狂劇の道化師〜絶対場違いなのに、何故か知り合いからの評価が高すぎるんですが?〜

クレアンの物書き

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光り物だらけで売れない道化師…しかし、大事にはされている

待ち合わせまでの暇つぶし

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「はぁぁぁぁ…」


俺はギルド内のテーブルにもたれかかっていた。


この後、クエストに出発する予定だが、メンバーとの待ち合わせまで時間があるため、時間を潰していた。


「随分とお疲れだね」


相席していた女性が、苦笑いしながら呟いた。


「…そりゃぁつかれるよ…何で俺、未だに追放されないの?」


「そりゃぁ、あんたが優秀だからだろうさ!」


あっはっはっは!と笑いながらコップに注いだ酒を飲み干す。


彼女は、アマゾネスハーツのリーダー、アマゾネスのミランダさん。


あるダンジョンに潜った際、怪我をしていた彼女達のチームを手助けしてから仲良くなったのだ。


時々お互いのパーティーの状況だったり、ダンジョンに関する情報だったりを共有したりしている。


…まぁ、こういった愚痴(?)会みたいなのもやったりしてるんだけど…


「いやぁ…俺が優秀とかないだろぉ…」


「…ん…はぁぁ?、確かにあんたより上はいるかもしれないけど、技術はそれなりのもんだろうさぁ。自信持ちなって!」


「…いやいやぁ…比べる相手がおこがましいって」


褒められるのは嬉しく無いわけじゃ無い、むしろすっごい嬉しい。


でも、比べる対象の価値が高すぎる…


「上位クラスのパーティーだからなぁ…下位の中の下位みたいな道化師がどれだけ力を磨いてもそれまでだよ」


「…はぁぁ…後ろ向きだねぇ」


「現実を見ているといってくれ…」


「いやいや、あんな凄い上位クラスパーティーの中で、あんたは挫けずにいろいろ磨いてきたじゃないかい。その結果は形になってるってのに…」


「……でもなぁ…世間的にはなぁ」


「…そこを出されると何とも言えないけどねぇ」


単純な話だ。


ミランダさんがいうように、俺に力があったとしても、それは派手に見えるものじゃない。


パーティーメンバーの役に立とうと、道化師クラスのスキルツリーだけじゃなく、長い事基礎的なサポート技術も磨いてきたからな。


でも、周りから見れば甘い蜜を吸ってる寄生虫にしか見えないだろう。


「…サポート職の待遇…もっとよくならねぇかなぁ…」


「…はっ!勇者達から認められてるってのに…わがままだねぇ~」


「…それとこれとは違うってやつだよ…あいつらの気持ちに答えるにも俺が自分を誇れないと」


「…なんだかんだ、答えるつもりはあるって感じかい。なら気にしなければいいに……でも、まぁ気にはなるわなぁ」


「…クラスアップでもできりゃぁ、少しはマシになるのかね?」


「現実的に考えればそこらへんが妥当だろうね」


クラスアップ。


クラスが進化し、新たなクラスになることを指している。


俺の道化師のクラスも上位クラスにクラスアップすれば、周りの目が少しでも変わるのかと考えるが…


そもそも、道化師だからなぁ…


「…いや、無理か。そもそも根っこが悪いし…」


「諦めが早いねぇ…いいじゃないかい。道化師だって悪くないと思うけどね、あたしは」


「…そういってもらえると嬉しいが…」


「それに、道化師がクラスアップしたら何になるか気になるしね」


そう…俺のクラス、道化師は次のクラスについてはっきりしていない。


通常多くの経験を積むことで、クラスという種がどんどん成長していく。


ある一定ラインを超えて次なる段階に進む事がクラスアップだ。


クラスアップすればさらに凄い技を覚えれたりする。


例えば魔法使いがクラスアップすれば、魔術師になり新しい魔法を覚えれたりなんかね。


…クラスアップは、どのクラスでもその権利を持っているとされているが…


クラスによって、成長させる難易度が違ってくる。


中でも道化師はかなり難しい部類に入るだろう。


何せ、芸をするのがメインのクラスだからな。


…今まで、道化師をクラスアップさせた者はいない。


そもそも、道化師なんてクラスを引き込む奴らなんていなかったし、そもそもまともに戦えないしな。


「…気にはなるが…望みは薄いかねぇ…はぁ…」

「…なぁ、シャール。そんなに居づらいならあたしらのパーティーに来ないかい?」


「…ミランダさん達のパーティーですか?」


「あぁ。あたしらはまぁそこそこ名前が売れてるけど上位クラスパーティーってわけでもないしね」


…確かに…ミランダさん達のパーティーなら今みたいな変な目で見られる事は減るだろうなぁ…


「あたしらってメンバーがみんなアマゾネスだからね。どうしても前に出ちまうのさ」


「…た…確かに、初めて会った時、後衛担当も殴りに行ってましたっけ」


あれはびっくりしたわ…


「…ははっ…あたしらはアマゾネスだからねぇ。どうしても戦闘を好んじまうのさ」


照れ臭そうに語るミランダさん。


「それに、そろそろちゃんとした後衛職が欲しいと思ってたところだしねっ。あんたほどの実力者なら大歓迎さッ!…それにあたしら全員女だからある意味ハーレムだよっ」 


「…いや、ハーレムって…///」


「おっ?意外と脈ありかいっ?」


「いやっそういう意味じゃなくてっ…///」


グイグイくるミランダさんに思わず顔を赤くしながらドギマギしてしまう。


程よく日焼けして小麦肌、鍛えた筋肉などもあるが体が大きく引き締まった上色々めちゃくちゃデカい部分があるので目のやり場に困る人なのだっ。


つまり、健全な青少年には刺激が色々強すぎるんですっ


「ぁっ…あのっ…えとっ……///…とりあえず…ほ…保留でっ…///」


「えぇ~?」


「…まだ、あいつらと頑張ってみたいですし……どうしてもダメになったら頼ってもいいですかね?」


「…はぁぁ…まぁ…そう言われちゃぁしつこくなんて言えないね……せいぜい頑張ってみなよ。いつでも席は空けとくからっ」


「はっはいっ」


「…そういえば、あんたそろそろ時間じゃないのかい?」


「え…あっ!やばっ!!」


時計を見れば、みんなと待ち合わせの時間が迫っていた。


「ほれ、早く行った行った。支払いはあたしがしとくから」


「あっすまんっ。このお返しは必ずっ!ではっ!」


俺は慌てて立ち上がると待ち合わせ場所に向かって走り出した。









「…まったく…力で色々ねじ伏せてきたあたしらだけど……それが出来ないってなると、なかなかうまくいかないね………でも、諦めないからねっ。覚悟しとくんだよ、道化師さんっ」
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