。


「…なるほど……」


教皇は長い髭を触りながら小さく呟く。


「状況はわかりました。皆さん、報告ありがとうございます」


「「「ははっ!」」」


「…発言をよろしいでしょうか、教皇様」


中年過ぎぐらいの、体格の良い男声が教皇に発言の許可を取る。


「なんだね、ドルマーニ司祭」


「本当にルキアーナ様のいう通りにさなるおつもりでしょうか?」


「勿論だとも。報告によれば、精霊の愛子様は幼く不安定…そのようなお方を無理に引っ張り出すことはあるまい」


「おっしゃる通り…しかし、報告によれば精霊の愛子様はルキアーナ様の想像を遥かに超えるご様子……教会で保護する方が良いかと…仮にも暴走などしたりすれば…」


「……ドルマーニ司祭の考えも理解できる。可能性としてはあり得ない話ではないからの……しかし、そこも踏まえ、ルキアーナ様は判断なされたはず…その結果、彼の国内で保護するのが1番と判断されたのだ」


「…承知いたしました。お答えいただきありがとうございます」


「うむ……敬愛なる信者達よ。此度は精霊の愛子様のお迎えはできなさそうだ…しかし、いづれ道を交えることはあるかもしれない…その時は暖かく…家族としてお迎えしよう」


誰も異論は唱えず、さっと祈りの姿勢に。


ルキアーナという最候補の聖女の判断、そして教皇の発言に異論はないという意思表示だった。











しかし、どこにでも闇を抱えたものは存在する。


会合が終わり、人気のない廊下で…


「……精霊の愛子…その価値はどれほどになるか………」


ぶつぶつと呟きながら歩くドルマーニ司祭。


「…わかっておるな?」


「…はっ…」


ドルマーニ司祭の側近である信者は小さく返事をする。


どれだけ有能なトップがいたとしても、組織である以上一枚岩ではない…


静かにゆっくり…しかし、確実に…


彼の国に…そして、小さな聖女に悪意の手が伸びようとしていた。
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