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09.ティータイム③(詰んでることが判明)
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「バンバン産めるか分かりませんが、私が産めないと困りますよ。結婚する意味ないです」
「……結婚する意味がない……」
王子は嫌そうに繰り返す。
「だってもう本当にどうしようもないですよ。我が国は崖っぷちです。王子……じゃないグレン様一人だし、私一人ですから頑張らないと」
私はアラン様とテレンス様を見上げた。
テレンス様は私と同じ栗色の髪。
私は彼よりもっと薄いミルクティ色とか薄栗色と呼ばれる色だが、こうした薄茶系の髪は士族である下級貴族によく見られる。
古い土着の民族の特徴で、王家をはじめ外国との混血が進んだ上級貴族達はカラフルだ。
王子なんかどうなっているのか、青い。
庶民は意外と混血が進んでいてバラエティに富んでいる。
パッとしないし、さして珍しい色ではないのだが、今では古い下級貴族の家の特徴のようになっていた。
目も私とテレンス様は同じ茶色。これも下級貴族には良くある色だ。
あ、アラン様も目は茶色だ。髪は赤い。
二人とも目は茶色……ということは。
「金目でないと竜騎士になれないというわけではないのですね?」
「ございませんが、金目の王子は別格です。王子より早く竜を駆れる者はおりませんし、正直、竜達は王子に従っています。王子抜きで何頭竜が残るかは分かりません」
そう答えるのはテレンス様だ。
憂鬱そうな声だった。
それはそうだろうな。
これだけ大規模に行われたお妃選び大会で成果は私のみである。
そして思った以上に国防、担ってるな、王子。
変態言ってすまなかった。
竜というのは、この国の北方の山に住んでいて、本来人が使役出来るような生き物ではないが、稀に人になつく竜がいるらしい。
そういう竜を連れてきて人を乗せて飛ぶように訓練すると聞いている。
――何かおかしいとは思っていた。
雅やかな王家のことは貴族の女性達にとっては恰好の話題だ。
良く王妃様のドレスの色がどうしたとかレースがどうだとか、晩餐会のなんちゃらがどうだのと宮中のことは何かと噂になる。
姉達は情報に疎い人達ではない。
だが、私はこの美形で竜騎士の王子の結婚について「早く決まると良いわねぇ」くらいであまり深く聞いたことがなかった。
今、分かった。
これ、気安く触れちゃ駄目な話なんだ。
「金目でなくとも、王家の男児であれば良いのでしょうか?」
テレンス様は頭を振る。
「金目の竜騎士がいないということがそもそも王家の創始エステル様以降、我が国の歴史ではないのです。分かりかねるとしか申し上げられません。現に金目でない王家の男児であられるチャールズ陛下は竜騎士の適性はなく竜騎士ではございません」
本当に崖っぷちなんだな、我が国。
しばし、沈黙が部屋を支配した。
どうしてこうなった……というくらい詰んでいる。
「あのー、次、行きませんか」
その重苦しい空気を破ったのはアラン様だ。
「次と申しますと」
「お二人が仲良くする次のステップです」
そして衝立が用意された。
***
衝立はテーブルの側に立てられ、向こうにアラン様とテレンス様のお二人、そして衝立のこちら側は私と王子と分けられた。
「…………」
しかし王子の機嫌は悪いままだった。
むしろドンドン機嫌悪くなっていく……様な気がする。
私はちらっと彼を探った後は、もうそちらを見ることも出来なくなった。
騎士様というのは大抵体が大きい。
王子もでかい。
対する私は普通だ。
二人の身長差は三十センチ近いのではないだろうか。
ちゅーしたら泣きそうになったりとかちょっと可愛いなと思っていたが、無言だとやっぱり威圧感がある。
こんなので仲良く出来るのだろうか。
「お前は……」
と王子は何か言い掛けたが、その前にアラン様が言った。
「では王子、エルシー様のおっぱい触ってください」
「はっ?」
「……結婚する意味がない……」
王子は嫌そうに繰り返す。
「だってもう本当にどうしようもないですよ。我が国は崖っぷちです。王子……じゃないグレン様一人だし、私一人ですから頑張らないと」
私はアラン様とテレンス様を見上げた。
テレンス様は私と同じ栗色の髪。
私は彼よりもっと薄いミルクティ色とか薄栗色と呼ばれる色だが、こうした薄茶系の髪は士族である下級貴族によく見られる。
古い土着の民族の特徴で、王家をはじめ外国との混血が進んだ上級貴族達はカラフルだ。
王子なんかどうなっているのか、青い。
庶民は意外と混血が進んでいてバラエティに富んでいる。
パッとしないし、さして珍しい色ではないのだが、今では古い下級貴族の家の特徴のようになっていた。
目も私とテレンス様は同じ茶色。これも下級貴族には良くある色だ。
あ、アラン様も目は茶色だ。髪は赤い。
二人とも目は茶色……ということは。
「金目でないと竜騎士になれないというわけではないのですね?」
「ございませんが、金目の王子は別格です。王子より早く竜を駆れる者はおりませんし、正直、竜達は王子に従っています。王子抜きで何頭竜が残るかは分かりません」
そう答えるのはテレンス様だ。
憂鬱そうな声だった。
それはそうだろうな。
これだけ大規模に行われたお妃選び大会で成果は私のみである。
そして思った以上に国防、担ってるな、王子。
変態言ってすまなかった。
竜というのは、この国の北方の山に住んでいて、本来人が使役出来るような生き物ではないが、稀に人になつく竜がいるらしい。
そういう竜を連れてきて人を乗せて飛ぶように訓練すると聞いている。
――何かおかしいとは思っていた。
雅やかな王家のことは貴族の女性達にとっては恰好の話題だ。
良く王妃様のドレスの色がどうしたとかレースがどうだとか、晩餐会のなんちゃらがどうだのと宮中のことは何かと噂になる。
姉達は情報に疎い人達ではない。
だが、私はこの美形で竜騎士の王子の結婚について「早く決まると良いわねぇ」くらいであまり深く聞いたことがなかった。
今、分かった。
これ、気安く触れちゃ駄目な話なんだ。
「金目でなくとも、王家の男児であれば良いのでしょうか?」
テレンス様は頭を振る。
「金目の竜騎士がいないということがそもそも王家の創始エステル様以降、我が国の歴史ではないのです。分かりかねるとしか申し上げられません。現に金目でない王家の男児であられるチャールズ陛下は竜騎士の適性はなく竜騎士ではございません」
本当に崖っぷちなんだな、我が国。
しばし、沈黙が部屋を支配した。
どうしてこうなった……というくらい詰んでいる。
「あのー、次、行きませんか」
その重苦しい空気を破ったのはアラン様だ。
「次と申しますと」
「お二人が仲良くする次のステップです」
そして衝立が用意された。
***
衝立はテーブルの側に立てられ、向こうにアラン様とテレンス様のお二人、そして衝立のこちら側は私と王子と分けられた。
「…………」
しかし王子の機嫌は悪いままだった。
むしろドンドン機嫌悪くなっていく……様な気がする。
私はちらっと彼を探った後は、もうそちらを見ることも出来なくなった。
騎士様というのは大抵体が大きい。
王子もでかい。
対する私は普通だ。
二人の身長差は三十センチ近いのではないだろうか。
ちゅーしたら泣きそうになったりとかちょっと可愛いなと思っていたが、無言だとやっぱり威圧感がある。
こんなので仲良く出来るのだろうか。
「お前は……」
と王子は何か言い掛けたが、その前にアラン様が言った。
「では王子、エルシー様のおっぱい触ってください」
「はっ?」
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