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光り物だらけで売れない道化師…しかし、大事にはされている

気づかなかった欠点

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意気消沈のグラムと、険悪な雰囲気の2人…


…まぁ、マリーナは大して気にしていないみたいが…


一触即発するかとも思える空気の中、ある事に気がついた。


「……」


「……あらぁ?」


マリーナは離れた場所から立ち上るオレンジ色の煙を見る。


あれには見覚えが入った。


「…あれは…シャールのびっくり玉…か?」


リメルダも気が付いたのか、煙が立ち上る方向を見る。


あの煙について、事前にシャールから聞いている。


すごい音と派手な色の煙はないが、威力がないスキル。


だから、モンスターが居る場所では、音などにつられて現れる恐れがあるから使わないといっていた。


ただし、“一部の例外”はのぞくと…


つまり、アレを使ってこちらに位置を知らせなければならないほど、切羽詰まった状況だということだ。


「…私がいくわぁ。リメルダはここで彼らを守ってなさいなぁ」


「…それが1番か…」


マリーナの案に頷くしかないリメルダ。


あの煙は間違いなく、シャールによる救援要請。


本来であればリメルダ自身も参戦したいが、お休み中のエリナにくわえグラム達がいる。


彼らをそのままにしておくには危険すぎる…


幸いにも、周りにモンスターの気配はないが、だからといって現れないわけでもない。


護衛をやるならば、2人とも仮にもAランクパーティーを務める冒険者かつ上位の戦闘系のクラス者。


素質としては十分な上、リメルダ1人でもグラム達を守れるだろう。


だから、迎えるのは現状マリーナ1人だけ…


それが色々な意味において“最善”な選択でもある。


なんせ、リメルダはこのパーティーの一員であるものの、“最優先保護対象”はエリナ…


たとえ、他の人がどうなろうとも死守するように命令されているのだ。


それが聖女であるエリナと、守り手であるリメルダの関係でもあり、そのことを知っているパーティーメンバーは何も言わず…ただ、彼女達が立ち回りやすいように動いているのだ。


「じゃぁ、後はよろしくねぇ」


と、どこまで考え、理解しているのか…そのまま行ってしまうマリーナ。


正直、リメルダにとって自分が守り役に入れるのはありがたいが…


それでも…とリメルダは考えてしまう。


他に、更に良い解決策があるのではないかと…


だが思いつかない。


やはりまとめ役は自分には無理だとため息を吐きながら、意気消沈なグラムや眠っているエリナ達のそばに移動するのだった。


◇◇◇◇◇◇


「げっっ!?」


目の前に迫る液体触手に思わず声を荒げた。


「シャールッ!」


エバンスが間に入り、聖剣で切り落とす。


「すっ…すまねぇ、エバンスっ」


「いやっきにする事はないっ…だが、そんなことを言い続けれる余裕もないがっ…」


シャールは、マルチポイズンスライムの度重なる攻撃を何とか交わし、ナイフなどを投げる。


エバンスは、魔を退ける聖剣で液体触手を切り落としては無力化する。


だが、どちらも致命的なダメージには程遠い。


何度か投げたナイフは、呪毒の液体に阻まれコアに届くまで溶けてしまう。


エバンスは光属性の魔法を纏わせ、斬撃を飛ばすがやはりコアにまでは届いていない。


…本来なら、エバンスの攻撃を主砲にしたいところだが…強い一撃ほど溜めが発生する。


それを補えるだけの戦闘力は、シャールには無い。


だからこそ、ジリ貧に追い込まれていた。


「全くっ…やりにくいったらありゃしないなぁっ」


「本当だねっ…自分と相性が悪い相手がここまで厄介なんて…」


エバンスの言葉に、俺自身も反省した。


確かに勇者パーティーだが、欠点が存在する。


自分が認識しているものもあるが、これは未発見…


そう。


俺たちは5人パーティーなのだと言うことだ。


俺を加算して良いかわからないが…


とりあえずエバンスは勇者の力が使える。


マリーナはたくさん魔法が使える。


エリナは回復が出来る。


リメルダは守りに徹する。


世界中探しても、こんな素質の塊すぎるパーティーはそうそういないだろう。


だが、それらの力を十全で発揮できるのは全員がいる時だ。


多少苦手な部分があれど他のメンバーがカバーする。


だから今まで気がつかなかった。


分断され、人数が割れてしまった場合、こうも苦戦してしまう事に…


「ははっ、良い勉強になったじゃねーか」


それは俺に対しても言える言葉だった。


いや、むしろ俺に対して言ったのかもしれない。


「笑い事じゃっッ!!」


「おぉっと!?」


液体触手を突き出してはこちらに息をつかせる暇を与えない。


正直、高難易度のゲームと変わらない。


たった一本すら避けれなかった場合には、突き刺され、あの毒を流し込まれてしまう可能性があるからだ。


多少の怪我覚悟ならエバンスに集中させ、大きな一撃を撃たせるとこなんだがなぁッ…


できれば、一瞬でも相手の隙を作るとか…せめて“俺の身体能力をあげる”術があればッ…!


「あらあらぁ、見事な攻撃じゃない」


ビキビキビギヒギィぃぃぃ!!


液体触手は突然氷だし、勢いが止まる。


俺たちは氷漬けにされ動けなくなった液体触手から距離を取り、かけよった。


「はぁはぁっ…遅いんじゃねーかっマリーナっ…?」


「殿方はレディを待つものじゃないしらねぇ。でも、これは予想以上ねぇ」


俺の問いかけにいつも通り返すマリーナ。


相変わらずの自由っぷりだと言いたいが…今はありがたかった。


なんせ、マリーナは液体触手の大部分を一気に凍らせたのだ。


まぁ…それも奴からしたら体の一部だけなんだが…
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